第140話 そしてヤツラは神となる
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10/13(日) 0:30。
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「わああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」×たくさん
深夜にも近い夜の草原に、領軍の喝采が響き渡った。
諸手を挙げて喜ぶ人、仲間同士で抱き合う人、信じられないような顔をして頬をつねり合う人、様々だ。
しかし、それらに共通しているのは、程度の差こそあれ、笑顔であることだろう。
偶然なのか、実力なのかは不明だが、この戦闘で亡くなった兵士さんもいないみたいだし、私にできる最大限の結果を導けたのではなかろうか。
大地に横になったスレイプニル・ワークゴクの体から、静かに片手剣を引き抜く。
そして、少し離れたところに転がるスレイプニル・ワークゴクの首をチラリと見た。
肉体構造的に、軍馬をそのまま大きくしたような骨格だったので、昼間に20頭近い軍馬の首を飛ばした私に掛かれば、綺麗に切断することは容易であった。
そのような切り方をした首は、条件反射的に苦痛に歪むことは少なく、けれどそこには意識を失うまでの間の、様々な感情が残るものである。
これまで多くの魔獣を屠ってきた経験からすると、綺麗に不意討ちが決まった場合はポカンとした表情が多く、見付かってから倒した場合は驚愕していることが多い。意外に恐怖が表に出てきていることは少ない。私にやられるとは思わなかったっていうのもあると思うけど。
では、スレイプニル・ワークゴクはどうかというと……………………安らいだような表情をしている気がするのは、罪悪感を抱きたくない、私の弱い心が見せる思い込みなのかな?
『ピッ!!』と風切音をさせて両手の片手剣を振り、刀身に付いた血を払う。[格納庫]へ仕舞えば清掃はされるはずだけど、まぁ、一応ね。
『ナビ』
『《ロング・サーチ》…………問題ない。領軍の者以外は近くにいない』
『いたとしても、肩上にルーシアナの幻影を乗せてるから、まだ『人形遣い』で誤魔化せるはずだよ~』
『そっか。ありがとう』
領軍の兵士たちには、『今日の私のこと』について話すことを契約魔法で禁じているから、そっちは大丈夫…………なはず。
『それにしてもサイト・フェアリーの魔眼。思った以上に強力だな』
『私もあそこまでとは思わなかったよ……』
『ふっふ~~ん♪』
スレイプニル・ワークゴクから闇杭が放たれた瞬間…………先行して突っ込んでいたのは、ナツナツが作り出した幻影だった。
さすがの瞬迅鬼鋭でも、あの速度で突っ込んで直角に軌道を変えるのは無理だ。メイン・スラスタがフルパワーだったし。
『スレイプニル・ワークゴクの注意を幻影二体に引き付け、防御の薄くなったサイドから攻撃する』というのが、まぁ、大雑把な作戦だった訳だけど、その幻影が物質化していたのは想定外。
アレのお陰で、想定以上に注意を逸らせたのは、大きかったと思う。
『『幻惑鳥の魔石』を取り込んで進化したからね~。一時的なら幻影を物質化するくらいなら可能~♪』
『…………すごくすごい』
『さすがに見た目だけだけどね。攻撃はスッカスカだし、防御も紙』
『囮としてなら十分だろう』
まぁ、瞬迅鬼鋭以外の武神も含めて、後で詳細を確認しておこう。
片手剣を[格納庫]に仕舞い、静かに横たわるスレイプニル・ワークゴクに向き直ると、胸に手を当てて黙祷を捧げる。
こいつらには、領軍も本隊の半数を失うという被害を受けた訳だけど、生き残ったのなら死者には冥福を祈りたい。
気付くと、先程まで歓喜に沸いていた領軍の人たちも、同じように黙祷を捧げていてくれた。
…………………………………………
『さて、そろそろ解除しますか』
『その前に素材を[アイテムボックス]に収納しておけ。補助動力機構がある内の方が楽だ』
『了解。…………そういえば、この素材って誰のもの?』
『領軍の作戦の一環で討伐したから、全て領軍に接収されて、貢献度に応じて報酬が支払われる流れだろう。報酬の形態が、現金なのか、素材なのかは、交渉次第だろうな』
『やっぱり そうかぁ…………チコリちゃんに回す分と《下剋上》で必要な分は欲しかったんだけど…………』
『頑張れ』
『というか、武器が自己成長するなら、チコちゃん要らな…………不要……………………あれ、なんて言えばいい?』
『大体通じたから、しゃらっぷナツナツ』
まぁ、ほら。メンテナンスとかもあるし、新しい素材が手に入ったら新しい武器は欲しいし。要らなくないよ、うん。
スレイプニル・ワークゴクを[アイテムボックス]へ収納してから瞬迅鬼鋭を解除する。
夜闇の中にあっても隠れようがないような、白を主体としたのパーツ類が、逆再生するように収納されていく。
そうして、ゆっくりと地面に降り立つと、最初に次男がやって来た。
右手を挙げたので、私も右手を挙げる。
ぱぁぁぁぁん……!!
