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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
9章 進出!! 王都 冒険者ギルド
208/264

第198話 ココネ視点、あ……死ん

168 ~ 220話を連投中。


11/1(日) 10:20 ~ 23:20くらいまで。(前回実績:1話/15分で計算)

一応、事前に下記手順の一部を済ませていますが、途中で投稿を中断するかもしれません。


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

しばらく待っていると、ざわざわと気配を殺そうとして、殺しきれていない音が聞こえてくる。


そして……


「――――――――っ!!」


緑色の肌に子供のような大きさの体躯、細く長い手足の割に妙に膨らんだお腹、そこに地金が剥き出しの部分鎧のような防具と重そうな斧や剣を引っ提げた獣人たちが姿を現す。


よく見るゴブリンの姿だ。


ここに来てようやく予想通りの展開が訪れて、内心『ホッ』と安堵のタメ息を吐いた。


……………………よし。


サリーとルーシアに一瞥した後、いつも通りに先制を仕掛ける。

まずは、先頭のゴブリンへのシールドアタック。

同時に、盾にセットされた【アナライズ】の魔石を発動させた。


【アナライズ】は極々一般的な分析魔法で、対象の種族やステータス、スキルを分析、表示してくれる。

まぁ、スキルまで分かることは稀なんだけど。

盾の陰からゴブリンとの距離を計りながら一気に間を詰め、渾身のシールドアタックを叩き込んだ。


「ぎぎゃ!!!?」


ゴブリンの悲鳴と共に、予想以上に強い反力が返ってきた。

まぁ、向こうも警戒はしている。

もしかしたら、思った以上に早めに察知されてしまい、迎撃姿勢が間に合ってしまったのかもしれない。

元々の流れは、ゴブリンの体勢を崩したところに斬撃を加える予定だったけど、ここは一度敵の攻撃を誘い、弾くか受け流すかして次の動きに繋げるべきか。


左右の岩の位置から、狙い通りの場所に敵を足止めできていることを確認、後続に回り込まれる心配がないことに安心して敵の攻撃に備える。

不自然な静寂の中、数パターンの勝ち筋を脳内に描きながら、切っ掛けとなる一撃を待った。


…………………………………………なんだか…………随分と……敵の動きが遅いような…………?

……………………ん?


▽War


【アナライズ】の分析結果に見覚えのない文字列が、ゆっくりと表示されていく。


おかしいな。分析の成否に関わらず、結果はほぼ一瞬で表示されるはずなのに?


▽Warning!!


…………『注意』?


後から考えれば、これが表示された段階で何かしらの行動を取るべきなのは、火を見るよりも明らかだった。

なのに、ボケッと意味を考えていたのは、油断以外の何物でも無い。

ルーシアやオズリアに、偉そうに説教なんでしていられないな。


▽Warning!! Warning!! Warning!!


明確すぎる警告はきっちり三回表示された。

その段になってようやく、『そういえば、この魔石は分析対象と使用者のステータス差に応じて、警告を発するんだっけ』と、呑気に思い出す。

表示色は黄色で、内容は注意(Warning)。手も足も出ない程では無いが、全力でかからないと危険な相手である証拠。


▽Warning!! Warning!! Warning!!

▽種族:ハイ・ゴブリンウォリアー

▽レベル:35

▽HP:不明

▽MP:893

▽力:不明

▽体力:2,000台

▽魔力:658

▽敏捷:3,000台

▽運:不明

▽スキル:不明


ハイ・ゴブ…………?


ハイ・ゴブリンウォリアー。ゴブリンの進化系亜種。武器を使った近接戦闘に長ける。Cランク中位。


と、停止した思考が、機械的に情報を吐き出していると、


「下がれ!! ココネ!!」


緩やかな停滞の世界にあって、その一言は落雷のように僕の脳天から全身に突き立った。

それを合図として、世界は急速に目覚めていく。


目の前のゴブリ…………いや、ハイ・ゴブリンウォリアーは、力強い踏み込みに全身の捻りを加えた、高速の振り下ろしを放ち始めていた。

ぐんぐんと速度が乗る斧に連動して蘇る騒音。いつの間にか、音が消えていたことを知る。


僕の世界を目覚めさせた神託に従い、全力のバックステップを踏んだ。


「く…………っ!!!!」


咄嗟の回避だったことを考えれば、十分に合格点を得られる跳躍回避だったと思うけど…………無駄に浪費した時間は、その対価として過もなく不過もない結果として現れた。


すなわち…………致命の一撃となって。


未だ宙にある僕の体を、盾の上から地面に叩き付けるような一撃が襲う。

鎧と盾の間に挟まれた左腕から鈍い痛みが響き、そのまま盾に押し潰されるように地面に叩き落とされた。


「ぐっ……!! ……は!! ……ぁ……」


勢いのまま仰向けに倒れそうになる体を、右肘を突くことで防ぎ、前を見上げると…………いつの間にか、脇から現れていたもう一体が、大上段から真っ直ぐに斧を振り下ろしてくる所だった。


待…………!!!!


