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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
7章 襲撃!! 嘆きの魔獣
143/264

第135話 テモテカール混成軍V.S軍馬混成群②

100 ~ 140話を連投中。


10/12(土) 13:00 ~ 未定。

前回実績:1話/30分で計算すると1日を超えます。

一応、事前に下記手順の一部を済ませていますが、途中で投稿を中断するかもしれません。


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

「フェリス!!」


「ん」


アンデッド・ホースに斬りかかるフェリスに、リリアナが魔法を付与する。

フェリスの持つ武器に空間が固まったような極薄の刃が上乗せされると、関節などの防御の弱いところを狙った連撃を放った。

あの極薄刃は横からの衝撃に弱いので、正確に真っ直ぐ振り抜く必要があるが、《精密》の効果を存分に発揮して、砕けさせることなく前肢を飛ばしてみせた。


「そこだ!!」


バランスを崩し、前のめりに倒れるアンデッド・ホースをサイドステップで躱し、隙だらけの横っ腹に渾身の突きを放つ。

《剛脚》で強化された踏み込みは《槍術》の基本スキル《正点突き》の威力を増大させ、防御力を無視して槍先を体内に喰い込ませた。

間髪入れずに槍にセットされた《ライト・ボム》を発動させると、傷口が膨れ上がるように弾け飛ぶ。


「【ライト・ギル】!!」


それら一連の動きを予測していたキリウスが、開いた傷口から追撃の光魔法を叩き込んだ。

《ライト・ボール》を強化した【ライト・ギル】は、中程度の大きさの光球を射出し、術者の任意タイミングで複数の小さな光球に分裂させる魔法である。

当然 分裂させるタイミングは、アンデッド・ホースの体内に入ったタイミングだ。

小光球は、アンデッド・ホースの体内に差し込まれた腕のように、無遠慮に蹂躙していく。


ルーシアから貰った《先読み》様々である。


楯士隊には《ライト・シールド》、槍士隊には《ライト・ボム》、弓士隊には《ライト・ショット》、魔道士隊には《ライト・ボール》。

兵士たちにはそれぞれのロールに適した魔石が与えられており、自分たちも《ライト・ボム》と《ライト・ボール》の魔石を武器と共に借り受けている。

そして魔石やスキルには強化魔法を後付けで重ね掛けすることができるが、当然詠唱が必要となるので強化魔法を重ねるにはそれなりに時間が掛かってしまう。


そこで《先読み》だ。

仲間と敵の動きを先読みすることで、詠唱がギリギリの強化魔法を重ねることができる。


「《ライト・ボム》!!」


「《ライト・ボム》!!」


「《ライト・ボール》!!」


「《ライト・ボール》!!」


中身が開いたアンデッド・ホースに向けて、全員で光魔法をブチ込む。

攻撃力だけなら、俺たちもアンデッド・ホースに匹敵しているが、防御力はCランク下位のままだ。

いつも以上に油断せず、トドメを刺す。

闇が虚空に溶けるように消えたことを確認し、後方に下がった。

怪我はないが、休んで体力と魔力を回復させる時間だ。


ただまぁ…………


「そろそろ終わりそうだな」


俺の言葉にキリウスが頷く。


「そうだな。やはり、相手に合わせた装備と戦法に変えたのが大きいのだろう。今のところ大きな怪我をした者はいなそうだ」


治癒魔道士隊の方を見ると、治療されている兵士は何人もいるが、倒れたままの者は見当たらない。


「それにルーシアちゃんに貰ったマジックアイテムもあるしね」


「これすごい」


それには同意だ。

ただ、ルーシアから断片的な話を聞くに、こういう強力な効果を持つ料理はあまり量を作れないようなことを言っていたから、奥の手みたいなものなのだろう。


「私は、ルーカスとリリアナの新スキルも十分すごいと思うぞ」


「それもある」


「「あ、あははははははは……」」


キリウスとフェリスのジト目の称賛に、俺とリリアナは気不味そうに目を逸らす。


「『命の危機に晒されると、スキルの取得率が上がる』という噂は、本当なのかもしれないな」


「だからと言って、また危ない目にあって欲しくないけど」


