第192話 フォズ視点、自己嫌悪で下向きスパイラル
168 ~ 220話を連投中。
11/1(日) 10:20 ~ 23:20くらいまで。(前回実績:1話/6.5分で計算)
一応、事前に下記手順の一部を済ませていますが、途中で投稿を中断するかもしれません。
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申し訳ありません。
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「はぁ……」
…………あ、タメ息なんかから始めてしまって、すみません。
わたしは、フォズ・アスラエル。
頼りになるお兄ちゃんとマヤお姉ちゃん、それにいつも元気で楽しくしてくれるサリーちゃんの四人で冒険者をやってます。
「…………はぁ」
う…………また、タメ息が…………
他の人に聞こえてなければ良いんですけど。
こっそりと周囲にいる人の様子を窺いますが、わたしのタメ息は、雑踏のざわめきに掻き消されて誰にも届かなかったみたいです。良かった……
わたしがなんでいきなり、こんなに陰鬱な様子なのかと言えば、『つい先程知り合った女の子二人に、情けないところを見せてしまったから』というのが大きいです。
女の子二人…………まるでイメージの中にいるお姫様が飛び出してきたかのような美しさの姉妹、ルーシアちゃんとオズリアちゃんのことです。
一見すると白銀のドレスのような装束を身に纏い、ガラス細工のような潔癖さを漂わせたその姿に、最初は緊張したものの、その所作や口調はとても親しみのあるものでした。
そのことにとてもホッとして…………わたしの初対面の印象が、けして誉められたものでは無かったことに気が付きました。
まず、待ち合わせの時間に大遅刻。次に、謝罪もそこそこに気を失って倒れ。さらに、介抱してもらいました。
そして、汗だくの体を綺麗にしてもらい。ついでにその時、『息を止められない』という子供のような理由で面倒を掛けてしまいました。
うぅ…………王都に来て、初めて友達になれそうな子たちだったから、最初はしっかりしたかったのに…………サリーちゃんのばか…………
当のサリーちゃんは、最初こそふたりを警戒していたみたいでしたけど、打ち合わせ中にすっかり気に入ったみたいで、目に見えて上機嫌です。
じと~~~~~~~~…………
八つ当たり気味に睨んでみるものの、気付くことはありません。当たり前ですね。
『はぁ……』
今度は特に気を付けて、心の中でタメ息を吐きます。
そんなわたしの心情を察したのか、陽光がそのまま生き物になったかのような美しい小鳥が舞い降りると、肩に止まって頬擦りを始めました。
春のぽかぽか陽気を思わせる暖かな温もりに、どんよりとした感情に沈むわたしの心に一筋の輝きが射し込んだ気がします。
自然と笑みが浮かびました。
『ありがと、レミィちゃん』
『―――――――― (ノ´Д`)ノ』
『うん。そうだよね。まだまだ会ったばかりだもん、これからだよね』
『―――――――― (ノ≧▽≦)ノ』
『ふふふ……』
レミィちゃんは、肩から飛び立つと励ますようにくるくると回ります。その軌跡にはキラキラとした煌めきが残り、いつもの王都の風景もきらびやかに彩られました。
…………あ、ご紹介します。
この子は、わたしの友達で、光の小精霊のレミィちゃんです。
今日は小鳥の格好をしているけど、『生物ではなく、現象に近い存在』らしく、その時々の気分で姿を変えます。
変わらないのは、『陽光を集めたような姿』ということくらいですね。
わたしがこの子と初めて会ったのが何時なのか、実は覚えてません。
『物心付く前から』というのが正しいのかな? 気が付いたら一緒にいました。
小精霊は通常 意思を持ちませんが《精霊の加護》を持つ人を好み、《精霊の加護》を持つ人を精霊魔術師と呼びます。
普通の魔道士は、『目的の術式を構築』し、『その術式に魔力を流す』という二段階で魔法を発動させます。
それに対して精霊魔術師は、四段階で魔法を発動させなければなりません。
具体的には まず、『精霊を呼び出す術式を構築』し、『その術式に魔力を流す』ことで、自分に力を貸してくれる小精霊を呼び出します。
次に、『小精霊にお願い』し、『対価として要求される分の魔力を捧げる』と、ようやく魔法が発動します。
結果から見える違いとしては、精霊魔術師は、魔法の発動が遅く 結果が一定になりにくいものの、お願いの仕方によっては強力で特異な現象を顕すことができます。
このように、通常の精霊魔術師は、小精霊を呼び出してお願いするのですが、小精霊は妖精以上に気紛れ (と、本に書いてありました) なため、頼まれたことを『自分が』満足する分だけこなすと、すぐに何処かへ還ってしまいます。
これが『結果が一定になりにくい』に繋がる訳ですね。
ところが稀に、人間が幼い頃から一緒にいることで成長し、独自の意思を持つ稀有な小精霊も存在します。
そうした稀有な小精霊を使役出来る精霊魔術師は、『小精霊を呼び出す』という工程が省略出来るため発動が早く、また密に意思疎通出来るため望んだ形に近い結果を顕すことができ、通常の精霊魔術師と区別して『精霊師』とも呼ばれます。
わたしは、これに当たるわけですね。わたし自身の実力はまだまだで、レミィちゃんのオマケのような者で、精霊師などと名乗るのはおこがましいですが。
精霊魔術師についてもう少し詳しく説明しておくと、四大属性を統べる大精霊と共存している四大国、火の国『カーラディア・ファイン』、水の国『アルセニア・シーズ』、風の国『シルフォニア・ウィンド』、地の国『グラビニア・ディエネ』では、比較的メジャーな存在です。
やはり、大精霊の影響下では、《精霊の加護》を持つ人が産まれやすいということでしょうか?
