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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
9章 進出!! 王都 冒険者ギルド
204/264

第194話 マヤ視点、なにこの子すごい

168 ~ 220話を連投中。


11/1(日) 10:20 ~ 23:20くらいまで。(前回実績:1話/15分で計算)

一応、事前に下記手順の一部を済ませていますが、途中で投稿を中断するかもしれません。


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

こんにちは。


私は、マヤ・フォンディーネ。

最近背伸びして頑張ってる姿が可愛いココちゃん、何かと問題を起こして手が掛かるのが可愛いサっちゃん、素直で可愛いくてちっちゃくて可愛いくてピュアで可愛いフォズちゃんの四人で冒険者をしているわ。

……………………それと四属性の術式補助スキルを持ってるくらいで意気がっててごめんなさいせめて八属性目指しますまずは生命属性次は風属性ですね頑張ります。


それにしても、四属性の術式補助スキル…………《○魔法の才》などの特殊スキルや《○魔法》などの汎用スキルのことだけど、これらを持ってるだけでも結構珍しいと思ってたんだけど、まさか全属性とはね。

しかも歳下で、スキルを持っているだけかと思いきや、今のところ見せてもらった範囲では、実践レベル以上に使いこなしていて、もう笑うしかないわ。

世界は広いわね、うん。


例えば、『お風呂魔法』とかふざけた いえ シンプルな名前で呼んでいた魔法は、『水を作り出して全身を濡らす』くらいなら誰でも出来るでしょう。

でも、水流を精密に制御して全身をくまなく洗ったり、濡れた服を火と風の複合魔法で乾かしたりっていうのは、なかなかに難しい。しかも、マッサージ効果付き。


他には収納魔法か。

袋などの媒体を使わず、空間を直接拡張する高等技術なんかは当然のように使っていて、生の食材をそのまま収納できる大容量に、多分 停止に近い時間停滞…………

こちらからは、高い魔力適正の片鱗が垣間見えるわ。


こう言った才能溢れる人物像というと、ぶっ飛んだ才能とバランスを取るような最悪な人間性を持ってたり、逆に『貴女は人間ですか?』と問いたくなるような聖人君子だったりするけど、そちらは比較的普通。

いや、社交性が高かったり、料理の腕が高かったり、錬金術も出来たりとか、そっちもそっちでぶっ飛んでるけどね。


え?『社交性と料理については分かるけど、錬金術って何?』って?


いえね、昼食が終わった後、こんなことがあったのよ。



― 回想開始 ―


「さて、食事も終わったし、そろそろ移動しよう」


「え~……もうちょっと休もうよ~。まだ、お腹苦しぃ……」


「よし、こいつ置いていくか」


「ちょっとぉ~~!!!!」


ココちゃんとサっちゃんが、いつものようにじゃれあいを始めるのを放置して、私はフォズちゃんたちに声を掛けた。


「さ、出発する前に歯を磨いてね」


「はい」


「了解。…………あ。そうだ、コレ使う?」


「「コレ?」」


そう言ってルーちゃんが取り出したのは、ガラス瓶に入った無色透明な液体だった。


……………………なんだろう?


