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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
9章 進出!! 王都 冒険者ギルド
190/264

第180話 通称は『ヒトコ』、俗称は『タケノコ』

168 ~ 220話を連投中。


11/1(日) 10:20 ~ 23:20くらいまで。(前回実績:1話/6.5分で計算)

一応、事前に下記手順の一部を済ませていますが、途中で投稿を中断するかもしれません。


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

「…………………………………………」


「…………………………………………」


「…………………………………………」


「…………………………………………もうタメ息も出ないわ……」


「お義姉さま、それどういう意味ですか?」


「…………難しいことを聞くのね」


「分からんのか~い」


「まぁ、悪い意味ではないでしょ、多分」


適当にそれっぽいこと言っただけなのではないかと思われる。わざわざ言わないけど。


よく分からない表現をされたオズが、悪い意味なのかと無駄に落ち込む前に素早くフォローして、もう一度眼下の広大に意識を戻す。


私たちがいるところは、先程いた場所から一階層下った、要するに地下一階。

休止モード中はエレベーターが動かないそうなので、併設された非常用階段を使って降りてきた。

『多重対向式高速昇降機』の名に相応しく、中央のスペースを何台ものエレベーターが同時に移動するように作られているため、非常用階段の設置されたスペースはなかなかに狭い空間だった。

閉所恐怖症の人には耐えられない狭さかも。


ちなみに、『多重対向式』とは、ひとつの入口に対し、複数のカゴが迎えに来ることに由来している。

どういうことかというと、ひとつの昇降路内をひとつのカゴが上下する通常のエレベーターと違い、上昇専用の上昇路と下降専用の下降路の二種類を使って、人を乗せたカゴは進行方向によってどちらかの昇降路に水平移動してから上下動するようになっているのだ。

そのため、例えば八階から一階に移動したい利用者が集中していた場合、Aのカゴが八階で人を乗せて下降路を通って一階に降り、同時にBのカゴが上昇路を通って八階に昇ってくる、ということが可能になる。当然、Bが一階に降る時には、Aは八階に昇ってくる。

この循環を通常のエレベーターのつもりで外部から見ると、まるでひとつの昇降路内でふたつのカゴが『すれ違っている』ように見えるので『対向式』と呼ぶ。

さらに、AとBだけなら二重だが、実際には余裕さえあればCもDもEもこの循環に加わることが可能なので『多重』が付く、という寸法である。


メリットは、単位面積当たりのカゴ数を増やすことで、利用者の待ち時間の短縮に繋がること。

実際、ヒトコでは、水平投影面積的には10台しか設置できないスペースに、20台近いカゴが設置されているとかなんとか……


まぁ、それはさておき。

そんな理由で、上昇路と下降路の僅かな隙間を突くように設置された狭い非常用階段を、苦労して10mも降って来たわけだが…………その苦労も、階段から出た瞬間に飛び込んでくる風景に、一瞬で昇華されてしまった。

形状としては多重円構造、というのは、これまでの空間転移施設とほぼ同じ。同心円状に貸店舗と思われる部屋列が並んでいる。

違いは、中央にあるのが空間転移ホールではなくエレベーターの集積であること、最外縁のさらに向こうへ続く通路が見えること。

そして……


「…………高所恐怖症じゃないけど、腰が抜けそう……」


全二十五階層分に及ぶ、莫大な吹き抜け空間が存在すること、だ。


ガア・ティークルが『第一部屋列 → 通路 → 第二部屋列 → 通路 → 第三部屋列』といった感じに、部屋列と部屋列の間を通路としていた (というか、それが普通) のと異なり、ヒトコは通路の大部分が吹き抜けに置き換わっているのだ。

で、この吹き抜けは、地下二十五階まで何者にも遮られることなく、一直線にぶち抜かれている。

部屋列の高さは一階層の半分程度しかないので、隙間がたくさんあるのではなく、広大な吹き抜けの中に部屋や通路が浮いているように見える。


どちらかというと、レイミーの構造の延長線上にあるのかもしれない。

レイミーの二階も通路の大部分が吹き抜けの構造だし、それが三階、四階、五階……と続き、二十五階まで延長したと考えれば、納得の構造……なわけあるかい。

『お空が見えて、スッキリ爽快視界良好♡』なんて言えるのは数階までで、二十五階も続いたら不安でしかないわ。空は見えんけど!!