そう。

俺とリリアナは、例の軍馬に殺されかけた際に、新しいスキルを得ていたのだ。

まず、俺。


・剛脚:大地を砕く程の踏込み。込める魔力に応じて踏込みの力が増加するが、相応の負担が掛かる。


瞬峻(しゅんじゅん)突き:素早く、リーチのある突き。込める魔力に応じてより素早く、より遠くへ届きやすくなる。


・爆裂槍:槍先から衝撃波を発生させ、内側から破壊する。風属性。


咄嗟にリリアナに襲い掛かる軍馬に槍を突き込んだ《瞬峻突き》に、リリアナを庇うため軍馬を砕いた《爆裂槍》、一瞬で加速するための踏み込み《剛脚》。

あの時は無我夢中で気が付かなかったが、後から考えるにあの時以外に取得するタイミングはないだろう。


次にリリアナだが、こちらはシンプルに《時空魔法の才》を修得していた。

まだ初歩的な『空間を固める』などの簡単な魔法しか使えないが、いずれ収納魔法のような『指定した空間に新たな性質を付与する魔法』も使えるようになるだろう。

今は《魔道の閃き》の補助を受けて、先程フェリスの武器にしていたような『武器強化魔法』で練習中である。


「あの時、軍馬を一瞬で細切れにしたのが再現できるといいんだがな……」


「あれ凄かった」


「う、う~~ん…………咄嗟で無我夢中だったから、どうやってたのか覚えてないのよね~……」


俺は覚えていないのだが、リリアナがあの時残った軍馬を瞬殺していたらしい。

どの程度の威力があり、使い勝手がどうなのか不明だが、聞いている分にはリリアナが現状パーティ内の最大戦力候補だ。


…………ちょっと悔しい。


少しだけ首をもたげる嫉妬に、『小せぇ男だな、俺は……』と呆れていると、左腕を引かれる感覚に振り向く。

そちらにはリリアナがブツブツと呟きながら術式を検討し、摘まむように俺の左腕を掴んでいる姿があった。


……………………まぁ、いいか。どちらにしろ、盾は必要だろ。


単純だな、俺。

目覚めてからリリアナのこういう仕草が増えた。

理由はまぁ……分かりきったことだし、俺もうれしいから好きにさせている。

フェリスとキリウスから生温い視線が送られてくるが、気にしないことにするのが男の役目だ。


それより……


「ルーシアたちがボス格の軍馬を倒したようだな」


隊長が軍馬の攻撃を引き付け、注意の逸れた側面からルーシアが胴を真っ二つにしていた。

それに連動するように、兵士たちと向かい合っていたアンデッド・ホースたちが、崩れ落ちるように倒れ込み、宙にあるうちに『バシャッ』と水を溢したように弾けて消える。


…………………………………………


全員 注意深く周囲を警戒しつつ隊長の勝利宣言を待つも、無事に勝利した予感にそわそわとした雰囲気が広がっていく。


……………………だが。


『総員!! 警戒を継続!!』


隊長のスキル効果により、鋭い声が全員の心に響き渡る。

緩みかけた空気が一瞬で引き締められたのはさすがだ。

そしてその理由が周知される。


『アンデッド化スキルが無い…………!!』


……!!!?


つまりアンデッド・ホースを生み出していたのは、あのボス格の軍馬では無かったということだ。

だが……


「他に生き残った敵はいないぞ!?」


「くそっ!! どこだ!?」


「魔道士隊!! 索敵を!!」


その声と同時に、地面に倒れ込んだボス格の軍馬が闇に染まり、しかしアンデッド・ホースとならずに弾けて消える。

これまでの軍馬と反応が違う。


「どういうことだ!?」


隊長の戸惑う声が、この戦場の全員の思いを代弁していた。





「次男!! 落ち着いて!!」


「だが……!!!!」


予想外の結果に混乱している次男を叱責するものの、私だって混乱している。

『アンデッド化』なんて複雑な魔法、スキルだとしても遠距離から発動させるのは不可能なはずだ。

だから、必ず術者はこの戦場にいる。なのにここにはもう、軍馬はいない。

訳が分からない。


『ナビ!?』


『《ロング・サーチ》に反応なし。だが、アンデッド・ホースを形作っていた闇が各所に残っている。そこに隠れている、かもしれない』


「闇って……」


見渡してみると、雨天後の水溜まりのように、そこかしこに闇溜まりが出来ているのが見える。


…………これを全部確認するの……?


