平和教育の間違い
８月１５日は終戦記念日。
この国にも、いろいろあった。守るために戦った人々がいて、我々はそれらの犠牲の上に、この土地に生きている。それは、日本だけの話ではなく、どの国の人間もそうだ。文明は戦争を繰り返し、そして今我々は、彼らの勝利と敗北の恩恵を受けている。
平和教育の話だ。
世界の各国がどうやっているかは分からないが、日本では、「戦争は悲惨なんだよ」とか「やっちゃいけないんだよ」とか、そういったことをゴリ押しするような学習の仕方をする。東京大空襲、原爆、沖縄での戦い、そしてまた、神風特攻隊について勉強する。そういう、戦時中の悲劇にスポットを当て、その痛みを共感させることによって、平和の大切さを子供たちの心に呼び起こそうというのである。
しかし、この方法ではいつまでたっても戦争はなくならない。
大事なことは、なぜ第二次世界大戦が起きたのか、日本が満州なるものを作らなければならなかったのか、なぜ、アウシュビッツというシステムが必要だったのか、ということを分析することである。そのためには、それを肯定する側の理屈も、知らなければならない。極端に言えば、「戦争は正しい」だとか「人類は戦争によって発展する」だとか、そういった類の考えの方をむしろ、しっかり吸収すべきだ。
戦争は悲惨である。しかし、その悲惨さを知っているから戦争を止められる、というものではない。医者が病気を治せるのは、病気の苦しさを知っているからではなく、病気の構造を熟知しているからである。戦争が起きない社会、平和な社会を作ろうと思ったら、戦争の悲惨さを知ることよりも、戦争の構造を知ることの方が遥かに大事なのではないだろうか。
カリキュラムの問題なのか何なのかわからないが、折角この国には、学ぶことの自由がある。学びには、制限を設けるべきではない。前にアメリカの偉い人が、「原爆は必要だった、しょうがなかった」というような発言をして、問題になったことがあった。しかし実際、そういう歴史観もあってしかるべきだと私は思う。そういう見方が出た時にアレルギー反応を起こすだけではいけない。
そういうポイントを外した教育をしてしまったせいだろうか……ネットで、韓国とは国交断絶だとか、中国人がどうだこうだという書き込みをよく目にする。戦争望むところだみたいな、バカっぽい発言も多い。こういうのは、論ずるに値しない。日本のでも世界のでも歴史を見ればすぐにわかるが、隣国と危険な状態にあるというのは、それだけで双方の発展にとってかなり不利なのだ。嫌いだから断絶するとか、鎖国せよとか、戦争だとかいうのは、刹那的な、子供の喧嘩と同レベルの考え方である。
そういうことも考えてみると、平和教育はまず、歴史教育からだと思う。単語を暗記するだけでなく、「歴史を見る目」を養わなければいけない。
