プロローグ・鋼巨人極天王(ゴクテンオー)
「一気に決めるぞ、反重力力場発生装置起動!」
「了解した。ブラックサン・エンジン、ホワイトムーン・エンジン共に出力120%で固定、フィールド展開!」
パイロットシートから身を乗り出すようにレバーを握る少年の言葉にサブシートにて素早く機器を操作していた女性が叫ぶように答え、同時に二つのエンジンの高ぶりが震動となってコクピットに響く。
「よっしゃぁ!行くぞ、ステラ!」
目の前のモニターを睨みつけて獰猛な笑みを浮かべながらペダルを踏み込むと、重力制御システムでも消しきれない加速のGが僅かに体をシートへと押しつけようとしてくるが、少年はそんなものなど無いかのようにレバーを押し込んだ。
およそ40メートルはありそうな巨大な人型のロボットが、まるで重量など存在しないかのように地を駆ける。その巨体と見合わせてもなお、いささか大きな両腕を腰元に構え、肩を突き出してショルダータックルのように突き進むそれの先に存在するのは両腕があるべき場所にそれぞれ三本の砲を生やした異形の人型。
その異形の人型の全砲門が巨大ロボットへと向けられ、一斉に火を吹いた。次々と放たれる砲弾は、しかし巨大ロボットへと届く前にまっすぐに進んでいたその軌道急激に乱しある物は空へ、ある物は地面へと着弾し、一発たりとも届かない。
『そんな攻撃が届くか!』
少年の声と共に巨大ロボットの巨体がさらに沈み込み、地面を蹴ってさらに加速。まるで自棄になったかのように砲撃を続ける異形のロボットの懐へと潜り込んだ。
『吹っ飛べ!』
異形のロボットの懐に飛び込んだ巨大ロボットが、相手を真上へと突き飛ばすように腕を振るった。前方へと突き出された砲身の下を捉えられた異形のロボットはまるで上空へと重力が働いているかのように勢いよく吹き飛んでゆく。
『重力制御システム(ウラヌス)は安定している。追え!』
『わかってる!』
そして吹き飛んでゆくロボットを追って巨大ロボットもまた地面を蹴る。先に吹き飛ばされていた異形のロボットを上回る速度で上昇してゆく。
『右手に重星、左手に恒星を!』
巨大ロボットから発せられるボイス。それに応じるかのように巨大ロボットの両の掌に重く圧するかのような黒い光球と灼熱がそのまま変じたかのような光球が生まれ、握り込んだ拳をそれぞれの光が包み込む。
そして巨大ロボットが異形のロボットを追い越し上を取った瞬間、巨大ロボットが両腕を矢をつがえた弓のごとく引き絞り、腰部分から薄黒い光が発せられる。その光を浴びせられた異形のロボットが上昇を止め、今度はそこが無重力空間であるかのように動きが止まる。
『喰らえ!ブラック・ノヴァ!!』
放たれた両の拳が装甲を突き破り、深々と異形のロボットへと突き刺さる。
一瞬の停滞。
巨大ロボットが異形のロボットから光を失った拳を引き抜き、サマーソルトの形で後方へと跳び去る。それと同じく異形のロボットから重い黒光と灼熱の白光が溢れ出す。その中心へと全てを圧し潰さんとする黒光により、異形のロボットが耳障りな音とともに圧し潰されながら全身を灼熱色に染めてゆく。そしてその圧縮と言うべき光景が限界へと達した瞬間、球状の黒光を割って灼熱の白光が周囲に溢れ出した。
そして………………………。
天地を振るわせる轟音が荒れ響いた。
爆風が襲うがそんなこと気にした様子もなく佇む巨大ロボット。
『てめぇらがなんべん来ようと、俺たちとこの『ハイパーゴクテンオー』がある限り地球は渡さねぇ!』
完
「いや、まだ始まってもないのに終わらせんなよ!?」
注)このプロローグは開発中の物を使用しているため実際の内容とは異なる場合がございます。あらかじめご了承ください
「俺たちはゲームかなんかか!!」