傷跡パート2
彼が学校に来なくなって3日が経った日に僕は彼の家に行ってみた。
扉が開いたとき彼はいつぞやの疲れたような顔をしていた。
しかし、僕の顔を見るなり彼は笑顔に戻った。
「歩か、久しぶり!」
久々に見た彼は以前とかわりなかった。
「とりあえず中に入ってゲームしようぜ」
言われるがまま僕は中に入り、前と同じようにゲームをしていた。
「なんかスゲー久々に感じるなこういうの」
彼は嬉しそうに話す。
なぜそんな彼が学校に来なかったのだろう。
「…なんで学校来ないの?」
ふっと思わず聞いてしまった。
「たまにあるんだよ、俺ちょくちょく学校サボってるんだけど知ってた?」
言われてから思い出した。確かに彼はたまに学校を休んでいた。話さないのであまり気にしたことがなかった。
「そういえばそうだったね。
でもどうして休んでるの?」
少しの疑問を彼に問いかけてみた。
「なんか疲れたんだよね~、そういう時は学校サボってる。俺自分で言うのもなんだけど根は真面目なんだぜ。こういう時に勉強してんだ。」
部屋の隅の方に慌てて片付けた様な教科書やノート、参考書が散らばっていた。
「なんか不思議な感じ。普段の様子からじゃ勉強してる姿は想像出来ないな」
「確かにね(笑)でも俺勉強するのは結構好きなんだよね。自分の知らないことを知れるって楽しくね?」
彼は笑いながら話している。
ふとした疑問が頭に出てきた。
「じゃあなおさらなんで学校じゃあんな不良っぽいっていうか悪い子っぽいの?」
彼は真面目な顔になり
「その方が生きやすいからかな」
とため息の様に呟いた。
生きやすい?どういう事なのかよくわからなかった。
「?、どういうこと?」
不思議そうに僕が訊ねると
「こんな言葉使いたくないんだけど、スクールカーストってあるじゃん。」
その言葉は知っていた。あまり僕とは関係ない物だと思っていたので気にしたことがなかった。
「あれって嫌だけどやっぱりあって、学校で楽に生きていくためにはそのカーストの上にいた方がなにかと便利なんだよ。」
そうなのか?
「こんな風に堂々とサボっても「あいつならやるだろうな」で済ませられるし。他にも色々とあるけど、利点は多いんだよね。」
そうなのか。
しかし、不思議なところがある
「でも、音鳴はずいぶん辛そうだけど」
彼は真面目に
「辛いよ、めんどくさいし。言い方悪いけど馬鹿の相手をするのって大変なんだよ」
同じグループの奴等の事か?
「俺は馬鹿な奴は嫌いだ。馬鹿そうな奴は好きだ。あいつらは馬鹿な奴等だよ。くだらねぇ話でゲラゲラ笑って。でも、他人に迷惑をかけてもそれが正しいと思って行動する。ほんとくだらねぇ」
「じゃあなんで音鳴はそんなやつらと一緒にいるんだよ」
思わず言ってしまった
言ったあとに少し後悔と反省した。
「俺もよくわかんない。最初から歩とだけ遊んでればよかったと思うよ」
彼は寂しそうな顔をしている。
「俺は馬鹿にはなりたくない。だからこういう時にちゃんと勉強する。じゃないと何が正しいのか判断出来なくなりそうで怖い」
思い出すと彼はいつも成績は優秀で、授業中寝ているところを見たことがないで彼は本当に根は真面目なんだな。
「話がずれてきたな。サボった理由は勉強したいのと、人間関係に疲れたらいつも行くとこがあるんだ。」
「よかったら歩も行くか?明日行く予定なんだけど、学校があるから無理強いはしたくない。歩は俺と違ってちゃんとした生徒なんだから親にも先生にも友達にも迷惑はかけて欲しくない」
「…行く」
彼は驚いた顔でこっちを向いた
「無理はだめだぞ。誘っといてあれだけど。
ちゃんと親にも許可をとれよ。」
「ちゃんと親とも話し合う。それで駄目だったら行かないけど、大丈夫だったら俺も行きたい。」
「…ありがとな」
「それじゃあ家に帰って親と相談してくる。」
「うん、だけど本当に無理強いはしたくないからちゃんと話し合ってくれよ」
彼は真面目で実はとても優しい奴なんだなと知った。
僕はその会話の後すぐに家に帰った。
「ただいま」
「お帰りなさい。ご飯の用意は出来てるから準備してきなさい」
「あのさ、明日学校休んでもいいかな?」
僕は単刀直入に聞いてみることにした。
「…学校でなにかあったの?」
「特に無いけど」
「じゃあ、駄目だよ。」
そりゃそうだよな。
「明日音鳴君と出掛けたいんだ。
お願いします。」
僕はもう一度頼むことにした。
「…どこに?なんで?」
「どこかは聞いてない、でも彼の事だからゲーセンとかそういう娯楽施設では無いと思う。」
「なんで行きたいの?」
「なんでかはわからないけど、行ってあげたいんだ、一緒に。行かないと行けない気がするんだ。」
「どうしても?」
「どうしても」
母は深く考えたのちに答えた
「…いいよ、その代わり勉強はちゃんと遅れない様にしなさいよ」
「…ありがとう!」
正直意外だった。真面目な母が折れてくれるとは思ってなかった。
あるいは母は何か感じたのだろうか。勘が鋭いところがあるからか。
「あっ」
「どうしたの歩?」
「音鳴君の連絡先知らないや」
そういえば彼と連絡先を交換していなかった。
「ちょっと聞いてくるね」
「はいはい、行ってらっしゃい。ご飯が冷める前には帰ってきなさいよ。」
僕は急いで彼の所に向かった。
彼の家のインターホンを鳴らそうとしたらドアが開いて中から音鳴が出てきた。
「うぉ、ビックリした~、歩か!」
彼は笑顔だった。
「ごめん、連絡先知らなかったから」
「そういやそうだったな!LINE交換しようぜ!」
彼はポケットから携帯を出した
「どうだった?」
彼は少し不安そうな顔をしながら聞いてきた
「大丈夫だったよ。明日一緒に行こう」
彼は嬉しそうな顔をした。
「まじか!やった!…本当に大丈夫か?」
彼は少し不安そうに聞いてきた
「本当に大丈夫だよ。
ところで音鳴はどこに行こうとしてたの?」
「いまから母親が男連れてくるからちょっと出掛けとけって連絡来たから公園で暇潰し。まぁよくあることだよ」
彼は照れ隠しなのか気まずいのか微妙な顔をしながら言う。
彼の手にはカバンがあった。
「公園でなんかするの?」
「いつもコンビニで飯だけ買って公園で食いながら勉強。いい暇潰しだよ」
彼はよくある事だと言ったがこんな事がよくあるのか?
それでいいの?
っと言葉に出そうだったが止めた。なんでかはよく分からない。
「そっか」
「詳しい事はまたLINEするわ、手間とらせて悪かったね。あっ、それと明日は朝早くに出発だから早く寝ろよ(笑)」
彼は笑みを浮かべながら言う
「了解、んじゃまた明日宜しくね」
そう告げて僕は自宅に向かった。
そのときの彼の背中はどこか寂しそうにも見えた。
家につくと音鳴からすぐに連絡が来た。
明日行く場所の詳細や、行き方、持ち物やあった方が良いもの。事細かく記されていた。彼は意外と几帳面でもあるらしい。
その日はご飯をたべてすぐ眠りについた。
昔はタバコ、ブラデビ吸ってました。
甘くて美味しいですよね。
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