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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第七章:マイペース・マイライフ

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522:休養日 ~疲れてないけどやることが思いつかない~

今日は三話更新。十二時と十八時にも一本ずつ上げます

 おはようございます、安村です。体調は快適そのもの、寝心地も抜群。たっぷり眠っていたな、という実感と共に朝を迎えた。今日もダーククロウはその秘められた実力をしっかりと発揮してくれている。ありがとう。


 毎朝変わらない食事、片づけ、そしていつもならダンジョンへ潜る準備だが今日はダンジョンへ行かない日だ。


 ここ十日ほど、毎日二十二層に潜ってはゴキと蜘蛛を倒し、帰り際に目標物に向かってスキル訓練、という流れを繰り返していた。同じことをし続けることに問題は無いが、さすがに週に一度は休みの日を設けようという事になった。今日はその休養日に当たる。


 先月一ヶ月分の稼ぎを今週で稼ぎきってしまった。つまり七日で一千万の稼ぎになった。自分で簡単に計算している限りでは既にダンジョンの稼ぎは五千万を超えている。このペースで芽生さんの夏季休暇をフルに使い切ると、今年中に一億、いやそれ以上を稼ぐことは確実になるだろう。


 それだけ稼げばもうダンジョン探索者やらなくてもつつましく生活できるのではないか。そうも思うが、もっと稼がないと、より贅沢な人生にしたい、という欲が出てくるものなのか、稼げば稼ぐほど次はどうすればもっと稼げるかを考えるようになってくる。


 何とも欲深い人間になったものだ。失業の間の小遣い稼ぎという当初の目標は何処かへ行ってしまっている。失業保険も継続してもらっている。失業手当をもらう条件の中に一定回数以上ダンジョンに通った証明を持って行くという条件がついているので、毎回必要枚数分だけ持参して失業中であることを報告している。


 毎回金額を見てはドン引きしていたので、おそらく優遇制度の予想した金額とは大きくかけ離れた金額の収入になっているからだろう。そりゃ、十数万円の失業手当を受け取りに来た人がダンジョンへ行くたびに毎回百万を超える収入を得ている、というのは不思議な話ではある。


 しかし、これは税抜きの十数万円だ。税金がかからないお金というのは大事である。出所も明確だし脱税にもならない。失業手当が出てる間は毎回欠かさず報告してお金を受け取っていこう。これは元々保険料として自分が支払っていたものだ。その保険を使っているだけなのだから、世の中の仕組みの穴を突いているわけでも無い。堂々と受け取ろう。


 さて、今日はゆっくりと体を休める日だ。明日からの連戦に備えて体力をきっちりと回復し、それでいて休み過ぎない程度に気を抜く。しかし、ここに問題が発生する。


 ダンジョンに潜るのが日課になっているため、休みの日にこれをする、というものが無い。言い方を変えれば、趣味として没頭するものが思い浮かばない。とりあえず料理を色々試したりそれをダンジョン飯に活かしたりはしているが、それぐらいの物である。


 いっその事、俺も日記でも書いてダンジョンでどんなことを感じ、どんなことを繰り返し、どんな出来事があったのかを記録として残しておき、秘密が秘密ではなくなったタイミングでその流れや会話の内容を自伝として発表するのもありなんじゃないか。


 先端を走っていた探索者の記録としてはそこそこ受けがいいかもしれない。だが、思い浮かぶのはスライムの事ばかりだ。記録の半分以上はスライムを狩っていることになりそうではある。スライムをただ狩るだけならその辺の探索者にでも書けるだろう。


 俺にしか書き残せない事。ネタは色々あると言えばあるな。【保管庫】の事、ダンジョンマスターの事、エレベーターの事。最前線でそれらを見聞きしてきた者にしか語れないという部分はあるだろうから、そこがウリになるのか。そんなことをするなら最初から記録しておけばよかったな。


 タイトルは……いやタイトルから考えるのは変な話だろう。書くもの書いて、最後に総まとめとしてタイトルをこう、バーンと決めるほうが楽しいはずだ。それまでは「探索者安村洋一の見て来たモノ」みたいな仮タイトルで良いんだ。いずれ自分についてオープンにしてもいい時代が来るはずだ。そうなったときにまた考えよう。


 とりあえず今日はまた家じゅうの掃除から家事を始めよう。風呂掃除に窓磨きに全部屋の掃除機かけ、やることはそれなりにある。


 レシートが感熱紙で熱に晒され続けると黒くなってしまったり、場合によっては文字が消えてしまうケースもあるが、保管庫なら常温放置で経過時間も短いのでそういう心配は無いと言っていいだろう。


