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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第十一章:進歩する周囲

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744:一人でもいけるもん 3/3

 ここまでの時間を逆算すると……三時間ぐらいは余裕を持って三十八層に居られそうだな。迷うと時間までに帰ることが出来なくなるかもしれんからな。まずは三十九層への階段を往復する形で西から北へ、そして東から南へ、というループルートでまずは歩いてみることにしよう。その後は階段周りをグルグルと回りつつ、近い所の木だけを目標にして行くかな。


 三十八層に下りる。ここは明らかにスノーオウルメインの迷路マップだ。四方八方を木に囲まれその木にはほぼ必ずスノーオウルが居る。居なかったら誰かが通った後、ということになる。とりあえず三十九層への階段へ向かって一本ずつ歩みを進める。


 雷撃でバチッとやるとそれに反応して出て来てくれるので、射出で対応するなり雷撃を重ねるなりして確実に仕留める。雷撃の威力もここを通り抜ける間に随分上がった。最初は二発当てても倒しきることは出来なかったが、今は全力二発で確実に落とせるようになった。もっとゲームみたいに解りやすくスキルレベルみたいなものが表示できると目安が出来て解りやすいんだろうが。


 そうなると今の自分の身体能力や魔法のスキルレベル……いや待てよ、そうなると保管庫スキルがあることも他人に伝わってしまう可能性が増えるということだな。それはやはり不味い。他人にスキルを悟られないスキル、というのが必要になってくる。今のまま表示されない、もしくは他人からうかがい知れないという今の形のほうが安心安全だな。


 スキルの成長に関してあれこれ考えながら木と木の間を歩いていく。時々スノーベアも現れるが今のところ問題なく処理できているし、木への雷撃に反応してスノーベアが出てくることも無く、一本ずつの攻略に専念できている。ドロップ品も順調に拾えている。ここまでで一キログラムほどの羽根を得ることに成功した。


 今日の目標は二キログラムだからな。それだけ拾えれば早めの手じまいで帰ってしまっても良いだろう。二キログラムということは単純計算で百羽ほどスノーオウルを倒せば済むことになる。帰り道で拾う分も考えると、三十八層では七十羽ほど倒せばいい計算になるだろうか。結構数が多いがなんともならない数ではない。落ち着いて木を数える作業に従事しよう。


 そんな事を考えつつ木の剪定作業をしていると、三十九層への階段へたどり着いた。後は帰り道に時計回りに行って、階段にたどり着いた後階段周りを掃除すればいい感じに今日の目標を達成できそうだ。


 さぁ、ここからも気合を入れていこう。帰り道こそしっかり気を入れて行かないと。まずは一枚、ドライフルーツを齧って、カロリーバーと水分を補給して、それからだな。


 帰り道はさっきとは逆の手順で、東に十本、南に十四本の方向で進む。合間合間にスノーベアを挟みつつ、木を一本ずつ剪定してスノーオウルを呼び出しては雷撃したり投網で捕まえたりしている。今日手に入れたドロップ品であるところのスノーオウルの羽根は、いつもよりはちょっとだけドロップ割合がいい。せっかくだからこの調子でまだ見たことが無いスキルオーブでも落としてくれると面白いのだが、そう考えてるうちは出ないだろうな。


 順調に三十七層への階段まで戻ってきた。三十八層までならばソロでもいけるだけの実力が付いた。それをはっきり認識できるようになった。ただ、この雪景色の中ソロ活動というのは寂しい、やはり芽生さんが居てくれた方が気持ちも楽になり戦いも楽になる。それは間違いない。


 階段の周りの木をぐるりと一周回ってスノーオウルとスノーベアを雷撃でひたすら焼き倒してドロップを回収すると、ドロップ品の数を数え直し、もう十匹ほど追加でスノーオウルを倒す。残り二百グラムほどを残して三十七層へ戻る。ここからあと十数回スノーオウルと戦えば目標の二キログラムに手が届くだろう。キュアポーションも二本回収できたことだし金額としてはかなりデカい金額になるな。


