第49話 俺 VS 美少女その3
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結局、放課後になった今でも花音と話ができていなかった。
休み時間になれば俺から逃げるようにどこかへ消えるし、ここぞとばかりに授業が始まる前と後で話しかけても完全無視。
……桜花、本当に可愛らしい理由なんだろうな、これ。
俺には到底そのようには思えませんけど。
別に傷ついているわけじゃない。
ただ、なんとなく理由が気になるというか……。
「……さて、帰るとするかな」
部活に顔を出さなかったら後で桜花に怒られそうだけど、それが俺だけで済むのならその方がきっと花音にとっても良いだろう。
そして俺が学校鞄を持って教室から出ようとした、その時——————
「——————マサくん、帰るの?」
「……え? あ、あぁ……」
まさか、花音の方から話しかけてくるとは思わなかった。
予想外の出来事に、思わず返事がぎこちなくなる。
「あなた、昨日はズル休みしてるんだから今日こそは部活へ出てもらわないと」
「いや、ズル休みではないと思うんだが? だって、我部も席を外して欲しそうな感じだったしな」
「それは言い訳だよ。一度でも努力はしたんか? 女装をする努力をしたんか?」
「お前は一体何を言ってるんだ?」
結局、花音は俺が一人で帰ったことへ腹を立てていたってことなのか?
言ってることが意味不明すぎて、イマイチ伝わらない。
「努力はしていない、と。なら、今から女装しよっか」
「本当にお前は何を言ってるんだ? もし、置いて先に帰ったことに怒ってるならこれだけは言わせて欲しい。女装以外で頼む」
「ほんと! 何でも言うこと聞く!?」
「いや、何でもとは一言も言ってない」
「どうしようかな~」
「おい、人の話を聞け。人の話を」
「もう、しょうがないなぁ。そしたら一生私の言うこと聞く権利でいいよ」
「でいいよの使い方間違えてね?」
なんだろう。
会話を交わすのは昨日ぶりだというのに、なぜか心が落ち着く。心が穏やかになる。
もしかして、俺にとって花音の存在って結構大きかったりする……のか?
「ま、怒ってないから別にいいんだけどね。マサくんの気を少しでも引ければいいなと思ってやっただけだから」
「……は? 今なんて言った?」
「え? だから、マサくんの脳内を私でいっぱいにできればいいなと思ってやっただけだよ?」
そう言いながら、花音は両の手でピースを作って、それを左右に動かす。
……え。ということは、俺はまんまと花音の策略に嵌ったってこと?
そうとも知らずに、俺は今日一日ずっと花音のことを考えて……うわ、何それ。普通に死にたいんだけど。
そんなテンション急降下中の俺に、花音がここぞとばかりに詰め寄ってくる。
「どうだった、どうだった? 私のことで頭いっぱいになった?」
「別に、お前の入る余地なかったよ」
「そっか~。私のことで頭がいっぱいになっちゃったか~」
「話聞いてる?」
「聞いてるよ? もし本当に考えてなかったら、マサくんならきっと「あぁ、そうだね~」とか言って適当に流すでしょ?」
「……」
反論の余地がない。
この女、完全に俺という人間を熟知してやがる。
俺は羞恥心から目を背けるように、花音を置いてすぐさま廊下に逃げた。
まあ、当然のように後ろから追いかけてくるんだけど。
「恥ずかしい気持ちは分かるけどさ、これも成長の過程で必要なことだからね」
「べ、別にそんなことねぇし。てか、結局昨日の相談は大丈夫だったのかよ」
「それがね、全然話聞いてなかったんだよね。最初から最後までずっと机を睨めっこしてた。まあ、人の本性はそう簡単に変えられないよね~」
「よくもまあ、それで人の成長うんぬん指摘できたな、おい」
ケタケタと笑う花音。
その姿を目にして、何もかも、全てがどうでもよくなった。
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