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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第九章:ネタバレ

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613/1250

613:会談開催希望

「ダンジョンマスターとの会談、ですか」

「そうなんだ。セッティングできるかね? 」


 こっそりとエルダートレントを倒して一週間。三十層のおおよその地図を作り終わり二十九層と三十層の間で戦い続けて帰ってくる。次は宿泊兼セーフエリア外での長時間休憩が必要だろうと色々考えている昨今の情勢下で、久しぶりにギルマスに呼ばれたので二人そろってギルマスルームに立ち寄り、開口一番がこれであった。


「えっと、いきなり会談と言われてもそういう話に至った経緯を説明してほしい所なんですが」

「私も急に話を振られたから詳しい事までは聞かされてないんだけどね。どうやら真中長官のご希望らしいんだよ。実際のところは書類仕事に飽きたからフィールドワークに出たいという感じだろうか」

「そんな長官で良く回ってますねダンジョン庁」


 芽生さんの素直な感想がそのまま口に出てしまったが、悪いとは思っていない。実際のところ各ダンジョンのギルドマスターの上に長官が居る、とだけは知っているが、その中間を維持する官僚の話をあまり聞かないのは人手が足りていないのか、それとも希望者が少なすぎて人員配置に苦慮しているのか、それともまだ適切な人材が確保できていないのか……確かに良く回ってるなと感心するところだ。


「で、実際の所どうなんだい、できそうかい? 」

「キッパリ話しますと何時やるか、ということに尽きます。ダンジョンマスターの情報はまだ一般公開されてませんから、一時的にダンジョンを封鎖する必要が出て来るでしょう? 」

「言われてみると確かにそうだね。で、それはこちらの都合だ。あちらの都合ではどうなると思うんだい? 」


 ミルコの都合か……暇だろうからいつでもいいって言う所だろう。夜なら寝てるから無理、というわけでもなく、時間が空かないほど忙しいというそぶりも見せない。


「ダンジョンマスターには貸しがありますのでその貸しを一個使う、といったところでしょうかね。その点については問題はないでしょう。後は会談の場所ですが、ダンジョンマスターがダンジョンから出られないという現象の都合上、ダンジョン内の何処か、というかぶっちゃけ一層ですね。会談場所はそこになります。ちょうどいい小部屋が二か所ほどあるので……えっと、地図で言うとこことここですね」


 そこは普段俺が潮干狩り場所として主に利用している場所のどちらかだ。片方はエレベーターに近く、片方は階段に近い。ダンジョンを実質封鎖するとしても、知らずにダンジョンに潜ったまま出てこなくて知らなかったという事態を起こす可能性だってある。それを見越せば階段に近いほうがセキュリティの面では信用できるだろう。


「で、階段に近いほうが他人の目を遮ることができると思います。後は護衛の人数ですか。さすがに俺達に相談した以上俺達も参加する事にはなりそうですが……? 」

「私はそのつもりでいる。他にもダンジョンマスターについて知る範囲で一パーティー、それからD部隊から一小隊都合してもらえば充分すぎるとは思うが護衛としては充分足ると思っているが」

「私たちだけでも充分すぎる気はしますが、念には念をということでしょうか? 」


 他に一パーティーか。……都合よく振り回せてダンジョンマスターについて知識があって小西ダンジョンにもある程度認知がある。ということは。


「つまり、新浜パーティーを護衛任務に引っ張って来いということですか。ついでに清州ダンジョンから引き抜きでもかけるつもりですか? 」

「それも充分にありだねえ。安村さんの魅力でこう、ずずいっとひっかけて帰ってきてくれるとより助かる」

「そういう工作は嫌いではありませんけど、よく知った相手にやるのは好きではないので彼女たちが自主的にこちらに来てくれるようにギルマス側から声をかけるのが一番だと思いますけどね」


 確かに結衣さん達はこっちでやるほうが儲かると実感してるだろうし、探索者としての強さも稼げる分だけ強くなれると思っているのだろうけど、それを見越して声をかける……という立場でもないし、それだと俺が小西ダンジョンの専属探索者だと言い切っているようなものである。実態はそのようなものではあるが。


「まあ引き抜きの件はさておき、ダンジョンマスターとアポイントメントが取れるか、という点なんだが、そこに問題はないとみていいんだね? 次に会えるのは三十五層までお預けとかそういう事は? 」