 今日の収入は……ざっくり行けばソロでは過去最高になるだろうな。そもそも今日は収入目的ではなくドロップ品の供給目的なのであまり意識はしていなかったが、三十六層を往復する時点で一千万は軽く超えるのだから、今日の収入は二人で巡ってる分を足した金額になる訳か。そうなると査定金額ランキングの上位に位置するのは間違いないな。何よりもやはりポーションが落ちるかどうかは収入に大きく差が出る。


 怪我をする人や病気をする人が出続ける限りポーションの需要は減る事はない。ポーションの代替品が研究開発されるようになるまであと何年かかるかは解らないが、その間はダンジョンのドロップ品としてのポーションの価値は不変であってほしい。そのほうがお財布に優しいし、探索のし甲斐もあるってものだ。


 Bランク探索者が増え始めてランクの高いポーションが量産されていくような事になればまた変わる可能性もあるが、今のところキュアポーションとヒールポーションのランク4がドロップできるのは世界的に見ても我々ぐらいなのだからそこは先行者利益を存分に享受させてもらっていると考えるべきだな。


 三十七層を真っ直ぐ北へ。並木道が見えたらまた木を数える作業に入る。ここから階段まで三十分ほど、ひたすらスノーオウルを狩る。これで足りると良いんだが、足りなかった場合は林の方面へぶらついていってぽつぽつと生えている木から回収していこう。流石に一人で林に突っ込んで複数のスノーオウルを相手にするのは分が悪い。投網にとらえきれなかった分のスノーオウルを対処する方法が無いからな。手数が足りないって奴だ。


 手数が足りないのはソロでは補いようがないし、一発火力に任せて極太雷撃でまとめて焦がし尽くす、ということも試せる気はするが、最悪のケースを考えておくとやはり芽生さんが隣にいてくれないと実験するには難しい。やはりここでも相棒問題が付いて回るな。


 芽生さんだけが相棒だとしてここまでやってきた。今更パーティーメンバーが増える、ということは考えにくい。個人の戦力の差の問題が有り、保管庫を知る問題も有り、探索者ランクの問題も有り、おそらくはこの先も二人でやっていくんだろう。


 もしかしたら結衣さん達が追いついてきて一緒に潜ることになる、という可能性は充分に考えられる。彼女達なら既に保管庫の件についても知っているし、戦力的にも……戦力的にはどうなんだろうな。少なくとも荷物の問題は俺が解消できるのだから、荷物の重さで戦闘に難が出るという問題は解決できるとして、実際に模擬戦でもしてみないと解らない所も多い。ここは少し待ちの姿勢にして先を進むのを止めて周りが追いついてくるのを待つという選択肢も有りだな。


 スノーオウルを投網にかけてビッタンビッタンさせながら、順調に稼ぎを重ねていく。ドロップのスノーオウルの羽根ももう少しで二キログラムに届いたところでちょうど階段まで来た。良い調子だ。そしてここで切り上げだ。地上に帰ろう。


 三十六層へ上がったところでワイバーン二匹とご対面。両方ともを地面のある場所へ誘導して、ブレス中にもかかわらずゴブ剣を射出。上手くブレスを貫き喉を貫いたところでワイバーンが落ちる。ブレスも途中でキャンセルだ。片方が落ちてくれれば逃げる足場は充分に増える。もう一匹も地面に着地する瞬間に雷撃と射出を試み、地面へ縛り付ける。先に射出した方は黒い粒子に還ってしまったので、二匹目も雷切で近寄ってそのまま首を落とす。ゴブ剣は……損傷無し、と。これでまだ再利用できるな。


 ワイバーン二匹を効率よく処理するにはやはり射出が欠かせないらしい。レールガン式射出程威力は無いがブレスを中断させ致命傷を与えることはできる。ブレス中に口を開けているんだから内臓から破壊するのは常套手段ってところだろうな。覚えておいて次に活かそう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 三十六層をちゃんと戦闘の手順をまもって三十五層まで戻ってきた。一発喰らいそうになったことは何度かあった。もっと殲滅を優先した戦い方ならば二、三発のダメージは受けていたかもしれない。なるほど、お高いスーツを傷つけまいと回避優先で体が動くようにする効果もあったのか。お高い装備はやはりそれなりに効果があるんだな。


