表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

戯曲&シナリオの試み

シナリオ タキオン・コア

登場人物(登場順)

 トモコ(24) 表向きはアパレル会社勤務のOL。実は工作員 

 ゴメス(30) 工作員トモコのの上司

 ホームレスの男(50) 

 タカオ(26) トモコの元カレ

 警官1(35)

 警官2(28)

 老人(60)


◯住宅街の路地

 ツーピースを着たOL風のトモコがやや急ぎ足で住宅街の路地を歩いている。

 人気はなく、電信柱にゴミ袋がおいてある。

 スマートホンの着信音が鳴る。

 トモコ、自分のスマホを耳にあてがうが、自分のスマホが鳴っていないことに気づく。

 周囲を見回す。すると道端のゴミ袋の側にスマホが落ちていて、鳴っている。

 かがんでスマホを取って耳にあてがう。


声 (ゴメス) 「早く逃げろ」

トモコ 「あの、わたし・・・このスマホをたまたま拾った者でして・・・」

声 (ゴメス) 「いいから逃げろ」


 トモコ、ふと振り向く。

 すると斧を振りかざしたホームレス風の男が佇んでいる。


ホームレスの男 「殺されたくなければ、おとなしくタキオン・コアを渡せ」


 トモコ、「キャー」と叫び、その場をかけ逃げる。


◯駅前の大通り

 トモコ、息を切らして駅前の大通りにやってくる。手には先ほど拾ったスマホを持ったまま。

 コインロッカーが側にある。

 すると着信音が鳴り、トモコ、スマホを耳にあてがう。


声 (ゴメス) 「目の前にコインロッカーがあるだろう。一番左の列の上から二番目を開けて、ハンドバッグを取り出すんだ。そのスマホを使えば取り出せるはずだ」

トモコ 「あたしのスマホじゃないんですけど」

声 (ゴメス) 「わかってる。おれはおまえに電話してるんだ」

トモコ 「あなたは誰?」

声 (ゴメス) 「おれのコードネームはゴメス」(スマホの切れる音)


 トモコ、コインロッカーのタッチパネルを操作し、端末にスマホをかざす。

 するとロッカーの一つが開き、黒いハンドバッグが見つかる。

 トモコ、ハンドバックを取り、中からオートマチック式拳銃を取り出す。


声(ホームレスの男) 「タキオン・コアを渡せ」


 トモコ、振り向くと先ほどのホームレスの男が佇んでいる。


トモコ 「来ないで」

 

 トモコ、震える手で拳銃をホームレスの男に向ける。

 ホームレスの男、奇声を発しては斧を振りかざす。

 銃声。

 ホームレスの男は仰向けに倒れると全身泡だらけになり、やがて跡形もなく消滅する。

 不意にスマホの着信音。トモコ、スマホを耳にあてがう。


声 (ゴメス) 「ロータリーに赤いスポーツカーがあるだろう。それに乗れ。鍵はハンドバッグにある。スマホにカーナビアプリがある。それを立ち上げ、自宅設定にしてスタートだ。後はカーナビの指示通り、運転しろ」(スマホの切れる音)


〇タワマン外景

 赤いスポーツカーが道路を疾走する。

 スポーツカーはやがてタワマンの駐車場に入る。

 以下、画面は無人のまま、トモコとゴメスの音声だけ聞こえる。


声 (ゴメス) 「八七五号室だ。部屋の鍵もハンドバッグにある」

声 (トモコ) 「ねえ、ゴメス。何であなたは、わたしが今どこで何してるかわかるの?側にいるの?」

声 (ゴメス) 「十数台の軍事衛星からの地球の撮影情報をハッキングしている。おまえが屋外にさえいれば、地球上どこにいても、おまえの行動がすべてわかる。この他、公共の防犯カメラは大半がハッキングできる」


〇マンション内のリビングルーム①

 トモコ、リビングルームのソファに座り、スマホを耳にあてがっている。


声 (ゴメス) 「ちなみに、そのマンションはすべての部屋に隠しカメラが設置してある。こちらからは丸見えだ」

トモコ 「風呂場やトイレも覗けるの?」

声 (ゴメス) 「もちろんだ」(スマホの切れる音)


