第二章あらすじ
ひきつづきネタバレを含みますのでご注意ください
目が覚めると、カツミは現実世界の自分の部屋にいた。いままでのできごとは夢だったのかと思うが、家にはクリエイターズのエマそっくりの〈母〉、ディーに瓜二つの〈妹〉がいて、こちらもやはり現実とは思えない。混乱の中でカツミは意識を失う。
再び目覚めると、今度は知らない部屋にいた。そこはルサ=ルカの屋敷の一室で、カツミはリゥと戦った後気を失い、ずっと眠り続けていたのだという。
カツミが駆け出しの冒険者であるため、リゥを退けたとは誰も信じず、手柄はルサ=ルカのものになってしまったというが、カツミは気に留めない。
その後数日、カツミはルサ=ルカの屋敷に逗留する。目を覚まして以降、ディーの姿が見当たらず、数日待ってみるが、やはり現れない。
カツミはリゥ=バゥに復讐を予告されている。自分がここにいることでいずれリゥがやってくるのではと思い、ディーは不在のままだが、ウォータを離れようと思う。
が、ルサ=ルカはカツミの考えを見抜き、リゥと戦うのであればこの街に留まって共に戦おうと訴える。リゥに傷をつけたカツミはウォータの希望であるから、そして自分たちもまたカツミの力になりたいと願っているから、と。ルサ=ルカの熱意に圧され、カツミはウォータ軍に加わることを心に決める。
ルサ=ルカの配下としてウォータ第七軍に加わったカツミ。第十一次ウォータ防衛戦に先立っての軍議に参加し、ゲームの記憶を頼りに、ジャリカカラ大砂丘の遺跡を偵察するよう進言する。ルサ=ルカは即座にその提案を受け入れ、ルサ=ルカと二人の副官、恐がりの大男ヴォルドと優男のニック、そしてマイケルとサヤとカツミというメンバーで偵察に出発する。
偵察行一日目の夜、カツミは再び、現実世界の自宅にいる夢をみる。〈母〉はいないが〈妹〉はいて、自分はリゥの半身、フェンだと名乗る。
この夢は、十三聖者のひとつ、パヴロスリングが作り出した世界である。十三聖者とは、力を得る代わりに、それに匹敵するものを後で支払うという秘宝。パヴロスリングの場合は、歴代の所有者の知識を得ることができるが、死んだ後に自分の知識がパヴロスリングに記録される。ディーの姿をした彼女もまた、パヴロスリングに記録されたフェンの記憶の残滓だという。
フェンは、やがてカツミを殺しにくるであろうリゥのために、カツミを、せめてリゥと互角に戦えるくらいに強くしてやると言う。それが自分の半身への最後の贈り物なのだと。
夢から覚めると、カツミの側でディーが眠っている。その頭には茨の冠があり、カツミは、あれはただの夢ではなかったのだと思う。
起きてきたルサ=ルカはディーを見て驚くが、ヴォルドにもニックにもマイケルにも、ディーの姿は見えない。カツミは、ルサ=ルカが十三聖者のひとつを所有していることに関係あるのだろうかと考える。
遺跡に突入した一行は、門番のサンドゴーレムを倒し、再奥の部屋で三本腕のオーガと対峙する。巨体に似合わぬ素早い動きに苦戦していると、ディーが現れ、フェンの口調で、早く倒さなければ死ぬと警告する。
フェンの助言を得てなんとかオーガを倒したカツミたち。だが、三本腕のオーガは、最後の力で、最も弱く無防備なサヤに攻撃を放つ。パヴロスリングの力でオーガの言葉を聞き取ったカツミは、とっさにサヤを庇い、遺跡の通路に飛び込む。
外伝
魚人を滅ぼしたリゥは、十三聖者のひとつを手に入れ、〈苦悶の海の魔女〉の元へと向かう。