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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第八章:関係前進

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591:疑問解消 2/2 久々の中華

「そうそう、これこれ。食べた時の触感と甘さ、それから食べ終わったあとのファイヤー時間がとても気に入ったんだ。これはなんてドロップ品なんだい? 」

「トレントの実ですよ。多分清州ダンジョンぐらいなら潜って取って帰ってくることもできるドロップ品だと思うんですが、深さのわりに買い取り料金が安いので持ち帰らずに現地で食べてしまっている可能性もありますが……体験された通り疲労回復に効果があるようです」

「これを大量に持ち帰れるようになれば栄養ドリンク要らずに……これ危ない食べ物じゃないよね? 」

「今のところはセーフかと。とりあえず査定リストには載っているものの効果なんかは判明してないのか、効果のほどが科学的に確認されていないのかは解りませんが、とりあえず今のところ副作用はないみたいですね」


 ファイヤーしているギルマスをよそにして考える。確かにこれで疲労が確実に取れるなら十二分に価値のある食べ物だ。だが、それを理由に値上げをできるか? と言われたら難しいだろう。質量的にあまり数を持ち帰ることができない上に高すぎたらだれも買わなくなる。今のところは研究品として絶賛成分分析中、という所だろうか。


「この効能、注意書きとして載せておいたほうが良いと思うんですよ。もしかしたら現地で探索している部隊がおやつと疲労回復と称してひたすら食べまくっている可能性もありますから」

「なるほどね。大きさの都合もあるだろうし、現物があまり数が流れていかないので効能までは大きく知られていないし絶賛分析中……ん、という事はこれを私に食べさせた理由ってもしかして」

「もしかしたらと思ったんですが、魔素を持たない、普段探索に赴かない一般人でも同じ効能があるかどうかの検証の一つ、ですね。昨日一階で試食会を開いたのも同じ理由です。実験台にしたのは謝りますが、どうやら体内の魔素に反応して疲労回復効果をもたらすことができる、という仮説は崩れました。ので後はそうですね……これを食したことにより体内にどのくらいの魔素が流れ込んでいくのか、という検証をするかしないかでしょうか」


 ギルマスは食べなきゃよかったかな? という顔をしながらこちらの検証論に耳を傾けてくれる。


「食べ物から魔素を摂取すると、どんな問題があるんだい? 」

「まず、スキルを使用する際の最大量……ゲーム的に言えばマジックポイントですかね。その最大値が上がることになると思います。これを非常に長期的視点……つまり子や孫でなくもっと先の世代になりますね、生体濃縮が始まるとスキルオーブを使用しなくてもスキルを発現する人類が生まれる可能性が出て来るそうです」

「ほう……つまりあれかね? 例えば私がこれを一杯食べて子作りに励んだら、魔素を体内に生まれながらにして持つ子供が出来る可能性が高いと」

「それを繰り返していくことで、スキルが一般に浸透していく可能性はダンジョンマスターに指摘されてますね。尤もどのくらいの密度、どのくらいの量、どのくらいの時間が経てばそうなるか、というのは解りかねるとも言ってましたが」


 ギルマスはふうむ、といった感じで情報を整理している。この辺りの情報は確か長官と直接会話した時に話題として挙げてるはずだから、パソコンの情報にも記載はあるはずだ。


 こちらもパソコンを立ち上げ、魔素についての項目に検索をかける。すると、きちんと情報として挙げられていた。ちゃんとアップデートされているらしい。


「ところで話は変わるんですが……世界的に見て今最先端のダンジョンは何層辺りを潜っていることになるんですかね。日本が遅れているのか先端を走っているのか、ちょっと気になりまして」

「その点については胸を張っていいよ。日本はアメリカ・EUとほぼ横並びで三十四層あたりの攻略に取り掛かっているところだ。もしかしたらそろそろ三十五層まで達しているかもしれないね。定期的に自国のダンジョン事情が更新出来ているとマウントを取りたがる国が多いから中々に目まぐるしく情報が飛び交っている場所でもあるよ。今度の会合があれば参加してみるかい? 」

「いえ、流石にそこまでは。そうですか、三十四層あたりですか……」


 ……追いつけそうだな。追いついて追い抜いていくつもりはないが、少なくともそう遠い距離ではないという事が解った。それだけで収穫だ。


「大体悩みは晴れました。後は決めた手順に沿って自分たちなりの探索に邁進する事にしますよ」

「もし今の会話で焦らせたりしてたらごめんよ。ただ、自分のペースで無理せずに探索を行う。これは日本国のダンジョン庁としての第一方針だ。世界の最先端を切り開いて欲しいというのも願いではあるが、下手に死者や負傷者を出したくないというのが第一なんでね。でないと世間の風当たりが強すぎる」

「解ってます。その為の二十六層停滞ですから。なんとか手札を駆使してやってみますよ。幸いなことに小西ダンジョンにはちょっとだけ詳しいので。ではまた何か報告か相談があれば来ます」

「うん、無理せず頑張ってね」


 ギルマスと別れ、一階に戻ってくる。悩みは……全部晴れたかな? なんか忘れてるような気がするが、思い出せないという事は大した悩みではないんだろう。思い出した時にまた聞けばいいや。


