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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
9章 進出!! 王都 冒険者ギルド
192/264

第182話 ゴーレム娘、休憩中

168 ~ 220話を連投中。


11/1(日) 10:20 ~ 23:20くらいまで。(前回実績:1話/6.5分で計算)

一応、事前に下記手順の一部を済ませていますが、途中で投稿を中断するかもしれません。


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

トントントントントン……


三人でオズをからかいまくって謝り倒した後、私たちは昔おじいちゃんが利用していたという、居住区画の一室で寛いでいた。

内装は一部を除いて珍しいものはなく、しかし、こんな地下空間にあるとは思えない程、広々とした部屋だった。

いや、『部屋』というより、『家』かな。

寝室だけでなく、キッチンや浴室など、一般的な家屋に必要な機能は全て詰まっているのだから。


オズ曰く『よんえるでぃーけー』とのこと。よく分からん。

私は詳しく無いが、低所得者向けの集合住宅というのがテモテカールにもあるらしいけど、それと似たような造りらしい。オズと義姉さんによれば。


「ふぅ。極楽 極楽~♪」


「食前酒ってのがあるのは知ってるけど、そんなにガッツリ飲むのは違うと思うな……」


「自分で出しておいて、説得力が無いぞ」


だって、しつこかったんだもん。


『今日の探索は終了』と決めたので、サクッと入浴を済ませ、みんな ラフな格好になっている。

そして、夕食の準備はオズとナツナツに、寝室の準備は義姉さんに、洗濯は私とナビに担当を分けて行動。

とはいえ、夕食組以外はすぐに終わってしまったので、キッチンに併設された広間でのんびりだらけている。

そして、義姉さんにせがまれてお酒を出してあげたらこうなった、と。

あ、そういえば、監視用デバイスは、ヒトコを再稼働した段階で役目を終えて戻っていったらしい。今はもういない。


「そんな固いこと言わないの~♪ 度数も低いし、ジュースみたいなものじゃない」


「まぁ、いいけどね。私も真ジュース飲んでるし」


「真ジュースとは……」


アルコールの入っていないジュースのことです。


「おつまみも欲しいなぁ~♡」


「「却下」」


「ぶぅ~~!!」


本格的に飲み始めそうな義姉さんには、断固とした態度を取ります。

お義母さんからも『欲しがるだけあげちゃダメよ~♪』と言われていますからね。そんなことを言われる義姉さんに問題がありそうだけど。


とはいえ、義姉さんも冒険者。

大半の荷物は、私たちの[アイテムボックス]に入っているとはいえ、必要最低限の食糧は自分で持っている。

その中から、お酒のおつまみに合いそうなものを見繕って取り出すと、ちびちび食べ出した。


「うん、美味し♡」


「…………まぁ、夕食が食べられなくならなければ、別にいいか」


「酒だけだと体にも良くないしな」


酒飲みの習性に呆れつつ、ゴロンと床に身を投げ出し仰向けになった。


「不思議な部屋だよね。靴を脱いで上がるとか」


「この辺は基本的に、屋内でも靴を履きっぱなしだからな」


「でも、この習慣も地域差よ? 私が昔 旅したところは、ここみたいに完全に靴を脱ぐ地域もあったし、屋内用の靴に履き替える地域もあったわ。まぁ、玄関に入ってすぐに段差があったら、持ち主に確認した方がいいわね」


「なるほど。…………ナビ、お願い」


「諦めるのが早いな」


いや、だって、絶対忘れるもん……


「ふむ。慣れないか?」


「ん? いやぁ~…………こういう家って、初めての筈なんだけど、すっごい馴染む……」


「なんで?」


「『さぁ?』としか……」


また前々世の記憶だろうか……?