狙いが頭頂であることは、何故か分かった。

でも、両腕は間に合わない。倒れるもの悪手。

ならば、兜で受けるしかないが…………斧の一撃をまともに受けて、果たして耐えられるかどうか…………?


それでも、その分の悪過ぎる賭けに挑む以外に道は無い。

兜でいなす。そんなイメージで頭を傾ける……………………


――――ァァァァンン!!!!


光条一閃。


今まさに斧を振り下ろさんとしているハイ・ゴブリンウォリアーの頭を、拳大の光球が撃ち抜く。

フォズの【シャイン・ブレット】だ。

援護として発動待機していたものを放ってくれたのだろう。

ハイ・ゴブリンウォリアーは、万歳のような姿勢のまま、仰け反るように後方へ倒れていった。


九死に一生を得た…………とホッとするにはまだ早い。

絶体絶命の状況は、未だ継続している。


最初に斧を叩き付け、僕を地面に叩き伏せたハイ・ゴブリンウォリアーが、振り抜いた斧を返す刀で斬り上げようとしているのが分かったからだ。


でも…………こっちの方が早い!!


死んだハイ・ゴブリンウォリアーの攻撃をいなそうと、頭を後方へ引いていたのが、多少の好機となった。

『座ったままの姿勢』という、力の入らない状態ではあったものの、上半身を捻る動きにスムーズに繋がり、それは右腕を前へと突き出す動作となったからだ。


若干 引き気味となった突きは、それでもハイ・ゴブリンウォリアーの鎧の隙間に奇跡的に滑り込み、敵が前進する動きと合わせて、その刀身の半分以上をめり込ませることに成功した。


「げ、ぎゃ……ぎ……!!」


苦痛に顔を歪めるハイ・ゴブリンウォリアー。だが、即死ではない。

故に、こちらの頭部を狙った斬り返しの一撃を、がむしゃらな力を込めて振り抜いた!!


「!!!! がっ……ぁ!!」


右肩、そして、右側頭部と、順に衝撃が走る。


っっ助、かった……!! 肩当てに当たったお陰で、軌道が上に逸れた!!


もし、肩当てに当たらなかったら、頬から上をバッサリ持っていかれたかもしれない……

『ゾッ』と背筋を走る寒気を無視して、ハイ・ゴブリンウォリアーに刺さったままの片手剣を更に押し込み、心臓を貫いて背中へ貫通させる。


絶命したハイ・ゴブリンウォリアーが、白目を剥いてこちらへもたれ掛かる……………………と、その陰には、もう一体のハイ・ゴブリンウォリアーがいた。


「……………………あ?」


必殺の確信か、『ニタリ』と口を歪ませたのが見える。同時に、頭上に掲げた斧に力を込められるのが分かった。


それらを半ば呆然と見上げながら、本能は全力で生き残る方法を探した。

右腕。まだ敵に刺さったまま、引き抜けない。ムリ。

左腕。上半身を固定し、突きの威力を少しでも高めるため、後ろに回って体を支えている。ムリ。

兜でいなすか? だが、今度の攻撃は両腕持ちの一撃だ。いなし切るのは至難の業で、多少軌道が逸れても無視して兜を叩き割るだろう。ムリ。

転がって逃げるか? だが、死んだハイ・ゴブリンウォリアーが、呪いように纏わり付いていて、素早い転がりは出来そうにない。ムリ。


……………………は……はは。


正面に立つハイ・ゴブリンウォリアーが、薪割りを連想させる動きで斧を加速させる。

自分がいなくてサリーだけで敵の進行を抑えられるかとか、フォズとマヤ姉さんは動揺せずに魔法を使えるかとか、考えても詮無いことが脳裏を過り、自分でも理解できないが、引き攣った笑みを浮かべて硬直してしまっていた。


……………………ごめん。


理性は、聖人のような潔さで、未来を受け入れた。

本能は、体に最後の悪足掻きをさせている。


右腕は片手剣から手を離し、ハイ・ゴブリンウォリアーを押し退けようと力を込めているし、頭はダメ元で攻撃をいなそうと首を傾げて、その時を待っている。


ただ…………いやに冷静な意識は、全てが無意味なことを悟っていた。


気付けば、世界は再び微睡むように緩やかで静かになっている。

こういう、死の危機に直面した超感覚というのを、この数秒の間に二度も経験するとは思わなかった。

特に根拠は無いけど、一回だけのラストチャンスと思い込んでいたよ。

まぁ…………奇跡のセカンドチャンスも、残念ながら有効に使える実力が、僕には無かったけど。


斧が動き始める。

右腕はハイ・ゴブリンウォリアーを押すではなく、隙間を縫って外に出た。


斧が加速する。

右手の五指がゆっくり広がり、盾の代わりのように掲げられた。


斧が少し進む。

見覚えのある背中が視界の端から飛び込んできた。

・注釈(造語系):『過もなく不過もなく』について

この表現は日本語に存在しません。『過剰でもなく、不足でもなく、等価である』的な意味で使用している造語です。

つまり、誤字じゃないよー。

元ネタ (?) は、『可もなく不可もなく』で、意味は『良くもないが、悪くもなく、凡庸である』です。


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