しかも、レイミーが同形状の部屋を積み重ねている、つまり、部屋列自体が一種の壁となっているのに対し、ヒトコは上下の部屋が直接 接していない。部屋の四隅から伸びた (相対的に) 細い細い柱で、上の部屋を支えているのだ。

しかも、それが二十五階層分も…………ぽっきり折れそう。


私の感覚ではなんとも頼りなく感じるが、いくつか見える支柱と各階層を表す床が、それぞれの荷重を分散させて負担しているとかで、強度とかは大丈夫らしい。


「これが『半都市型空間転移ジャンクション』……」


「です。空間転移施設をベースに、生産系を除くあらゆる機能を集積させた試験都市です。大雑把に区分けすると、中心に円筒型の商業区画、外縁部から先に居住区画、下層に空間転移区画と施設全体の中枢システム区画、最下層に物資運搬用のための物流区画、に分かれています」


「確かに『都市型』ね……『半』が付いているのは、生産系が入ってないから?」


「それだけでも無いですが、まぁ、そんなところです」


なるほど…………


「ちなみに、ヒトコは土の中に大部分が埋没し、天辺がちょっとだけ頭を覗かせている構造のため、通称の俗称で『タケノコ』とか呼ばれてましたね名称は統一しろと何度言えば分かるんですか土に埋めて水遣りでもしてやりましょうか」


「Wait Wait. 落ち着こうか、オズ。今日の夕御飯は、タケノコご飯にしよう。思う存分噛み砕きなさい」


「ふふふ……ヒトコで育てるのは果樹系にしようと思ってましたけど、タケノコに変更です。まずはポピュラーな孟宗竹(もうそうちく)淡竹(はちく)真竹(まだけ)を植えて、その内 四方竹(しほうちく)緑竹(りょくちく)麻竹(まちく)も育ててやりますよ。根曲竹(ねまがりたけ)もいいですね、あれ実は竹じゃなくて笹ですけど!!」


「実はタケノコ好きなのかな!?」


唐突にヒートアップするオズを宥める。いや、タケノコって意外に種類多いな!?


「タケノコご飯…………じゅるり」


「…………ナツナツちゃん。お夕飯に心を馳せているところ悪いんだけど、オズさんはどうなされたのですか、アレ」


「何故に敬語…………いや、オズがガア・ティークルの管理AIだった頃、『レイミー』とか『ヒトコ』とかの通称を勝手に変えられて、すんごい迷惑だったらしいの。今回は多分、同等に扱われる呼称がふたつあったせいで、何か迷惑なことがあったんじゃないかなぁ~……」