しかも、ひとつだけに軍馬が隠れているロシアンルーレット。

危険すぎる。


…………と。


『ルーシアナ!!』


『へ?』


突然のナビの鋭い警告。

そして、



▽《龍王の系譜》が発動しました。

▽状態:集団戦

▽友軍 及び 敵軍に《龍王の系譜》効果を反映します。

▽処理中…………………………………………

▽反映しました。



ちょっと待てこら。


「はああああぁぁぁぁ!!!?!!!?」×たくさん


ツッコミよろしく領軍の兵士たちから、様々な感情を込めた声があがる。

スキル効果が反映された結果、彼らに影響のある効果は無意識に理解できるのだ。

私にはもっと詳しい効果が理解できる。



※共通

・《龍王の系譜》は、所有者の運命を調整して、同程度の強敵と巡り合わせる。

・強敵との戦闘機会を整えるだけで、進化先等に影響はない。

・勝者はステータスが二倍になり、低確率で敗者のスキルを奪う。

・敗者はステータスが1/10になり、しばらく経験値取得量が激減する。

・勝利条件は、相手を倒すか戦意を喪失させること。

・敗北条件は、死ぬか戦意を喪失すること

※集団戦の場合

・勝者チームの者は、ステータスが二倍になる。

・敗者チームの者は、ステータスが1/10になる。

・勝敗はチーム単位で判断され、途中で離脱したものは敗者として扱われる。



えーと…………順番に見ていこう。

最初のはアレだ。

あくまでも『私の』運命を調整するのであって、『周囲の』運命を調整する訳ではないってことか。

今回の件で言えば、私が参加しなくてもこの戦闘は起きたし、それに参加させるように運命が調整された、ということ。


次は前に懸念していたことだが、《龍王の系譜》に導かれて強くなっていくと、『龍王』とやらに進化するのではないかと思っていたけど、そうじゃないってことだね。


次のふたつは、勝敗の報奨だけど…………私に《龍王の系譜》が移ったのはコレのせいか?

あと、敗者のデメリットがデカすぎる……生き残っても死ぬでしょ、コレ。


次は勝敗条件。要するに殺すか半殺しにしろってことだよね?

『戦意喪失』には、降参や逃走辺りも含まれているが、判断するのは主にスキルで本人の意思が重要みたい。


最後は集団戦での味方に対する効果で、ここと勝敗条件だけは兵士たちに伝わってるっぽい。

厳しいのは、勝者チームにいても途中でリタイアすると敗者扱いなところか。

要するに重傷で動けなくなったら、勝利に貢献しても負け扱い。



今回が私にこのスキルが移ってからの初回発動のため、今までよく分からなかったのだということも分かった。

まぁ、それはさておき


『まだ生き残ってるってことだよねぇ!?』


『それだけじゃない!! このタイミングで発動したということは、急激に強くなったということだぞ!!』


確かに軍馬とアンデッド・ホースの混成群は全滅したのに《龍王の系譜》が発動したということは、生き残ってるヤツがその混成群よりも強敵であることを示している。


『でも急激に強くなるなんて、そんなことある…………進化かぁぁぁぁ!!!!』


『そうだ!!』


待て待て待て待て。


最初の軍馬の群がAランク下位相当。

その次の軍馬とアンデッド・ホースの混成群がAランク中位といったところ。(アンデッド・ホースがスキル使えないので)

