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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二章:出来ればおじさんは目立ちたくない

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93:再び清州へ



 朝だ。今日もストレスのない目覚めを得られた。俺はもう二度と、この枕を手放せないような気がする。いや、絶対手放さないぞ。貸したりはするかもしれないが。


 何時ものトーストと目玉焼きを準備して、ちょっとした赤野菜を焼く。緑野菜を刻みレンジで軽く蒸かした後、赤野菜の下に敷く。これでOKだろう。


 さぁもりもり食べるぞ。眠りが気持ちいいと飯も美味しく感じる。いつも通りささっと食べて終わりだが、食べ終わった食器を片付けるのもなんだか気が楽だ。


 昨日一日ゆっくり休んで……休んで……休んで、ないな。結局色々やってた。でも疲れは無いからまぁいいや。ゆっくり休んでいたことにしよう。肉体的にいじめてないしセーフだセーフ。


 今日は清州へ行ってそのまま一泊しようと思う。清州ダンジョンは二十四時間営業なので途中で帰りたくなってもいつでも帰れる。気軽な一泊二日旅行としゃれこもう。


 テントとエアマットと小型バーナーとスキレットをバッグに仕舞いなおす。そこそこの質量にはなったが、まだ行動の邪魔になるほどではなさそうだ。小型のものを選んで正解だったな。後は水二リットル二本とカロリーバー三個ぐらいとヒールポーションを一本だけ予備として出しておくか。


 湯沸かしてコーヒーが飲めるようにインスタントコーヒーを小袋にいれて四杯分ほどをバッグに忍ばせる。


 あと、ミックススパイスを一瓶入れる。これがあれば食べ物の味付けは何とかなるだろう。


 野菜が欲しくなると困るのでパックの刻みキャベツを入れておく。冷えないがまぁ仕方ないだろう。


 おっと、ナイフとフォークと箸とスプーンも忘れずに入れておかないとな。紙皿と紙コップとラップがあれば食器は大丈夫だ。


 宿泊に使うものはこれぐらいだ。後はおいおい考えながら保管庫から出そう。重さ的には全部で七キログラムほど。邪魔にはなるまいて。背負って確認する。重量バランスが……直そう。


 それに装備を足せば合計で十キログラムぐらいになるが、そのぐらいの重量はもう慣れっこだ。熊手をきちんと腰につけたのを確認すると、出発の準備はできた。


「清州で一泊してくる」文月さんに連絡は送っておこう。うっかり小西で待ってたなんて事になると申し訳ないからな。


「夜襲われないようにね」返事が来た。俺を襲って……得は無いな。ちょっと財布の中身は少なめにしていくか。


 あ、忘れるところだった。ダーククロウの羽根を数枚包んだポプリ風の物を手作りしたんだった。これをお供に持っていこう。緊張がほぐれるはずだ。

 

 使うかどうかわからないが、何か書くものも入れておくか。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 電車を乗り継ぎ清州に着く。早速ギルドハウスのほうに向かい、六層以下の地図を見繕う。とりあえず十層の分まであれば十分だろう。ダンジョン探索のお供に地図、というのも探索とはとても言い難いが、俺は地図を埋めていく事に快感を感じるタイプの探索者ではない。


 そんなものになるつもりも今のところはない。未知の領域に向かう事に及び腰になる程度の根性しか持ち合わせていない探索者だ。俺にはまだまだ早い、そう思っている。


 順番に、そう順番に進んでいけばいいんだ。居心地がいい階層があったらそこをキャンプ地としても良い。焦ることはない。よし、ちょっと気が楽になったぞ。


 入ダン待ちの列に並ぶ。相変わらず多いな……ほとんどがスライム目当てなのか、それともより深い層へ向かうのかは見分けがつかない。が、明らかに大荷物で並んでいる人はおそらく七層まで行く人だろう。