次男の掌を受けるつもりで待ち構え、乾いた音をさせてハイタッチした。
「助かったよ。時間稼ぎありがとう」
「それはこっちのセリフだ。全滅を覚悟したし、お前の言った通りここで逃せばテモテカール以南どころか、テモテカールも壊滅する危険もあった。感謝する」
「ま、テモテカールが無くなったら私も困るからね。あ、素材は帰ったら渡すけど、私にもちょっと欲しいなぁ」
「善処しよう。だが、それを考えるのは親父と兄貴だ」
「副長、権力無いな……」
これはお義父さんにも口添えしてもらわないとダメかな。
……………………油断大敵。
一瞬だけ別のことを考え、意識を戻した時には、もう遅かった。
次男の両手が、私の両脇に入っていて……
「戦勝だ戦勝!! 我等が女神を奉れ!!!!」
高々と掲げられて、崇拝された。
「ちょっとぉぉぉぉーーーーーーーー!?!?!?!?」
「女神ルーシア!! 戦場を駆けし金色の戦乙女!!」×たくさん
「妹神オズリア!! 戦場を見守りし金色の聖女!!」×たくさん
「金色被っとる!!!! じゃなくて、練習してたの!? あとそれ広めないでよ!? ねぇ!?」
「食いもん全部出せ!! 祭りだ宴だ!!」
「5分で仕上げます!!」×仮料理長たち
「それさすがに半生だよね!? 時間掛かってもちゃんと調理しなさい!! 食材を無駄にしない!!」
「我等が女神の仰せのままに!!」×仮料理長たち
「神託だ!! 『汝、手を抜くべからず』!!」×たくさん
「『汝、浪費するべからず』!!」×たくさん
「普通のことだから!! ありがたるものじゃないからね!?」
気付いたら向こうの方でオズも崇拝されていた。
あっちはまだ目を覚ましてないから、オズを抱えているルーカスの周りにみんなが跪いて平伏していた。
ルーカスがなんとも居たたまれない顔をしている…………
なお、ルーカス以外の三人はちゃっかり平伏する方に加わっていた。
「さあ、戻るぞ!! すぐそこだがな!!」
「その前に!! さっきの武神とか、私とオズの戦力とかも秘密だからね!! 契約魔法の範疇だから!!」
「仰せのままに!!」×たくさん
「さすが女神!! 謙虚で慎ましい!!」×たくさん
「謙虚!!」
「慎ましい!!」
「ちっちゃい!!」
「ぺたんこ!!」
「妹くらい可愛い!!」
「途中から貶してない!? ねぇ!?」
「わっはははははははははははははははははははは!!!!!!!!」×たくさん
「聞け~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!」
ちなみに…………
『ナツナツ、いつでも殺れるぞ……』
『もうちょっと待って。もう少し注目が逸れないと、殺るとこ見付かっちゃう』
『待って!! 後で文句言っとくから!! デストロイストップ!!!!』
許可なく女の子の両脇に手を突っ込んでの たかいたかいはデストロイ案件です。
せっかく上がった好感度を即行で下げた次男は、まぁ残念な人だ。
その後、ルーカスからオズを返してもらって、騒ぐ人たちには申し訳ないけど、先に眠らせてもらいました。
さすがに疲労が激しくて、普通ならとてもじゃないけど眠れないような爆騒音の中でしたけど、ぐっすりでした。
あと、無意識に抱き付いてくるオズ可愛い。
― Result ―
名前:ルーシアナ・ゼロスケイプ
レベル:25 → 34
HP:4,750 → 10,800
MP:16,300 → 36,200
力:660 → 1,560
体力:886 → 2,086
魔力:1,964 → 4,424
敏捷:790 → 1,850
運:Bad
※《龍王の系譜》の成長促進効果により、全ステータスが強化されました。
特殊スキル
・刀剣マスタリー Lv.11 → 12
・格闘マスタリー Lv.9 → 10
・射撃マスタリー Lv.3 → 4
・火魔法マスタリー Lv.4
・水魔法マスタリー Lv.6
・風魔法マスタリー Lv.7
・地魔法マスタリー Lv.5
・生命魔法マスタリー Lv.9
・精神魔法マスタリー Lv.6
・時空魔法マスタリー Lv.8 → 10
・光魔法マスタリー Lv.6
・闇魔法マスタリー Lv.3
・錬金マスタリー Lv.10
・ゴーレムの心得
・龍王の系譜
取得スキル
・斬撃制御
・火炎斬
・雷撃斬
・水纏斬
・風剃斬
・地重斬
・光輝剣
・斬鉄剣
・姿勢制御
・打撃制御
・精密打撃
・ハイド&スタブ
・クイック・エアロ
・精神統一
・烈破
・三爪
・サンダー・ブレード
・サンダー・トリニティ
・アクア・バルーン
・アクア・ブレイド
・アクア・ストリーム
・リバース・エコー
・ヒート・ウェブ
・デミ・サイクロン
・チャージル・スラッグ
・ロック・スパイク
・ミクロ・ビート
・ストレングス
・パーマネント
・メガヒール
・メガリザレクション
・リカバリー
・バイタル・グロージィ
