第5話ドSで殴る、バズり配信
「あ、アンタが私に、首輪付けなさいよ!」
「……え、アヤ……お前もそういう癖」
「っち、違うわ!今のはちゃんと私の気持ちを繋ぎ止めておきさなさいって意味!ハグすらしてこないし、好きだとかそういうのも無かったじゃない!恋人関係を続けるのに積極性が足りないって言いたいのよ!」
真っ赤な顔で早口。言ってることは滅茶苦茶だが――
自分の癖を抑えるあまり、好きかどうか不安にさせてたってことか……まぁ、それでも許さねぇけど。つーか背後からのエレミアの殺気が怖い。寒気してきた……
「だから積極性のあるアルベルトに乗り換えたんだろ?」
「それはそうだけど、私やっぱり……イリスのことが……」
このままじゃ埒が明かないな。いっそ俺の本性を見せるか。そうすれば怯えてアルベルトっつー優男のとこに戻るだろ
俺はアヤに一歩、歩み寄ると勢いよく両手を掴む。
「なっ」
ダンッ
アヤの両腕を岩壁に押し付け、体の大きさを際立たせるよう上から覆いかぶさって見下ろす。アヤの桃色の瞳が怯えに揺れた。
「俺に首輪着けられたいって?そしたら毎日四つん這いで連れ回して、芸覚えさせたり恥ずかしいポーズでもとらせるか?」
悪いが本気でいかせてもらう。アヤの耳元でできるだけ低く囁きを。
「そんな姿配信で晒されたら……アヤは人生終了だなぁ?あぁ、もしかしてそれを期待してたのか?」
「ぁ……あっ……」
アヤは泣き出しそうな顔をして座り込んでしまったので両手を離してやる。
ちょっとやりすぎたかな……あ、ヤベ。また配信切り忘れ……
518:尊死。神回。ボコボコに振った男はちょろいと思ってたのに、返り討ちに合うアヤちゃんが可愛すぎる。前のほんわかカップル配信より好きなんだが
519:アヤ視点求む
520:イリス後ろ後ろwww
521:嫉妬に狂う純黒のエレミアw
ぐるんっ、勢いよく振り返るとそこには魔剣を引き抜いたエレミア。光魔法を全身から撒き散らしながら震えている。
お、怒ってる?!泣いてる?!どっちだ――
「ず、るい……ズルいですっ!私もイリス様に意地悪されたいのにぃ!」
ズンッ
エレミアの足元を中心に巨大なクレーターができ、セーフティエリア全体が地響きを起こす。
「エっエレミア落ち着いて!今のは演技だから!」
「ふぇ〜ん!ズルいです!酷いですぅうっ!私をメイドにして下さるって仰ったのにぃいっ!」
言ったけどさ?!それと今怒ってるのはなんの関係が……っ、このままじゃダンジョンが崩落する!えーとえーと、ドMだし叱ればいいんだよな?いやでも近づいた瞬間消し炭にされねぇ?!ああぁM女めんどくせぇ!
「イリス様の馬鹿!もう知りませんっ」
プツン
やはり俺の穏やかさは消え失せてしまったようだ。S心、大解放。
「おぃ」
低めの声掛けと共にエレミアを真っ直ぐ睨みつける。瞬きは少なめに。有名配信者だからとか、そういうのは関係ない。俺より下だと、お前は俺の支配下だと、そう心に据えて見下す。
エレミアは瞬時に萎縮し、光魔法が引っ込んだ。
「俺に馬鹿っていったのか?」
「だってイリス様が」
「俺がなんだ?」
「っ……いえ、申し訳ごさいません」
「……じゃあ、どうされたい?」
「え?」
「俺にどうされたいんだ?エレミアは」
「わ、私……私は」
自分の本性を顕にした時、やけに頭がクリアになる。彼女を困らせる言動が溢れ出て止まらないのだ。
「言わなきゃ分かんないよ。ほら、早く。できないの?」
エレミアは体をビクつかせ、涙目になってしまった。今すぐその剣で俺を消し炭にできる力を持っていながら、俺の視線から逃れられなくなっているのだ。
「私も……イリス様に、し、"躾"して、欲しいです」
蚊の鳴くような小さな声。俺はニヤけそうなのを堪え、エレミアに歩み寄る。
ポン、軽く頭に手を添え――
「声が小さい。70点。けど、はじめてにしてはよくできました」
エレミアの蒼い瞳が蘭々と輝き、満ち足りたように微笑む姿。
うん、可愛い……これは癖になっちゃいそうだなぁ
「あ」
飛んでいるドローンに目をやる。何度目かの配信切り忘れ。
真っ赤&涙目でへたりこんだ二人の美少女冒険者と、俺。
「やりすぎた……」
二度目のバズりには充分過ぎる素材だった。
◇◇◇
522:イリス様ファンクラブ立ち上げ。加入したい方は×××-×××-×××まで連絡を
533:マゾの集いできてて草。そんなに良いか?ただ偉そうなだけじゃね?
534:二人の女を一度に撃沈させたドSの中の王。また鞭振ってくんねぇかなぁ
535:俺は女王様の方が好き