「えっと…………ごめん、何それ」


「液体ハミガキかな」


「液体ハミガキ、ですか? 液状の歯磨き粉?」


ルーちゃんの一言説明に、でもフォズちゃんの疑問符は消えない。ついでに、私も消えない。

ルーちゃんもそれは承知の上なのか、実際に使って見せるため、液体ハミガキとやらをオズちゃんの持つコップに少量注ぐ。

そして、オズちゃんはそれを口に含むと、片手で隠しながらくちゅくちゅと十秒程 口を(ゆす)ぎ、ペッと草叢の陰へと吐き出した。


「「????」」


分からない。歯磨き粉だとしたら、歯ブラシで擦らないと意味がないように思えるんだけど。


「理論的には、これで歯磨き終了。歯ブラシで擦ってもいいけど、効能としては気持ちの問題だね」


「でも、濯ぐだけだと気持ちが悪いので、ちゃんとブラッシングもしましょう」


「うん、まぁ、私もするけどさ…………うん」


ルーちゃんの説明をバッサリ斬り捨てるオズちゃん。

この子たちのやり取りも、ココちゃんたちと同じで、見てて飽きないわね…………ではなく。


「えっと、つまり、『歯ブラシがいらない歯磨き粉』ってこと?」


「そうですね、理論上は」


「オズがいじめる……」


「あはははは…………でも、本当にそれだけで大丈夫なんですか? 例えば、食べ滓とか虫歯とか……」


フォズちゃんが尤もなことを聞く。

あの『液体ハミガキ』にどんな成分が入っているの不明だけど、口を濯ぐだけで歯ブラシと同等の効果があるとは思えないわよね、やっぱり。


しかし、反論はルーちゃんではなく、オズちゃんから返ってきた。


「その辺は大丈夫です。むしろ効果としては、普通のハミガキよりもこちらの方が、高いと思います」


「そうなんですか?」


「えぇ。元々これは、お姉ちゃんの祖父が創ったものでして」


…………ん? ルーちゃんの祖父なら、オズちゃんの祖父でもあるんじゃ? ……………………と、思ったけど、聞くのは止めとこう。

養子の件といい、なかなか複雑な家庭のようだし、サラリと地雷かもしれない。


不穏な単語は聞かなかったことにして、オズちゃんの説明を聞く。


「基本的には活動的というか、人にやらせるなら自分でやるタイプの人だったんですけど、何かに集中すると色んな物がなおざりになる人でもあったんです。

まぁ、それでも他人に迷惑が掛かることは最低限してましたけど、その意味は『やる分はやった。だから、口を挟むな』的な意図だったんでしょうね」


「あらら……」


なんというか…………『頑固爺』という単語がしっくりくるイメージね。

フォズちゃんが、おっかなびっくりルーちゃんに質問を投げ掛ける。


「えっと…………厳しい方、だったんですか?」


「ん? いや、そんな印象はないけど。その状態になるのも年一回くらいだったし、『自分がいなくても全く問題ない』状態に念入りにしてくれてたからね。例えば、私と何か約束してたら、予定を繰り上げて終わらせておくとか」


