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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第八章:関係前進

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567/1252

567:情報精査 2/4

 残る二種類のモンスターも情報をさらっておこう。三十三層から先はまた後日だ。そんなに覚えられない。


 続いては川のそばに出現するモンスターだ。名前はケルピー。たしかヨーロッパの妖精の名前だった気がする。水際で人を引きずり込んでくるという類の伝承があった気がする。名前を付けたのは誰なんだろう?


 これも魔結晶を保管庫に放り込めば解る事だろうが、似たようなモンスターが向こうの文明にも居たって事なんだろうか。これは異界の話を聞かなきゃ判別できない事になるが、少なくともこれをケルピーと呼ぶのはこちらの文化での話だろう。ダンジョンにはある程度の翻訳機能が備わっているらしいな。


 前足が馬で後ろが魚。【水魔法】を使いウォーターシュート……というべきだろうな。ある程度圧力のある水柱で攻撃を放ってくるようだ。トレントと挟み撃ちにされるとそのままトレントに縛り付けられてひたすら的にされたりと、混ざって戦う事になるとやばい奴だな。


 陸に上がると後ろは馬の形に変化できるようで、その姿のまま突進も噛みつきも出来るようだ。危なくなったら水中に逃げる事もあるらしい。ダメージを与えて逃げられて、追いかけてみたら別の個体、ということだってあるだろう。倒すなら確実に倒さねばなるまい。


 負傷する姿を見せるとそのまま水中に引きずり込もうとするようだ。動画では引きずり込まれるシーンこそないが、ケルピーとわざわざ名前を付けてその姿を模しているあたり可能性は高い。


「こっちはどうだろう? 水の中に居るんだから【雷魔法】効きそうだと思う? 」

「微妙な所ですね。もしかしたら水中に拡散して逆にうまくいかないかもしれません」

「ここも当たってみるしかないな。いざとなったら水辺から距離を取れば引きずり込まれる可能性も減りそうだし、戦う場所にポイントがありそうだな」


 ちなみにこのケルピー、確率で馬肉をくれるらしい。味はかなり美味だそうだ。


「馬肉ですか。馬肉ってそんなに高いイメージ無いですよね」

「牛肉に比べたらそうだな。でもかなり美味と言われてるからな」

「食べない手はないですね。生姜醤油を用意しておきましょう」


 後、重要事項として、ケルピーとトレントはヒールポーションのランク4を極低確率で落とすそうだ。極とつくからにはよほど落とさないのだろう。現状確認されているポーションの中では最も高いランク4である。四肢切断からも回復できると噂のランク4。こんな短時間でそれを手に取って見られる機会が訪れるとは思ってもみなかっただろう。


「これは……落としてもしばらくは貯め込んでおいたほうがいいな」

「重傷を負ったとしても回復できるようにですか」

「うん。ランク1ぐらいならその気になれば一日に二十本でも三十本でもとれるけど、簡単な怪我の回復にしか使えない。それに比べてこっちは腕や足が生えてくるぐらいの効果があるんだ。予備の予備まで用意するぐらいの用心に越したことはないと思う」


 最後にスライムだ。そう、スライムだ。わざわざ但し書きで一応存在する、と銘打ってあるが、スライムだ。一層に居る奴とあまり変わりがないように見えるがスライムだ。二十九層に来てまでスライム狩りが出来るのは楽しい階層であることに違いはあるまい。


 どうやらここから登場するスライムは今までの個体とは違い赤く半透明に映っている。おかげで緑深いマップ内においても非常に見やすい形でその場に存在している。おそらく基本的な性能はこちらの赤いスライム……レッドスライムとしておこうか。こちらの方が上なんだろうな。


 ドロップも違う様で、魔結晶を必ず落とし、スライムゼリーのより効果性の高いものを落とすらしい。確率的には一層で見られるスライムとそう変わりが無いようだ。暇が有ったらプチプチ潰しているようだから、攻撃力や防御力が階層並みに強いという事もなさそうだ。こいつらにもバニラバーが効くのかな。試してみる価値は十分にある。


