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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第十八章:新式ダンジョンの芽吹き
978/1206

978:新熊本第二ダンジョン

ダンジョンで潮干狩りを

Renta!等いろいろなサイトで発売中です。是非とも続刊のためにもご購入のほうよろしくお願いします。

 side:熊本第二ダンジョン


 ~ギルド職員とダンジョン作戦群小隊長、現地警察による報告書より時系列に抜粋~


 警察に通報があったのは午前六時三十四分。ダンジョン跡地で異変が起きていると近所の住人からの一報があった。現地警察官が確認に赴いたところ、入り口らしきものが発生しているのを確認した。


 午前六時五十二分、現場からの緊急連絡により、ダンジョンが再活性化ないし再活動を始めている可能性があるとの一報が現地警察署へ伝わる。その情報はそのまま県警本部へ送信された。午前七時、県警本部からダンジョン庁南九州統括へとダンジョン発生の情報が到着し、南九州統括はダンジョン庁本庁へダンジョン発生の連絡と場所についての現在までに解っているだけの詳細な情報を伝えた。


 午前七時七分、ダンジョン庁はダンジョン作戦群に対して九六五〇小隊の再組織化と現地への派遣を決定。同時に現地警察に対して、ダンジョン作戦群部隊の編制、現地着と内部調査が行われる間旧ダンジョン施設およびダンジョン周辺の封鎖を要請。午前七時十分、現地警察署によって要請が受理され、午前七時三十分より警察による現場封鎖が開始された。


 午前八時をもってダンジョン作戦群は九六五〇小隊の隊員の集合と点呼が完了し、現地への派遣が開始される。到着予定時刻は午前九時。


 午前八時から午前八時半にかけて、通りがかった住民や周辺地域に住んでいる探索者からの情報提供により、ネット上にて熊本第二ダンジョンの再発生の情報がアップロードされ始めたことが確認されている。


 午前八時半ごろから周辺に人だかりが増え始め、見るからに探索者であるような風貌をした者もあらわれはじめたが、封鎖中でありダンジョンに入ダンすることは出来ないとの現地警察からの説明を受けて帰るものも出始めた。ネットワーク上の生中継でダンジョンの様子を配信し始める野次馬が現れた。


 午前九時二分、ダンジョン作戦群九六五〇小隊が現地到着。その場で九六五一、九六五二、九六五三、九六五四、の四分隊を組織し、活動を開始する。


 活動内容はダンジョン内部の確認とモンスターの出現、モンスターのダンジョン外への流出が可能であるかどうかの確認と、ドロップアイテムの確認が第一任務とされた。


 活動時間は三十分とされ、その間に問題が発生した場合は帰還しすぐに報告を上げるよう徹底した。あらかじめ情報共有として、旧熊本第二ダンジョンの七層までの地図と出てくるモンスターの情報を渡され、午前九時十分、ダンジョン突入開始。


 午前九時十五分、九六五一分隊が一旦帰還。内部構造が完全に変わっていることを報告。一層のモンスターがスライムだけであることは確認できたが地図は信用できないものであるという情報を持ち帰った。スライムを試しに入口へ投げつけてみたが、スライムは入口に跳ね返って戻ってきたことから、こちらのダンジョンでも何もしなくてもモンスターが出てくるという可能性は非常に低いことが解った。


 また、エレベーターらしき建造物が最初から見えていることも報告された。試しに個人の私物として持ち歩いていた魔結晶を一定量入れてみたものの、エレベーターに反応が無かったことも確認された。どうやら動かすには他のエレベーターと同じく、エレベーターのある階層まで立ち入ったことがフラグになっているらしいと現時点で仮説を立てておくことになった。


 午前九時二十五分、全分隊が一旦帰還。それぞれの地図が一旦共有され、入口から一定距離の地図を描き終えるとすぐさま再出動。今度は一時間以内の帰還を義務付け、その間にダンジョン内の地図を描き記し、階段を発見した場合は位置を記録してそのまま探索を続け、二層には下りないことを命令。すぐさま出発した。


 午前九時三十分、ダンジョン庁の南九州統括到着。同時に旧ダンジョンギルド施設の入り口を開け、ダンジョンに近づかないことを条件に地元マスコミ及び探索者や実況配信者に向けて開放した。