…………『頑固爺』はちょっと違うかも。几帳面? …………とも違うか。


「ただね~……やっぱり、こっちに影響が無くても気になるもんじゃない? ご飯とか睡眠とかお風呂とか」


「確かに…………実際のところ、どうしてたんですか?」


「ご飯は溜め込んでおいた保存食。限界に達したらぶっ倒れる。お風呂は大体週一。さすがに一言言いたくなるよね」


「「うわぁぁ……」」


なるほど。典型的な学者タイプだわ。たまにしかならないのが、唯一の救いね。


「そんな中 創られたのが、コレ」


「あぁ…………そういうことね」


ルーちゃんが振って見せる液体ハミガキに見ながら、なんとなく言いたいことを察した。


「ルーちゃんに口出された部分について、言われたことだけおざなりに対処した、と」


「『そういうことじゃねーよ』って言いたいてか言った」


「…………それで、どうなりました?」


「ちょー不思議そうな顔してた。『言われたことには対処したぞ?』だって」


「うわ、殴りたい」


「勝てないのは火を見るより明らかだったから諦めたよ」


苦労してるわね……


「保存食は栄養成分や形状を整えて、普通の食事より健康的に かつ 簡便に。でも、常識の範囲内で死ぬほどマズかった。

睡眠の質を向上させる薬を創って、短時間で必要十分な休息が取れるように。でも、睡眠が深過ぎるせいか、効果中は絶対に起きない。

お風呂は、お風呂魔法の術式を完成させた。これは、最初から結構マシだった」


「あ、あの魔法、それ由来なのね」


「基礎だけだけどね。私でも改良出来る余地が多かったし」


「あれは、気持ち良かったです~……」


それは同感…………ではなく、


「さらには、食後の歯磨きも簡略化した……ってことなのかしら」


「その通り…………と、言いたいところだけど、少し違う」


「あ、あら……?」


これで会話が一段落すると思いながら告げたまとめは、しかし、ルーちゃんに否定される。

ルーちゃんは、手に持った液体ハミガキを、私たちに見えるように掲げる。


「この液体は、元々入浴を簡略化する目的で創られたアイテムなの。食事と歯磨きは、ワンセットで考えてたし、私もおじいちゃんも」


「お姉ちゃん、それが普通だと思います」


「でも、お風呂の代わりか……もしかして、コレを頭から被るの?」


「それだと、部屋が水浸しになっちゃうんじゃないですか? そのためにお風呂場に移動するなら、普通に入浴するのと、そんなに手間が変わらないような気も……」


瓶を持って頭から水を被るフリをすると、フォズちゃんも同じような動きをして首を捻る。


「最初はね、これをタオルか何かに染み込ませて、拭うようにして使うつもりだったみたいだね。でもほら、その方法じゃあ頭とか、髪の根元まで届かないじゃん?

で、創った後にそれに気が付いて、『失敗した。だが、何かに使えるかもしれんし、お前にやろう』って言ってくれたの」


「それで何を思ったのか、お姉ちゃんはそれを歯磨き代わりに使ってみたってことですね」


「…………その経緯を聞くと、使いたくなくなるわね……石鹸水で口を洗ってるような気がして」


「そ、そうですね……」


「言われてみれば確かに…………あの時は、気付かなかったけど」


私が石鹸水を口に入れてしまった時を思い出して、渋そうな顔をして言うと、フォズちゃんも似たような表情をして口元を抑えて同意した。

ルーちゃんは、私たちに言われて始めて気が付いたのか、ちょっと不思議そうな顔をする。

そして、気を取り直すように一度頷くと、


「まぁ、大丈夫 大丈夫。ちゃんと口に入れても問題無いようにした。というか、してもらった。

元々は使用者の皮脂類、つまり『死んだ細胞』を問答無用で溶解する液体で、タオルは元より、皮革製品なんかまで、綺麗さっぱり消し去ってたけど、今は食べ滓や歯垢、虫歯菌とかだけ溶かすようになってるから」


「「「「そんなものを口に入れたの!?!?」」」」


いつの間にか近くで話を聞いていたココちゃんたちと一緒にツッコんでしまっていたわ…………

・注釈(語意系):『なおざり』と『おざなり』について

どちらも『いい加減』的な意味ですが、ちょっと違うみたいです。使う時はご注意。


なおざり:いい加減だから、何もしない。

おざなり:いい加減だけど、一応やる。



・注釈(雑学系):液体ハミガキについて

リアルの話ですけど、液体のオーラルケア商品には、洗口液と液体歯磨きがあり、以下のような違いがあるそうです。


洗口液:通常の歯磨き後に使用。口に含み濯ぐだけ。歯磨きではない。

液体歯磨き:通常の歯磨きの代わりに使用。歯ブラシで擦る必要がある。歯磨きである。


両者の大きな違いは、最後の一節の『歯磨きか否か』です。

要するに、洗口液は『歯磨き+αで使う物』、液体歯磨きは『歯磨き粉の代わりに使う物』ということですね。

液体歯磨きは元々、歯磨き粉に含まれる研磨剤で歯が傷付くのを防ぐ目的で開発されたものらしいです。

…………とはいえ、液体歯磨きは、歯を傷付けない代わりに茶渋などは取れにくいらしいので、たまには歯磨き粉によるブラッシングは必要みたいですけど。


というわけで、液体オーラルケア商品を使っていて気になる人は、確認するといいかもしれません。容器にどっちなのか書いてあるはずなので。


ちなみに、アルコールが混ざってるタイプは、警察の飲酒検知に引っ掛かる可能性もあるらしい……まぁ、うがいして20分も経てば無くなるみたいですけど。



なお、ルーシアナたちが使った液体ハミガキは、どちらかと言うと洗口液ですね。

錬金術で創った不思議アイテムなので、リアルと違って通常の歯磨きもいらないくらい綺麗にしてくれます。私が気持ち悪いので、作中ではブラッシングさせてますが。

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