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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
6章 回想!!ながら戦闘で怒ってくま
101/264

第94話 オズ、回想中① (戦闘準備)

82 ~ 99話を連投中。


6/15(日) 13:10 ~ 20:00くらいまで。(前回実績:1話/21分で計算)


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿してますので、時間が掛かります。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

え?お姉ちゃん、なんですか?


パス?


ちょ、状況分かってますか回想長すぎて戦闘中ですよほらつめうひゃああぁぁぁぁ!!


…………あ、ありがとうございま…………え?あの日の回想?マジですか確かにオチが着いてませんがロックグリズリあほらくちからいわーーーー!!!!


…………わ、分かりましたよ。でも、お姉ちゃんと違って『ながら』で避けられる気がしませんから、回避はお願いしますね。ほら、ちゃんと背負ってください。


…………………………………………


ふぅ。では回想の続きと行きましょう。



ナツナツのおふざけに泣かされた二日後、チコリさんに頼んでいた武器 ― アサルトスタッフ ― が完成しました。


魔力酔いでテンション上がったのは分かりますが、もう少し落ち着いて頂きたいところです。

お姉ちゃんやナビは、《冷静》はマイアナの失敗と思っているようですが、本人がちゃんと使えばあんなおかしな発動の仕方はしません。戦闘中はちゃんと使ってますからね。

まぁ、とは言え妖精に『常時真面目にしろ』というのも酷な話。代わりに夢茶会でナビもろとも、もっふもふにすることで許してあげました。ナビのは忘れてた先日の分です。

ふふふ……あまりの気持ちよさにあられもない声を上げないよう、必死に口を押さえる姿に、思わずイケナイ扉が開いてしまいそうでした。お姉ちゃんがドン引いた顔してましたが、貴女もやってますからね?


しかし、アレですね。この義体に憑依するようになってからというもの、感情を制御するのが難しくなってきました。確かに水は苦手でしたが、まさか泣いてしまうとは……不覚です。

え?お風呂?お風呂は清掃活動ですから別腹です。気持ちいいですよ。体が小さいせいか、すぐに逆上せてしまうのが難点ですが。

ガア・ティークルでAIやってた頃は言うに及ばず、情報生命体になって中枢システムに憑依していた頃までは、比較的感情を表に出すのは抑えられてたと思うのですが。

以前母が『内面と外面は、互いに強く影響する』とか言ってましたが、つまりそういうことでしょうか?

私の外見は、元々小さめなお姉ちゃんをさらに小さくした結果、公称13歳にも関わらず、ぶっちゃけ8歳くらいに見えます。口調もすっかり変わって、もう妹を演じている自覚は全くありません。

8歳の女の子なら…………泣いても仕方の無いことかもしれませんね。



それからしばらく経って 今日、ようやくDランクなりました。

お姉ちゃんと同じランクですが、お姉ちゃんは昇格ポイントが900近くでランクアップ間近なのに比べて、私はまだ0です。当然ですが。


ただ、お姉ちゃんにDランクで待っていて貰ったのは、ここで一気に並ぶためです。

覚えているでしょうか?お姉ちゃんがDランクに上がる際に受けた依頼で、最も効率が良かったのは『ダーチョの卵の納品 』です。これを狙います。

お姉ちゃんの時は最大に近い大コミュニティに当たり、約1,000個の卵を得られたようですが、普通は12 ~ 16体のコミュニティが普通で、卵も全て得られたら600 ~ 800個くらいです。


ち・ょ・う・ど・い・い!!!!


…………失礼しました。お姉ちゃんの真似です。

問題はダーチョがなかなか見つからないことと、卵を全て回収するのは難しいことですが、考えがあります。


『ダーチョの卵の納品』は常設依頼なので冒険者ギルドには寄らず、ナツナツを連れて、まずガア・ティークルに飛びました。


うむ。我ながら良い転移です。

お姉ちゃんには『転移先座標のズレや転移酔いなど無い』と言い、確かにその通りなのですが、違和感のない空間転移に必要なのは、微かな浮遊感だったりするのです。

当然ですよね。視覚情報がガラッと変わるのに、それ以外の感覚に変化が無いのは、不自然なことですから。そこに敢えて微妙な変化を与えてこそ、完璧な転移なのです。

まぁかつての人間には、そこまですることは少なかったですが。汎用デバイスに優しくしてくれたお客様に、こういうところでちょっと贔屓をしていたくらいです。


「オズ~。それでダーチョはどう探すの?ここに転移して来たのは、移動のためだけじゃないんでしょう?」


「そうですよ。まずはデバイスの格納施設へ向かいます。指示は出しておいたので、多分必要な物はすぐに手に入ります」


「ふ~ん……………………えいっ」


「あたっ」


大人しく後ろから付いてきているかと思ったら、リボンで結んだ髪に飛び付かれました。

見た目以上に軽い妖精と言えど、勢いをつけて飛び掛かられたらそれなりの衝撃があります。


「ぷらーんぷらーん♪」


「…………まぁ、いいですけどね。リボンは傷付けないでくださいよ」


「了解~」


『お姉ちゃんと見分けが付きやすいように』という、至極単純な理由で着けられたリボンですが、周りの皆さんが慣れて理由が無くなった今でも着けています。

何故かって?お姉ちゃんがくれた物だからですよ。他の理由はいらないですよね。


お姉ちゃん、自分も着飾ればいいのに、自分そっちのけで色々買ってくるから大変です。それにお義姉さま、お義母さま、たまにお義父さまもです。そんなに一度に着けられませんし、保管しておくだけでも劣化が進んでしまいます。