 午前九時三十九分ごろ、大手マスコミが到着。探索者証持ちのマスコミ関係者が入ダンしようと突撃したところを警察官が制止、しかし探索者証を持っていることを理由に警察官の制止を物理的に振り切ってダンジョン内部へ突入しようとしたため、公務執行妨害で逮捕。すぐさま所轄警察署に移送される。


 午前十時、地元メディアによるテレビ放送により、ダンジョン発生の報がTVメディアで放映される。生中継こそないものの、現場に派遣したテレビ放送局では最も早い放映となった。なお、先ごろ逮捕されたマスコミ関係者とは無関係。


 午前十時二十五分、九六五〇小隊全員の帰還を確認、旧ギルド施設の会議室にてすぐさまブリーフィングを始める。地図の共有により、一層の八割ほどの探索が完了し、二層への階段も確認された。階段について、以前有った熊本第二ダンジョンや他のダンジョンよりも緩やかでスロープまで付いている。明らかな変更点だということが報告された。


 この新ダンジョンの一層は他のダンジョンと同じくスライムだけが存在し、ドロップ品も変わらないことが解った。スライムの発生量は以前のダンジョンとほぼ同等であることもここで共有された。


 午前十時四十分から午前十一時にかけて休憩、早めの昼食。同時に九六五〇小隊長によるマスコミ向けの情報提供がされる。


 少なくとも一層を巡る範囲では階層の地図は完全に変わっているが出現するモンスターが変わっているといった変更要素はないことを公開。それ以外の部分について、一般人でも入れるダンジョンになるかどうかは今の段階で小隊に決定する権限も何もないので細かいことは何も言えないと発言。いくつかの報道関係者がこの時点で帰り始める。


 午前十一時半、九六五〇小隊行動開始。九六五一分隊が一層の残りの地図を埋めるために一層に残留し、九六五二、九六五三、九六五四各分隊に二層への突入を指示。予定行動時間は二時間。異常や発見があれば記録し、緊急事態に相当するものがあった場合帰還して報告し、指示を仰ぐよう命令。


 正午、お昼のNHKニュースで熊本第二ダンジョンが再度設置され、稼働し始めたことが全国ニュースで放映される。


 午後一時、九六五一分隊帰還。一層の地図を完成させて戻ってくる。一層に現れるモンスターはスライムしかないと断言、スライムを総計百ほど倒したが、以前と同じで魔結晶とスライムゼリーを落とすことを確認。それ以下の確率でドロップする品物については不明。


 午後一時半、全部隊帰還。二層にいきなりゴブリンが出現し、グレイウルフは出現しなかったことがまず第一の変更点として報告された。ゴブリンは二タイプ存在し、今まで存在しなかった棍棒と盾を持つゴブリンが発生していることを発見、戦闘になり討伐することに成功した。


 そして肝心のドロップ品だが、謎の文字らしきものが書いてある袋に入った米らしき物体と、同じくまだ中身を確認してはいないがこちらも謎の文字らしきものが書かれた袋がドロップされた。袋の中身を開封することを小隊長判断によって決定。


 開封した結果、中身は小麦粉のようなものであることが判明。米らしき物体と共にギルドに提供され、食品らしきものであるが食してみるには危険度が高いと判断され、まず食品として問題がないかどうか検疫と分析に回すことが決定された。


 米らしきものと小麦粉らしきもの、そして魔結晶。本来のゴブリンであれば魔結晶とヒールポーションを落とすところであるのが今までのダンジョンでの情報だった。ここは今までの情報が通用しない。そう判断するに十分な成果が出たと言える。ここまでの情報を一旦まとめると、緊急報告書として南九州統括とダンジョン庁本庁へ情報を送信する。


 ダンジョン庁本庁では情報収集をするだけに留め、現場の指揮、判断は南九州統括へ全て任せることにした。そもそも南九州統括は元熊本第二ダンジョンのギルドマスターであったことから土地鑑も有り、慣れているところに慣れている人をという形でそこは収まった。


 午後二時、休憩と報告を終えた九六五〇小隊は全員で二層に潜り、さらなるドロップ品の収集と三層までの階段の発見、二層の地図の完成を目的として再出動。モンスターの種類が変更になっていることで、三層では更にモンスターが変化している可能性を十分考慮しておくことを指示した。