「にやけてますね。そんなにスライム狩りたいですか」

「違いを味わっておかないとな。熊手で核を引き出せるかどうかも検証しないと本当に色とドロップが違うだけなのかも区別できんし、バニラバーの儀式がこっちでも通用するか試したい。通用するならバニラバーがまだまだ商品価値の非常に高いものとして扱われるからな」

「意外とまともな答えが返ってきてびっくりです。だってスライムなんだぜ、とか言い出すかと思いましたよ」

「ここのスライムは別カウントでまた保管庫落としたりしないのかな? 」

「だったら世界中で一生懸命保管庫のためにスライム狩ってると思うのでそれはないかと。落とすなら重要事項にも書かれていると思いますよ」


 うむぅ。だが、ここの階層で色違いのスライムが現れるという事は何か意味があるはずだ。その意味について考えながら潮干狩りをするのはやぶさかではない。


「しかし、赤いスライムか……これはまた楽しみがいのありそうなエリアだ。しかし、このエリアにスライムが湧いてる意味については何かあると考えていいのかな」

「普通のスライムと同じで階層の掃除……掃除するような何かがあるかもしれないって事ですか」

「ただ何となく配置するなら普通のスライムで良いはずなんだよね。わざわざちょっとだけ強そうなスライムが居ることに意味があるんだと思う」


 そういうことにしておこう。上級とはいえ、スライムはスライム。そこまで強いモンスターではないと思う。きっと二十九層以降ならではの動きや楽しみを教えてくれるんだろう。


 そして、三十層のボスだが、十五層のようにボス部屋があってボスが待ち構えて……という形ではないらしい。エルダートレントと名付けられている三十層のボスは、巨大なトレントというにふさわしい風貌をしていた。通常のトレントを一とすると十ぐらいのデカさを誇っている、それがゆっくりと三十層を歩き回っているのだ。


 主な特徴としては、非アクティブであること、そしてこちらから攻撃を仕掛けてもダメージがある一定に達するまでは反応をしてこない事が挙げられている。倒した……という報告が載ってないのできっと撃破したことはないんだろうな。エレベーター無しに三十層まで潜って人数かき集めてボス戦……という行為をやるには人数も兵站も足りないだろう。


「でかい木か……むかしNHKの子供向け番組で巨大な木に顔がついてて話しかけてくる……みたいなのがあったがそれを思い出すなぁ」

「私が知らないという事は洋一さんがご幼少のみぎりの話でしょうね」

「三十年以上前だな。猫とペンギンとネズミが出て来てたような……? 内容までは覚えてないなさすがに」

「それだけ解ってるなら調べれば一発で出そうなもんですね。世の中どんなことにも情熱を向ける人はいますから」


 画面いっぱいに映し出されるエルダートレントを見て考える。これ、二人で果たして火力足りるのか? 手持ちの武器やスキルを思い返してみるが、この巨大さに対してどれほどの効果があるものか。


「どう思う? 倒せそう? 」

「通常のトレントの耐久力を見てみないと何とも言えないんじゃないでしょうか」

「トレントがゴーレム並みに硬かった場合、この十倍ぐらい硬そうなトレントを倒しきるだけの戦力投射が出来るものなのか。倒したって話が書いてないけどこの先の情報がある以上、後日に回して倒すのは実力が備わってからか、他所のダンジョンからも人をかき集めて探索に赴くか……って感じになるのかな」


 倒した実績がない以上、倒したら何が出るのかもわからない。ゴブリンキングみたいに称号持ちになるんだろうか。どんな称号がもらえるんだろう。ゴブリンキングの場合は鬼殺しだった。エルダートレントだったら……木を切る……へいへいほー……


 とりあえずここしばらくの情報はこれだけあれば十分だ。戦う覚悟も出来た事だし、調べ物はこのぐらいにしておこう。


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― 新着の感想 ―
その人面樹なおじさんは子供の頃のトラウマでしたね
やっぱり洋一さんは同年代なんだなぁ⋯ ジャジャ丸·ピッコロ·ポロリは大好きでした⋯(*´∀`*)
[一言] じゃじゃまる ぴっころ ぽろり
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