それより上ってことは、Aランク上位? でも なんとなくだけど、この判断は楽観視が過ぎる気がする。


「アアア゛ア゛ァァアア゛アァァア゛ア゛アアァァアア゛ア゛ア゛アァァァァァァァァ!!!!!!!!」


《龍王の系譜》に戸惑っていたのは、一秒程度のごく短い時間だったと思う。

その間も《龍王の系譜》が調整した運命だったのかもしれない。

そう思わせるような、狙ったタイミングで嘆き悲しみの泣き声が広く草原に響き渡った。


そして、癇癪を起こした子供のように地面を打ち据えながら、ついにそいつは姿を現した。

見た目はアンデッド・ホースに似た漆黒の肌に、オレンジ色の(たてがみ)を備え、血のように紅い瞳が不気味に輝いている。大きな特徴は、六本に増えた脚と……


「でけええええぇぇぇぇ!!!!!?!!」×たくさん


体高だけで5mは優に超える巨体だ。頭までなら10m近いんじゃないだろうか?


「アアァァァァアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛アァァァァァァァァ!!!!!!!!」


天を仰いで再度泣き声をあげると、そいつを中心として大地が闇色の泥濘に呑み込まれていく。


「なにこれ!?」


「う……くっ…………」


泥濘は足首程度の深度しかないが、本物の泥のように纏わり付き行動を阻害する。

私にとってはその程度だが、次男を見ると他に何か影響を受けていそうだ。

眉を顰めて、耐えるように固まっている。


『ナビ!?』


『これを見ろ!!』



名前:―

性別:男

年齢:8歳

種族:"孤独の嘆き" スレイプニル・ワークゴク

レベル:72

HP:2,395,000

MP:4,042,000

力:960,000

体力:940,000

魔力:1,800,000

敏捷:2,266,000

運:Worst

スキル不明



S・ラ・ン・ク・だ、コレ!!!!


『それだけじゃない!! "孤独の嘆き"…………大罪魔獣だ!!』


『そんな常識みたいに言われても!?』


知らないからね、そんなこと!!

一応、それは分かっているのか、説明を追加してくれる。


『Sランク魔獣とは『災害級』とも称される超大型魔獣のことだ。大抵の国には数体のSランク魔獣がいると言われていて、定期的に襲撃されるのを追い払ったり、僻地から出てこないように監視していたりする。基本的に人が討伐できるのは希だ。

そのSランク魔獣の中には、ほんの数体だけ大罪魔獣と呼ばれる、特に危険な魔獣が存在する。

その特徴は、大罪と呼ばれるある感情に由来する精神干渉スキルを取得していることだ。

"孤独の嘆き"ということは、『悲嘆』系の精神干渉……恐らく、『独り』になることに対する絶大な忌避感情を与えるものと推測される』


やべぇもんが出現してしまった。

というか、ホントに『同程度の強敵』なの!? 《龍王の系譜》バグってない!?


