東の森‐1
コジロウタの兄ちゃん等と別れた後、ワイらは…
「東の森に着いたどーー!!」
「こら、あまりはしゃぐな。」
兄ちゃん等に勧められ、東の森に居た。
なんでも兄ちゃん等曰く、ワイらのプレイヤースキルなら東の森に行っても大丈夫やいう事やったからや。今の狩り場は
西の平原→初心者でごった返しとる。
南の海→初心者抜け出した奴等がチラホラ。
北の山→βテスターどもの狩り場。
東の森→不人気。生産者達の採取場。
やからやそうや。敵の強さは西→東→南→北の順で強いらしい。東より南のが人多い理由は、森に出るモンスターが虫系が多くてキモいからやそうや。つまり、虫に慣れとる山育ち田舎在住者のワイらには関係あらへんいうことやな。
それに、どっちかいうとワイらの場合は森の方が都合がええ。人少ないからねぇちゃんも堂々と動けるし、ワイも矢の材料になる木の枝拾える。もうちょい言うと、ねぇちゃんが《採取》取っとるらしいからそっちもレベル上げ出来る(あとは《調薬》を取っとるそうや)。トントントンのいいことずくめや。
「とは言え、気を緩めるな。1部のMobが毒を持っているらしい。《調薬》を取っているが、その場ですぐに薬を作れる訳ではいからな。まず材料が無い。」
「ほーい。」
ねぇちゃんの後に続いて、ワイも森に入る。
あ、ねぇちゃんはちゃんとさっき貰た【潜入者の耳飾り】着けとるで。どーやらこのアイテム、フレンド登録しとる人には効果が無いみたいや。ワイには今まで通りねぇちゃんの姿で見えとるけど、他の人には違う姿に見えとるようや。来る途中で訓練所の前通ったんやけど、だぁあれもねぇちゃんの姿見て反応せぇへんかった。…代わりに、ねぇちゃんと一緒に去ってったワイの姿を見つけて追いかけてきたけどな…(ワイも【潜入者の耳飾り】貰うてたんで、テキトーな店入って姿変えて撒いてきた)。
『ぽーん!メールだよお兄ちゃん♪メールが来たよー♪』
「おろ?」
メールの着信音が鳴る。誰や?ワイにメールしてきたの…。ねぇちゃんはここにおるし、コジロウタの兄ちゃんとコマの姉ちゃんは別れたばかりやし…誰や?あ、もしかして牛の兄ちゃんか?それとナビちゃん、なんか久しぶりやな。
「ねぇちゃん、ちょっとええ?なんかメールが着た。」
「あぁ。というか、私にも着た。送り主は…運営からだな。」
どうやらねぇちゃんにもメールが届いてたらしい。…にしてもなんやろ一体?
メールの見方は確か…腕を3回叩くと出るメニュー画面からメールって書かれた欄をタッチして…と。出たでた。
△△△△△
公式からのお知らせ。
この度、『New Myth Online』をご利用頂きありがとうございます。
先程、『New Myth Online』にログインした人数が5,000人を突破した為、開幕特別イベントを開始します。開会式をいたしますので、プレイヤーの皆様は出来るだけログインをしていてください。
内容は秘密。どのようなイベントなのかはお教えできません。お楽しみにしていてください。
時間:『New Myth Online』時間 明日 昼の3時から
開会式場所:セント・アポロン教会前広場
※注意 このイベントは途中参加が出来ません。ログインさえしていれば開会式に出ていなくても参加出来ますが、ログインしていない場合は参加が出来ません。必ずログインするようお願いいたします。
▽▽▽▽▽
内容はイベント関係やった。へぇ、特別イベントねぇ…。内容は秘密言うてるけど、何するんやろ?なんや、ワクワクするな!!
「ほへー。ねぇちゃん、特別イベントやって!ねぇちゃんはどないする?ワイは参加すr……ねぇちゃん?どないした?」
「………。」
ねぇちゃんの方を見ると、ねぇちゃんはなんや難しい顔で画面を睨んどった。ねぇちゃん、どないした?顔怖ぁなっとるで?
「あ、すまない。つい考え込んでしまってな。なぜ、“今”なのかと…。この『New Myth Online』というゲームはβ・新規合わせて5000と少しのプレイヤーがいる。開会イベントをやるのなら初めから告知を出して、openから始めていればいいのに…と思ってしまってな。それに、“開会式”に出ていなくても“ログイン”さえしていれば参加出来るというのも気になる…。」
ねぇちゃんがう~んう~んと考え込む。
そないに考え込む必要あるん?ワイ、ただ単に運営さんがサプライズで用意してたんと思うんやけど…。こういうサプライズは突然やるから楽しいやん。そう言う事やないの?
「……ふ。それもそうだな。私の考えすぎか。初イベントだから、サプライズでナニカ用意しているというだけか。」
「そうそう。ねぇちゃんの考えすぎ。こういうんは気楽に楽しまな相手さんに失礼やろ♪」
ワイの言葉に納得したのか、ねぇちゃんの顔が緩んだ。そうそう、その顔その顔。さっきのよりもええ顔やで。さっきのねぇちゃん、考えすぎて眉間にシワがメッチャ寄ってたで。そのまま眉間にシワ寄ったままになるか思うたわ。
「それはない。余計なお世話だ。(ペチン)」
「あいた!ねぇちゃん…ひどい。」
ねぇちゃんのデコピンが炸裂。…ねぇちゃんのデコピン、地味に痛い。ワイ、ほんとの事しか言うてへんのに…。
「さて、それでは行くとするか。まだ序盤だから皆が楽しめるように工夫されているイベントだと思うが、もしかしたら何かしらのスキルが必要になるかもしれん。レベルは上げといて損は無いし、もしかしたらアイテムも必要になるかもしれんからな。ほら、行くぞ陸!」
「ちょ!?ねぇちゃん待って!!それと今のワイの名前『パキケファロ』!!リアルネームはマナー違反やで!!」
「おお!そうであったな!ではパキ、行くぞ!!」
ねぇちゃんの後に続き、ワイも森の中に入っていった。
…………
………
……
…
――ねぇねぇおにいさま、まだはじめないの?
――まだ、まだ。はやまってはいけないよ。みんながあつまるのをまつんだ。
――う~。う~!わたし、まちきれない!すこしかわってて、すごくおもしろそうなひとみつけたの!!だから、はやくはじめたい!!いまもまだいるし…はじめちゃだめ?
――だめだよ!ぼくだってがまんしているんだ。あともうすこしなんだからがまんしなさい!
――うー!ぶー!
――……あともうすこししたら、いっていいから。おまえのしごとはかくれることだし、むしろじゆうにこうどうしてくれたほうがぼくがやりやすい。だからあとすこしまってくれ。
――うん!わかった!!まつよおにいさま!!
――よし。いいこだ。
――えへへ…♪ほめられた。
――あぁ、けどまちきれないなぁ♪はやくじかんにならないかな?
――はやく、はやく!あいにいきたいな♪
ねぇ、お に い ち ゃ ん ?
『……うん。そうだね。早く始めたいね。だから、あともうすこし待ってて。僕の大事な―――』
次回、掲示板回の予定