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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第七章:マイペース・マイライフ

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552/1237

552:時間制限

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

 受付で日帰りを告げて一層を駆け足で抜け二十一層へ。そして二十二層から二十四層まで急ぎで通り抜ける。いつも通りの湧き具合と厳選された戦闘のおかげでいつもより三十分ほど時間の余裕が出来た。


「よし、最短で抜けてきたおかげでさらに三十分時間をケチれた。二十六層をゆっくり探索できるな」

「流石にちょっと疲れましたね。ここからはゆっくりで行きましょう。あとご飯も食べたいですし」

「時間的には早いけどここで昼食にするか。ここが一番ゆっくりできる場所のようだし」


 昼食はウルフ肉の蒸し野菜サンドだ。二日連続でサンドイッチだが、具が違うので別料理としてカウントしておこう。そのまま静かにパクパクと食べ終わり、コーラを飲んで休憩。三十分ほど胃を休めたところで探索開始だ。


「ここから二十六層まで二十分ぐらいだから……考えてみるとこのマップは結構狭く感じるな。ここだけかな、それとも全体的に狭いのかな」

「二十六層も狭いとありがたいんですけどね。ああ、でもあんまり狭すぎてもモンスターが湧かないからそれは美味しくないですね」

「出来れば二十七層は広いと探索のし甲斐が有るんだが。ただあんまり広すぎても困るか。とりあえずここから二時間、砂の……迷宮って程入り組んでも居ないな。どう表現すればいいんだろう? 」


 砂マップ? 砂の迷宮……はちょっと長いな。なんかしっくりこない。


「砂岩マップで良いんじゃないですか。砂岩の壁で出来てますし」

「じゃあそれで。砂岩マップはあまり入り組んだマップじゃないらしいから、道をある程度ぞんざいに扱えるから戦闘に集中できる。心配事は芽生さんのおかげでかなり低減されている。主にカメレオン周り」

「そっちの方は任されます。ゴーレムのほうを任せても? 」

「秘策みたいなものはまだ思いついてないからはっきりとは言い難いけどね」


 なんかこう、確実に倒せるパターンがもう二、三欲しい所だ。そうなればゴーレムが二体出てきても大丈夫になるだろう。


「とりあえず二十六層へ向かうか。道は分かってるから途中でゴーレムが出そうなところも把握済みだ」

「広さ的にゴーレムがリポップできそうなところが把握できるのも良い所ですね」

「この道はまだそんなに通ってるわけじゃないから固定リポップが把握できている訳じゃないが……今回も同じところに湧いていたら固定リポップとみてもいいかな。さ、いこうか」


 二十五層へ下りる。相変わらず乾いた空気が支配する。灰色の廃墟から黄色がかった砂岩への見た目の変化がマップの切り替えをいやにでも分からせられる。


「索敵は? 問題ない感じ? 」

「感知できる範囲で五、行く先には三ですね。射程距離に近づき次第自動迎撃します」

「任せた。ゴーレムは任された。できるだけ攻撃パターンを引き出してみる」


 二十六層への道は曲がりくねってはいるものの迷うような作りではない。いくつか分かれ道はあるがどれも奥深くまで行って行き止まり、というのは最初の三叉路ぐらいで、小部屋につながって終わりとかその程度だ。地図を描きなおすようなことも無く、安心して進んでいけるな……と、ゴーレムだ。


 相変わらず動きは遅いが、その体の大きさの分その拳や蹴りの威力は喰らう前から危険信号が点灯しだす。喰らったら骨が折れるぐらいは確実だろう。骨折ぐらいならヒールポーションのランク3で治るかな……治らなかった時が非常にマズイ。なので喰らわず確実に避けるほうを選択する。実際にダメージを受けるような行動に出るのは【物理耐性】を覚えてからにしよう。ゴーレムなら耐久試験として申し分無さそうだ。


 ゴーレムが腕を振るう。このまま斜め上から殴り込んでくるパターンだ。攻撃を避けるのは容易い。ステータスブーストがしっかり鍛えられているおかげでその攻撃には当たるはずもない。拳が非破壊オブジェクトである床に叩きつけられる。振動がちょっと来るが、モンスターでも床を破壊する事は不可能だ。


 しっかりと拳が地面に着いたことを確認すると、腕が動き始める前にその拳の上に飛び乗る。そのまま一歩、二歩、三歩。肩まで飛び移ると弱点の目に思い切り直刀を突き刺す。このパターンが一番楽でいい。回避も一回で済むし、動きも最小限で済む。


 ゴーレムが黒い粒子に還っていくのを確認すると、ドロップを回収し次へ。次のゴーレムまでまた暇をする事になるが、芽生さんはあっちをむいてこっちをむいてウォーターカッターでカメレオンを一撃で屠っていく。