ナビも私の混乱は分かっているだろうが、淡々と説明を続ける。

この状態で落ち着けと言ったところで無駄なのが分かっているのだ。


『ルーシアナたちは精神干渉防御スキルがあるから特に影響はないが、兵士たちには大なり小なり影響が出ているようだ』


言われてみると、じりじりと兵士たちが互いの隙間を埋めるように移動していて、陣形が段々とこぢんまりとしていているし、次男もいつの間にか私の近くに寄ってきている。


良くないな。


集団戦において仲間との距離というのは、遠過ぎても近過ぎても宜しくない。

遠過ぎては攻撃力が分散するし、近過ぎては回避が難しくなるからだ。

特にこのような大型魔獣が相手では、固まっていると一撃で全滅させられる危険がある。


と、ここで戦場の各所に無数の光矢が突き立つと、泥濘が吹き払われると共に、精神干渉が緩められた。

オズだ。

兵士たちは、無意識に距離を詰めて固まっていたことに気付き、慌てて距離を適正にする。


が、良くない。


「オズ逃げてーーーー!!!!!!!!」


間に合うことを祈って声を張り上げる。

己のテリトリーが侵食されたことに気付いたスレイプニル・ワークゴクが、オズのいる簡易高台に視線を向けると、その口を軽く開く。


「オ、オオオォォオオオオオオォォォォオオオオオアアアアアァァァァァァァァ!!!!!!!!」


その口腔に燃えるような闇の黒球を作り出すと、間髪入れずに一直線に撃ち出した。

その狙いは、オズのいる簡易高台だ。


「オズーーーーーーーー!!!!」


その一閃は、周囲にも叩き付けるような衝撃波を発生させながら簡易高台を易々と撃ち抜くと、背後に広がる森に飛び込み、広大な範囲の大地を空へぶち撒ける。

当然それら衝撃波は、射線上にいた兵士たちや離れたところにいた私たちも容赦なく打ち据えていった。


「ルーシアナ!!」


「ちょ……!!」


眼前に掲げた腕で衝撃波をやり過ごそうとしていた私を護るように、次男が地面に引き倒して覆い被さってきた。


なんかキャラ変わってない!? 精神干渉の影響!?


本人も、突然の自分の行動に驚いて、目を白黒させている。

次男の体越しに簡易高台を見ると、柱ひとつ残さず崩れ去っていた。


「あ……」


『落ち着け、ルーシアナ。オズなら無事だ。ナツナツから連絡があった』


「そ、そっか……」


良かった、一安心…………じゃない!!

どうすんのコレ!! ホントに倒せんの!?


『……………………逃げるか?』


『ダメ』


あ、私 怖じ気付いてないみたい。

ナビの問いにスムーズに否定の言葉が出たことで、自分が何を求めているのか、理解できた。


「次男!!」


「な、なんだ?」


未だ覆い被さったままの次男に声を掛けると、戸惑った声が返ってくる。

まぁ、そうか。

Aランク下位の軍馬の追い払いに来たのに、Aランク中位の混成群になって、ついにはまさかまさかのSランク魔獣だ。

こんな化物とやり合う羽目になるとは、欠片も思っていなかったに違いない。

少なくとも、私は思ってなかった。


「倒すなら今しかない!! 時間稼いで!!」


「は、はぁ!!!? お前アレとやり合う」


『ルーシアナ。30秒は必要だ』


「30秒!? 長くない!? 最初は一瞬で済んだじゃん!?」


『あれから色々アッブデートされたが、初回起動が済んでない』


「どっかでやっとけば良かったーーーー!!!!」


次男を無視して叫ぶものだから、おかしなものを見る目で見られてしまった。


「次男!! 30秒!! 時間を稼いで!!」


「ま、待てコラ!!!! 現実見ろよ!! ここにいる戦力だけじゃ無理だ!!」


「じゃ、どうすんのさ!!」


「街に戻って立て直す!! 全軍で当たらないと無理だ!!」


「……………………分かった」


至極、真っ当な意見だ。否定する理由はない。


「そ、そうか」


「撤退して。アレは私が何とかする」


「分かってねーーーー!!!!」


私の両肩を押さえて叫ぶ次男の両頬を、挟み込むように思いきり叩く。


「ぶごっ!!」


「現実見なさい。ここ(・・)で倒せなきゃ、もう機会は無いわ。そして、テモテカール以南は開拓不可能となり、今ある開拓村は全滅よ」


睨みつけるような視線で次男に言うと、図星を指されたのか、言葉を詰まらせ目を見開く。


「ぐっ…………だ、だが、出来るのか……!!」


「出来る。スキルが、《龍王の系譜》が言ってるの。『今、この時だけは、アイツと対等だ』って」


「《龍王の系譜》……だと? …………まさか、このスキルお前の……!?」


あ、しまった。

どうやら、《龍王の系譜》はスレイプニル・ワークゴクのスキルだと思われてたみたい。


…………まぁ、今はどうでもいい。


「30秒。頼める?」


「……………………だぁ!!!! やったらぁ!!!!」


「任せた!!」


ヤケクソな声をあげる次男の下から抜け出すと、周りに何もない所へ移動する。


『ナビ!! 狂防孤高 展開準備!!』。


『了解』


これ以外にSランク魔獣:スレイプニル・ワークゴクを倒す手段などなかろう。

そして、その時を待った。



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