 この人についていくのもいいかもしれないな。


 俺の順番が来た。受付に一応訪ねておこう。


「中で一泊するつもりなんですが、他のダンジョンみたいに申請する必要はありますか? 」

「あ、大丈夫ですよ。二十四時間開いてますので、好きな時間に帰ってきていただければ構いません」


 二十四時間営業だから問題ない、いつでもウェルカムエブリデイって事だろう。安心していつでも帰ってこれるな。これが小西だったら開場時間まで暇を潰さなければいけない所だ。


 早速一層に入る。相変わらず広いな。


 みんなカロリーバー片手にスライムを探しうろついている。熊手を持っている人も居た。良い度胸だ、本物の凄さを見せて……おっと、下へ行くんだったな。


 ぞろぞろと歩いていく集団についていく。前も来たが、この先が二層への階段だ。周りの人たちが勝手にスライムを狩ってくれているおかげで行軍が遅くならずに済んでいる。


 楽でいいが、少し寂しい気もする。普段なら熊手を振り回しながら嬉々としてスライムを狩り、行軍歌でも歌いながら進んでいるはずである。まぁいい、清州には清州の攻略方法があるという事だな。


 ただひたすら歩いて二層の階段にたどり着く。もしかしてこれ、次の階層でも続くんじゃないか? いい加減ちょっとぐらい体を動かしたい。


 二層の階段手前では幾人か休んでいる人たちが居た。やっぱり階段の手前ってのはたまり場になるんだな。小西でも休憩する時は階段のそばにしている。一番わかりやすい目印でもあるからだ。休憩してさぁ次何するんだっけ? となることは稀によくある。


 階段を下りて二層に着く。二層もやはり人が多い。グレイウルフのついでにスライムを狩る、というスタイルが増えたのか、一層と比べればずっと少ないがそれでも人が多く感じる。前は三層も似たようなものだった。きっと今回も多いだろう。


 小西ダンジョンなら三分も歩けばモンスターに当たる。が、今のところ一時間近くモンスターと全く戦う機会がない。ここはそんなものか、そんなものだったな。なんだか落ち着かない。モンスターが俺の前に転がり出て来てでもしてくれないか。でないと退屈だ。


 二層でも、カロリーバー片手にスライムを探し回っている人がいた。きっとグレイウルフと出会ったらカロリーバーと武器を持ち替えるんだろう。


 入ダン時にみかけた大荷物を背負った人は俺と同じ方向に歩いていく。地図によると同じ方向へ行って階段を降りるようだ。この人を見失わない限り迷う事はなさそうだな。足取りもしっかりしている。きっと、宿泊するのも慣れているんだろう。彼についていこう、そう決めた。


 三層までの道にかけても、結局モンスターと出会うことはなかった。それだけ人が多いってこった。幾らスライムのドロップが確定されるとはいえ、この密度で本当に稼いでいられるのか。


 三層への階段に無事到着したが、ここにも休んでいる人がいる。俺も水を一口だけ飲む。大荷物の人はどんどん先に進んでいくようだ。強い人だな。


 三層になるとゴブリンを相手にする必要があるのか、グッと人が減る。減る、と言ってもお互いに通りすがる人はそれなりに居るのでまだまだ人が多いという感覚だ。


 どうも小西ダンジョンを基準にしてしまう。小西ダンジョンなら三層に三人ぐらいいればいいほうで、四層はほぼ一人で狩り放題といった具合なのに。


 三層と四層の間に地図の再確認をする。モンスターが現れても周りの人が何とかしてくれるだろうという希望があるので精神的に余裕がある。さっきの大荷物の人は黙々と先に進んでいったようで、姿が見えない。


 置いてかれたかー。まぁしょうがないな。気が付けば自分が先頭になって歩いている姿になった。これは戦闘ワンチャンあるな、と歩いていると早速横道からゴブリンがこんにちはしてきた。こちらもこんにちは、死ね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] こちらもこんにちは、死ね。 主人公氏が殺伐サイコパス系?なのに淡々としているところ
2022/10/02 12:29 退会済み
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