・ハリューション
・魂城鉄壁
・アストラル・ウェイブ
・アストラル・ブロウ
・スリープ・スウォーム
・異空間干渉
・ロング・サーチ
・マッピング
・天人の鍵
・クリア・プレイト
・ショート・ジャンプ
・フル・スキャン
・フラッシュ・インパクト
・ディスガイス
・ミラージュ
・どこでも錬金
・素材節約 (小)
・品質増減 (小)
・効果増減 (小)
・付与効果消去
・精神属性強化 (微)
・感覚調整
追加スキル(既説略)
・光輝剣:武器に光属性を纏わせる。光属性。
・ハイド&スタブ
・三爪:矢の命中箇所を基点として爪状の岩を出現させ、指定した方向に飛ばす。武器の保有スキルと合わせることが可能。地属性。
・サーチ・アウト (統合)
・サーチ・イン (統合)
名前:ナツナツ
レベル:25 → 34
HP:560 → 1,750
MP:7,040 → 22,730
力:60 → 192
体力:100 → 348
魔力:1,920 → 6,610
敏捷:470 → 1,430
運:Best
※特殊進化:妖精 → サイト・フェアリー により、全ステータスが強化されました。
※《龍王の系譜》の成長促進効果により、全ステータスが強化されました。
特殊スキル
・ナビゲート
・冷静
・好奇心
・ハイテンション
・魔力探知 Lv.5 → 6
・精霊の加護
・幻覚魔法の偉才 Lv.1 → 2
・一視同仁
・妖精の心得
・サイト・フェアリーの心得
取得スキル
・エラー・オール
・魔眼
・透視
・魔勘
・遠視
・妖精魔法
・アラウンド
追加スキル(既説略)
・幻覚魔法の偉才:精神魔法の内、幻覚系の術式構成を補助し、スキルとして取得する。レベルに応じて効果的な術式構成を閃きやすくなる。
・一視同仁:この世のあらゆるモノを区別しない。幻覚スキルを無生物に対しても使用可能。
・サイト・フェアリーの心得:サイト・フェアリーの種族特性。魔眼に特化した妖精種族の進化系。妖精魔法の効果範囲が『視界の届く範囲』になり、様々な効果の魔眼スキルを取得する。スキル『アラウンド』を取得。
・エラー・オール:幻覚スキル。あらゆる索敵法、五感を惑わす幻を生み出す。
・遠視:魔力の流れを辿り、遥か彼方を視覚的に把握する。把握できる距離は込める魔力に依る。
・アラウンド:360°全てを見ることができる。
名前:オズ
レベル:22 → 30
HP:1,250 → 2,720 (+782)
MP:∞
力:96 → 246 (+140)
体力:110 → 290 (+257)
魔力:2,340 → 4,950 (+430)
敏捷:300 → 770 (+217)
運:Bad
※《龍王の系譜》の成長促進効果により、全ステータスが強化されました。
汎用スキル
・全魔法 Lv.18 → 24
・杖術 Lv.14 → 19
・身躱し Lv.8 → 10
・体捌き Lv.7 → 9
特殊スキル
・地脈の出自
・機械仕掛けの可能性
・情報生命体の心得
・シェフ Lv.19
・スキログマー Lv.5
・ファーマー Lv.1 → 4
取得スキル
・――――
・総身強身
・滋養強壮
・生態固定
・完全回復
・完全快復
・幻影周居
・現影錯誤
・擬音唱音
・偽装開示
・全方索敵
・仔細分析
・俯瞰作図
・積層断空
・空間伸縮
・収納拡張
・異界干渉
・振り回し
・受け流し
・並列発動
・地脈直結
・限界突破
・前行程
・本行程
・潜在効果
・統括指揮
・スキル改変
・スキル喰い
・陽の手
・品種改良
・突然変異
・絶対精神防御
追加スキル(既説略)
・異界干渉:近くにある異空間を検索し、接続する。
・陽の手:動植物の不調に気付きやすくなり、対象に適した育成方法が思いつきやすくなる。ファーマーレベルに依存する成長促進効果がある。
・品種改良:交配した結果に、望んだ性質が発現しやすい。
・突然変異:交配した結果に、予期せぬ性質が発現しやすくなる。
▽武器スキル《下剋上》により、ベースシリーズが強化されます。
▽素材:スレイプニル・ワークゴクの一部を (勝手に) 消費しました。
▽武器強度が向上しました。
▽斬れ味が向上しました。
▽武器質量が増加しました。
▽武器スキル《マテリアルシフト》が追加されました。
・マテリアルシフト:武器形態を切り替える。
重大剣:ベースブレイド → スレイプスレイド
片手剣:ベースソード → スレイプナー
グローブ:ベースグローブ → スレイプネル
弓:ベースボウ → スレイブラスト
▽武器をメンテナンスしてください。
よ、ようやく終わった……
次回。
まったり行きます。とりあえず、ルーカスたちの結婚式に出席するために、初めて他の村に行きます。
書きたい内容だけど、多分苦手な内容になるので、恐らく遅れます。
お待ちいただけると幸いです。
読んでいただきありがとうございました。