 エレベーターを起動すると、次回用や個人探索でエレベーターで使用する分の魔結晶を残してドロップ品をリヤカーに積んでいく。結構な量になった。もしかしたら普通に二人で通う分の探索費用を稼いでしまったかもしれない。でもまあ、無理のない探索だったかと言われるとかなり安定度の低い探索をしていたという思いはある。


 スノーオウルの羽根を手に入れるためとはいえ、これはそうそう使える手ではないな。もっと強くなってからもう一度チャレンジだ、それまでは芽生さんの引率が不可欠ということにしておこう。


 ……せっかくなら、三十八層まではいけなかったということにしておこうか。やはり芽生さんが居ないとこの階層での狩りは難しい、そういう事にしておけば芽生さんの自信にもつながるだろうし、芽生さんのメンタルをやはり私が居ないとダメですね状態に持っていくためにも便利な言葉になる。そういう事にしよう。後でレイン送っておこう。


 一層に着いて時刻はほぼ午後六時。結構ギリギリの探索になったな。受付はともかく査定は混んでいるかもしれない。一通り終わるころには午後七時を過ぎているかもしれない。リヤカーにまとわりつきそうなスライムを雷撃でポンポンと撃ちながら地上へ向かう。どうやら俺と同じギリギリのラインを攻めようとする探索者は居るらしく、リヤカーを引いてる俺よりも早く地上へと急いで行く。


 出入口まで四十分かかった。スライム対策にと用心しながら歩いたのでいつもより時間がかかってしまった。ここも芽生さんが居ればもうちょっと早くたどり着けたはずだ。やはり相棒の存在は大事だな。時短するにも、戦闘するにも、移動するだけでも。


 退ダン手続きの時にも今日はごゆっくりでしたねと、暗にもっと早く来いよとせっつかれたような気分になってしまう。本人はそのつもりはないと思うが、これだけの荷物を引いて帰ってきてその遅さは無いわ、と言われているようで申し訳なさが引き立つ。


 査定カウンターはいつもよりゆっくり歩いてきたおかげで俺より早くたどり着いた探索者達が一通り査定を終えたのか、空いていた。というか、俺がほぼ最後の査定並びになったらしい。


「今日はごゆっくりでしたね。その分荷物も一杯ってところですか」

「すいません、次はもうちょっと早く来ます」

「いえいえ、そういう意味ではないので安心してください」


 いつもと違う査定嬢に順番に荷物を渡し、十分ほどで査定は終わる。査定された金額に対して今日は一人だと告げると、ちょっと驚かれた。普段は二分割なので珍しいと思われたのだろう。金額にも驚かれたのかもしれないが、金額は二千八百六十二万五千四百円。ソロで潜ってこの金額はざっと四日分ぐらいになる。これに加えて提出しなかった魔結晶とスノーオウルの羽根が有るので実際はもっと多かっただろう。


 自分の今の実力は大体わかった。無理をすれば頑張れるが、これは無理をするべきじゃない戦い方だ。やはりいつも通りらくちんな道をらくちんに歩いて当社比でそこそこの収入を得ながら探索をする。それが似合ってると思う。


 今日の成果は参考資料としては良いものになった。それはそれとして、明日もダンジョンに入る。今日の疲れをいやすために早めに帰って疲れをとる食品を取ろう。確か発酵食品が良かったんだったかな。漬物と納豆とチーズ。この辺を買って帰るか。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >疲れには発酵食品 体質にもよりますが、安村さんの年齢的にお酢系のも良さそうですね。
[良い点] にせんはっぴゃくまんえん! \(^o^)/
[気になる点] 僕の考えたおじさんの必殺技: 【ループ射出】 射出した剣を(「高速に飛翔する剣」として)即収納して、それを再射出してまた即収納してを繰り返す事でおじさんの射出能力以上のスピードを剣に与…
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