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進め!!我ら食いしん坊行進曲!!  作者: ゴハンスキー・パンモスキー
前菜
5/13

シロイヘヤ‐2

「耐久値…在るんやな…。」

『はい。ございます。因みに武器・防具等にも存在し、仮に万全な状態が100としましょう。通常の使用で1減少。先程の技の使用で2~5。敵の攻撃を受けたり、無理な使い方をすると10~50減る事がございますのでご注意下さい。』

「あ、ご丁寧にども。」


なんとも言えん空気の中、ナビさんが耐久値について説明してくれた。そうか…コレ正常なんか…。150%だとどないやるんやろ…。


「てか、危のうないコレ?他の人大丈夫なん?」


特に斧とかハンマーとかの高威力の武器取った人達。確実に耐久値超えるやろ。


『ご心配には及びません。あの案山子は弓の練習用です。案山子は各々取った武器に合わせたDEF・耐久値があるモノを用意しております。このような事は各武器を持つβテスター様達の中でもSTG・ATK・INTが飛び抜けている方にしか出来ませんし、そもそもβテスター様達はチュートリアルを受けません。というか、誰も受けられませんでしたし…。他の《弓》を取った方々では、クリティカルでも耐久値の3分の2減らすのが関の山でした。今回の事は案山子の中でも耐久値の低い【弓の案山子】で、《弓》を取った方々の中でもトップクラスのATK・DEXを持ち、STGに至っては飛び出しているパキケファロ様だからこそ起こってしまった事でございます!』

「お、おう…そか…。」


ナビさんのマシンガントークに思わず後ずさる。なんやろ…この無駄な迫力…。そしてナビさん少しアホの子?ええの?ワイが《弓》持ちの中でもSTG・ATK・DEXがトップクラスって教えて。他の人のステータス分かる事言ってええの?


『…あ!?…あ、えっ、そ、その…。すみません。忘れてください。』


あ、ダメやったんか。

…まぁええやろ。それは何となく予想ついとったから。たぶんワイがトップクラスなのは『ドワーフ』やからややろうし、その分普通の弓職に求められる事の多いAGIとかがビリケツやろうからな…。


『…すみません。その通りで…。あっ!?わ、わたし…また…。』

「ええねんええねん。ワイはなんも聞かなかったで。まだナビちゃん生まれて少ししか経っとらへんのやろ?まだ子供やん。失敗してもええねん。今度から気ぃつけや。」


なんかもう今にもグズグズ泣き出しそうな声になっとるナビちゃんをいさなめる。…なんやろ、初めの頃と違うて、ナビちゃんドンドン幼なってないか?猫被っとったんか?


『ぱ、ぱきけふぁろざぁまぁ~!!』


とうとう涙声になったナビちゃんをあやしながら、ワイは道具の使い方やメニューの開き方、チャットや掲示板のやり方とかその他注意せなアカン事とかを教わり、最後に矢が無くなるまで弓の練習させてもろてからナビちゃんと別れた。(練習し終えたら矢を全部補充してもらえた。)


『パキケファロお兄ちゃん!困ったらわたし呼んでね~~!!』

「おう!またな~。」


…なんかもう、最後の方呼び方『お兄ちゃん』になったで…。けどまぁ、AIが高性能っちゅうんはわかったな。たぶん性格変化(アレ)はAIが成長したからなった変化なんやろ…たぶん。成長しとる筈なのに性格幼くなってくとはこれいかに…。

まぁええ。なんやかんや色々時間とってまったけど、いざ!新神話へGoや!


ワイはナビちゃんの出してくれた新神話の世界に続く扉を開け、1歩踏み込んだ…




********



扉を抜けると、そこは新世界。中世の田舎というか古い街というかなんというか…ちょっと首都から離れてるけどそこそこ発展してるような雰囲気の街やった。所々に花や飾りが飾られており、扉近くの大きな岩には『始まりの街、ソフにようこそ!!』と彫られとった。

既に沢山の人がおり、色んな所から「軽戦士の方~いらっしゃいませんか~!」とか「PT募集してま~す!」とか「回復職~!誰か回復職の人居ませんか~!!」とか聴こえてくる。


