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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
9章 進出!! 王都 冒険者ギルド
187/264

第177話 ゴーレム娘、王都の生活環境にげんなり

168 ~ 220話を連投中。


11/1(日) 10:20 ~ 23:20くらいまで。(前回実績:1話/6.5分で計算)

一応、事前に下記手順の一部を済ませていますが、途中で投稿を中断するかもしれません。


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

「え~と、504……504…………ここね」


「王都は背の高い建物が多いよね。基本三階建てで、ここなんか五階建てだし」


「人口密度の高い場所は、どうしてもこうなりますね。簡単に外壁の拡張なんて出来ない以上、上か下に伸ばすしかありませんし」


『人口増加による消費量の増加と、宅地確保による農地の減少のせいで、食料は農村頼り、と。よくあるパターンだな』


『食料を地産出来てないのは、結構怖いよね~……まぁ、わたしはそれよりも、料理が不味いのが不満なんだけど!!』


「「確かに」」


「ん? 何が?」


ナツナツたちの念話にいつも通りに頷きを返すと、ふたりの念話が聞こえていなかった義姉さんが、不思議そうな顔でこちらを見た。


「あ、ごめん ごめん。ちょっと二人と会話してて。まぁ、料理が不味いのが嫌だよね~って」


「あぁ、なるほどね」


「やっぱり、お義姉さま用に意思疎通手段が欲しいですね……」


「…………そうね。会話のテンポが悪いのが、意外に苦痛だわ。特に、自分が邪魔してる感がなんとも……」


とはいえ、妙案は浮かばない。

浮かばないが、そのまま廊下で考えていても意味はないので、部屋に入るように促す。


…………ガチャ。


「わー……せまーい」


大変に申し訳ないが、私の第一声はそれだった。


広さでいえば、私たちのテントの半分くらい。

そこに二段ベッドがふたつ押し込められており、これらが部屋の狭さを際立たせている。

家具は他に小さな机のみ。その向こうには、部屋の明かりに照らされた、対面の建物の壁が見えている。


「四人部屋でコレ?」


「コレです」


「一人用とか考えたくないね~」


「まぁ、王都の、しかも短期用の宿だから。基本、寝るところさえあればいい人向けなのよ」


それにしたって、ねぇ?

私的には、初めての宿だし、少し位 夢を見ていてもいいじゃない。


先程 義姉さんから教わったのだが、宿泊施設には大雑把に言うと、1 ~ 3日程度の短期滞在者用と、ひと月以上の長期滞在者用の二種類があるらしい。

前者は、施設数が多く、一日単位で宿泊日数を決められるが、一日当たりの宿泊料金が高く、部屋も狭い。

後者は、一日当たりの宿泊料金が安く、部屋も広めで付属設備もあるが、施設数が少なく、ひと月単位であることが多い。

中期滞在者? 懐と相談してね。一応、週単位で泊めてくれる所もあるよ。


で、ここは平均的なランクの短期滞在者用の四人部屋である。

お風呂等は共有。食事料金は別。お値段そこそこ高い。


もうちょっとくらい…………ねぇ?


「物価というのは、供給と需要のバランスで変動します。『宿泊施設』という供給に対して、『宿泊者』という需要が過剰だと、同じ施設に対する宿泊料金は高くなる傾向にありますね。ちなみに、これが逆になると、供給側は施設の質と料金が極端に高くなるか、極端に低くなるかに二極化することになります。利用する身としては、『供給がちょっと過剰』くらいが一番お得かと」


「そりゃそうなんだけどさ……」


「代わりと言ってはなんだけど、クエスト報酬も高くなるし、人口に比例してクエスト数も多いわよ」


「そのせいで、また人が集まって、物価が上がるんでしょ?」


「ですね。まぁ、限度はありますけど」


まぁ、いつまでも愚痴っていても仕方無い。

イスは無いので、ベッドに腰を下ろす。


「……………………硬いね」


あれ? 私、我が儘なのかな? フリじゃなくて、ホントにお嬢様感覚になってる?