 レシートもきちんとクリアブックにまとめられているので、保管庫リストをむやみに荒らされる心配がない。ちゃんとクリアブックという保管庫内のフォルダに収まってくれている。後は中の物品を自動計算して金額を計上してくれればもっと楽なのだが、そこまではいかないようだ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 休みとはいえ腹は減る。運動してなくても腹は減る。やることが無い分だけエネルギーを使わないが、何もしなくても内臓は食べたものを消化し、出るモノは出るし、入れる物は入れなければならない。今日の昼食どうしようかな。


 自分で作るのでも良いが、レパートリーを増やすために作るか、それともただ胃袋を満たすために作るか。前者ならレシピを探して何か後で役に立ちそうなのを考えるが、後者ならなんでもいい。……なんでもいいといえば、そろそろウルフ肉のストックが切れるな。午後から軽くダンジョンに潜ってウルフ肉を集めるためだけにダンジョンへ行くという選択肢が増えたな。


 普段行くのは貴重な学生の時間を費やさなければいけないという意味でも、儲ける機会を失うという意味でももったいない。が、オッサン一人分の時間なら多少稼ぎが悪かろうが許容範囲だな。よし、いっちょ昼からは小西ダンジョンでウルフ肉集めと行こう。


 そうと決まれば昼飯をササっと作って食べて向かおう。作るものはウルフ肉のステーキチーズがけだ。切って塩胡椒して、焼いて、チーズをたっぷりかけて、更に焼いて完成だ。


 濃厚なちょっとお高いチーズが若干焦げるまで余分に時間がかかるが、このチーズが若干焦げた所の味わいと匂いが堪らない。七層で作っていたら周辺の探索者からヘイトを稼ぎそうなものだ。


 食べなれたウルフ肉だが、チーズと合わせれば無限に食える。やはりチーズと肉という組み合わせは暴力で出来ている。午後からの肉集めに一層気を引き締めて稼いで帰る意味でも、ここで胃袋をウルフ肉で満たしておくことは重要だろう。


 今日取りに行くからと二パックもウルフ肉ステーキを作ってしまったが、もし食べきれなかったら夕食に回すこともできる。今はただひたすら美味い、美味い、と言いながら食べ続ける。


 満足したところでいつもの探索者スタイルに着替える。これだけ暑いのだからもっとラフな格好でダンジョンへ行き、レンタルロッカーで着替える……という事は過去へ遡ってもいつでもできた。だが、もう今更な気がしてきた。どうせ着替えるのだから家で着替えるか外で着替えるかの差でしかない。


 なら、一度普段着に着替える分だけ手間がかかるという事になる。俺はこの一手間を面倒くさいと思うので、今後も多少暑くても家で着替えて探索に出かけようと思っている。


 今のところ通勤途中に職質を受けたりはしてはいない。つまり俺はこの格好で居ても怪しくない人間という認識をされている。それに俺以外にも家から探索装備でダンジョンに向かう者も居る。彼らも含めて職質されないなら猶更問題が無いという事。


 万能熊手二つ、ヨシ!

 直刀、ヨシ!

 ヘルメット、ヨシ!

 インナースーツ、ヨシ!

 防刃ツナギ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 食事の用意、ヨシ!

 冷えた水、コーラ、その他飲料、ヨシ!

 嗜好品、ヨシ!

 枕、お泊まりセット、ヨシ!

 ドローン、ヨシ!

 バッテリー類、ヨシ!

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 指さし確認は大事である。時々忘れてることもあるけど今のところ不具合は無いらしい。この調子で毎日進んでいこう。さぁ、今日も探索に出かけよう。ウルフ肉が俺を待ち構えている。念のため骨はバッグに放り込んで……いやまて、大腿骨を二本だけバッグに詰め込んでいるという状態はマズイ。バッグに入っているということにして保管庫に入れておこう。念のため念のため。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 毎日の更新有難う御座います m(_ _)m [気になる点] お肉は正義 [一言] 休日でも ストレスに成らないなら ダンジョンに潜ってもイイよね! (´・ω・`)
[一言] ウルフ潮干狩り(高速骨コロン)の予感
[一言] ダンジョンを勧めたハロワ職員さんもまさかこんなにダンジョン適性があったとは思わんだろうなあ
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