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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第八章:関係前進

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570/1250

570:情報精査 3/4

 目が覚めたら昼だった。今度はダーククロウの枕と布団を使って寝たので体調のほうの信頼性は高い。いろんな疲れは充分取れたと考える。今日もありがとうな。


 う~んと伸びをした後、寝床から這い出る。全身をパキポキと鳴らしながら回復のほどを確認する。うん……うん、よし。体のほうは仕上がっている。さて、寝てしかいないけど減る腹は減る。何を作ろうか……炭水化物はさておき、たんぱく質は欲しい。となるとウルフ肉でちょっといつも作らない一風変わった路線で攻めたくなった。


 ここはサッパリとわさび醤油で頂くステーキでどうだろうか。ついでにジャガイモと人参とキノコを添えて、ウルフ肉二パックぐらい使って肉をメインに胃袋へ殴りかかりに行こう。


 塩コショウして先に醤油を軽く塗った肉を焼き、醤油の焦げた香りと共に半生っぽいステーキが出来上がると、そこで一旦肉を火からおろして残った肉汁でジャガイモと人参とキノコを炒める。炒め終わると皿に盛りつける。


 醤油にわさびを混ぜ込み、ツンとする程度の味わいを確認すると再度焼き始めたステーキにかけていく。ワサビ醤油が再び焦げ始め、更にいい香りが漂う。


 匂いに反応してか、芽生さんが起きて来た。


「いい匂いですね」

「もうちょっと待ってて、昼飯作り終わるから」


 すると、リビングの椅子にちょこんと座って待つ。鼻でふんふんと匂いを嗅ぎつつ、まだかなーという感じで体を左右にゆすり始める。


 肉に火が通り仕上がったことを確認するとコンロからおろし、皿に並べて完成だ。出来は……味見抜きで六十点ぐらいか。後は食べてみての感想戦だ。


 パックライスを二つ温めると一皿料理は完成だ。朝食を食べてから何もやってない事だし、これだけ食べれば満足は出来そうだ。


「いただきまーす」


 まず芽生さんがぽつぽつと食べ始めたが、それなりに気に入ったらしく食べる速度が少しずつ加速していく。うん、満足はしてもらえているようだ。


 俺も実食……うん、悪くないな、十点加点だ。しいて言えば彩りに緑があっても良かったか。これと後は蒸しサラダぐらいあればバランスも良かったはずだ、次回以降に考えよう。


「今から何しますか? 」


 黙々とステーキを口に運びながらこの後の予定を考える。


「そうだなあ。布団の山本にはこの間行ったし、一泊目的で二十八層に行くって手があるな。徹夜と朝寝のおかげで多少体内時計のバランスが崩れている。元に戻すにはダンジョンで一泊しつつ早速情報の真偽性を確かめる」

「いきなりの二十九層ですか。それとも二十七層ですか」


 金を考えたら二十七層、この先を見ていくためにお試しコースでいくなら二十九層ってところか。


「どっちでもいい、というのが本当のところだ。これこれと言った資源が足りてないので討伐して採取してきて欲しいという要請が来ている訳でもないし、自由にうろうろできる。何ならここでスキルオーブが出るまでしばらく粘る事だってできる。頑張ってゴーレム退治して確実性の高そうな【物理耐性】を狙うでもいいし、他の探索者に混じって二十一層までの間で【物理耐性】を手に入れようと模索してみるのでもいい。どうやら結構幅広い階層で入手できるもののようだからな」

「【魔法耐性】も実はもっと広い階層で出るものだったかもしれないですね」

「被ったら売りに出せるからいいさ。二人分【物理耐性】を出すのは相当骨が折れそうだな」

「この先どれだけ物理攻撃に悩まされるかは解りませんが、無いよりあったほうがいいスキルでも上位に位置するのは解ります。値段のほうも含めて」


 最後のステーキ肉が胃に消えていく。もうちょっとあってもいけたか。あまったわさび醤油をご飯にかけてサクサクと流し込んでいく。


「ゴーレムの攻撃をどれだけ軽く受け止められるか、あたりで試そうとしてますよね? 多分」

「なんかトレントと比べたらゴーレムのほうが馬力はありそうだからなあ。それがどのぐらいのダメージで済むようになるか。それも含めてダンジョンのシステム面……とでも言うべきか、仕組みについての部分を少し情報をさらってみよう。【物理耐性】そのものの情報があるかどうかは解らないが各スキルの使い心地や覚える前後の違いなんかも見れるかもしれない。参照してみよう」


 食事を終えると再びパソコンを保管庫から出す。俺の背中にのしかかるように芽生さんがよりかかり、同じ画面を眺めている。一晩でえらく距離が近づいたものなんだな……と思うとともに、背中にのしかかる確かな重さと感触が昨夜の情事を思い起こさせる。


 かなりの量のあるデータの中からスキルに関するものを見つけ出し、現在存在するスキルについて調べる、すると、一番最初にステータスブーストに括弧書きして身体強化の項目があった。


 ステータスブーストは身体強化スキルであり、これはすべての人類が生まれつき持ち合わせているスキルであるとはっきり書かれている。これはモンスターを倒した時に出現する黒い粒子を呼吸するなり、ドロップ品の食糧を摂取し体内に取り込むことによって徐々に強化されていく事も明記されている。


 以前ギルドマスター会議で話した内容がそのままアップデートされた形になるのか。こう書かれる前のバージョンがどうなっていたのかは気になるが、大事な情報はきちんと共有されているという事が伝わった。


