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オマエの本性を暴いてやる!  作者: うちよう
我部香凜の本性を暴いてやる!
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第58話 始まりの余興

評価ポイント・ブックマークありがとうございます!

更新の励みになります!

 授業が終わり、俺は部活に参加することなく帰路についていた。

 一日使って犯人探しをしていたけど、有益な情報を得ることはできなかった。

 まあ、それも当然と言えば当然の話であろう。

 だって証拠となる情報は、投稿の文面とアカウント名、それに盗撮写真しか残されていないのだから。

 しかも投稿主のアカウントはというと、捨てアカか裏アカのどちらかだ。

 その証拠に、普通に読んでも読むことのできないアルファベットの羅列だった。

 文面からしてクラスメイトの誰かだろうが、三〇人いる中の一人を特定するのはかなり難しい。

 いや、そもそも一人だとも限らない。

 複数犯である可能性がある以上、不用意に動けば、()()()()()()リスクが高まるだけだ。

 なら、こちらも複数人で動けば……なんて考えたけど、掻き消すようにすぐさま頭を振り払った。

 もし二人に頼める状況であるのなら、こんなところ歩いてないで今頃部活に参加しているはずだ。

 あの二人に疑惑が残されている以上、協力を要請するのはなしだ。

 だとすれば、やはり俺一人で解決するしか……。


 「——————随分と、思い悩んでいる様子だな?」


 前置きもなく、突然路地裏から声を掛けられた。

 聞き覚えのある男の声。微かに臭うタバコの臭い。見なくても分かる。

 アッシュグレーの髪に無精髭のおっさんだ。

 俺の足は立ち止まらなかった。


 「立ち止まるかは本人の自由だが、あとで嘆くのは本人の自己責任だからな」

 

 それを言われて、俺の足が立ち止まる。

 何で立ち止まったのか、自分でも分からなかった。

 もしかしたら俺は、自分が意識していないところで誰かに助けを求めていたのかもしれない。

 そう結論付ければ、現状にも納得できた。

 でも、よりにもよって何でこの人なんだろう……。


 「ここで話をするのもあれだ。とりあえず、場所を変えようか」


 そう言って、表通りに出てきたおっさんの後を追うように俺は黙ってついていく。

 タバコは道中でポイ捨てしていたけれど、そこはもう触れないでおく。

 それから大体一〇分くらい歩いただろうか。

 おっさんが急に立ち止まったので、恐らくここが目指していた目的地なのだろうが……。


 「あの、ここって……」

 「あぁ。見ての通り、児童養護施設さ」

 「すみません、てっきり職業不定の変なおっさんなのかと……」

 「失礼な奴だな。まあ、確かに俺は職業不定の変なおっさんだから間違えてはいないがな」

 「……はい?」


 俺の疑問を取り残したまま、変なおっさんが先に建物の中へと入って行く。

 ……まぁ、場所も場所だし、警戒する必要はないか。

 そして俺は、おっさんの後を追うように建物の中へと入る。

 すると、玄関先でおっさんと職員の男性が何やら話をしていた。


 「お前はいつもいつもいきなりだな。事前にアポをだな……」

 「別に部屋は空いてるだろ? それとも、若人の悩みなんてものは切り捨ててしまえとでもいうのかい?」

 「お前は若人じゃないだろ。どう見たって怪しげな変なおっさんだ」


 この職員の方に全力で同意する。

 呆れた様子で、おっさんは視線の先を俺の方に向ける。


 「悩みがあるのはあっちのガキだよ。ガキの悩みを大人が向き合わないのは間違えているとは思わないのかい?」

 「お前さ……。いや、何でもない……」


 言いかけていた言葉を収めて、職員の男性は俺の方へと近づいてきた。

 多分、この時の俺は緊張で表情が強張っていたはずだ。


 「ど、どうも……」

 「こんにちは、あの外道に何かされてない? 大丈夫?」

 「は、はい。意外と何もされていないです……」

 「意外、とは随分な言い様だな。俺ほど親切な奴はいないと思うぜ?」

 「この子は良い子そうだからな。この外道に騙されていないか心配だよ」

 「いや、俺は別に良い子では……」

 

 言葉を口にしていた、まさにその時だった。

 恐らく四~五歳ぐらいと思われる綺麗な黒髪の小さな女の子が、俺の右足にピタッとくっついてきたのである。

 ……てか、どこから現れた?

 突然の出来事に困惑していると、職員の男性が驚いた様子で言葉を放った。


 「驚いた……。この子が人にべったりするなんて……」

 「ははっ! お前は随分な女たらしのようだな」

 「誤解を招くような言い方はやめてください。別に女たらしじゃないですよ」


 言い終えてから少女の方に視線を落とすと、目が合った。

 くりっとした丸い目がジーッと俺の方を見つめている。しかも無表情で、だ。

 ……一体、何を考えているのだろうか?


 「……ねぇ、部屋を貸す代わりに一つお願いしてもいいかな?」

 「はい、大丈夫ですよ」

 「即答!? 僕まだ何も言ってないけど……」

 「この子のそばにいてあげて欲しいってことですよね? 雰囲気から何となく伝わります」


 理由はどうであれ、ここで職員の男性の申し出に承諾しない限りは話が先に進まない。

 であれば、もう、やるしかないだろう。

 俺が示した応えに、おっさんは不敵に微笑んだ。


 「お前は、本当に鍛えがいがあるな」

 「一体何の話ですか?」

 「さあな、さてそろそろ案内してもらおうか」

 「何でお前が仕切ってるんだよ。案内するけどさ……」

 

 職員の男性の案内のもと、俺たちは建物の奥へと入って行く。


 ちなみに、足元の女の子はくっついたままだ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

今後とも、よろしくお願いします!

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