ただ、その中でも精霊師は極一部で、精霊師の卵であれば10人に1人くらいの割合でいるそうですが、最終的には1,000人に1人くらいになってしまうとのことです。
その理由は、人間側が成長するに従って、小精霊が離れていく事例が多いからだそうで…………レミィちゃん、曰く『純粋さが足りない』とのことですが、レミィちゃんもそのうち何処かへ行ってしまうのでしょうか…………
…………………………………………
いえ、悪い未来を想像して嘆いていても意味がありません。
そうならないように頑張って努力して、それでもダメで別れの時が来たら、その時は精一杯の感謝を伝えてレミィちゃんの幸いを願いましょう。
話を戻します。
このように四大属性の精霊師は、四大国へ行けばそれなりに存在します。
でも、ここは四大国ではなく『ミドリス・アドミート』。精霊師は殆どいません。
加えて、レミィちゃんは根元属性である光の小精霊…………四大国でも珍しいです。
それはつまり、オマケのわたしも珍しいということに…………
それで何か危険な目に合うとも思えませんが、お兄ちゃんたち曰く『面倒な人に絡まれるかもしれないし、所有スキルなんかは基本 隠すのが一般的だし、念のため黙ってよう』とのことで、レミィちゃんのことは王都の冒険者ギルドでも一部の人しか知りません。
具体的に言うと、ナタリィさんですね。その上司の人も知ってるでしょうけど。
まぁ、確かにレミィちゃんはキラキラ綺麗だし、一緒に寝るとお日様の薫りがしてスヤスヤだし、みんなに知られたらきっと大騒ぎになっちゃいますよね。
ただ、それはつまり、レミィちゃんをこちらの都合で不自由にしていることでもあります。
それに、せっかく意思を持てたのなら、色んな人たちとも仲良くなって欲しいとも思います。
なので、レミィちゃんのことを明かしても良いと思えるくらい仲の良い友達を作りたいと、そう、思ってるんですけど…………
『はぁ……』
わたしのばか…………
思考がループして再び気持ちが沈んだわたしに、慌てた様子のレミィちゃんが頭を乗って、羽で撫でてくれます。
うぅぅ…………レミィちゃん優しい…………
あ、ちなみに、小精霊に限らず精霊は、自分が望む相手以外の知覚から逃れることが可能です。
原理はよく分かりません…………
……………………と、
「フォズさん?」
「うふぇい!?」
最後尾で思考ループに嵌まっていたら、軽く肩を叩かれ声を掛けられました。
びっくりして顔を上げると、声を掛けてきたのはルーシアちゃんのようです。
「な、何、でしょう?」
「いや、えっと……」
「フォズ? どうかしたかい?」
困った様子のルーシアちゃんの後ろから、お兄ちゃんが顔を覗かせました。
その向こうでは、屋台で食べ物を購入しているサリーちゃんとマヤお姉ちゃん。
「す、すみません。ぼーっとしてました」
「そっか。気を付けてな。えっと、僕ら朝食も食べずに出てきたろ? だから、出発する前に歩きながら食べられる物でも買おうという話になってね。フォズはどうする?」
「あ、言われてみれば確かに…………」
最低限の身嗜みだけ整えて、出てきたんでした。
さらに言えば、いきなりの全力疾走で良い具合にお腹も減っています。
あ、そうだ。
「ル、ルーシアちゃんたちもどうですか? 遅刻したお詫びに、何かご馳走しますよ」
「あ、いや、私たちは……」
「フォズ。それ、実はもう聞いたんだ。僕たちを待ってる間に食べてたんだって」
「そ、そうでしたか……」
「すみません」
うぅ……さっきから、全部 裏目裏目になってる気がする…………
ルーシアちゃんと別れて屋台の方へ。
わたしが から回っていることは、付き合いの長いお兄ちゃんにも伝わっているようで、途中で『ぽんぽん』と頭を軽く叩いて励ましてくれました。
「来た来た。フォズちゃんはどれにする~? マヤ姉には、『元気出せ!!』って意味を込めて、『三種肉尽くし』を選んどいたー」
「ちょ、サっちゃん? 私 それ聞いてな」
「フォズちゃんも行っとく!?」
「やめておきます……」
サリーちゃん…………朝からそれはハードですから…………胃もたれしますから…………
マヤお姉ちゃんも『カ、カロリーが……』って頭抱えて……………………いや、カロリーの心配をしているだけで、胃もたれの心配はしてなさそうです。
強い…………
サリーちゃんに場所を変わってもらって、わたしもメニューを選びます…………が、正直 王都の料理は、その……あまり美味しくないので、食指が動きません。
…………結局、いつものものを選んでしまいましたが、王都の料理は基本的に食べるのに覚悟というか、精神力がいるんですよね。
ちなみにこの感想は、王都外から来る人に共通する感想だそうです…………
王都に出てくる前、故郷の人たちに『王都で暮らす最初の関門は、食事だ』と、冗談混じりに言われましたが、割と本当のことでした。
…………あ、ルーシアちゃんたちも、もしかしたら、コレに辟易していたのかも。
だとすると、また失敗したなぁ……『気が利かない』とか思われたり? うぅ~…………
購入した料理はとりあえず手に持ったまま、早足で王都外門に向かいます。
いえ、歩きながら食べるの、苦手なんです……それに、どうせ門を抜けるのに、そこそこの時間が掛かるでしょうから、その時に食べることにしましょう。
なお、作者は私生活で一切 絵文字・顔文字を使用しないので、レミィの顔文字が話の流れ的におかしくてもスルーしてください。
直感で選んでますんで。




