第三十七話 光と影・後編
もっとゆっくりしていけばいいのにという来夏と落合の勧めも断って、クリスは二人と共に二月の朝を歩いた。日差しは薄雲を抜けて、学園の草木に優しく降り注いでいた。風はあの冷たさをどこへやら、かよわい小鳥たちを高く高く遊ばせている。全ての建物の白さが一層照り映えて見える朝であった。
「じゃあ、俺たちはこっちだから」
「うん、ありがとう二人とも」
「こっちも楽しかったぜ。また来いよ。酒本が帰ってくるまではいつでも平気だ」
「ははは、じゃあ」
部活へ赴く二人と反対の道に踏み出して、クリスは置き去りにされた海辺の寮のことを思った。ノアは戻っているだろうか。クリスはふと空を見上げる。もう二月も終わる。三月で日本の一年は終わって、四月になればクリスはこの学園の三年生となる。このまま無為に時間を過ごしていいものか。このまま流されていっていいのだろうか。心は落ち着かない。薫のことを思ってみたり、画家としての使命を思ってみたり。自ら決めた道を辿りきれない自分が憎らしく、また同時に不憫でもあった。
草むらに寝転んで考えてみるのもいいかもしれない。偶には、ゆっくりと。だが、クリスの足は急ぐばかりだった。クリスは頬と唇を引き締めて、目を少し細めた。自分は真っ直ぐ寮に帰るべきだと、浮ついた心が告げていた。
ポストにはいくつかの郵便物が詰め込まれていた。昨日の分と今日の分で、随分窮屈そうだ。クリスはそれらを全部引き出して、鍵も持たずに寮の扉に手をかけた。やはり扉は開かなかった。クリスは胸の中で期待が凋んでいくのを感じ、指先から力が抜けていくのを覚えた。ノアはまだ帰ってきていない。もしかすると、この先ずっと……?
「ただいま」の声はむなしく響いた。部屋中の空気は冷え切っていた。クリスは足先が冷えぬうちにスリッパを急いで引っかけ、さびしい居間を見渡すと、ガラスのテーブルに郵便物の束を預けた。その中の一つが足元に落ちて、屈んだクリスははっとした。差出人の名に涌水明音と書いてある。明音は確か慎と共に学園を去ったはずだ。わざわざ手紙を寄越してくるなんて。クリスは急いで封を切って、中身を引っ張りだした。中身は美術館のパンフレットと小さなメモ用紙が一枚だった。どうして美術館のパンフレットなんかと疑問に思いつつも、まずはメモの方に目を通す。
お元気ですか?俺も慎様も元気です。同封のパンフレットは榊原先輩から頼まれて送りました。先輩の絵が飾ってある美術館だそうです。鍵の方は慎様からです。では、お元気で。
明音
文字のかわいらしさの割に随分素っ気ないメモだとクリスは何だか拍子抜けがする。パンフレットの表紙には、確かにクリスの絵と共に白鈴美術館との文字がある。その絵は、クリスがフランスに旅行に行った時の作品で、三歳になる従妹のキャシーが大人を真似てわざと優雅なポーズをとっている愛くるしい姿を描いたものであった。クリスは怪訝な顔でパンフレットを開いてみて、そして「あっ」と小さく声を漏らした。
茘枝と陽は、クリスに生徒会の窓の景色を示してこの学園を去った。この景色に見覚えはあるか?それが、陽の問いかけであった。見たことがない。見たことがあるはずがないとクリスは答えた。それは事実だったし、恐らく今も事実であるのだろう。なのに、どうして――どうしてあの景色と全く同じものを自分は描いているのだろう。
違う場所の似た景色ではない。絶対に。噴水の形も花の色の配置も、太陽の光線の具合も、あの窓枠まで確かに一緒なのだ。こんなことってあるだろうか。ああ、そういえば……この絵を描いた時の記憶まではっきり残っている。あれは画家としてデビューする前だった。イタリア人の師の元でこの絵を描きあげた。周りの人は随分褒めてくれたが、自分としては同じころに描いた別の絵の方に集中していて、大してこの絵のことは気にとめずにいたのだ。そうか、この絵を見たからなのか。陽があんなに不思議なことを尋ねたのは。
いや、だが待てよ。自分がこの景色を見たことないと主張したとき、陽は「だろうな」と呟いた。陽はクリスがこの景色を見たことがないのを承知だった。なのに、なぜかこの景色に見覚えはあるかと聞いた。一体どうしてなのか。
クリスはガラスに右頬を乗せて目をつぶった。ガラスが考え過ぎて熱くなった頬を冷ましていくのが嬉しい。なぜクリスはあの景色を知っていたのか。一つはどこかで見たということだった。絵なり、写真なり、そういう例はいくらでも挙がってくる。でも、次第にクリスはあの窓辺から身を乗り出した時の空気さえ覚えている気がしてきた。まだ幼い自分の肩をしっかり押さえていた男の手も。
