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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
9章 進出!! 王都 冒険者ギルド
224/264

第214話 オズのサービス サービスぅ

168 ~ 220話を連投中。


11/1(日) 10:20 ~ 23:20くらいまで。(前回実績:1話/15分で計算)

一応、事前に下記手順の一部を済ませていますが、途中で投稿を中断するかもしれません。


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

『称号というか、汚名というか……』


『だが、汚名の反対は名誉じゃないのか? 『汚名返上』、『名誉挽回』と言うし』


『め~よ☆ばん☆かい♪』


『と、突然 どうしたんですか、ナツナツ…………えーと、称号というものは、『身分や資格を示す呼び名前』ですので、良い悪いは関係ないですね、一応』


『う~む…………なんとなく、もにょる……』


いや、そもそも誰だ、あのナレーション入れたヤツ。

まぁ、それはともかく。


「で、どのくらいココネさんたちに回せば、赤字回避出来るの?」


「……………………半分」


「ホントですか?」


「…………はぁ。多分、2/3 ~ 3/4は貰わないと無理かな……」


「そんなに?」


オズに問い詰められ、タメ息とともに暴露された答えに、思わず聞き返してしまう。

てっきり、ココネさんが最初に言った通り、半分もあれば足りると思っていたからだ。


「王都は何をするにしても、輸送費が加算されているからね…………武具の製作費用の半分以上は、燃料費だし。

通常 武器ひとつ製作するには、クエスト数回分の報酬が必要となる。生活費なんかに消える分を考慮すれば、10回分は必要だな。

万一を考えて貯蓄はしてあるけど、それでも剣と盾、ひとつずつが限界かな」


「そ、そうなんだ……」


あれ……? でも、私、一度に八つも武器を作ってもらったりしてるけど、そんなに高かった印象は無かったけどな。


ベースシリーズ、グリズリシリーズ、フォースシリーズ。


いずれも、その素材を手に入れたクエスト報酬内で収まっていたような…………


『それはそうだよ~。ベーシック・ドラゴンに限らず、ドラゴンの素材はレア品に分類されるから、高く売れし~。ついでに言えば、巨体だったから素材の絶対量も多くて、頭を一撃だったから、状態も良かったしね~』


『ロックグリズリーは、『綺麗に倒す』を目的としていただろう。それに、最後に討伐したロックグリズリーは、商人と学者が取り合った結果、どんどん値段が釣り上がっていったしな』