 ドアホンが鳴る。

 トモコ、ソファーから立ち上がり、ドアホンの方へ行く。

 ドアホンのモニタにはタカオがうつっている。


トモコ 「タカオじゃないどうしたの?」

タカオ 「ちょっと部屋に入れてくれないか。近くまで来たんで寄ったんだ」


〇マンション内のリビングルーム②

 タカオ、ソファーに座っている。

 トモコはキッチンでコーヒーを淹れている。

 着信音が鳴り、トモコ、スマホを耳にあてがう。


声 (ゴメス) 「気をつけろ。あいつは人間じゃない」


 タカオ、背後からトモコの首をしめる。トモコ、スマホを床に落とす。


タカオ 「タキオン・コアを渡せ」


 トモコ、タカオの股間を蹴り上げ、タカオがひるんだ隙にテーブルの方へ逃げる。

 テーブル上にはハンドバッグがある。

 トモコ、ハンドバックから拳銃を取り出し、振り向きざまにタカオを打ち殺す。

 タカオ、全身泡だらけになり、消滅する。

 トモコ、床に落ちたスマホを拾い、耳にあてがう。


トモコ 「一体、どうなってるの。あいつは何者なの?泡になって消えるなんて」

声 (ゴメス) 「あれはレプリカントだ。人間じゃない。異星人だ。彼らは人間そっくりの姿に化けて、地球を乗っ取った。われわれは何としても地球を人類の手に奪還しなくてはならない」

トモコ 「わたしは一体、誰なの」

声 (ゴメス) 「われわれのエージェントの一員だ。保全理由のため、記憶は消してある。でも大丈夫、数日すれば記憶はすべて戻る。

 そんなことより、そこは危険だ。やつらが迫っている。バスルームの隣に収納ルームがある。そこにパラグライダー一式が入ってるから、ベランダから空へ逃げろ。マンションの南方向に公園がある。そこへ逃げろ。方角がわからないなら、このスマホにコンパスアプリが入ってる。それを使え」(スマホの切れる音)


 ドアホンが鳴る。

 モニタを見ると警官1、警官2がうつっている。


警官1 「殺人容疑ならびに拳銃不法所持容疑で逮捕します。ここを開けなさい」

警官2 「タキオン・コアを渡しなさい」


 トモコの厳しい表情がクローズアップ。


〇マンション内のリビングルーム③

 警官1はチェンソーを使ってドアを開けようとしているのがドアホンのモニタにうつる。

 トモコ、パラグライダーを装着し、リビングルームから隣接したベランダへ出る。

 トモコ、パラグライダーでベランダから離陸すると、ほとんど同時に警官1と警官2がベランダに入ってくる。

 警官1と警官2、銃を上空に向けて乱射する。


〇公園①

 公園は人気がほとんどない。

 トモコ、パラグライダーで公園に着陸する。

 パラグライダーの装備を体からはずすと、着信音。

 トモコ、スマホを耳にあてがう。


声 (老人) 「私がゴメスだ。君の目の前にいる男だ。こっちへ来たまえ」


 トモコ、前方にガラケーを手にした老人がにこにこ笑っているのに気づく。

 トモコ、厳しい表情で老人に近づく。


老人 「さあ、タキオン・コアを渡してくれないか」

トモコ 「タキオン・コアって何?」

老人 「君の指輪だよ。宝石の中に入っている。タキオン・コアは軍事用マイクロプロセッサのIPコア、つまり設計情報だ。この軍事用マイコンはある軍事秘密兵器を駆動させるのにどうしても必要なんだ」


 トモコ、左手から指輪を抜く。

 老人は手を差し出す。

 トモコ、指輪を手渡す直前に胸ポケットから拳銃を取り出して発砲する。

 老人、泡になって消滅する。

 着信音が鳴る。トモコ、スマホを耳にあてがう。


声 (ゴメス) 「よくあいつの正体がわかったな」


〇公園2

 白いオープンカーが公園沿いの道路に停めてある。

 以下、画面は無人のまま、トモコとゴメスの音声だけ聞こえる。


声 (トモコ) 「着信の電話番号がゴメスのと違ってたし、ゴメスはわたしのこと”君”なんて呼ばないし・・・・。そもそもゴメスが公園にいるわけないわ。軍事衛星や防犯カメラの映像情報をハッキングしているなら、PCと複数のディスプレイに囲まれているはずよ」

声 (ゴメス) 「いつものおまえらしくなってきたな。公園の端に白いオープンカーがある。鍵はかけっぱなしだ」


 トモコ、画面に登場すると、オープンカーに乗り、公園を走り去る。

 以下、オープンカーが遠ざかる画面。ゴメスの音声だけ聞こえる。


声 (ゴメス) 「備え付けのカーナビで自宅設定して走らせろ。われわれのアジトに向かうはずだ。おれもそこにいる」(スマホの切れる音)


                                   (完)

よろしければ原作小説もお読みください。

タキオン・コア(蜜蜂男爵の館)

https://ncode.syosetu.com/n7146cq/10/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