クリスの胸に突如、一抹の感情が入り込んできた。それは痛く、苦しく、悲しかった。すぐに元の心持に戻っても、クリスはもう平常ではいられない気がした。クリスは立ちあがって湯を沸かした。頬が熱い代わりに腕の辺りが肌寒かった。クリスは頭を抱えて壁に寄りかかり、しばらく身動きもせずに一心に考え込んでいた。そして、とうとう確認せずにはいられないという結論に達した。クリスはやかんの火を止めると、一度脱ぎ捨てたコートを拾って、袖を通し、パンフレットと封筒を引っ掴んで寮を出ていった。
***
「颯ー、颯ったらー」
まだ時期の早い菜の花畑をぼんやり見下ろす颯の袖を、菜月がとらえる。大方構ってもらいたいのだろう。剣道の練習でもしていればいいものを、ここ三日間近くどうもそわそわして身が入らない様子だ。一応彼のために叱ってはみるのだが、実際落ち着かない気持ちを感染させているのは自分であるから、あまり怒る訳にもいかず、今日はもうひたすら自分一人の感情に浸っている。
「ねぇ!颯!ねぇねぇ、おばさんが……」
菜月の頭をぐっと引き寄せると、菜月はびっくりしたように目をしばたかせてぴたっと黙った。その髪を撫でて、颯は石段に腰を下ろす。菜月も隣に膝をついてきちんと正座して座り、颯の顔をじっとのぞきこむ。僕らの判断ははたして正しかったのだろうか。そんな思いが菜月の手をとらせる。抜け殻を捨ててきた。ただ脱却したいという思いから。でも、僕らは二度と戻れないのだ。踏み出した一歩を取り消すことはもうできない。その足跡は永遠に残る。後戻りをしても、立っている場所はもうすでに過去の道となる。そして、その道で、二人は拾い上げられないいくつもの残骸を見るのだ。
「颯……怖いの?」
「怖い?」
菜月の問いかけにふと顔をあげる。
「そんな風に見える。何が怖いのかは分からないけど」
颯は苦笑した。そうさ。自分は怖いのだ。変化を恐れていた。振り返る日々のどんな時でも――だから学園を飛び出すしかなかった。もうこれ以上同じ場所に踏みとどまっていられないように。そうすれば何もかもすっきりすると思ったのにな。現実って、なかなかうまくいかないものだ。
もうすぐ、今夜だ――颯は輝きを失った薬指をじっと見つめた。今夜、全てが変わるのだ。そして自分は、どちらの変化に賭ければいい?菜月が胸に頭を寄せてきた。颯の手がその肩を抱く。
「菜の花畑、早く咲くといいのにね」
菜月が呟く。頷きたい気持ちをこらえるのは、容易いことではなかった。
「……颯?」
「……菜月、ごめんね、今夜はちょっと出かけるよ」
「出かけるってどこに?」
今度は二人同時に立ちあがる。見えない菜の花を虚空の中に求めて。
「僕たちが学園に戻るためにやらなきゃいけないことがあるんだ」
***
一般生徒は土日の校舎には立ち入りできない。まして、クリスは帰宅部であるから、部活動という言い訳も通用しないのであるが、来夏と落合に用があるといえば何とか入れるだろう。そこからの行動は……まあ、最悪退学処分ってだけさ。計画通りに守衛を説得することに成功すると、クリスはまず弓道場に向かうふりをして途中で階段をあがり、音楽室から漏れてくる吹奏楽部の演奏を聞きながら三階までやってきた。廊下にも教室にも誰もいなかった。クリスは二回廊下を往復してそれを確かめると、ついに禁断の領域に踏み入れた。即ち、四階へとのぼる階段の一段目に。
ここまで来てしまった以上こそこそするよりはさっさと駆け上ってしまう方がいい。クリスは心のアドバイス通りに足音が響くのも気にせずに走りだし、目的の場所の前に一瞬で辿り着いた。クリスは躊躇った。うかつに手を触れると警備が働くのではなかったか、この学校の設備は。大丈夫だ。こっちにはこれがあるんだから。クリスは封筒を左手の上で逆さまにして二度振った。転がり落ちてきた鍵は、クリスの予想通りに生徒会室の鍵穴にぴたりと重なった。扉が開いた。
美しく、そして戸惑うほどに懐かしい窓辺。クリスの予想していた通りの景色がそこにあった。クリスは息をついて窓を開ける。風がクリスの耳の横を抜けていく。パンフレットをわざわざ出すまでもなかった。クリスは景色をしっかりと瞼の裏に滲ませた。
「見てごらん……これがお父さんの学校だよ」
「ほら、ここの景色はすごく綺麗だろう?お父さんはいつもここから景色を見るのが大好きだったんだ」
「……大きくなったら、この学校に入るんだよ。そして、お父さんと同じようにここで同じ景色を……」