『軍馬もそうですね。最終的に私たちのものになったの、30頭分くらいありましたし。

それにテモテカールなら、王都よりも1/3 ~ 1/4くらい安くなりますし、チコリさんを専属化 及び 複合武器のテスター効果で割引もしてもらってますからね。

まぁ、代わりに改造の度に、追加費用取られてるんですけど』


『な、なるほど……』


そういえば、新しく武器を造るときは、大体 直前に面倒なクエストをこなしていて、割と大金が入ってきていた気がする。

納得してココネさんたちの方を見ると、どんよりと暗い雰囲気を漂わせていた。


…………それはそうか。要は『自分たちの取り分を倍以上にしてくれ』って話なんだから。

普通は無理だろう。…………普通なら。


『チラ』とオズを見てひとつ頷く。

オズもこちらを見て、コックリと頷いた。

まぁ、私の意見としては、『好きに決めちゃって』と言ったところだ。

《下克上》で持っていかれると思われる、キング・ゴブリンの魔石と素材かあれば、後は別に……といったところ。

それ以上に価値のある人たちと縁も出来たしね。


「結論から言ってしまえば、私たちはキング・ゴブリンの魔石と素材の一部さえ頂ければ、残りはそちらに差し上げても構いませんよ」


「んな…………っ!?」


ココネさんが驚きの余り、言葉を詰まらせた。

当然、残りの三人もだ。


まぁ、『今回のクエストはタダ働きでいい』と言ってるようなものだし、当然か。

本心だけど、これはさすがに非常識過ぎたかな? …………非常識なら、もう慣れたでしょ。イケる。


「さっ、さすがにそれ」


「とはいえ、さすがにそれだと、ココネさんたちも決まりが悪いでしょうから、対価と代替案を提示したいのですが、如何でしょうか?」


「がいいな、うん!!」


オズがココネさんの先を読んで、透かさず妥協案を提示する。


「まず対価ですが、素材の売却などに関する交渉は、私に主導させてください。もちろん、必要とする素材は取り分けた上で交渉しますので、ココネさんたちの武具用の素材まで売ったりはしませんよ」


「え? …………あ、あぁ……それは別に構わないけど…………素材の売却先なんて、懇意にしている商人でもいない限り、冒険者ギルド以外無いから、交渉も何も無いと思うよ?」


「まぁ、それならそれで。ただ、場合によっては、換金に時間が掛かりますので、その時はまた一緒にクエストでもして時間を潰しましょう」


「一体、どこに持って行くつもりなんだ? 非合法なのは、勘弁だよ」


「大丈夫です。合法も合法ですから」


訝しげな様子でこちらを見るココネさん。

いや、こっちを見られても、私にも分からないけどね?


「次に代替案ですが、今 貸してる武器に関しては、そのまま継続して貸してもいいですよ。盾の方は、さすがに貸せませんが」


「えっ!? い、いいのかい?」


「えぇ。大丈夫ですよね、お姉ちゃん」


「うん。貸したのは予備武器だしね」


ココネさんに貸してる盾は、鈍人形の胸部装甲に、適当に持ち手を付けた盾モドキだ。

彼らが気付いてるかどうかは分からないけど、おいそれと流出されたり調べられたりすると、ひっじょーにマズイ、天人産のオーバースペックマテリアルである。

本人たちに悪気が無くとも、メンテナンス目的で工房に持ち込まれたり、盗まれたりしたら大変困る。…………そんなヤベェもん借りてると知ったココネさんの心が。


「これなら、急いですべての武具を作成する必要がなくなるので、まとまったお金も不要となりますね」


「そうだね、それは助かる。毎月 賃料を払う形でいいか?」


「えぇ。お安くしておきますよ」


武具の貸し出しか…………冒険者ギルドのサービスにあっても良さそうな気がするけど、ココネさんの反応を見る限り無いのかな?


「と、私から出せるアイディアはこのくらいですね。

他には、ココネさんたちが以前使用していた武具が残っているなら、複合武具として再利用するって手もありますけど、それをするにはテモテカールまで来てもらう必要がありますし、結局 一時凌ぎでしかないのならお姉ちゃんの武器を貸すので十分ですからね。

複合武器をメインとしてしまうと、メンテナスの出来る工房も見付けないとなりませんし」


「そうだね。王都に複合武器を扱ってくれる工房が無い以上、僕らには今まで通り単一武器以外に選択肢はないからね。

でも、助かった。それなら、無理に取り分を増やして貰わなくても大丈夫そうだ」


「そうですか? でも、交渉権は欲しいんですけど」


「もちろん、それはお任せするよ。僕らには、ギルドで買い取って貰う以外、候補も浮かばないし。あ、武器の賃貸契約はどうするか…………さすがに、口約束だけで借りるのもな……」


「別に口約束だけでもいいけど」


「ダメですよ、お姉ちゃん。それなりに価値のある物なんですから、そういうところはしっかりしておかないと。『貸したお金と友情は返ってこない』とも言いますし」


『お金を貸すくらいなら、あげてしまえ』とか言うのも聞いたことがありますね。

貸すのはお金じゃなくて、武器ですが。


そんなことを言いながら、オズは[アイテムボックス]から、契約用筆記具と白紙の契約用紙を二枚取り出し、サラサラサラッと武器の賃貸契約書を作成していく。

ちなみに、契約用筆記具と契約用紙というのは、両者を組み合わせて使用することで、『それを書いた者のみ反応する文字』を書くことができるという魔道具だ。

なので、本文を互いに書き上げてから両方の書面に自署し、相手の作った契約書を所持することで、内容の改竄を防止でき、契約書として成立させることができる、という寸法だ。


