悲翠色の宝石①
「どうしたもこうしたもありませんよ。私、蓮矢様に捨てられちゃいました。テヘッ」
「ほぉ、お前ほどの実力者を捨てるとは不思議なものだ」
「だから、私決めたんです。私の力何か誤解してるんだと思って。」
翠はニヤッと笑って短剣を取り出した。
「殺してやろっかなぁって。ねぇ、阿響斗」
暗闇から男が現れて、クナイを片手に翠に襲い掛かってきた。
ガキンッ
「いつまで忍者ごっこしてるの?」
「お前こそ、いつまで侍ごっこしてんだよ」
口元をマスクで隠して防止を深くかぶった小さいの男の子が現れた。
続けてもう一度、襲い掛かってきた。翠が構える。
「まて。一発で仕留めれなかったら負けだ。」
「申し訳ありません」
「試したんですか?」
「悪かった。実力が不足してたら、海外にでも売り飛ばそうかと思ってな。」
そう言って、翠の頬を掴んだ。
「なかなかの美男子だからな。高く売れそうだしな」
「ご冗談を」
「そうだ売られてしまえ」
そう言って茶化す阿響斗に短剣を振りかざした。
「うわっ」
「落ち着け翠」
狼雅が翠をなだめる。
「で、売り飛ばすならあなたでも容赦しませんよ。」
翠が構える。
「ガハハ!わしにたてつくとはいい度胸だ」
そう言って立ち上がる。圧に少し足がすくんだ。
「なんてな。お前はわしの部下の中でも上位にいる存在だ。」
「へー。ちなみに他は誰です?」
「言うわけないだろう」
「それはそうですね。無粋な質問をして申し訳ありません。」
そう言って跪いた。
「お前には誠についてもらう」
「誠様ですか?」
(おかしい警察になったと風の噂で)
「そうだ。死んでも護衛しろ」
「承知いたしました。」
そう言って狼雅は扉の方へ向かった。
「よかったな良い役もらえて」
ボソッと阿響斗が言った。
「あっそうだ。明日は食事会だ。蓮矢も来るぞ」
そう言って狼雅は振り返った。
「裏切ったら覚悟するんだな」
その声と共に二方向から殺気を感じた。
一つは狼雅から。もう一つは阿響斗から。
翠は阿響斗を見返した。
「お前にだけは負けない。」
「なはっ。僕の事なめない方がいいよ」
その瞳は灰色がかった瞳の奥に獣らしい何かを感じた。
「僕は狼雅様につくが何かあったら、ただじゃ置かねぇからな」
(、、、蓮矢の奴隷、ねぇ)
翠は久々に聞いたその響きを頭で反芻していた。
* * * * *
「おい、こいつどうする」
小さいころ連れて御嶽の家に連れてこられた。
「こんな小さいの使えないだろ。雑用でもやらせるか?」
そう言ってニヤニヤ自分を見てくる大人たち。
「まぁでも売り飛ばした方が金になるよな」
「当たり前」
「さっさと売ってしまおうぜ」
ドンッ
扉がけられる音。
「ほぉ、なかなか可愛い見た目してるじゃん」
「そうでしょう。お坊ちゃま。売ったらいいかね入りますよ!」
「はぁ?売る?」
そう言って幼少期の蓮矢が聞き返す。
「金に困ってんならあげるよ」
そう言って札束を部下に渡した。
「坊ちゃまでも」
「こいつは今日から俺の奴隷。」
「ですが!」
「なに?俺にたてつく気?」
子供とは思えない圧を感じた。
「狼雅様!坊ちゃまが!」
「ガハハ!良いではないか。奴隷ぐらいほしいだろ」
そう言って高らかに笑う狼雅を冷ややかな目で見つめる蓮矢。
私はこの人についていこうと思った。
だから、毎日鍛錬をして、部下の中ではトップを争えるぐらいまで来た。
* * * * *
(まぁもう意味ないか)
吐き出した息は十何年の思いが詰まっているようだった。
「なぁ!翠!あそぼ!」
「阿響斗、お前さぁ」
阿響斗は翠と同じ年のはずだが、子供っぽい。身長も翠のが圧倒的に高い。
ボールを持ったその姿はもはや小学生のようだった。
「とりゃっ」
阿響斗がボールを思いっきりけった。
「あっ馬鹿!!!」
ドアが開いて、コーヒーを片手に誠が入ってきた。
「みんな何やってん、、」
ガシャンッ
「「はっ、、」」
誠の真っ白な服が黒のシミが出来上がった。
「誠様ぁぁぁぁぁ」
涙でいっぱいの阿響斗が誠に泣きついた。
「、、、は?」
そう言って振り返った阿響斗がニヤリと笑った。
「あいつがやりました」
そう言って翠を指さす。
(こいつ、、、)
翠が言い返そうとすると、誠から殺気を感じた。
「阿響斗」
「ひえぇ」
にっこりとした笑顔の奥に完璧な怒りがあった。
翠はそっとその部屋から出ていった。
「あっ待て翠!逃げるな」
「翠、明日はよろしくね」
そう言って誠は片手に阿響斗を持った状態でもう片方の手で翠に手を振っていた。
「たすけてぇぇぇぇぇ」
そう言って手を伸ばす阿響斗を横目に扉を閉めた。
「いーやぁぁぁぁぁぁ」
扉の奥から阿響斗の悲鳴が聞こえたがなかったことにした。
(誠様、いったい)
歩く翠の後ろに声がかかった。
「お久しぶりね。翠。私は誌乃。あなたの主になるものよ」
「、、、?」
ー食事会当日ー
「ガハハ、いやぁよく集まってくれた。家族で団欒とは嬉しいわい。」
「その通りですね。お父様」
「誠も蓮矢もお帰りなさい」
「、、、」
父と母と兄がそろった一家の団欒。ほかの人から見たらうれしいものなのかもしれないだ。
だけど、うにゃと契約を結んだからなのか、蓮矢には霊が見えていた。
そう、誌乃と愛漸と翠がいる。そして、また糸でつながっているように見えた。
「なぁ、翠」
「私に構わず家族での団欒をお楽しみください」
その緑色の目は冷ややかでわずかな殺気を感じた。
「翠、、、?」