「なるほど。気を付けましょう」


「何にだ」


一先ず、オズに言いたいことを言わせてあげて落ち着かせた後、ゆっくりと通路の端まで移動して、手摺り越しに階下を覗き込む。


「たっっっっか」


「いいね~、広いね~、飛び回りやすそうだね~♪」


「いやいやいや……広過ぎるだろう。なんだ、この無駄な空間は」


「同感です」


「ひぇぇ~~~~…………」


各々、感想はまちまちである。

隣で『なるほど。理由の分からない恐怖が湧いてきますね』と、冷静に自分の感情を分析しているオズに聞いてみる。


「…………色々聞きたいことが多過ぎるけど、当時の人たちは怖くなかったの? これ」


というか、自分が落ちる恐怖もあるけど、何かが落ちてくる恐怖もあると思うのだが。


「恐怖があったかどうかは私には分かりかねますが、通常モードで稼働中は、一定以上の速度で落下した場合、自動で重力制御が掛かるようになっています。

また、先程 話に出ました低高度飛翔デバイスなどを使って、この吹き抜けを利用した階層間移動もしていたようですので、さほど恐怖は感じていなかったのではないかと」


「それなりに安全対策はしてたってことか……」


「…………………………………………」


「お義姉さま? どうしましたか?」


「義姉さん?」


私とオズの間で下を覗き込んでいた義姉さんが、手摺りを握ったまま、不意にペタンと座り込む。

それに合わせて、監視用デバイスが高度を下げた。


「……………………昔の人は大丈夫かもしれないけど、私は馴れそうに無いわ…………なんか、お腹がもにょる……」


「……………………漏洩してないよね?」


「してないわよ……」


「漏洩…………」


戦闘中にあれだけぴょんぴょんしているくせに、高いところはあまり得意ではないらしい。

…………逆か。『どの程度の高さまでなら、怪我せずに着地出来るか』という感覚が染み付いてるから、それが恐怖をより増長させているのかもしれない。


「うぅ……」


「まぁ、空間転移ホールは地下二十五階からですし、出口も地下三十階からなので、今だけの辛抱です」


「とりあえず、中枢システム区画に移動しようか。いつものパターンだと、地下三十階よりさらに下?」


「いえ、地下二十七階です」


「了解」


腰の引けた義姉さんに手を伸ばすと、しがみつくようにくっついてきたので、好きにさせる。

非常用階段まで戻る途中で、ナツナツとナビが言いづらそうに告げた。


「いや、『了解』はいいんだけど~……」


「分かっているか? 概算で270mだぞ」


「…………分かりたくはないけど、分かってるよ」


「外が見えなければ頑張れるわ、私」


「というか、真っ先に脱落するの、私ですよね、多分……」


「…………休みながら行こうね、うん」


義姉さんがヘタってなければ、飛行ユニットで降りられたことは秘密です。



― 階段降下中 ―


「ふぅ。ちょっと休憩しよう」


「そうね」


「えっと…………すみません……」


体感で三分の一程降りたところで、休憩を取ることにした。

なお、オズは早々にダウンしたため、今は義姉さんの背中に乗っている。

非常用階段は、陽光のような乳白色の壁で囲まれているため、外は見えない。また、適度に折れ曲がっているため、義姉さんが怖がることもなかった。


これまでの空間転移施設と同様に、埃ひとつ無い状態だったので、全員 直接 床に腰を落とす。


「飲み物を用意しますね」


「あ、私がやるよ」


「いえ、これくらいなら私でも出来ますから、やらせてください」


「そう? ならお願い」


「はい」


「わたしも手伝う~♪」


端に寄って飲み物の準備を始めるオズとナツナツに甘えて、『ばたっ』と横になる。


服越しに届く床の冷気が、火照った体に染み渡る…………


「あぁ~~~~…………ひんやり気持ちぃ~~…………」


「行儀が悪いわよ、ルーシアナ。……って思ったけど、綺麗だし、まぁいっか」


苦笑と共に義姉さんの注意が飛んでくるが、すぐに前言は撤回された。

だって、こんなにピカピカなんだもの。


「それにしても、ここ、照明もないのに、なんでこんなに明るいのかしら? 不思議……」


義姉さんも私と同じように仰向けになって、天井を見上げながらそう呟いた。

その視線の先には監視用デバイスが浮いているが、見ているのはその先、凹凸も明暗も一切ない平らな天井と壁だ。

そこには照明も窓もないのに、非常用階段は明るかった。


これまでの施設でもそうだったのだが、休止モード中は大部分の設備が機能を停止している。

それは照明も同様で、必要な場合は近くの端末から手動操作で点灯させなければならないのだ。

前二施設を訪れた際は、特に不思議には思わなかった。

なぜなら、訪れた時間帯が真っ昼間だったことと、採光が良過ぎる構造だったことが幸いして、自然光がガンガン入ってきていたからだ。


ただ、今回のヒトコに関しては、全く異なる。

そもそも地下空間なのだ。壁が透明だったとしても、外光は入ってこない。

『なら、天井か?』と思うかもしれないが、私たちが地上階に入ったとき、床は別に透明ではなかった。

というか、さすがに床が透明で地下が見えていれば、『ヒトコが二階建ての施設だ』などという勘違いはしない。

で、実際 地下から上を見上げてみても、緩い弧を描いた白い天井があるだけで、空が見えることもなかった。

にも関わらず、先程 覗いた商業区画は元より、壁に囲まれた非常用階段の中ですら、淡い光に包まれているのである。


「壁が光ってる……というより、光が透過してるって感じだけど、この壁の向こうに光源なんて無いわよね?」


「無いっていうか、ここと同じ状態だよね。光源は分からないけど、全体的に淡く光ってる感じ」


「そうそう」


義姉さんが天井に向かって片手を上げるのを真似して、私も上げてみる。

天井と顔の間で五指を広げて光を遮るが、視覚に届く光量に減衰は感じられない。

そのまま、右左へと適当に腕をゆらゆらさせるが、どこへ向けても結果は同じ。

どこかに光源があるなら、腕の位置によって光量に差が出ると思うのだが…………変わらないってことは、光源が無いのかな? でも、そんなことってある?