「カメレオンがどんな攻撃してくるかわからず仕舞いで階層を抜けていくことになりそうだな。自分達としては知識として知っておきたいところではある……が、まだその時じゃないか」

「二十八層へたどり着いてからでもいいんじゃないですかね。その上で相手が一匹しかいない状況で余裕を持って相手をしましょう」


 次のゴーレムも同じパターンで攻撃してきたので同じ対処。三番目のゴーレムは両腕を振り回してコマのように回転しながら襲ってきた。回転が止まるまで二人ともひたすら回避に努め、出来るだけ壁や通路ギリギリの位置に陣取って、壁を壊せない事を逆手にとった形だ。


 ゴーレムの拳の先が壁に当たって回転が止まる。その一瞬にゴーレムにダッシュで駆け寄り、膝の部分を蹴って上に上がる。そのまま目まで飛び上がって目を潰す。今回も無事にゴーレム撃破だ。これで二パターン。ただ、開所で戦う事になった場合どうするかだな。その場合回転が止まるまでかわし続けるぐらいしか思いつかないな。ゴーレムの勢いを止められるほどの力はまだ俺にはない、やはり避けるのが一番楽だな。


 もう一体ゴーレムを退治したところで二十六層への階段に着いた。ここまでは順調そのもの。


「さて、二十六層だ。ゴーレムが二体出て来るかどうか。小西ダンジョン難易度で言えば出てきても不思議はない。同時に動き回ってきた時が問題だな。その時は芽生さんにも抑えておくなり撃破してもらうなり手伝いが必要だ」

「仕事が増えますね。カメレオンとゴーレムが同時に出て来るかどうかも確かめたいところです。視界の隅でチラチラされていたら集中できませんし、ゴーレム相手に集中できないのは中々厄介かと思います」


 軽く水分補給をしてから二十六層に下りる。下りた先は小部屋だった。小部屋にはゴーレムが一体。とりあえず出迎えご苦労。ゴーレムが動き出す前に全力で駆け寄り、こちらを向いたゴーレムが目を光らせた瞬間にその目を潰す。


 初手は上々。まずは小部屋を出て道なりに……行きたいところだったが早速の二択だ。さてどっちへ行くか……


「いつものアレをやりますか」

「剣先が向いた方向で」


 ツンと直刀を立て、出来るだけ重心が均等になるように立てると、そのまま手を放す。しばらく垂直を保ったままだった直刀はやがて倒れて……階段のほうを向いた。


「……帰れと? 」

「前もやりましたねこのやり取り。やっぱり信用なりませんね」

「じゃあ直感で……こっちへ。一時間経ったら戻る。一時間で上手く階段が見つかってくれれば儲けものだな」

「その直感、前回はあてになりませんでしたね」

「なぁに、その場合次回の探索が絞り込めてそれはそれで利益にはなるさ」


 二十六層の探索を開始する。同じような道が程よく曲がりくねっていて、寂しい視界を賑わせてくれる。前を歩くのは芽生さんだ。ゴーレムは視認しやすいがカメレオンは芽生さんじゃないと今のところ対応が出来ないので、前を歩いてもらってカメレオンを見つけ次第駆除、ゴーレムが出てきたら俺が前に出て倒すという陣形で進んでいる。


 芽生さんの稼働時間を計算してみると、カメレオンは三割増し、といった所か。出てくるだけで魔結晶をくれる美味しい存在だ。余さず平らげていきたい。芽生さんも一匹倒すたびに一万……二万……と、魔結晶をお金に換算しながらプチプチと楽しんでいる様子。楽しいなら何よりだ。軽く一撫でするだけで儲かる仕事が有るとするならこれがそうだろうな。


 あ、一万二万というのは魔結晶の重さから予想される金額だ。けっして一粒いくらという形で査定されている訳ではない。ただエレベーターにカメレオンの魔結晶を一粒放り込んだところで二階層分、二十一層から七層までの充電が完了したという体験上、その認識は間違ってないと考えられる。


 しばらく進むと小部屋を通り抜けて奥に通路、という道に来た。その小部屋には少なくともゴーレムが二体。やっぱり出てきてしまったか……

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 毎日の更新有難う御座います m(_ _)m [気になる点] 芽生ちゃんの保湿剤.... 物理耐性はあれかな ダンプに轢かれても転生しないタイプかな [一言] 明けましておめでとうございます…
[一言] 普通のパーティーならカメレオンを警戒してもっと神経使いそうですが むしろ美味しいっていうスキルの有用さですねえ あけましておめでとうございます。 今年も楽しませていただきます!
[良い点] 明けましておめでとうございます [気になる点] じしん [一言] > 両腕を振り回してコマのように回転しながら襲ってきた ザンギエフだー
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