『貸主は借主に、下記の道具を、下記の条件で貸し出す。


○貸出品 及び 賃料

・グリズリソード 二振り ○○○○○テト/月

・フォースソード 一振り ○○○○○テト/月


○貸出期間、支払日、支払方法

・貸出品の貸出期間は、無期限とする。

・賃料の支払日は、各月の最終日 23:59 までとする。

・賃料の支払方法は、貸主へ直接 または 冒険者ギルド経由とする。


○貸出中の維持費

・メンテナンス、修理などに係る費用は、借主が支払う。

・上記作業は、貸主に一時返却し、貸主が工房へ依頼する。


○違約金

・支払が遅れた場合は、賃料の10%を上乗せし、次回の支払日までに支払う。

・修理不可能な状態まで破損した場合は、各貸出品の作製費用から、それまでに支払った賃料を差し引いた額を支払う。

※ 作成費用

グリズリソード 一振り ○○○○○○テト

フォースソード 一振り ○○○○○○テト


○契約の解除

・二月連続して支払が遅延した場合 または 契約に違反した場合、貸主は催告なく本契約を解除し、借主に対し貸出品の返還を求めることができる。


○協議

・本契約に定めの無い事項 または 本契約内容に関して疑義が生じた事項については、両者協議の上 解決する。

・協議の調わない時は、国法に従うものとする。


○その他

・賃料の合計が作成費用を上回った場合、借主は貸出品を購入したとして、この契約を終了する。


貸主:________

借主:________』


「…………と、こんなところですかね。本当は、転貸禁止とかの条項もありますけど、まぁいいでしょう。では、内容に問題が無ければ、同様の内容をこちらに記載してください」


と、書き上がったばかりの賃貸契約書と白紙の契約用紙をココネさんに差し出した。


「あ、あぁ……」


「うわー…………良く分かんないけど、すごーい……」


「オ、オズリアちゃん、事も無げに書き上げますね……」


「ちなみに、ルーちゃんは…………出来ないわよね?」


「その通りなんだけど、なんかごめん」


「お姉ちゃんは、出来なくていいです。代わりに私がいますから」


……………………やだ。この子、イケメン……!! 知ってた!!

なんだろ。そんなこと言ってないのに、『貴女は好きに生きなさい。面倒事は、私が全て引き受けてあげる』みたいな、セリフが聞こえてきたよ!!


こっそり距離を詰めると、意図せず互いの指先がぶつかりあってしまう。

一瞬、ビクッと手を引っ込めてしまったものの、すぐにどちらからともなく指を絡めて、優しく繋ぎあった。


……………………にへへへへ……


ココネさんたちが、頭を突き合わせて内容確認と転記している陰でいちゃこらしていると、それに気付いたナツナツも飛び込んで来た。


デザートは…………うん、全部食べきってますね。知ってた。

オズと一緒に髪を梳かしたり、お腹をぷにぷにしたりして時間を潰す。


…………………………………………

早々にサリーさんが脱落していたが、大きな修正をすることなく、20分程で互いに自署して終わらせた。


「はい、確かに。お疲れ様でした」


「オズリアこそ、お疲れ様。改めて言うけど、助かったよ。ありがとう」


「良く分かんないけど、ありがとー」


「サっちゃん。少しは頭を使いなさい。『オズちゃんくらいに』とは言わないけど」


「あはははは…………でも、本当にオズリアちゃんは凄いです。なんだか、そういうプロの方と話しているような気になっちゃいました」


「あ、フォズさんもそう思った? 私もそう思った」


『でも、こういう理知的で頼りになる部分がある中で、時たま甘えてきたり弱い部分を見せてくれたりするのが、可愛いところなんだよ』と言いたいような、隠しておきたいような。