「ふむ……大体Cランクのあなたへって本に書いてあるのと大筋は同じみたいだな。具体的な効果効能については……魔法耐性で人体実験したものはある。危ないことするなぁ」

「でも実用試験は必要ですからね。怪我が無くて何よりです」


 耳のすぐそばから芽生さんの声が聞こえるおかげで少し体温が上がる。


「耳、弱いんですか? なんだか顔が温かくなってきましたよ」

「かもしれん。意外な所に自分の弱点を見つけたな」

「じゃあちょっと姿勢を変えましょう。目的のスキルにたどり着く前に休憩に入るかもしれないので」


 そういうと芽生さんは離れた。冷房の風が背中を通り抜けて涼しくなる。柔らかな感触も無くなった。これはこれで寂しい。


【物理耐性】の動画があった。どうやらD部隊はポーションの余裕があることを見越して、本人の同意を取った上でわざと腕の骨を折りにいく、という手段でスキルの有効性を試しているようだ。


 動画の映像はダンジョン内。砂岩マップのようだ。これはおそらくゴーレムから出たんだろうな。元々使う予定だった人物が【物理耐性】を取得した前後で体の強度がどのくらい変わるかをチェックしている。


 まず、覚える前に全力で肌を露出させた腕を殴打し、骨折していること及びその周辺への被害を確認する。その後おそらくヒールポーションだろう、飲ませて回復させ、飯も食わせたところで【物理耐性】を覚えて隊員が光る。その後で再度同じ攻撃を加えると、今度は腕が折れることなく跡が残った程度であり、覚えた本人も自分で腕を殴って何ともない事をアピールしている。


「これ、洋一さん真似できます? 大分痛そうですが」

「出来ないことも無いが、やりたくはないかな。もう実例は見られてることだし、D部隊の人たちの攻撃力を考えると自分たちがやっても似たような結果になるだろうな。ただ打撲については解ったけどスケルトンの剣や蜘蛛の噛みつきみたいな斬撃に近いものについてはどうなるかがこの動画では解らなかった。やはり実地検証のために一つ手に入れる必要があるな」

「やっぱりしばらくはゴーレム退治に精を出すことになるんでしょうか」

「んー……スキルのドロップ傾向についてのファイルがあるからそれを見てからかな」


 どのスキルがどのあたりの階層で落ちるか。D部隊が入手したスキルオーブについての報告がまとめられていた。多分、下手な月刊誌やブログに載っている量よりも実際の数は多いかもしれない。特に二十一層周辺からその奥にかけてはこの情報が無ければ見られないだろうな。


「二十二層から二十七層にかけても【物理耐性】は落ちるみたいだな。それとは別にゴキが【毒耐性】、カメレオンが【索敵】、この辺を落とすことは確実なようだ。それと何処の階層でも属性魔法は落ちやすい、と。何処の階層でも属性魔法が落ちるのは良い事なのか悪い事なのか」

「充分に実力を持ったパーティーが浅い階層で出るまで延々狩り続ける必要はないという事ですか。そう言う対応、というか気配りがされているって事でしょうか」

「そうかもね。ただこれを見る限り【物理耐性】はピンポイントで狙わなくても良いという事が解ったんだからこれからの予定を変えて階層の浅い所を巡らなくていいのはとてもいい。収入的に」

「収入の心配しなくていいのは良い事ですねえ」


 さて、二十九層も見たいし二十七層でゴーレムも倒したい。物理耐性を手に入れるまで頑張るとするか。とりあえず一個……とりあえずで出るような代物でないことは分かってはいるが、二十八層まで潜れるというアドバンテージを十全に受けられる今がここでスキルオーブを出すチャンスとも言える。決して大量に出るモンスターではないが、ソードゴブリンの事も考えると数が少ない分スキルオーブのドロップ率もその分高く設定されていると考える事が出来る。やはりねらい目はこいつだ。


「しばらく二十七層をメインで戦っていこう。他と戦いたいなーと意識が削げるぐらい嫌になってきたらその時に二十九層以降へ行く、これでどうだ」

「良いと思いますよ。この先どれぐらいモンスターが強くなっていくかもわかりませんし、持っていて助かるスキル筆頭ですし」

「んじゃ、しばらくはゴーレム退治に精を出すって事で。【物理耐性】が先に出るか【索敵】がもう一個先に出るかは解らんが、とりあえず二個、頑張って落ちるよう毎回願いながら戦うとするか」

「それフラグって言うんですよ、多分索敵が先に二個落ちる奴ですよ」

「その時は現金に換えるか、しばらく保留として保管庫に入れておこう。在って困るものじゃないし、いつでも使えるもんだし……いっその事索敵を覚えた状態でさらに索敵を覚えるとどうなるか、なんてのも検証できるようになる」

「二重に覚えた時の効果ですか。誰か検証してませんかね」

「よし、早速調べよう」

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 背中の弾力! (๑•̀ㅂ•́)و✧ [気になる点] 索敵一個は落ちそうな! [一言] ゴーレムジェノサイドの称号ガガガwww (^o^)
[良い点] >「それフラグって言うんですよ―― 【索敵】出たら二人共使えたほうが便利なのに 自然と気遣えるあたりナイス! [気になる点] >【物理耐性】 退ダン時に指とか楽そう← [一言] 今後の…
[一言] 競合他者もいませんし普段通りに稼ぎながらのんびりとドロップに期待するのが良さそうですね〜 にしてもD部隊はこんな検証までしてるとこ見ると結構スキルも集まってるみたいですねえ
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