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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
9章 進出!! 王都 冒険者ギルド
195/264

第185話 ゴーレム娘、ゴブリンの巣へ出発する

168 ~ 220話を連投中。


11/1(日) 10:20 ~ 23:20くらいまで。(前回実績:1話/6.5分で計算)

一応、事前に下記手順の一部を済ませていますが、途中で投稿を中断するかもしれません。


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

「よし、行くぞ~」


「ごーごー♪」


「お、お~……」


「……………………」


愉快なココネ一行と共に、ゴブリンの巣に向けて移動を開始する。

なお、一人復帰出来ていないようだが、例の兄妹は気にしない様子なので、私も気にしないことにする。

フォズさんだけが暗雲を背負うマヤさんを気にしてオロオロしているけど、当の本人の足取りは纏う雰囲気にそぐわずしっかりしているので、まぁ大丈夫だろう。


目的の場所は、王都から街道を使って時計回りに回り込むようなルートで行く。

今日は、街道を使える最終地点まで行きたいとのこと。

真っ直ぐに巣に向かわないのは、道に迷わないようにするのと、舗装された道を使った方が体力の消耗が少ないためだ。

目印の無い草原や森の中では、真っ直ぐ進んでいるつもりでも 進みやすい方に歪んでしまうものだし、当然足場も悪いので疲れやすい。

星の位置などから自分たちの座標を知ることは、冒険者の必須技能ではあるが、面倒なことに代わりないので、多少 大回りになってしまっても、街道を最大限利用するのは当たり前の選択と言える。


……………………まぁ、私たちの場合は、光照射情報収集システムを利用して、リアルタイムで位置座標を獲得できるし、ケンタウルス型は未舗装の道の方が疲れにくいので、真っ直ぐ行ってしまうのだが。