今は有り余るMPを使って時間を停止させたタンスに仕舞ってますが、さすがに効率が悪いです。なので、お姉ちゃんの[アイテムボックス]みたいな『容量無限』『時間停止』の異空間を探してるんですが、まだいいのが見つかりません。

あ、見つけた異空間は全て私専用に書き換えてますので、いずれ何かに使えるかもしれませんね。


……………………何の話でしたっけ?…………あ、そうそう。『何故今もリボンを着けているのか?』です。

答えは『お姉ちゃんたちがプレゼントしてくれたから』です。

私も何かお返しがしたいんですが、実はファッションってよく分からないので、結局のところ料理を頑張ることでお返しさせてもらってます。


私たちは一旦『光照射空間転移装置 利用者区画』、要するに一階中央の円形ホールから抜け出すと、近くの壁の前に移動します。

繋ぎ目の無い、綺麗な壁が左右の店舗に挟まれており、一見すると無駄なスペースに見えますね。


「オズ、どうしたの?壁だよ?」


「いえ。ここ『施設職員区画』への入口なんです」


「『施設職員区画』?」


「要するにここで働く職員以外立入り禁止の場所です。ほら、冒険者ギルドだって、ギルド職員以外入っちゃダメな場所あるでしょう?」


「あ~~…………なるほど」


なんとなく、勝手に侵入している気配を察しましたが放置です。

元々持っていた隠蔽魔道具に加えて、転移基点端末に追加した隠蔽術式、さらに『幻惑鳥の魔石』を装備したナツナツは、現状誰にも見つかりません。領主の屋敷の防犯魔道具程度なら余裕でしょう。

お義父さまは私たちの味方ですが、末端まで全員そうとは言い切れませんからね。何か良からぬ情報を拾ってくるかもしれません。ここでも似たようなことはありました。


普段使っていない場所の操作のため手間取りましたが、話が終わる頃には『ブォン……』という小さな音が聞こえてきます。

それを合図に足を踏み出すと、


「え!?オズなにして……ぶつかるよ!?」


「大丈夫です」


私の言葉の通りに、踏み出した足は一切の抵抗なく壁に飲み込まれ、続く体も同様に通過しました。

視界は一瞬だけ壁で埋め尽くされ、すぐに真っ直ぐに伸びた無機質な廊下に変わります。


「な、なにこれすごい……」


「ふふふ……」


ナツナツが困惑した声色で呟き、入ってきた壁に手を当てています。すでに扉は閉じていますから出ることは出来ません。


まぁ、ナツナツは状況に応じてすり抜けられる壁か何かだと思っているのかもしれませんが、壁の表面に『壁の幻影』を映して、その隙に壁が融け落ちただけです。壁が融け落ちるのはここの扉としてはメジャーなので、他の扉との違いは幻影だけですね。

ここにお姉ちゃんが来たときはこの機能は切っていたので分からなかったでしょうが、実はデバイスの出入口も同じ仕様だったりします。

理由は私もよく分かりません。『スタッフは影のように現れ、影のように消えるべし』みたいなことを言ってましたが。


不思議そうに壁をペタペタしてるナツナツを捕まえて廊下を進みましょう。

少し進むとスロープになっており、一階分下がるので地下一階を進むことになります。時々通路が分岐したり、小部屋が現れたりしますが、それらは無視して進みましょう。断捨離した結果、基本的に何もありませんし。

五分程進んで、途中でメンテナンス区画に入り込み、さらに進むと倉庫のような広大なスペースに辿り着きました。…………遠かったです。


「着いた?」


「はい。『ドローン型デバイス格納庫』です」


そこにはナツナツが乗る転移基点端末に似た、球形のデバイスが沢山納められています。

しばらく待っていると、20基のドローン型デバイスが飛んできて私たちの周りに配置しました。


「オ、オズ?大丈夫、だよね?」


あ、可愛い。


不安そうに周りを見渡すナツナツを安心させるように撫でると、説明してあげることにします。


「大丈夫ですよ。このデバイスは私が呼んだものですから。それに飛翔能力と魔力貯蔵量の強化個体で、それ以外の機能はありません」


「そ、そうなんだ……あれ?じゃあ、これ何に使うの?」


「それはですね~……」


ポカンとした様子のナツナツに、気分を良くしながら説明を始めました。


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