「その点については問題ありません。そうですね……少々の費用をギルドの経費で落としてくれるならそれで手を打ちましょう。探索ついでに都合をつけてきましょう」

「では、そちらのほうはよろしく頼むよ。その費用とやらも必要経費なんだろう? ダンジョンマスターによろしく伝えてくれるとうれしいね」


 ◇◆◇◆◇◆◇


「さて……いつか来るとは思ってはいたが、結構早かったな」

「長官との会談、予想済みでしたか」


 ギルマスルームを出た後、階段を下りて一階に着く。休憩所で休憩しつつ話をまとめていく。芽生さんが意外、というほどでもないが俺の発言に少々引っかかる点があったらしい。


「まあね。二十一層の報告書を出して、俺との面談があって、その次は……となると、次はダンジョンマスターそのものとの面談ということになる。この場合何処のダンジョンでやるか、という問題になってくるわけだが、さてなぜ小西ダンジョンなのかという点について」

「他のダンジョンではここみたいに誼を通じているダンジョンが無い、ということですかねえ。もしよろしくやっているダンジョンがあるならそっちで質問集が渡されていたでしょうし」

「つまり現状で、新しくエレベーターが出来たダンジョンも含めて、そこまで上手い事回ってるダンジョンに都合がつかない、もしくはそこまで進んでないということなんだろう」


 ミルコと二十一層でまたいつでも会えるようにしたい、と交渉を持ちかけたのは正解だったな。俺はダンジョンについては割といい選択肢を引いているな、と自分で自分を大いに褒めようと思う。


「安請け合いしたな、と他のダンジョンマスターを知る探索者は思うでしょうね」

「安請け合いしてくれたのは実はミルコのほうなんだけどね。本来ならまた次の階層で会いましょうというところを貢物で気軽に会えるようにしてくれたんだから、貸しの件も含めて大いに頑張ってもらうとしよう」

「頑張ってもらうって言っても、一層に転移してもらって偉い人に会ってほしいというだけなんですけど、こっち側は失礼な事を言って心証を悪くしなければいいんですけど」

「ふむ……それはあるな。一応見た目は少年だし、上から目線の態度で接する可能性もある。そこだけは事前に注意事項として伝えておいたほうがいいな」


 見た目だけ見ればミルコは髪の色や目の色の違いはあるものの、思春期の少年に見えることは俺にも解る。そしてダンジョンマスターだと名乗ったところからして、俺も失礼な事はしていないだろうか。


「うーん……まあとりあえずはミルコに相談しに行くか。後結衣さんにはメールを送っておこう」

「そうですね、面倒くさいからヤダ、と言われたらそれで終わりの話になってしまいますし、まずははっきりとした意思表示のほうをお願いするのが先でしょうね」


 レインで結衣さんに連絡。詳細はまだぼかしておくが、小西ダンジョンで警護の仕事があるので受けてくれないか? とだけ送信しておく。向こうもダンジョンに潜っているかもしれないので即答は待たない。


 早速二十八層に出かけてミルコのゴキゲン伺いに行く必要がありそうだが……こっちの無理を通すんだからそれなりの袖の下を通しておく必要があるな。コンビニスイーツではない、本格スイーツでも用意してくるかな。確か近く……と言ってもそれなりの距離があるが、新しい店がオープンしていたはずだ。俺も行ったことないし試しに何品か自分と芽生さんの分も含めてちょっくら見に行くか。


「ちょっと、袖の下を補充しに行ってそれから二十八層へ行く。芽生さんは? 」

「そうですねえ。ただ待ってるのも暇ですし、もう一台自転車有りませんか。せっかくだしついていきますよ」

「じゃあ駐輪場で二台出すか。せっかく新しく駐輪場を作ってくれたんだ。使わないのはもったいない」


 念のため何処かで使うかもしれないと、自転車を余分に一台仕入れておいたのが役に立つな。いつも通り駐輪場で自転車を保管庫からこっそりと出し、自転車で十分ほどのところにあるケーキショップへ出かける事にした。

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― 新着の感想 ―
情報渡してること考えたら搾取しかしてない印象です。貸しの還元がない ダンジョン庁が探索者を駒にして自分達の情報集めに都合よく使ってる。
[一言] 必要経費=お菓子代 ですね。
[一言] ダンジョンマスターとの関係性は世界トップクラスでしょうしなあ
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