「お茶が入りましたよ~……って、何してるんですか?」


「あ、ありがとう」


オズがトレーに乗せたティーセットを持って、私と義姉さんの間に座る。

お礼を言って身を起こすと、一足先に焼き栗を頬張っているナツナツが真っ先に目に入った。


「お茶請けは焼き栗?」


「えぇ。ナツナツが『食べたい』、と」


「美味い!! もう一個!!」


「14個目だな……」


「渋いわね……」


義姉さんも起き上がってオズにお礼を言うと、無造作に焼き栗の山の中へ雑に手を突っ込んだ。


「あっっっっつい!!!!」


「ちょ、お義姉さま大丈夫ですか!?」


「…………何故そんな無造作に手を突っ込んだし」


「ねぇ~?」


「冷めていると思ったのか?」


左手を鉤爪状にして耐える義姉さんはオズに任せて、表面の栗を2 ~ 3個取って割ると、微かな蒸気と共にホクホクの栗の実が姿を現す。

自然に口を開けたナツナツに、小さめの焼き栗を放り込むと、私もひとつ口に入れる。


うん、美味しい。


オズの淹れてくれたお茶の渋味で、栗の甘さが引き立って、なお良しである。


「あ、アンタたち、少しは心配してくれてもいいんじゃないの!?」


「オズが手当てしてくれたじゃん」


「それはそれで嬉しいけどね!? お姉ちゃん欲張りなのよ!!」


「そんなこと力説するなよ……」


「オズになでなでされてテンション上がってるんじゃないの~?」


治癒魔法の効果範囲は通常 掌にするから、必然的にそうなるけどね。

テンション上がった義姉さんと、そのまま手を握られて困った様子の二人の口に、焼き栗を放り込んで落ち着かせる。


「ほは……………………おいし」


「でふね。レイミーで収穫出来るのが楽しみです」


「あ、栗の樹も育ててるのね……」


呆れた口調でそう零すと、義姉さんもオズを抱き寄せて、今度は慎重に焼き栗を手に取った。

ちょっと、掌の上で転がしてみたり。


「…………OK。熱くない」


「出来立てを保存したものですけど、表に出ている分はすぐに冷めてしまいますからね」


「逆に言えば、中心部は熱いままでね」


「いや、出来立てを取り出したのは分かってたんだけど、普通のアイテム袋から取り出した感覚で手を伸ばしちゃっただけだから」


「なるほろ~?」


「アイテム袋は、袋の内部空間を拡張するだけだからな。保温したいなら、何かしらの対策が必要だな」


「そうそれ。でも、普通はわざわざ保温に余計な力は割かないからね」


会話を続けながら器用に片手で栗を割り、義姉さんもオズに食べさせてから自分の口に放り込んだ。


「うん。美味しい」


「それは良かったです。それで、お姉ちゃんたちは寝転がりながら、何をしてたんですか?」


無駄な抵抗はせずに、義姉さんの膝の中に収まりながら、オズが聞いた。


「いや、大したことじゃないけど、なんで地下なのに明るいのかなぁって話してただけ」


「照明が点いてる訳じゃないし、壁が光ってるのも違うみたいだし、どちらかというと、光が透過してるみたいに感じるけど、壁は不透明だし、そもそも壁の向こうに光源なんて無かったし…………って話してたの」


「なるほど」


言葉を区切ったオズは、栗を割って義姉さんの口に放り込んでから話を続ける。


「結構 答えですよ、それ」


「え? そうなの?」


「どの辺が?」


「まず、この白い壁に見える建材ですが、実はコレ、透明なんです」


「「「「んん??」」」」


オズが不思議なことを言い出した。

壁に目を向けるが、淡い白の壁は向こう側を見通せない。『この壁は、透明か? 不透明か?』と聞かれたら、10人中10人が『不透明』と答えるだろう。


答えが出ないので、新しく割った栗をナツナツに食べさせながら、オズに続きを促す。


「現在の文明の建築物は、異なる種類の建材を組み合わせてひとつの建物を作り上げていますが、かつての文明には別の工法もあります。

この白い壁は、先程 商業区画から見えた内壁、さらにその奥にある外壁などと、分子レベルで融合した一体化構造物です。それらは地上部分にまで繋がっていて、そこでは当然 太陽光を直接浴びることができています。

