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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第六章:盛況小西ダンジョン

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518:ダンジョンピクニック 11/11 お帰りはこちら

 休憩を終えて後二往復、二十層を行き来する。道を探す必要はないので目の前の敵を倒しながらひたすら進むだけになった。無駄な会話はだんだん減ってくる。集中しているのか、それとも精神的に疲労を覚え出したかまでは解らない。


 片道行って十九層への階段を上り下りして小休止し、また戻ってきて二十一層への階段を上り下りして……とパターン化してきた。ここまで慣れれば十分だろう。


 声をかけておいたほうが良いか悩んだが、もし集中しているならば水を差すことになると思いやめておいた。ヒールポーションが落ちても騒ぐことも無くなった。これはひたすら探索に集中している、一種のゾーンに入っていることになる。ここで気の抜けたことを言いそうな平田さんが黙ってるあたり、相当熱中していると思って良いだろう。


 肝心の収入だが、全員を合わせた総額としてはおそらく過去見たことが無いほどの物になっているだろう。ただし、七人頭割りなので一人当たりは普段芽生さんと潜っている時に比べると少ないはずだ。決して誰かが足を引っ張っているわけでも無いしサボっているわけでも無い。ただ、ここでの戦い方を教えつつキャンプを楽しんで収入をもらう、と考えればさほど気にする収入の差ではないだろう。


 結衣さん達にとっては……どうなんだろう? 査定にかかった後の金額を見てもらって、その反応から判断するしかないだろうな。


 行きに十五層から下りてきたことはともかくとして、一晩みっちり二十層ないし二十二層で潜った時はどのくらいの収入を得る事が出来るのか。その参考にはなるかな。


 考え事をしながらモンスター対応をする。ダンジョンハイエナを雷撃で焼き切りながらなのでかなり適当と言えば適当。二十二層に比べてかなり肩の力を抜いて戦っているのは確かだ。この気楽さで毎日金が手に入るならこれ以上精神的に楽な仕事はない。


 モンスターが来る、所定の対処で戦う、倒す、ドロップを拾う、次の動作へ。


 この形が出来上がってしまった以上、多少強かろうが弱かろうが数をこなしていくというプロセスに良い意味で飽きて来た。そろそろドロップ確定する何かがあるなら試してみようかとも思うほどだが、さすがにそこまで気を抜いて戦う事は出来ない。


 バトルゴートの体当たりは今でも受け止めきれるかどうかは怪しいところだし、レッドカウの金棒は頭に当たったらかなり痛いだろうし、ダンジョンハイエナに噛みつかれたら服ごと持っていかれる可能性は少なくないだろう。


 それらを回避する手段がある以上、芽生さんと二人でなら乗り越えられる自信はある。一人で乗り越える自信はない。そこが今のところの俺の限界という所か。いや、ダンジョンハイエナなら雷撃連発するだけで倒せる分楽に対処できるかもしれないが、ダンジョンハイエナだけが湧くエリア……というものは確認されていない。


 もしそんな階層が有ったら、眩暈を起こすまで楽しい自己鍛錬エリアになる所だろうな。無いのが残念で仕方ない。四層、九層、そして二十層でも一人で回れるようになる層があれば、いう事なしなんだが……


 ◇◆◇◆◇◆◇


 予定通り合計三往復半、二十層での強化合宿……みたいなものになってしまったが、無事に終わることが出来た。最初のほうはダンジョンハイエナをこちらで処理していたが、段々戦い慣れて余裕が出て来たのか、新浜パーティーもこちらの動きを参考にして戦うようになった。


 流石にスキル一発で倒せる……というほどまでのスキルアップは出来なかったようだが、牽制射撃ぐらいにはなっていた。一晩でこれだけできれば十分だろう。後は何回小西ダンジョンで強化合宿をするのか、それにかかってくると思う。


 二十一層へ戻り、自分たちのテントへ帰って来た。俺と芽生さんはそうでもないが、新浜パーティーはヘトヘトのようだ。これはかなり経験値的なアレが溜まったに違いない。


「さて、予定通りに進んだところで仮眠取って上に帰りますか」

「疲れた……安村さん結構スパルタ……」


 結衣さんから苦情が飛んでくる。そんなにスパルタかなぁ?


