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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
8章 参加!! 彼と彼女等の結婚式
160/264

第151話 ゴーレム娘、飛行ユニット練習中

141 ~ 167話を連投中。


1/4(土) 11:20 ~ 19:40くらいまで。(前回実績:1話/17分で計算)


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿してますので、時間が掛かります。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

さて。

そんなこんなでライ村に来て五日ほど経ちました。

レイミーは現在も修復中ですが、しばらくすれば完全に直るそうです。

今日は、昨日までに集めた素材を基に依頼されたアイテムをまとめて合成し、残った時間を使ってノーラさん(リリアナ母)たちに燻製の作り方を教えてもらいました。

明日は朝イチで井戸を修理して、終わったら錬金術師ギルドに報告と納品です。


「よっ……ほっ……とっ……」


「おぉ~…………思ったより早く慣れたね~」


「とはいえ、バランスを取るだけで精一杯な感じですけど」


「それと、現実では下方に吹き出る圧縮空気が邪魔だね。ナツナツが吹き飛んじゃいそう」


蜻蛉(かげろう)のように儚く消えるよ~……って、誰が羽虫じゃ~い」


「そこまでは言ってない」


そんなわけで、今日も夢茶会で飛行ユニットの練習です。『どんなわけだ?』とか言わない。

《孤独の嘆き》の制御はちょっと保留。やってないわけじゃないけどね。

今のトレンドは飛行ユニットなのだよ。


ここ数日の練習の結果、上下に移動することは出来るようになった。

とはいえ、常にバランス取りに意識を割き続けなければならないので、とてもではないが戦闘には使えない…………どころか、移動にも使えない。

だって、バランスを崩したら一発でアウ


「のあ!?」


「「「あ」」」


崩しました。

イメージとしては、足払いを掛けられて投げ飛ばされた感じ。一瞬で視界が反転して、自分がどこに移動しているかも分からない感覚。

それまで私の体を支えていた推力が、デタラメな方向に吹っ飛ばそうと暴れ回ります。


「のわーーーー!!!?!!!?」


「推力遮断」


「飛行ユニット分離、消失」


「かも~~ん」


完全に自身の制御を失った私に代わり、オズ、ナビ、ナツナツが すかさずフォローを入れてくれる。

暴走する風の力から放り出された私は、一直線にナツナツの元へと飛んでいき……


「「ぶべ」」


仲良く二人で大地に沈んだ。


「う~~……ナツナツ、ごめん」


「大丈夫大丈夫~♪ 今はおっきいからね~」


脳震盪に視界が揺れる中、ほとんど条件反射で謝ると、『ぐいっ』と強い力で引き寄せられ、横抱きに抱え上げられる。

そこにいたナツナツはいつものオズサイズの小さな姿ではなく、いつか見た16 ~ 17歳の姿をしていた。

年齢だけで考えると私と対して差は無いのだが、こちらは見た目通りの年相応な体をしている。


「ほらほら。ルーシアナの好きなお胸だよ~」


「そそそそそそそそんなこと無いし!?」


「へぇ…………」


「ノーコメント」


酷い評価だ!! 私はただ、目立つところに視線が向いてるだけだよ!!

……………………ダメだな、このセリフは。


周囲を見渡せば、ナビとオズも同様に大人ver.へと姿を変えている。

これは、私が飛行ユニットの練習をするのに当たって、今のような不測の事態に対応するため処理能力の高い状態になっているためだ。

単純に大人サイズの方が、子供(わたし)を受け止めるのが楽だ、というのもある。


「今日はこれくらいにして、休憩しよ~」


「そうですね」


「飲み物は何がいい?」


ナツナツたちは私の答えを聞くまでもなく、すぐにフロアを私室に戻すと、私を抱えてベッドの方へと移動していく。


「…………もうちょっと練習しようと思ったのに」


「ダ~メ。もう練習時間は過ぎてるんだから~」


「ですね」


「よっと。ふぅ…………最近はホントにこのサイズの方が落ち着く」


オズとナビは、フロアを変えると即行でいつもの姿に戻る。

そして、色とりどりのケーキを机の上に並べていくと、味見を始めた。


「ナビ。これとかどうですか?」


「いただきます。…………うん。いいんじゃない?」


このケーキたちは、ルーカスたちの結婚式で出す予定の、いわば『シミュレーション・ケーキ』だ。

現実ではレシピを検討するのに、実際に作って味見して……を繰り返さなければならないが、ここならレシピの結果を予測演算すれば、作られるであろう料理を一瞬で生み出すことが可能だ。

シミュレーションなので、味や食感、風味などは再現しているものの、お腹には溜まらないしゴミも出ない。エコですね。


まぁ、これを現実で作るときは、私やオズの腕によって結果が左右されてしまうのだが、その経験もここで積めば大体同じものは作れる、はず。

私も味見に参加するべきかと思ったのだけど、ナツナツが離してくれなかった。


「んふふふ~~♪」


「え~と…………ナツナツさん?」


「なぁ~に?」


「……………………いえ、別に」


嬉しそうなので良しとする。

普段、私がナツナツを抱き締めることはあっても、逆は無理だからね。サイズ的に。

それに、いつも自分がやってることをやめてとは言えないのだ…………


「ふふふ……ルーシアナいい匂い♡」


「やめて~~!!」


言っちゃった!!


