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間違いだらけの作品論  作者: ミン
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ヴァイオレット・エヴァーガーデン

 ご存知「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。

 ネットで感想やら自称アニメ好きの評価を見ると、これがなかなか酷評されている。酷評とまではいかなくても、「イマイチ」という評価が多い。私はこの現実に落胆している。がっかりだ、アニメ好き達よ……。


 はっきり言って、この「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」というアニメ、良い作品です。


 主人公のヴァイオレットは、小さい頃から戦争のための殺人マシーンとして育てられた少女です。戦争後、彼女は手紙の代筆業――自動手記人形になります。慕っている少佐が自分に打ち明けた「愛」というものを理解するために……。


「愛」という言葉への、主人公ヴァイオレットの直向きさが胸を打つ作品です。心のない、まさに機械のようなヴァイオレットと触れ合う人たちは、彼女の無神経さに困惑したり、腹を立てたりします。


 しかし、彼女の「愛」に対する真摯な気持ちを見て、ヴァイオレットの周りの人たちが変わってきます。ヴァイオレットは心の無い機械だ。しかし、本当にそうなのか? 機械が、「愛」を理解しようと考えるだろうか? もしかするとこの子は、自分なんかよりもよほど、「愛」というものに真剣なのではないか。自分は、「愛」をわかったつもりでいるだけではないだろうか――というように、ヴァイオレットに接する人々は考えるようになります。


 嘘のない彼女の前に立つと、皆、飾りを捨てて、素の自分になって、ヴァイオレットに話します。自分の過去であったり、弱みであったりを。この作品、ヴァイオレットの心の成長も見どころです。直向きなヴァイオレットは可愛いです。しかし、一番の見どころは、ヴァイオレットとの関わりの中で変化してゆく人々の心です。


 ――だからもっと絶賛されていると思ってネットを調べたのですが、「オーバーロード」とかのほうが人気で吃驚しています。皆もう少し、言葉の意味だとか、考えたほうがいいよ……表の映像や言葉に騙されすぎだよ……。


「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」、今5話が放送されて観終わったところです。5話も、やっぱり良かったですね。姫と王子の文通の話ですが、この話の見どころは、姫と王子の結婚が決まった後、姫の教育係アルベルタと姫の最後のやりとりです。


姫「わたくしはここよ、アルベルタ」

ア「姫、大人をからかうものではありませんよ」

姫「あら、わたくしだって、もう立派な大人だわ」

姫、嬉しそうに笑う。

 アルベルタは一瞬間を置き、微かにうなずいたかのようにして、

ア「さ、お支度を、シャルロッテ様」


 ここの部分。国語の問題なら是非ここを使ってもらいたいという部分。

 問、姫が「もう立派な大人だわ」と言った後、アルベルタは一瞬間を置きますが、この間は、一体何だったのでしょうか。


 最終回がなかったとしても、「良い作品」というのはあるものです。この作品は、まさにそういう部類の作品です。こういう作品を、もっと観たいものだなぁ。

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