「洋一さん、自覚は無さそうなので解説しますが、初めて潜った階層でいきなり六時間ぶっ続けで狩りしたらどうなると思います? 」

「なるほど、そういう事か。もっとゆっくりやるべきだったか。せっかく清州から出張してきてくれたんだから出来るだけ密度の高い時間を過ごしてもらおうと思ったんだが……ごめん」

「謝るほどの事では無いですよ。ただ、思った以上にお二人との差が開いてしまっていたのが少し小西ダンジョンをなめていたなぁと思っているだけですから」


 そもそも小西ダンジョンは難易度が高いんだった。それを今更思い出し、ここの密度で狩りをぶっ続けで行うという厳しさを忘れ去っていた。


「ウルフ肉がありますし、何か胃に入れてから休みますか。生姜焼きぐらいしかできませんがそれで良いですかね」

「あ、タレあったらこっちにもください。両方で作ったほうが時短できますし」


 ウルフ肉を人数分取り出すと、それぞれで調理し始める。結衣さんのほうは人数も多いので作る量もそれなりだ。新しいたれを補充しなければいけないな。帰ったら買い出しに行って補充するか。


 手早く慣れた料理を調理し終わると、胃にワシワシと詰め込み、満足したところで四時間ほど仮眠する。それで朝一にちょうどいい時間で帰れるはずだ。


 胃袋が満たされたおかげか、みんないそいそと自分のテントに戻り仮眠を始める。食事の後片付けをしていた結衣さんも早めに芽生さんのテントに戻っていった。女子会をまた行うのかは解らないが、新しくテントを立てて寝る気力も使い果たした感じである。


 俺も片づけを終えると自分のテントに戻り、細々とした作業を終わらせると横になる。人数が多い狩りも中々楽しかったな。またやれると楽しそうだ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 仮眠を終えた。おはようございます。今日は後は地上に戻って探索終了です。アラームの音でみんな目が覚めたのか、のそのそと這い出してきた。俺と芽生さんはともかく他のメンバーはまだ少し疲れが残っているといった感じで、このあともう一狩り行きますか! なんて言い出した日には鬼と返ってきそうだ。


 とりあえずコーヒーを淹れて一服した後、横田さんと荷物の仕分けをする。二十層とはいえ一晩分の荷物は中々の量になる。これはリヤカーの出番になりそうだ。

 魔結晶で三袋、骨で一袋、肉で一袋、毛で一袋、ポーション類で一袋。さすがに二人で持ち歩くにも重さがあるので平田さんに二袋預ける。


「小西ダンジョンではこうやって仕分けてから査定にかけるんですか? 」


 横田さんが当然の疑問を呈してくる。


「いえ、こうやって分けておいたほうが査定が手早く済むからですね。お互い時間が短くて手間が無いほうが得ですし、バラバラに出して後はよろしくーと任せるのは問題ないはずですが、気持ちよくギルドを利用したいですから」

「なるほど、お互いの楽のためですか。参考にします」


 みんなでそうやって広まると良いよね。という表向きの理由はさておき、実際は保管庫から取り出すときに種類ごとに取り出すからだったら分けておいても問題ないよな? という個人的な理由からである。


 全員がコーヒーを飲んでリフレッシュして、帰り路に着く。といっても階下にあるエレベーターで片道十五分かけて一層まで上がり、そこから三十分ほど歩けばいいだけだ。道中荷物を持つ必要があるがそのぐらいなら慣れたもの。


 新浜パーティーも荷物をまとめると……まとめてなかった。どうやらテントは置きっぱなしにしていくらしい。むしろ結衣さんの分だけテントが増えていた。


「またお世話になりに来ると思うので場所だけは取っとこうかなと」


 なら下の階層を占拠すればいいのでは? と思わなくもないが、文句を言っていい立場でも無し、そこまで狭いわけでも無し。別に俺の許可も必要ないだろうから突っ込まずにおこう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 肉食系女子苦手なんだよなー。 が、ラノベ男子は流されて美味しい系が主流なのは理解している。 其の辺は好みの問題なので仕方が無い。 けど、Nさん、女性にする必要あったかなあ? メーちゃんを焚き…
[良い点] 安村さんはかなり変な人である。変人?変態? 安村さんの相方を勤める文月さんも普通じゃない。 そこを掲示板回で潮干狩りおじさんの奇行として、 名無しさんに再構成されて伝えられてきました。 …
[一言] ストイックに狩り続けられるのも安村さんの強みですかねー 潮干狩りの時もそうだけどそういう適正高めな気がする
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