「ふわぁぁ~~…………ねぇ~~、そろそろ寝~な~い~……?」


と、そんな優越感にも似た感情に身悶えしていると、ナツナツが大口を開けて欠伸した。

いつも寝る時間に比べれば、まだ早い時間帯ではあるものの、まぁ、今日はハードだったからね。

ナツナツの欠伸を見たら、こっちも眠たくなってきたよ。


「そうだね。やることはやったし、そろそろ寝るか」


「だね~~……ふああああああ…………折角、超絶安全地帯で休めるんだから、しっかり休もー」


「野営なのに、見張りをしなくていいんですよね。安全なのは理屈で分かってるんですけど、ちょっとドキドキします」


「いつも通り、簡易警報装置と索敵魔道具は設置しておいたから、安心して。まぁ、これが反応するってことは、入口を塞いだ岩壁が破壊されてるだろうから、反応する前に気付いてるだろうけど」


ナツナツの希望にココネさんたちもすぐに同意してくれた。

私と同じで、自覚したら眠気が押し寄せてきたんだろう。


「はいこれ。しっかり歯磨きしてから寝ましょうね」


「は~い」×全員


ひとり一回分の液体ハミガキをココネさんたちに手渡し、そのまま寝ようとするナツナツを捕まえてしっかり歯磨きさせる。


「よーせーは虫歯にならないんだよ~?」


「だとしてもダメ」


「むぅ~」


子供か…………と思ったら、まだ0歳の子供だった。


「…………磨いてあげようか?」


「それは遠慮しておく~」


むぅ……


フラフラと歯ブラシを持って移動するナツナツを見送る。


つんつん。


「ん?」


袖を引かれた感覚がしてそちらを見ると、当然だけどオズがいた。

そして、ちょっと意地悪そうな顔をすると、


「歯、磨いてあげましょうか?」


「…………………………………………ぃや、大丈夫です、はぃ」


歯を磨かれている自分を想像したら、想像以上に恥ずかしかった。


「磨いてあげようか?」


「もう終わりましたよ」


「はやっ」


お返しとばかりにした反撃は封殺されていた。

こういう展開を予想して、準備を終わらせていたな。

気付けば、歯磨きが終わっていないのは、私だけ。


急いで私も終わらて、『おやすみ~』と誰からともなく言い出し、それぞれのテントに潜り込む…………あ


「そうだ。誰かひとりこっちで寝る? 三人でも十分に広いよ。私たちが小さいし」


「え?」×3


サリーさんたち 三人が一様に反応した。


「コ~コ~ちゃ~ん~?」


「待とうか、ナツナツ。反応していないのに、それは理不尽。じゃ、おやすみ」


「もうちょっと付き合ってよ~……とも思うけど、眠いからいいや。おやすみ~」


そして、いい加減慣れてきたココネさんが、ナツナツを適当にあしらってテントに引っ込んだ。

ナツナツも自分から絡んだ割には執着せず、さっさとテントに潜り込む。


そして…………


「じゃんけんね、じゃんけん!!」


「では、最初はグーで」


「いくわよ~。最初はグー。じゃんけん、ぽん」


「あいこでしょ!!」


「あいこでしょ」


「あいこでしょ」


「しょ!!」


「しょ」


「しょ」


…………………………………………驚きの20連あいこだった。


あと、結果から言うとマヤさんが来た。

サイズ的にちょうど良かった気がする。

どうでもいいけど、『白紙の紙』って二重表現なんですかね?


あ、あと当たり前だけど、契約書の内容は、ググって見付けたテンプレートを適当に書き換えただけの、適当文書ですからね。

おかしな表現、抜けてる内容があっても気にしちゃダメですよ。

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