会話が合わない世界
掲載日:2026/05/02
三代目(天然)と子分たち
会話が噛み合わないのに成果は出す勇者の話
「魔王、倒しましたよー!」
「は?」
振り向く。
勇者が、満面の笑みで立っている。
その後ろに、いつの間にか増えたやつら。
「右からバッサリ!」
「いや、パンだろ?」
「左からバッサリ!」
「だから、主食だろ?」
「真ん中からてやーって!」
「そもそも魔王いねえだろ」
勇者と子分たちが顔を見合わせる。
「「夢の中で」」
「夢の中かよ!!」
勇者は気にしていない。
「ついでにドラゴンと友達になりました!」
「夢の中だろ」
「右からバッサリ!」
「いや、戦うのかよ!」
「左からバッサリ!」
「はいはい、パンでな」
勇者が、何かを差し出す。
「これ、逆鱗です」
手のひらに乗ったそれは、妙に本物っぽい。
「……は?」
「ドラゴンのです!」
「夢じゃねえのかよ!」
子分が胸を張る。
「右からバッサリ!」
「倒してんじゃねえか!!」
「友達です!」
「どっちだよ!」
周りは楽しそうに笑っている。
話は通じていない。
でも、なぜか成果だけは出ている。
「くそ……」
男だけが、納得できていない。
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