「あっ!そこのドワーフの人!!良かったら俺達と組まないか?」


近くにいた犬種の獣人の兄ちゃんらが近づいて来た。と思うたら声かけられた。おおーこれが勧誘か…。けど…


「サーセン…。ワイ、既に組んでるんですよ。悪いけど他当たってくれます?」


ワイ、ねぇちゃんと組んでんねん。邪魔されとうないんよ…。ごめんな、兄ちゃん達。


「ああ~そうなのか残念…。」

「先約がいたのか~。」

「ところできみ、もしかして武器は弓?」

「ドワーフで弓か~。面白い事考えたね~君。頑張んなよ。」

「おう。ありがとな兄ちゃん達!兄ちゃん達もがんばりや~!!」


ワイは兄ちゃん達と別れ、集合場所に向かう。…なんか、幸先ええかも。












「あの~、もしよろしかったら私たちと組んでみませんか~?」

「え~!だったらうちの所オススメですよ!」

「イヤイヤイヤイヤ!ここは是非私達の所に!!」


集合場所に着いた途端、目立つ集団を見つけた。なんか若いお姉ちゃんらが塊になって誰かを勧誘しとるみたいや。ワイ、それなりに身長高いけど姉ちゃんらの帽子やら角やらが邪魔で相手の顔が見えんなぁ。

ただ、相当のイケメンらしい。周りの姉ちゃんらが顔紅くしてきゃーきゃー言っとる。…周りの男共の目が恐ろしなっとるなぁ。


「いや、すまない…。もう既に人と組んでいるんだ。申し訳無いが他の方と組んでは頂けないだろうか…。」

「「「え~~!!」」」

「そう言って、もうかれこれそこに30分立ってるじゃないですか~?」

「そうですよ~。たぶんその人、もう他の人と組んでますよ~?」

「だったら~私達と組みましょうよ~!」

「そんな事は無い!!…ってちょ!?貴女くっつこうとしないで下さい!!そっちも貴女も触ろうとしないでくれ!?」


……なんか、ごっつう聞き覚えのあるハスキーな声。


(あー、あー。…ナビちゃんナビちゃん。聞こえとりますか?聞こえとったら返事下さい。)


ワイはなんかヤな予感がし、手を耳に当ててナビちゃんを呼ぶ。これは『コール』言うて、フレンドや運営さんとかと連絡をとる手段や。さっきのチュートリアルで教えてもろた。


『はいはーい!!なんですかパキケファロお兄ちゃん♪』

(お、通じたか。よかた~。…なあナビちゃん、今ってここの世界で何時?)

『今ですか?今はですね~お昼の3時ですよ~。』

(そか。おおきにな。)

『いえいえ♪他にご用はありますかパキケファロお兄ちゃん?』

(あー、無いで。それとワイの名前長いやろ。パキでええよナビちゃん。)

『わかりました!了解です!また困った事があったら呼んでねパキお兄ちゃん♪バイバ~イ♪』

(バイバ~イ。)


wiki曰く、この世界の時間は現実世界の時間を何倍か加速しているらしい。そして1日12時間で昼・夜が6時間で交替する。新神話の開始がこの世界の昼の1時から。ワイとねぇちゃんの待ち合わせは昼の2時半。


…ワイ氏、集合時間より30分遅刻が判明。後で時計機能ないか聞かないと…。


となると、あの集団の真ん中って…。………一応、確認するか。

フレンド…はまだ登録してへんから出来んし…う~ん…。

ワイはキョロキョロと辺りを見る。…あ、あの牛の兄ちゃんデッカイなぁ。…頼んでみよ。


「なぁなぁ、そこの角の立派な牛の兄ちゃん。ちょっとええか?」

「…あ?オレか?PTの誘いなら乗らねぇぞ。」

「ちゃうちゃう。兄ちゃん、ちょっとワイを担いでくれへん?あの集団の真ん中見てみたいねん。…ダメか?」

「あ?そういう事なら別にいいが…。なんだお前、あのイケメン野郎の知り合いか?ほら、担いでやるからこい。」

「おおきに、兄ちゃん。」


牛の兄ちゃんに頼み、担いでもらう。こういう接触行為はお互いの同意さえあれば大丈夫ってさっきナビちゃんから聞いた。

にしても、イケメン野郎か…。イケメン野郎…ほぼ間違えないな。


そう思いながらも、集団を見る。

…その真ん中にいたのは、ヒューマーで棒を担ぎ、紫と橙の混ざった暁色でちょっと跳ね癖のついた髪をポニーテールで纏めた空色の切れ長な目が涼しげなインテリ風のクールな美人さんやった。…間違えない。


「ねぇちゃーーーーーん!!ワイはここやーーーー!!」

「!その声は…我が愛しの弟よーーー!!」

「「「え、ねぇちゃん!?!?!?」」」


お姉ちゃんに囲まれとったイケメン、もといねぇちゃんが集団から猪ばりの勢いで飛び出し、一直線に向かってくる。何故か固まっとる兄ちゃんから飛び降り、ワイはねぇちゃんに思いっきり抱きつきにいった。

▼ナビさんは ナビちゃんに 進化した !!


ナビちゃんはヒロインになるのか!?

次回、明かされる姉弟の実態。

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