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間違いだらけの作品論  作者: ミン
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夢追い人を見下すな

 夢を持ちなさいって大人が言う。

 ところが夢を持つのが許されるのは小学生までで、中学生になり、そして高校生にもなれば、大人は決まってこう言うのだ「いつまでも夢ばかり見てるんじゃない」。俳優、ミュージシャン、そして作家――そういう世界は、それ以外の人からすれば、「馬鹿な夢」なのだ。だから、そんなことに費やす時間というのは、ほとんど不毛に見えるのだろう。


 夢に突っ走ることが問題になるのは(大人が問題にするのは)、人生設計をそれに向けてたててしまう時だ。学校にちゃんと行っていれば、大学に行っていれば、就活をやっていれば、そして、保証のある‘しっかりした’会社に勤めていれば、その傍らでどんな夢を追いかけようが、大人たちは温かい目で見守ってくれる。


 ところが、学校に行かず、大学を留年あるいは中退し、就活をせずまたは会社を辞めて、その「夢」に向かって突っ走って行こうとすると、大人たちは急に怒り出す。「大人になれ」「馬鹿じゃないのか」「人生舐めるな」――きっとこの「なろう」において、本気で作家を目指している方たちは、こういう声を聞いてきたのではないだろうかと思う。


 しかし、夢を持つ若者たちよ、諦めるな。大人の勝手な常識に乗っかる必要なんてない。先のことを考えろ? ふざけるな、夢を追う者たちは、自分の短い人生、命がどうなるかなんていう刹那的なことのために魂を燃やしているのではない。夢追い人というのはいつも、ご立派な社会人から批判されるが、夢追い人のいなくなった世界に、何の楽しみがあるというのだろうか。


 社会人というのは、どういうわけか、自分たちの社会とか会社の常識が通用しない人たちを「非常識」と言って非難する。利益と関係のない哲学のことを理解しようという姿勢がまるでない。社会人は多数派だし、金も稼げる。だから社会人が「正解だ」と思っている。その常識の外の、例えばプータローのロック歌手なんて、自業自得の人生の落後者にしか映らない。


 私がこれを書いているのは、この日本の社会に対する怒りからである。ニュースのコメンテイターも、ニュース記事の一般ユーザーのコメントも、人気になるのは常に‘大人の一般常識’だ。歌手や芸術家の良心について批判する。芸能人の薬物について批判する。批判だけに終始する。誰も、なぜそうなのかという本当に大事な部分に踏み込もうとしない。法律だなんだかんだと御託を並べるだけだ。


 「なろう」系の作品がつまらない? いや、もっともだと思う。文章が下手、描写なんてない、セリフ回しも空々しいし、リアリティーが欠如している。テーマなんてあるのか? 思われても仕方がないと思う。けれど、ご立派な大人たちの、ありきたりでつまらない意見なんかよりは、断然面白いと思う。


 ジャングルの奥地や絶海の孤島にいる動物学者、貧乏で孤独な画家、駅前で歌っている下手な歌手、バイトの傍ら知名度なんてない舞台のために稽古をする俳優たち、そして「なろう」作家――私は、彼らのことを愛している。彼らは、絶対にこの文明には必要だ。立場も弱いし生産性もないが、この社会が彼らの存在価値を正しく認められるような、大らかな心と叡智を獲得できることを願ってやまない。

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