そこに当たった陽光の一部は建材の内部に浸透、最小限のエネルギーロスで乱反射しながら、ヒトコの内部で放出されるようになってるんです。

壁や天井が白く見えるのは、そのせいですね。物質としては透明ですが、乱反射した光が放出されているので、白く見えるというわけです。

だから、お義姉さまたちの予想通り、『壁は光っているのではなく、透過しているだけ』というのは正解です。

ただその光源は、壁の向こうにあるのではなく、屋外の自然光ですけどね。なので、夜になるとここは真っ暗になりますよ」


「……………………この光が外の光だってことだけは分かった」


「同じく」


「お姉ちゃんは基礎物理学をやり直しですね。今夜は寝かせませんよ」


「教わった範囲内だったーーーー!?」


快眠できないだけで、疲れは大体取れるから困る!!


『(ナビナビ~。そんなの勉強してたっけ~?)』


『(吸光による補色と光の反射・屈折の応用だな。まぁ、やったと言えばやったが、別々の時期に行ったから、ルーシアナの中で関連付けられていないのだろう)』


『(なるほど~)』


『(でも やり直しです)』


『『(聞かれてた!?)』』


ガックリとorzってる私を尻目に会話は続く。


「そ、それにしても、地上に二階分の集光部分があるとはいえ、その集めた光で照らすのは十倍以上の地下階層だろう? さすがに光量が足りない気がするのだが……」


「集光部は、上部である地上二階分だけではなくて、側方にも伸びています。それらは、サノス山の山肌から飛び出していて、そこからも集光していますよ。異相空間内にあるので、登山中に見つけることはできませんでしたけど。

また、効率は悪いですが、建材の熱量を吸収して、光エネルギーに変換する機能がありますので、多少増幅されているようです」


「へぇ~」


「なるほどな」


「うん、なるほど。よく分からん」


「同じく」


「まぁ、見えない所でせっせと光を集めて、ダメ元で増幅して、内部を照らしてくれてるんですよ、お義姉さま」


orzっていても誰も反応してくれないので、そそくさと居住まいを正し、ちょっと気になってたことを聞く。


「それにしても、ヒトコが山の中に埋まってるなら、そう言ってくれれば良かったのに」


「あ、そうだね~」


「だな。どう説明しようか悩んでいたようだが、それほど難しかったか?」


「確かに確かに。な~に? イジワルのつもりかしら? くすぐっちゃうわよ?」


「……………………はぁ」


みんなでからかうように抗議すると、『やっぱりか……』とでも言いたげなタメ息を漏らし……


「言いましたよ」


「「「「え?」」」」


「言いました。確かに後になって考えると、分かりづらい表現を使ってしまいましたが、一応言いましたよ」


……………………言っただろうか?


一応、他の三人 (ナビ含む) の様子を窺うが、全員覚えが無い様子。


「……………………えっと、ごめん、オズ。覚えがないんだけど……」


「いえ、良いんです。先程言った通り、表現仕方が悪かったですし、大したことでも無いですし」


「え~と、オズ? オズちゃん? お姉ちゃん、教えて欲しいなぁ~」


「わ、わたしも~」


「うむ」


なんとな~く、不貞腐れている雰囲気を漂わせるオズに、四人で機嫌を取るようにすり寄る。


「……………………ヒトコはサノス山の『山中』にあるって言いましたよね。『山頂』ではなく、『山中』だと」


「言ってたけど、それ、大体同じ意味……………………」


オズの言いたいことを察して、思わず義姉さんと顔を見合わせた。


「「「「ここ山中だああああぁぁぁぁぁ!!!!」」」」


「です」


確かにヒトコは、『山頂』ではなく、『山中』にありましたとさ。

まさか、『山中』の意味がリアルに『中』だなんて思わないじゃん…………

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