胸にまた鋭い痛みが走り、クリスは思わず窓枠を掴んだ。クリスは今、確実に一人ではない。遠くにいる誰かと繋がっていた。その記憶も想いも。
「ノア……」
少し気持ちが落ち着いたところで向かった先は、美術室だった。ふと廊下の窓から校庭を覗いてみると、サッカー部が他校と練習試合をしているところであった。今、シュートを決めた少年は大河内だ。クリス自身はあまり話したことがないのでよくは知らないが、落合と最近仲がいいと聞いている。思った傍から本人が登場した。美術室前の廊下で、落合は数人の後輩たちと共に騒がしくサッカー観戦をしていた。
「おっ、いけ!そこだ!よし……あーあ。あっ、ふざけるな!汚ぇぞ!」
夢中になっている落合に声をかけたものかと思案して、クリスはこっそりとその背後をくぐり、半開きになった美術室の入り口からそっと不法侵入した。美術部も今は昼休みなのだろう。隅でお弁当を食べていた一年生たちはクリスの方をちらっと見たが、すぐにまた談笑に戻っていった。花木先生はいなかった。美しい絵画はやはりそこにあった。
なんだ、やっぱりあるじゃないか。何で落合は見たことないなんて言ったんだ。クリスは廊下から聞こえてくる暢気な声に、やや憤懣を覚えた。クリスは絵の前の机に体を預けて、志水晶の傑作を見つめた。とても絵の美しさに見とれるような雰囲気ではないことは百も承知だったが、湧きあがってくる感動がないのには自分でも驚いた。クリスはいつもよりもずっと理性的な目でこの絵を眺めていた。この絵が本当に志水晶の幻の絵だろうか?絵というものを変えたというあの……確かにこの作品は見ている者を幽玄の世界へと引き込ませる。恍惚とさせる。だが、幽玄は革命に到っていない。この絵はクリスの捜していた絵ではないのか。
「それでも僕は……」
そんな声が聞こえた瞬間だった。クリスはもう一つの絵を見た。それは、同時に切りこまれた痛みよりも鮮烈にクリスの胸に焼き付いた。落合が目の前の絵を知らないと言った理由をクリスは今ようやく知った。
「おーい、エーリアル!」
ちょうどサッカーが終わったらしい。興奮して飛び上がる後輩を背景に落合がやってきてクリスの肩を叩く。
「どうしたんだよ。寮に帰ったとばかり思ってたぜ!」
「うん。ちょっとね……」
「それより、おい、見たか?三宿が勝ったぜ!四対一で。大河内のハットトリックが決まった品。さすがキャプテン!」
「へぇ、そうなんだ。すごいね……」
大河内にもサッカーにも興味のないクリスはそんな返答しかできない。しかし、落合は一向に構わぬ様子である。そもそもクリスがここにいる理由すら気にならぬという有様なのだ。構わぬついでに落合はクリスを昼食に誘った。春の展示会に出す作品がもう大分仕上がっているとかで随分余裕があるらしい。町まで降りようという誘いを、よっぽど気力を使えば断れたのだけれども、何事も流されるばかりの心地になっている折であるから、結局だらだらと付き合うことになってしまった。振り返った目に、もう一度だけあの絵が見えた。
***
新しい住まいには物が少ない。当然のようにそれまでよりは幾分不便な生活を強いられることになり、それは二人もある程度は承知していたのだが、流れる音楽のないのには一向に慣れなかった。学園では、二人の趣味のCDの他、茘枝のバイオリンやら陽のドラムやギターが鳴っていたし、何より潮騒の音があった。このコテージにも潮騒はあるが、三宿湾の穏やかな様子とくらべると少し品が落ちる。周囲は全くの別荘地で、この季節にもちろん人はいないから、不気味なくらい静まりかえっている。高い波の音とそして静けさと。余りにも極端な旋律とそして不便の中で、二人は存外楽しく暮らしていた。最早二人の生活に割り込んでくる者もない。それが、この生活の一番の魅力であった。
しかし、どうしても人と会わねばならぬ時というのも世の中にはあるのである。
「まーた、お前が運転か。偶には代わってくれたっていいだろ?」
「君が無免許運転でつかまるのは見たくないからな」
「ったく、堅いこと言いやがって」
「愛すればこそ、だ」
そんな台詞がでてきたのは、古い洋画を連日見続けているからかもしれない。何せ、このコテージでの娯楽はせいぜいそれしかないのだから。陽が怪訝そうな顔でのぞきこむのに、茘枝はおかしさとちょっとの恥ずかしさとでつい笑ってしまった。
「大丈夫か、お前?」
「ああ、もちろん何ともないさ」
「少し来てんじゃねぇの?」
「そうかもな」
「……やっぱ運転代われ」
「それはできない」