 午後二時半、ダンジョン庁が公式情報として熊本第二ダンジョンが再出現したことを認めた。ダンジョンは現段階の情報として以前のダンジョンとは形が変わっており、また出現するモンスター、ドロップ品も変更になっており、これまでとは違う新しい形のダンジョンが誕生したことになることを発表。


 また、エレベーターが最初から見えているものの、稼働には必要な条件が足りていないのか現時点では稼働させることが出来ないことを含め、さらなる調査が必要だと断定した。世界的に見ても仕組みの違うダンジョンが出来たのは初めての話であり、しばらくの間ダンジョン作戦群だけで探索を行い情報をある程度収集してから民間にも公開するかどうかを判断することを説明した。


 ドロップ品については現在の時点で判明していることでは、米のようなものと小麦粉のようなものがドロップしたことまで公開。またモンスター構成も変わっていることから、現時点の見た目は同じだがモンスターの種類、強さ、ドロップ品のこの三要素については現在まで解っているダンジョンの共通仕様が通じない可能性が高いことを説明した。


 午後五時、九六五〇小隊全員が帰還。三層への階段発見及び二層の完全攻略が完了。三層へ先に潜入した九六五三分隊の説明によると、三層からはサバンナマップになっており、登場するモンスターはゴブリンの軍団であったことを報告。ゴブリン、ソードゴブリン、盾持ちゴブリンに加え弓矢を利用して遠距離攻撃を仕掛けてくるゴブリンがパーティーを組んで襲い掛かってくることが解った。


 新たに発見されたドロップ品はキノコであった。流石にキノコを一目見てこれがなんというキノコかという物まで判断できる人物はいなかったため、今日一日のドロップ品のリストに謎のキノコとだけ付け加え、翌日以降引き取りに来るであろうダンジョン庁の運送トラックによって輸送し、物の品質やそれが食用に足るものなのかを判断してもらうことしかできなかった。


 ただ、小隊全員の共通意識として「ダンジョン産なんだから普通に食えるんだろうな」というものを持ち合わせていたのは間違いない。もしこの場でそれらの鑑別を行うことが出来た場合、今夜の食事はキノコご飯になっていたであろうな、と思っていた。


 午後六時、夕食を終わらせ充分に休憩を取った後、三層のマップの確認とモンスタードロップの確実な証拠の積み上げが必要だと考えていた小隊長によって再度の出動命令が下りる。終了予定時刻は午後十時。初日の調査としてはここまでが限界だと考えた。ダンジョン庁の手によってダンジョン近くの旅館が手配されているため、戻ってすぐゆっくりと休憩する手はずは整えられている。


 午後七時、ギルド内に居たマスコミや野次馬がようやく解散し始める。今日はこれ以上の成果は望めないのだろうと判断したのだろう。明日がどうなるか解らないが、ドロップ品の収集を目的として分隊を活動させる場合リヤカーなどの牽引、荷物運搬機器を用いての活動を行うほうが効率的であろうと考えられる。


 午後九時五十分、全分隊帰還。ドロップ品の整理とそれぞれの見た目の種類によって分け、ダンジョン庁の引き取りが来るのを待つ段階になった。とりあえず、このダンジョンは以前とは違うところが多数見受けられる。既存のダンジョンとは違い、何処までの深さがあるのか、そして食品以外のドロップがあるのかもわからない。


 午後十時、分隊解散。翌日九時に装備を整え再集合ということを決めた。ダンジョン庁からの詳細な指示書はまだ届いてはいないが、現場判断で三層までの地図は確実に作るというところまでは決まった。


 この様子では、サバンナマップは四層まで、五層からは森マップが出現する可能性が高いという予想通りに行くかどうかは現状では不明である。ただ、ダンジョンにはある一定の法則があることから、以前のダンジョンのマップ切り替えによる階層が四層ずつから二層ずつに変更になったのではないか、という小隊長の予想が添えられている。


 なおダンジョンが実際に発生した明確な時刻は解っていない。少なくとも昨日日没までは何事もなかったということが現地住民への聞き込みを行った結果判明している。ダンジョンの発生は日没から未明にかけての出来事だと考えられる、との報告が現地警察からダンジョン庁本庁へ後日送られた。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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通信はまだか、上手い言い訳が出てこないのかな。
誰が通信可能を確認するのかなぁー
米5㎏ 沢山だと持ち帰るのはリヤカー必須ですなw いっそ プチ収納スキルオーブ も出したらいいのではw
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