不安になって義姉さんたちの顔を見ると、全員やっぱり渋そうな表情をしていて安心する。

体調が悪かった時は、このくらいの硬さが心地よく感じたけど、やっぱり長時間休む時はもう少し柔らかい方がいい。


「今思えば、私が冒険者辞めた理由のひとつよね、コレ。田舎とか言われてる場所の方が、生活環境はいいのよね…………辺境とか開発村は、また別にキツいんだけど」


「そう考えると、ルーカスさんたちもライ村からテモテカールに出てきた当初は、同じ様に感じたのかもしれませんね」


「言われてみれば、実家だとノビノビとしてるように見えたかも」


「元気にしてるかなぁ~。別れる前に【グッドラック】は掛けてあげたけど~」


……………………それは効果がありそうだな。昼間のアレから考えるに。


「あの子らか…………まぁ、ルーカスとは同い年なんだけど。まさか、歳下組だけじゃなくて、あっちもくっつくとは思わなかったわね~、しみじみ」


「…………………………………………」


「あら? オズちゃん? 誰が行き遅れだって? んん?」


「バレた!? あ、ちょ、やめ……ちょっとしか思ってませんから!! ごめんなさい!!」


「ぎ~るてぃ~♪」


あぶねぇ…………たまたま義姉さんが隣に座ってなかったから助かった…………


『にや~~り』と意地悪な表情をした義姉さんがオズに抱き付き、じゃれあい始める。

義姉さんは囮捜査中、ずっと私たちを見守ってくれていたからね。義姉さんもオズリナミンが不足しているのだろう。うんうん。


そんな姉妹のスキンシップに巻き込まれないように、ナツナツがふらふらっと飛んできて私の膝上に乗ると、そのまま膝立ちになって私の服を掴む。


「ねぇ~、ルーシアナ~……」


「どうしたの?」


「…………なんか小腹が空いたぁ~……」


「……………………なんやかんやで、結構食べてなかった?」


「イマイチ物足りなくてさぁ~」


「その発想は太るよ?」


「妖精だから太んないも~ん」


そうでしたね。


実際にナツナツを両手で持ち、全身をぷにぷにしてやっても、体型が変わった様子は感じられない。

毎日、自分の体積以上 食べてる気がするんだけど。


「あははははははは!! くすぐったい~~!!」


「うりうり~。ここか、ここがええのんか~」


『ルーシアナ……変態臭いぞ、それ』


…………私もちょっと思った。


「でも、どうしようか?」


「な、何が~?」


「宿にキッチンくらい付いてると思ってたから、王都に着いたらオズに任せるつもりだったけど……」


『無いな。少なくとも長期宿に泊まらないと』


「まぁ、今日は私が作るか…………外食は期待できそうにないし」


「わ~い♪」


義姉さんが『難易度高い』って言ってた、真の意味が分かったわ。

調理法や味付けは好みの問題かもしれないけど、ベースの食材の品質が悪いのはどうしようもない。

チラリとオズたちを見ると、いつの間にやら義姉さんに押し倒されているので、そろそろ止めて部屋を広くすることにする。


「ほら、義姉さん。そろそろオズ離して」


「え~~~~……」


「とりあえず、もう少し部屋の中を過ごしやすくするから」


「ん?? どゆこと??」


くすぐられ過ぎて涙目になってるオズを抱っこしてもらって、ベッドから降りてもらうと、ふたつの二段ベッドを[アイテムボックス]内に収納する。

コレだけで部屋が、一気に広くなった感じがするね。

ただ、このままだと立ちっぱなしでいるしかないので、さらにテーブルとイスを取り出す。

これで、野営時と同じくらいには快適になったろう。広さは半分くらいしかないけど。


「そういえば、ルーシアナの収納魔法、このくらいあっさり入る上に、わざわざ動かさなくていいのよね。やっぱり便利だわ……」


「そ、そうですか? 別にアイテム袋だって、ベッドに【重量軽減】掛ければ、そんなに苦労しないで仕舞えますよね?」


「そうかもしれないけど、わざわざしないわね。座るところも無くなるし」


「あぁ……それはそうですね」


また、『非常識を見た』とでも言いたげな義姉さんは無視して、二人にはイスに座ってもらう。


「夕食どうする?」


「ルーシアナ、まだ食べるの? かなり食べてたわよね」


「ですね。さすがに太りますよ」


「…………………………………………」


「…………いや、ごめん。聞こえてたわよ、うん。ナツナツちゃんの希望よね。私も軽めにお願いしていい?」


「冗談です。私は、今日はもういいです」


ジト目で義姉さんたちを眺めてやると、義姉さんは気不味そうに視線を逸らして謝り、オズはお腹を擦った後、少し気持ち悪そうに答える。

まぁ、昼間のアレでは、役割的に率先して食べる役だったしね……


そんな二人には休んでおいてもらって、部屋の一角を《クリア・プレイト》で囲って、簡易キッチンにする。

もうこれ、ほとんど野営だな。


「義姉さん、ナツナツ。何か希望は?」


「何でもいいわよ。あ、でも甘くないのがいい」


「わたしも甘い気分じゃないし、ガッツリ食べたい訳でも無いんだよね~…………あ、リゾットがいいなぁ。野菜たっぷりのヤツ~♪」


「肉はいいの?」


「…………お肉は飽きたの、もぅ」


「そ、そう……」


そんな食べなきゃ良かったのに…………


力無く虚空を見つめて暗い影を落とすナツナツの頬に手を当て、顔をこちらに向けさせる。


…………ちょっと顔色悪い…………かな?


「もしかして、お昼に食べたので、胃がもたれてる? それなら、リゾットより雑炊の方がいいんじゃない?」


「う~ん、そうなのかなぁ~……任せるよ~」


「あ、雑炊なら、私も少し食べたいかも」


「ほいほい」


オズからもそんなことを言われた。

結局、全員食べることになりそうだね。


ご飯は以前炊いたのがある。野菜は葉物を中心に、キノコを入れて、と。

味付けのベースはコンソメで。肉はいらないと言われたけど、鳥肉を少し入れて、旨味を取ろうかな。


方針を決めれば、後は早い。

コンソメスープで鳥肉を茹でている間に、野菜を切って入れ一煮立ち。

最後にご飯を入れて、調味料で味を微調整。


……………………ちょっと物足りない気がする。

…………トマトでも入れようかな。


思い付きでトマトを入れて、酸味を加えた。

…………うん。結構上手くいったかも。


ひとり満足気にほくそ笑んでいると、背後から『『『くぅ~~……』』』という三重奏が聞こえた。

『ん?』と思って振り返ると、


「「「…………………………………………」」」


三人が物欲しそうな様子で、背後から覗き込んでいた。

いや、貴女たちの分もありますからね?


「できた? できた?」


「なんだか、匂いを嗅いでたら空腹が強くなることってあるわよね」


「奇遇ですね、お義姉さま。私は今 それを感じてます」


…………………………………………これ、私の分 余ると思う?


この後、結局 ストック分も含めて、追加を作った。

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