「私はこの感覚、久し振りで新鮮ね。ホントは家でもこうしたいけど、訪問客に毎回説明するのも面倒だから、難しいのよね」


「確かに」


『屋内で靴を脱ぐ可能性』が頭に無いと、段差があるだけじゃ気付かないよね。

頭にあっても忘れる自信があるもん。


「ところで、ルーシアナは靴を脱ぐのが『馴染む』って言ってたけど、『どっちか選べます』って言われたらどっちがいい?」


「え? う~~ん……」


また一口お酒を飲んだ義姉さんが、暇潰しがてらに聞いてくる。

暇潰しなのだから適当に答えてもいいのは分かっているが、他に話すこともないのでしっかり考えてみた。

…………約15年間生きてきた習慣は、確実に靴を脱がない方を推しているのだが、謎の親近感が『私を見て!!』とアピールに余念がない。

そのバランスは丁度半々くらいで、答えを出すのにもう一押し欲しい…………


「ふんふふんふ~ん♪」


「るんるるんる~ん♪」


割とどうでもいいことに悩んでいると、頭上からオズとナツナツの鼻歌が聞こえてきた。

寝転がった私の真上がキッチンなのだ。

そのまま、上を仰ぎ見るように二人を見る。


ナツナツは目の覚めるような深紅のワンピース。オズは心を落ち着かせるような深緑色のワンピース。

オズの肩にナツナツが座れば、きっと生命力溢れるバラ園を彷彿とさせる…………には、ちょっと赤が足りないか。

まぁ、それは置いておくとして、天地のひっくり返った視界の中では、オズの鼻歌に合わせて深緑色の裾が揺れ、白い靴下の先から覗く健康的なふくらはぎの肌色がチラチラと見えていた。


…………………………………………


「靴を脱ぐのもいいよね」


「おいこら何を見てそう判断した」


「さすがのおねーちゃんもドン引き案件」


いや、義姉さんは絶対こちら側だと思うんだけど。

首が痛くなるので『よっこらせ』っと身を起こし、義姉さんのつまみをひとつ強奪。

予想通りに減っていたので、補充しておく。


「ナイっス~♪」


「おいおい……」


「まぁ、ナッツくらいならいいかなって」


ぽりぽりぽりぽり……


「ジュースに合わないな……」


「私の飲む?」


「お酒はノーセンキュー」


「お子様だもんね~」


未成年なのは事実でしかないので、なんとも思いません。


この国に限らず、飲酒するのに年齢制限は基本的に無い。大量に飲むなら別だけど。

そういう意味では、『お酒を飲まない = 子供』という図式は成り立たないはずなのだが、子供の味覚的にお酒は『苦い、辛い』感覚しかないので、『お酒を飲めない = お子ちゃま』というイメージは一般的に存在しており、そして、私はお子ちゃまである。


なお、オズとナビも同様。でも、ナツナツはイケる。(何故だ)


「でも、残念ね」


「? なにが?」


義姉さんがちびちびと飲みながら溢した言葉が良く分からず、反射的に聞いていた。

義姉さんはそのまま話を続ける。


「いや、オズが天人の遺跡使って、色々育ててるじゃない?」


「うん。家庭農園って呼んでる」


「知ってる。で、当然、加工もしてるじゃない? 調味料とか、たまに持ってくるし」


「うん」


「…………醸造も加工じゃん?」


「酒を作れと? アル中め」


「さすがにそれはどうかと思うぞ……」


呑兵衛の意見に、私とナビで冷やかな視線を送ってやった。ヒヤヒヤ~。


「あぁ!! そんな目で見られたらおねーちゃんドキドキしちゃう!!」


「…………ルーシアナ ドン引き案件」


「それだと、お前のドン引き案件のように聞こえるぞ……」


わざとらしく頬に手を添えて、くねくねし出した義姉さんに本気の冷凍視線を送る。カキピキコキン。


「冗談だって~。それに『お酒作れないかなぁ』って思った一番の理由は、『オズが作る料理にピッタリなお酒があるといいのに』って思ったのが理由なのよ」


「どういうこと?」


「いや、大したことじゃ無いんだけど、やっぱり料理って飲み物も含めて料理なわけじゃない? オズやルーシアナが作る初見の料理って、なんか独特な味だからイマイチ市販のお酒と合わないような気がするのよね~」