抱き着かれたままジタバタ暴れるが、体格差は如何ともし難く、逃れることはできない。

さらに、


「まぁ、自業自得ですよね」


「因果応報ともいうよね」


オズもナビも助けてくれない。

まぁ、二人も言っているように、自縄自縛、身から出た錆なので、抵抗する道理がないのだ…………


…………………………………………


しばらく、好き勝手に撫で繰り回されました。


「うぅ…………もうお嫁に行けない……」


「私が貰ってあげるよ~~♪」


「私でもいいですよ」


「82回目」


ナビのカウントは、同じ展開が生じた回数です。ちなみに、たまにカウントがリセットされるので、累計ではない。


ようやく落ち着いたのか、抱き着きが緩くなったので、この隙に乱れた衣服を整える…………終わったら、そのままナツナツの膝の上に連れていかれたが。


今日は解放する気はないらしい。


諦めてナツナツに体重を預けるように力を抜き、『ほぅ』っと一息ついた。

それを待っていたのか、味見を続けていた二人もこちらに寄ってくる。


「二人も味見してよ」


「これとかどうです?」


……………………先程、私は『味見に参加するべきかと思った』と言いました。『味見に参加しようと思った』とは言いませんでした。

……………………正直、ここ最近ケーキの食べ過ぎで、若干の拒否反応が出つつあるのです。夢だけど。


とはいえ、二人の差し出すフォークを無視することはできない。


「「あ~ん」」


ナツナツも口を開けたので、等しく口内に提供された。


もぐもぐもぐもぐ…………


「マロンクリームか。美味しいけど、もうちょっと甘さを抑えてもいいんじゃない?」


「えぇ~? このくらいでいいんじゃない?」


「う~ん……如何せん、食べ過ぎで甘いのがキツイから、正しく評価出来てる自信がない…………」


「リセットする~?」


「もうそういうのじゃ回復しないの……」


ここは夢なのであらゆる経過と結果がなかったことにできる。しかし、それらから得られた経験は無くなることはない。


……………………つまり、気持ち悪くなるまでケーキを食べた記憶とかも残っているわけですよ。

ダイエットにはいいかもしれない。もうちょっと、成長はして欲しいけど。


「しょうがないですね。じゃあ、甘くないのは如何です?」


「いや、今日は食べ物 勘弁して……」


なおも試食を勧めてくるオズをシャットアウト。現実の食欲が無くなっちゃいそう。

三人は私に食べさせるのは諦めて、自分の試食に戻る。

私以外の、特にナビはまだまだ余裕そうだ。


「まぁ、ボクは満腹感がどういうものか知らないから再現してないし、ひと口ごとにリセットしてるから」


とのこと。

私もひと口ごとにリセット掛けとけばよかった……いや、後味というか、食べ合わせみたいなのを確認しててだね……?

う~~……自分の夢なのにままならんね、まったく。


…………………………………………


しばらく、カチャカチャと食器の当たる音を聞いていると、ナツナツの身体は程よく温かいし、とても柔らかいし、心音はリズムが良いしで、うとうと としてくる……


「ルーシアナ……?」


気付くと、ナツナツが覗き込むようにこちらを窺っていた…………


「……………………ぅん……」


「ふふふ…………おやすみ」


ナツナツの温かい手が優しく瞼を覆うと、そのまま静かに意識が沈んでいった。





ドゥードゥー、ぽっぽー。ドゥードゥー、ぽっぽー。


「…………………………………………」


最近、よく聞くようになった鳥の鳴き声で目を覚ました。


ここは、リリアナさんたちの実家、ノーラさん(リリアナ母)に用意してもらったベッドの上だ。

右を向いた私の腕の中には、いつもの如くオズがいて、私とオズの間に隠れるようにナツナツが収まっている。


グランディア家ではナツナツの寝室というかドールハウスがあるし、テントなら隠しスペースがあるのだが、ここにそれらを用意することはできない。

とはいえ、机の上のような目立つところに、タオルを重ねた寝具を用意するのも怖いので、結果こうなった。

自分では気付かなかったが、どうも私は寝相がいいらしいので、このような寝方でも基本的には問題ない。


カーテンを開いたままの窓から、眩しい程の陽光が射し込んでいた。今日も良い天気のようだ。


…………………………………………


二人を起こさないように気を付けながら身を起こすと、ぐっと伸びをする。


……………………なんだか、今日は調子が良いような?


『それは昨日、早めに夢茶会を終わらせて寝たからだな』


『あ、ナビ。おはよう』


『おはよう。ここ最近、毎晩 夢茶会を開いていただろう。それだと、体は休めていたが、頭は休めていなかったのだろうな。実時間 2時間を体感 8時間の4倍加速だが、つまるところ睡眠時間が2時間減っているようなものだ。たまにやる分には問題なかったが、連日連夜やると影響が出るようだ』


『そっか』


さすがに夢だからと無茶は出来ないか。


『まぁ、ケーキのレシピも大体完成したし、《孤独の嘆き》と飛行ユニットは急ぎではないし、ゆっくりやっていけばいいだろう』


『そうだね』


ナツナツとオズはまだ起きる気配がない。

自分だけでも起きようかと思い動こうとするも、ナツナツの左手とオズの右手が、思いっきりネグリジェを掴んでいた。


『……………………どうしよ』


『① 起こす。② 二度寝。③ なんとか外す。④ 暇を潰す。⑤ その他』


『……………………④。ナビ付き合って』


『ふ。承知した』


二人が起き出すまで、他愛もない話をして時間を潰しました。


ちなみに、これを書いていた頃はウイングスーツをイメージしてましたので、『飛行ユニット (加速器) だけじゃ飛べないよね』と思って書いてました。

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