令和三年年越し番外編
「……なあ、去年も確か騎西と――」
「さーて、何のことかなー?」
「子乃坂お前がとぼけてどうする!? この一年間何だったんだよ!?」
新年早々雑煮を片手に苛立つ穂村と、カセットコンロの調節をしながらこたつの中に足を入れる子乃坂。イノとオウギは既に二人揃って餅をのばして遊んでいるが、今回はそれに加えてゲストが来ている。
「……なあ、何で俺もこっちにいるんだ?」
「知るかよ。つーか、本編で互いにブッ殺すつもりで戦っているってのに正月だけ仲良しこよしで飯食えるかよ」
「そりゃこっちの台詞だクソが」
「んだとゴラ……」
「やんのか?」
「はいはい、二人とも正月なんだから、戦ったりしたら駄目だよ」
機械化された右目に右腕。それが騎西善人の一番の特徴であることはいうまでもない。しかし今回は戦うような雰囲気でもなく、穂村とは反対の方からこたつに足を入れている。
「年明けたらちゃんと決着つくんだろうな?」
「つけられなかったら作者んとこにカチコミに行きゃいいだろ」
物騒な言葉を吐きながらも子乃坂から渡された雑煮に手をつける騎西を横目に、穂村は空になったお椀を子乃坂の方に渡す。
「えっ、もう食べ終わったの?」
「新年明けたら最終ラウンドだ。それに向けてたらふく食っとかねぇとな」
「おねぇちゃんもおかわりだって!」
双子の姉であるオウギも、無言ながらお椀をずずいと突き出している。
「はいはい、相変わらずオウギちゃんは食べるのが好きなんだね」
穂村よりも大盛りの雑煮に満足げに笑みを浮かべながら、オウギはぎこちないながらに箸を使って餅をはさんでいる。
「そういえばオウギちゃんは今まで箸の練習とかしていなかったの?」
「そもそもそいつは――って、説明しても分かんねぇか。イノもオウギもそういう教育を受けてねぇみてぇだからよ、なんだったら子乃坂から色々教えてやってくれよ」
――“言われてみりゃオレ様が表に出てる時も、最低限の世話をするくらいでそうやって教えてやることはしていなかったな”
そもそも作中の時間の進みを改めて計算しなおすと、穂村が双子を拾ってから四ヶ月程度しか経っていないのはここだけの話である。
「えっ、でも実際の連載期間は四年――」
「それ以上はやめとけ」
「つーか俺との因縁が長過ぎんだよ。いい加減決着つけさせろっての」
「それこそこっちの台詞だクズ鉄野郎」
「んだと!?」
「やんのかァ!?」
今にも勃発しそうな空気ではあるが、今回はあくまで新年特別編である。
「……チッ!」
「しょうがねぇな……」
そして今回もまた、去年同様にゲストを呼んでいる。
「そうだよ去年のゲストどうなってんだよ!? あいつ主人公で新作書くんじゃなかったのか!?」
「どうせ作者の見切り発車ってオチだろ? ……あぁん? 一応執筆してるはしてるだと?」
「なんか納得いかないから設定から練り直す、だって」
「本当に大丈夫なのかよ……」
冗談はさておき、今回のゲストであるが――
「あるが……?」
……次回をお楽しみに。
あけましておめでとうございます。今年も楽しい物語を書いていきたいと思いますので、皆様よろしくお願いいたします。
追記:次回ゲストは二人の予定です……(´・ω・`)