予定より約一時間遅れでの出発となったが、元々余裕を見ての早朝集合だったので、周囲には私たちと同様に王都から出た人たちが多い。

ちょうど、出門のピークに当たってしまったようだ。

特に示し合わせた訳でもないが、それぞれの速度が一致する者同士が集まっている。

この人たちがいるうちは、魔獣もそうそう姿を現さないだろう。


「マ、マヤお姉ちゃん、元気出してください」


「うぅ…………フォズちゃ~ん。おねーちゃんのアイデンティティーがぁぁ……」


なので、マヤさんを慰めたフォズさんが、マヤさんの巨大に飲み込まれたとしても問題はないだろう。


「…………すっげ」


「おぉ…………」


「抱き付かれた子、消えたぞ……」


周りの男性陣から、感嘆なんだか良く分からない言葉が聞こえる。

でも、さすがに『フォズさんが消えた』は言い過ぎである。頭が見えなくなっただけだ。


…………………………………………


「お姉ちゃん?」


ちょっと確かめたくなって、隣で歩くオズに、マヤさんを真似して抱き着いてみた。

当然、オズが周りから見えなくなることはない。


「ねぇ、見て」


「双子かしら? かわい~♡」


「仲良しね~♪」


周りの女性陣から、ほんわかした言葉が聞こえてきた。

……………………これが、ある一部の脂肪の差であるちくせう。


人知れず無用のダメージを受けているうちに、フォズさんに抱き着いてマヤさんのモチベーションが回復する。

フォズさんの頭が復活した。


「ふぅ……満足満足♡」


「そ、それは良かったですぅ~……」


ちょっと酸欠気味じゃないか……

今度は、マヤさんがフォズさんを労るように手を貸し、こちらに向かって手招きした。


「ほらほら。二人もこっちに来て? せっかくだから、お話ししながら行きましょ?」


「はいよ~」


私もオズを抱き着くのを止めて手を握り、マヤさんの隣に並ぶ。


「何か聞きたいことでも?」


「いえ、そういうことじゃなくて、『雑談しましょ?』ってこと。あ、それとも、二人は黙って移動派?」


「そういうわけじゃ無いね。…………意識したつもりは無いけど、今思い出せば、何かしら喋りっぱなしだったような……?」


「同じ内容の話題を繰り返していたこともありますけど、大体誰かが何か喋ってますね」


「そうなんですね。わたしたちと同じです。良かった~」


オズの言葉を聞いて、フォズさんが安心したようにホッと息を吐いた。

マヤさんが仰々しく頷く。


「やっぱりね、『体力温存のために移動中は黙ってる』って意見もあるけど、互いを知ることで信頼感も生まれるし、協力だってしやすくなると思うのよ」


「まぁ、それは確かに」


「でも、『わざわざ危険な街外でそんなことしなくても』っていうのが、黙って移動派の意見なのでは?」


「オズリアちゃん、当たりです。もちろん、周りに人がいなくなってきたら、わたしたちも警戒を強めますから黙りますけど」


まぁ、それはそうか。

私たちが雑談に花を咲かせていられるのも、(ひとえ)にナビが索敵を全て引き受けてくれているからだ。


…………………………………………


『ナビ、ありがとう。これからもよろしくね』


『任せろ』


当たり前のように返される言葉に、『仲間のサポートに支えられていることを忘れてはいけないな』と改めて心に刻んでおく。


「お? なになに? お嬢さん方。お話するなら、あたしも交ぜておくんなせぇ」


「なんだ、その言葉使いは?」


「その前ギルドで見掛けた人の真似~♪」


マヤさんたちと話していたら、先行していたサリーさんとココネさんも速度を落として近付いてきた。


「あら、ココちゃんもとは珍しいわね」


「まぁ、最初くらいはね」


「ココネも普段から交ざってくればいいのに」


「そういえば、お兄ちゃん いつも話が始まると離れて行っちゃいますよね」


「(男が交ざりにくい話題になるからだよ…………)」


…………なんとなく、少数派の苦悩を感じた。


「それで、何の話をしているんだい?」


「いえ、特にこれと言って目的があるわけじゃ無いですよ」


「そうそう。雑談雑談」


「よっし、じゃあココネの直して欲しいところを挙げていこう!!」


「おいこら」


「ご飯は好き嫌いせずに食べて下さい」


「おねーちゃんのスキンシップを嫌がらないで下さい」


「小言が多い」


「男の敵」


「リア充は爆発しましょう」


「答えるのかよ…………って、キミらも乗るのか!!」


「せっかくなので」


言おうか言うまいか温めていたことを言ってみました。


「というか、『男の敵』ってなんだ? 特に敵対視されてる自覚は無いんだけど……」


「男:1、女:3のパーティ編成は、外から見るとハーレムにしか見えないかと。みんな美人で可愛くておっきいし」


「うち一人は妹だよ!?」


「知ってる」


「知ってます」


「オズリアまで!?」


不思議ですよね。同じ4人でも、2:2なら普通に見えるのに、1:3だとおかしく見えるんだもん。


「はーれむ?」


「フォズちゃんは、ちょーっと耳を塞いでようね~」


「いやいやいや、フォズちゃんより歳下なルーシーが話題に出してるんだから、耳塞ぐ必要もなくなくない?」


「この子にはいつまでも純真でいて欲しいの…………!!」


「そんな無茶な……」


「サっちゃんと違って!!」


「予期せぬ飛び火!?」


あっちはあっちで、盛り上がってる模様。


「実際のところ、どんな関係なの? いや、ココネさんとサリーさんが兄妹なのは知ってるけど」


「フォズさんとマヤさんとの関係が不明なままですね。…………あ、別に秘密ならそれでも構わないですけど」


「…………それ、秘密だと言ったら、あることないこと想像で補完するってことじゃないよな?」


「当たり前じゃない」


「です」


「それどっちの意味!?」


言葉ではなく、視線を逸らすことで答えると、『はぁ……』とこれ見よがしにタメ息を吐いて話し始めた。


「僕たち四人は、まぁ、よくある関係だよ」


「つまりハーレ」


「よくない関係だろ、ソレは…………え、よくあるのか? キミらの周りでは」


「ごめん、冗談」


「…………しまったな。ここは流れを掴めるタイミングだった」


「ココネはそういうとこ、うっかりしちゃうよね」


「そういうところも可愛いところよ♡」


話題が変わったことを察した三人が寄ってきた。


「なになに? あたしたちの関係が気になるの~?」


「それはそれはもう、ココちゃんを中心とした大人の」


「悪ノリ止めて。フォズの耳を塞いでるのはさすがだけど」


「????」


「まぁ、ココネさんがリーダーにして、弄られキャラなのは分かった」


「です」


「その評価は不満だけど否定出来ない……」


私の結論にココネさんは諦めたような表情で、フォズさんを引き寄せる。


「で、話を戻すけど、僕とサリー、マヤ姉さんは、同じ学校に通ってた仲間だよ。そこに、途中からマヤ姉さんが面倒を見てたフォズが加わって、『いつものメンバー』みたいになったんだ」


「なるほど。その『いつものメンバー』で、そのまま冒険者になった感じ?」


「あれ? でも、フォズさんだけランクが違いますよね?」


「いや、ほら。フォズだけ歳がちょっと離れているだろ? 僕らは学校に通いながら冒険者をやり始めたんだけど、当然フォズは参加出来なくて」


「別に疎遠になった訳じゃないんだけどね~」


「私たちはフォズちゃんが一緒に冒険者したいと思ってるのは知ってたから、ランク差や経験が埋まるまで待つつもりだったんだけど、サっちゃんが卒業 及び Dランクになったタイミングで『他の街で冒険者してみたい!!』って言い出して」


「で、お兄ちゃんたちは、わたしに黙って出ていっちゃったんですよ? 酷いと思いませんか? 思いますよね? わたし、しばらく泣きっぱなしだったんですよ?」


「「「ごめんなさい」」」


このパーティについて分かったこと。

フォズさんが影の支配者(ドン)


「それは酷いね」


「私もお姉ちゃんにそんなことされたら泣いちゃいますね。…………今の内に発信機でも忍ばせておきましょうか (ぼそっ)」


『オズさん!?』


『う~ん…………オズがちょっとヤンデレ気味に……ルーシアナの髪の毛集めたりとかしないでよね~?』


『そんなことはしませんよ。…………全身お姉ちゃんと同じですから』


『それならあんし……じゃないな!?』


『ダウト!! ダウトだよ、オズ~!!!!』


「ん? 何か言った?」


「いえ、『サリーさんったら、酷いなぁ』って」


何か、ナツナツたちも含めて騒いでた気がしたけど……

よく分からないが、念のためオズに肩を寄せてくっつき、頭を撫でておく。

機嫌が良くなったので、多分OK。


ココネさんたちの方は、当時を思い出して膨れっ面になったフォズさんを宥めるのに四苦八苦している。


「いやもう、ホントにごめん、フォズちゃん」


「ちゃんと好き嫌いせずご飯食べるから、ホント許して。それにサリーがさぁ……」


「ちょ、こっちに振る!? ココネだって『四人で行って成功するとも限らないし、手応えをみる意味でもちょっと行ってみるか』って乗り気だったじゃん!!」


「そりゃ、三日三晩 延々と睡眠を邪魔され続ければ、妥協を考えるだろうよ」


「へぇ……それは初耳ですね……」


「ごめんなさいフォズさま!! あたしがわがままを言いました!!!!」


…………うん。面白そうだから、もうしばらくほっとこう。

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