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第3章


―――‥‥ピピピピッ ピピピピッ


時刻、AM6:00


亮は…来ない。


重い体を起こして立ち上がる。



学校‥行きたくないよ‥



額に手を当てて、昨日を思い返す。


もう終わったことなんだ。そう言い聞かせて、ベッドから降りた。


「あらあんた、顔色悪いわよ?」


「大丈夫。」


「ちょっと熱計ってみなさい。」



ピピッ ピピッ



「お母さん、この体温計壊れてる。」


「どれどれ?‥‥‥‥9度8分!?」


「わたし元気だよ?」



お母さんは、私のおでこに手を当てた。



「あんた、今日は学校休みなさい。」


「はぁ!?絶対やだ!」


「ちょっと理沙!?」



お母さんが呼んでいるにも関わらず、支度を始める。


だって、今日休んだらなんか悔しいじゃん。

わたしが振られてショック受けてるみたいじゃん。



わたしは準備が出来ると、食欲が無かったから、朝ご飯を食べないで家を出た。


‥お母さん、ごめんなさい。


わがままで‥




登校中、亮を見かけた。


隣には‥‥‥‥‥‥‥‥恵美。



今更、悲しみがこみ上げてくる。


でももういいんだ。



授業中、私は先生の話も聞かず、ただぼーっとしていた。


現実から、ただ逃げたかったんだ。


つまらない授業もすぐ終わり、お昼の時間。



あー、弁当忘れた。


私は恵美に会いたくないし、話したくもないから、とりあえず屋上に向かった。



鈍い音をたてながら開くドア。



‥‥‥‥‥人の声?


「なんでよ‥私はこんなに好きなのに!」


「俺は好きじゃない。」


「ひどいよ…」


「…。」



女の人が走ってくる。


ヤバッ。


とっさに隠れると、女の人は泣きながら屋上から出て行った。


その女の人は、“マドンナ”だった。



屋上へ入っていくと、五十嵐先輩が空を見上げていた。



「聞いちゃった?」



視線はこちらを向けずに、私に問いかけた。



「えっ…あっはい…」


「理沙ちゃんだよね?」


「そうですけど…なぜ私のことを?」



どうしてこの人は、私の事を知っているのだろう。



「いつも亮と一緒にいた子でしょ?」


「はい。」



ああ、なんだ亮か。



「今日亮と一緒じゃないんだ?」


「はい。」


「さっきから素っ気ないねー」


「すみません。」



ついうつ向いてしまう私。



「なんかあったの?」


「なに‥も‥」



あれ‥………おかしいな………


意識が‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



「……沙ちゃん!?」







‥……‥‥‥‥起きると、保健室にいた。


「気が付いた?」


「徳井先生‥私どうして?」


「五十嵐くんが、運んできてくれたのよ。屋上で倒れたらしいわよ?」


「思い出せません‥」


「無理も無いわ。熱が9度あるんだもの。」





恥ずい‥



私は顔を両手で覆った。



「今日は早退ね。お家には電話しておいたから。」


「ありがとう…ございます。」


「車よんでもらう?」


「大丈夫です。」



私は支度を済ませると、先生にお辞儀をして、学校をあとにした。


先生は何度も、“お母さん呼ぼうか?”と言ってくれていたけど、私は、“大丈夫です。”と、拒んだ。


情けないし‥‥




「‥‥‥‥理沙。」


「‥亮?」



どのくらい見つめ合っていたんだろう。

不意に亮は、くちをひらいた。



「風邪?」


「うん。」


「大丈夫?」


「今更なに?」



自然に冷たい言葉をくちにしてしまう。



「怒ってる‥よね?」


「別に、」


「‥‥‥」



亮はくちごもってしまった。



「さよなら。」


「待って理沙!」


「…何?」


「俺‥理沙が好きだ。」


「それで?」


「‥だから‥やり直そう?」


「消えて。」



私は亮に、鋭い視線を向けた。



「亮はなんもわかってない。」



きづいたらまた走ってた。


私は何がしたいんだ。


一番“わかってない”のは‥私だ。




この時の苦しみは‥

まだまだ子供の苦しみだとも知らずに‥

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