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まさかのボーナストラック

依頼を受ける時以外に、私が話をするというのは、

ほとんど無いことなのだけどな。


ああ、話し相手になってくれというのも、立派な「依頼」だ。

そこに座りなさい。注文はコーヒーでいいか?


依頼は受ける、今日の午後いっぱいだけでいいか?

依頼料は、コーヒー代一杯分を置いていってくれればいい。


さて、なにを話そうか。

ところで君の年は幾つだ?


ああ、若いな。

なんだ、学校はサボりか?しょうがないな。

悩み相談かなにかか?


ああ、そういう話か。


でも依頼は特にしないのだな。賢明なことだ。


そういうことで他人の力を頼るのはよくない。

上手くいかなかったときに、他人のせいにすることになるからな。


なんだ、いい娘さんじゃないか。

お前さんを好いてくれていて、気にかけてくれていて。

なにが不満なんだ?


説教するのは私の柄ではないが、

社会の中で人は束縛されて生きるものだ。

社会的生物とでもいうのかな、周囲の環境も含めてお前さんなんだよ。


今のメッセージも、その娘さんからか?

続けて送ってくるんだな。

またか。やれやれ。

確かに、これはうっとうしいかもしれないな。

ああ、待ってるよ、返事を早くしてあげなさい。


距離が近すぎて息が詰まる?

でもそういうものが全くなくなってしまった時のことを想像してみろ。

寂しいだろう?


のろけてるのか。

喧嘩するほど仲が良いと言うしな。


聞いているこっちが馬鹿馬鹿しくなるな。

さっさと娘さんに会いに行ったらどうだ?


将来のことなんか、誰にもわかるわけがないだろう。

未来は自分自身で切り開くものだ。


私の受けた依頼が、すべて依頼人の願い通りになるのは、ただ偶然にそうなっているだけ、

あるいは、その依頼者自身が努力した結果だ。

私は話を聞いているだけだ。


私が未来をすべて知っているだと?

そんな馬鹿な話があるものか。

そうだな、依頼者の誰かをからかって、そう話したことはあるかも知れないが。


なんだ、それは依頼か?

やれやれ、依頼は一人一日ひとつしか受けないのが原則なのだが。


まあ、いい。依頼を受ける、君の寿命が尽きるまで待て。

依頼料は、君の寿命のすべてだ。


精一杯頑張って、君が娘さんを幸せにしてあげなさい。


もう時間か。私は帰るぞ。

最初の依頼の依頼料は、そこの募金箱に入れていきなさい。

連作が終わったと見せかけての、オマケのショートショートです!


11話全体として、シリアスな展開のもの、童話風のもの、

えっこれでおしまい?というなんの捻りもないもの、を取り混ぜて構成してみました。


では、今度こそ完結です。

いつかまた、ショートショートの森でお会いしましょう!


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