「オレもまだ死にたくないんだけど」
ふと思いついたと同時に決行した。少し酔ったようにもたれかかって、陽の首筋の辺りに顔を寄せる。
「……中毒症状、かもな」
言った唇をふさがれた。シートベルトはまだしていない。
***
「部長、色塗り終わりました」
「おっ、お疲れ。今日はもう上がっていいぜ」
「はい」
展示会に出すという共同作品の色塗りをなぜかクリスも手伝うことになってしまい、美術室には西日が差しこみ始めていた。クリスの作業は気にくわなかった緑色を再度調整しなおして終了した。落合が気前よく終わった順に部員を帰してしまったせいで、部屋にはもうクリスと落合しかいなかった。
「落合、こっちも終わったよ」
「悪いな、エーリアル。手伝ってもらっちゃって」
「無理やり手伝わせといてよく言うよ」
「時間大丈夫なのか?」
「うん、もう待ってる人もいないしね」
笑顔で放ったその言葉を落合がどんな風に受け取るか考え付くまで、少し時間がかかった。クリスは気まずい空気を振りきるように速すぎる動作でパレットと絵筆を拾って、水道に運んでいった。落合もその後ろで黙々と片づけを済ませていた。
「なあ、エーリアル」
「何?」
落合が隣に並んで話しかけた時、クリスが落合の顔をわざわざ見上げることはなかった。
「本当にそのままでいいのか?有瀬のこと」
冬の水道水が両手の感覚を奪っていく。
「本当はそのうちどうにかなるなんて思ってねぇんだろ?どうにかしなくちゃいけないことぐらいわかってるくせに」
「……」
「前の時もそうだったじゃねぇか。有瀬が生徒会長に預けられそうになったときも。結局お前が自分で解決したんだろ?今回だってそうだ」
「でも……」
「お前と有瀬の問題じゃねぇか。お前が動かないで誰が動くんだ?……今のお前、少しもお前らしくねぇよ」
全ては、君と有瀬君との間で起こったことなのですからね――校長の言葉をクリスは思い出す。でも、俺に何ができるっていうんだ?有瀬の居場所も知らないのに。大体有瀬から俺の元を離れていったっていうのに。
「あいつ、待ってると思うぜ。お前のこと」
有瀬が俺を待ってる?一体どこで?だって、二人の友情はもう……クリスの胸が疼いた。パレットの絵具は綺麗さっぱり洗い流されていた。
パレットと絵筆を西側の窓に並べて干していると、落合が急に千円札を差し出してきた。他の世界の方に気が飛んでいて、一瞬何が何だか理解できずにいたクリスに、落合は素っ気ない声で説明した。
「ほら、昼間の」
「あっ、うん……」
そういえば、財布を美術室に忘れてきた落合に千円貸したんだっけ。昼間のことなのにすっかり忘れていた。クリスは手をハンカチで拭ってから貸した分を受け取り、ポケットの財布を開いた。その時、紙幣と紙幣の間に、小さく折りたたまれた一枚のメモがあるのをクリスは発見した。一体何だろう。いつかの買い物のメモだろうか。クリスが広げてみると、そこには見慣れた几帳面な字で短くこう綴られていた。
塔の上で待ってます
篠木山展望台――学園を望める唯一の場所は、閉館時間を過ぎていた。それにも関わらず千住慎は平然と展望室に居座っている。止める者もいない。全ては慎の成す技である。
今夜だ。慎は学園の白い建物だけが、残光にも夜の闇にも惑わされずにいるのを見つめながら、密かに呟いた。今夜全てが変わる。水晶の光を捨てた者たちは、たった一人の少年が起こす奇跡に賭けるしかない。消えることのない輝きを持った少年が織りなす、革命に。
「そろそろかな?」
そう言って慎の傍らに立ったのは颯だった。また二つの足音がして、茘枝と陽も開いたエレベーターから姿を現わす。慎は立ちあがった。四人は示し合わせた訳でもなく、自然と一つの景色に吸い寄せられ、そこで起こる奇跡をじっと待ち望んでいた。
「Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate'」
慎の唇が勝手に紡いでいた。
「この門をくぐる者は一切の望みを捨てよ」
上履きのまま外に飛び出たクリスの手にはあのメモだけが握られていた。目指す先はただ一つだった。白い塔。あの水晶の塔で、ノアが待っている。走るクリスの肺に冷気が流れ込んできた。上履きは土の道を走るにはあまりにも柔らかすぎる。既に足が痛み始めている。口の中で鉄の味がする。でも急がなければ。ノアのために。自分のために。何よりも大切な二人の友情のために。
胸元で水晶の指輪が跳ねている。この学園には後もう三人だけ、同じ指輪を持った者がいた。