 時間を見ると丁度昼頃。よし、今日は中華だ。早速中華屋まででかけて暖簾をくぐる。


「おう兄ちゃん、久しぶりだな。最近随分ご無沙汰だがその様子だと順調らしいな」


 爺さんが今日も元気に鍋を振っている。人はそれなりに入っている。儲かっているようで何よりだ。


「餃子チャーハンセットと唐揚げよろしく」

「肉は何がいい? 鶏、ウルフ、オークまでそろってるぜ」


 どうやら俺以外にもここに肉を卸している探索者が居るらしい。昼食だが今日は豪勢に行こう。


「じゃあ両方ともオーク肉で。俺以外にもちょこちょこ肉を持ってくる探索者が居るの? 」

「飯代ついでに置いてくグループがいてな。おかげで仕入れ代金が安くなって大助かりよ」


 気前のいい探索者も居るもんだな。よほどここの味が気に入ったと見える。コンビニが出来たおかげで売り上げが落ちていたら……と考えもしたが、ダンジョン人口増の影響で客がちゃんと増えているようで、実に忙しそうである。前みたいに料理が終わったらこっちへ来て雑談、なんてことも無いのだろう。こう考えている間にも新しい客が来る。


 しばらくしてチャーハンセットと出来立てのオークの唐揚げが届く。早速唐揚げに齧り付く。


 しっかり熱されたオークの脂が中からはじけだして非常に美味い。そして、それだけの脂を内包しながらも衣はサクサクだ。この対比が口の中で一斉に行われて、マーラーの第一の第四楽章が始まった瞬間のような賑わいを見せる。この脂を生かすように、口の中にまだ半分唐揚げが残った状態でチャーハンを口の中へ詰め込む。


 チャーハンも単体で美味しいが、この脂を利用してチャーハンを食すことによりチャーハンに彩りが重ねられる。何より、飲み込んだ後口の中に脂が残らずにさっぱりとしている。時々スープで口の中をリセットしながら唐揚げとチャーハンをいただく。


 そして餃子。オーク肉の脂が齧った瞬間口の中で弾けて溢れ出す。これは小籠包ではなかったはずだな? と確認を取りたくなるような肉汁とそれを適度に吸ったキャベツ、そしてねぎのアクセントが頼もしい。この餃子は餃子で完成しているなと感じる。もうご飯をかき込む必要もない。充分に満足できる逸品だ。ひたすら餃子だけを食べて居たい、そういう気にさせる。やはりここの餃子は美味しい。


 気が付けば食べ物はすべて胃の中に消えていた。美味かったなぁ……と舌の上に残る余韻を感じ取り、そっと目を閉じる。もう一品頼もうかな……いやでも今日のところはここで止めておこう。


 これだけ混んでいるところに居座り続けても邪魔だろう。今日はさっさと退散する事にしよう。


「おう、また来てくれよ。後、なんか珍しい食材が手に入ったら教えてくれ、興味はある」


 まだ見ぬダンジョン食材を求めているらしい。トレントの実をそのまま渡してみても面白かったかもしれないな。今度は是非ケルピーの馬肉とセットで持ってくることにしよう。


「そうだな……後一ヶ月ぐらいしたら朗報を届けられるかもしれないからそれに期待しててくれ」

「楽しみにしてる。じゃあまたな」


 中華屋を後にして、さて今からどうするかな。家に帰って……お手軽ワンハンドフードレシピでも探すか。気楽に考えて帰り道を急ぐことも無く、ゆっくりバスが来るのを待つ。まだ暑いが峠は越えた。そう思うとバス停の待ち時間というのも多少はマシになろうというもの。


 家に着き、ネットで色々検索しているうちに夕食の時間になり、いくつかの時間の経った野菜を軽く炒めて中華調味料でしっかり味付けをして、なんちゃって野菜炒めを作る。中華調味料は便利だ、そのまま湯に溶かして飲んでも美味しい。


 パックライスに野菜炒めだけの食事で肉も無し。最近の中ではかなり質素な食事に入るが結構食べ過ぎている気もするのでたまにはいいだろう。


 夕食を簡単に済ませると、明日の仕込みを始める。明日は……ウルフ肉の串焼きでも作るか。これなら片手で食べやすい。あらかじめ味噌を塗っておけば焼けたときの香ばしい匂いもひとしおになるだろう。ウルフ肉を適当な大きさに切って串にさすと、そのまま味噌だれを塗って冷蔵庫で一晩置く。明日の朝なじんだところで焼いて仕上げにもう一度味噌だれを塗って完成だ。付け合わせキャベツも適当に千切ってしまえばいいだろう。


 後は主食だが……コッペパンを半分に切ってそれにはさんで食べても良いようにしておくか。とりあえず串焼きを六本分ほど準備し、寝かせておいたらもう後はやる事が無い。適当にスレでも覗いて寝よう。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] いい加減パックライスから卒業しなさいw 投稿お疲れ様です。
[良い点] 階層地図自分用 ※モンスターは初出のみ 01:洞[EV]スライム :(中略) 25:岩:カメレオンダンジョンリザード、ゴーレム 26:岩: 27:岩: 28:岩:安地[EV] 29:渓:ト…
[一言] ほほー、世界の最先端でそんなくらいですか 焦らずとも追いつき追い抜くのはそう遠くなさそうですねえ
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