「初見の料理というと……」


「アレだろう。ガア・ティークルの自動調理装置からダウンロードしたレシピの。要するに、かつての文明の料理だな」


「…………あれ、そんなレア料理だったのね…………おねーちゃん、ビックリだわ」


「予想出来そうなものだと思うのだが…………」


まぁ、それも『屋内で靴を脱ぐ or 脱がない』と同じで、その可能性を考慮していないと、なかなか閃かないものなのだろう。多分。


「ま、まぁ、そんな大昔の料理と今のお酒じゃ、合わないなくて当然じゃない? とはいえ、醸造所に料理を持っていって『これに合うお酒を作ってください!!』なんて出来ないしさ」


「それで『オズがお酒を作れたらいいのに』って話に繋がるわけね……」


「そうそう、そんな感じ」


言いたいことが伝わったと思ったのか、満足そうに頷く。


「まぁ、出来なくは無いというか、多分 出来るだろう。望むものが出来るかどうかを別にすれば。この前、『そろそろお酢に挑戦です』とか言っていたし」


「え? なんで、お酢?」


「酢の原料が酒だからだ」


「へぇ~。そういえば、『古いお酒がお酢になった』とか聞いたことあるかも……」


「それは大抵の場合、勘違いだと思うぞ。

酢の醸造には、空気と酢酸菌が必要だ。空気はその辺にたくさんあるから十分だし、酢酸菌も普通にその辺にいるから混入する可能性は十分にある。だが、それ以外の雑菌も多いから、普通は酢になる前に腐敗すると思うぞ」


「まぁ、それは確かに」


と、義姉さんが適当な相槌を打ったところで、キッチンのオズたちの作業が佳境に入った。鼻歌が歌声に変化する。


「たけのこ兄弟 五人の子~♪ 長男はもうそう元気なの~♪」(オズ)


「たけのこ兄弟 五人の子~♪ 次男は焚き火に飛び込み」(ナツナツ)


「「ぱ~~ん♪」」(オズ&ナツナツ)


「…………………… (ふるふるふる)」← ジュースが鼻に入って悶絶中のルーシアナ


「…………………… (ふるふるふる)」← お酒が鼻に入って悶絶中のセレス


「……………………」← 何を言っても追い討ちになるため黙ってるナビ


「…………………………………………」(オズ)


「…………………………………………」(ナツナツ)


「よく考えると、卑猥な歌詞ですよね、私が歌った部分」(オズ)


「妄想して元気だもんね~」(ナツナツ)


「……………………?」← よく分からないルーシアナ


「(ぷるぷるぷるぷる)」← よく分かってるセレス


「……………………」← 諦めて素数を数え始めたナビ


「…………………………………………」(オズ)


「…………………………………………」(ナツナツ)


「「ぱ~~ん♪」」(オズ&ナツナツ)


「「ぶっふぉぉおお!!!?」」← 追い討ちされたルーシアナ&セレス


「……………………」← 円周率の計算も始めたナビ


色々と吹き出したので、もう一度お風呂に入る羽目になった。

オ:ところで、ナツナツが歌った部分も、なんで淡竹(はちく)を焚き火にくべると破裂するんですか? たけのこですよ?

ナ:さぁ……わたしに言われても~? 『破竹の勢い』の『はちく』と間違えたとか~?

オ:いやいやいや…………いくらなんでもそんなことは

(ぎく)

オ:あるかもしれない駄作者は、一回死んで小学校からやり直しますか?

(ん? 何を言っているのだ、キミは。せっかく人生終わったのに、わざわざリトライする訳ないだろう (真顔))

ナ:あ、コレ面倒なヤツだ~……

オ:聞かなかったことにしておきましょう。てぃ。

(げはぁ!?)


駄作者は夢の世界へ旅立ちました。


※ 別に作者に何があったわけでもなく、平常状態ですのでお気になさらず。

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