502:二十二層・稼げるときに稼ぐ
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おはようございます、安村です。今日も快適で気持ちいい朝を迎える。ありがとうダーククロウ。
寝起きも良し、天気も良し、気温の高さ、ダメ。寝起きで部屋を移動すると、冷房がかかってない部屋がもう暑い。やっぱりレンタルロッカーを使うようにしようかな。家からツナギで通勤ということに限界を感じ始める。
いつもの朝食を食べ終えたら一晩調味液に漬けた生姜焼きを順次焼いていき、塩もみキャベツとトマトにシーズニングパウダーをかけたものを添えて一人分ずつ皿に盛ると皿ごと、パックライスも温めて保管庫へ。
シーズニングに野菜用の物もあるという事に気づいた以上、野菜も美味しく頂けるように活用していく。どんどん料理が手抜きに手軽に美味しくなっていく。美味しくなることは良い事だ。ちゃんと栄養も取れることだし、舌が飽きないのは大事だ。食事の美味しさはその後の仕事の出来具合にもかかわってくるからな。
そもそもダンジョン飯だ。贅沢に色々品目をそろえる時点で本来大変なはずなのだ。他のパーティーの食事を見る限り、手に入れた肉を焼いて食うか、カロリーバーと水で済ませるかといったほうが圧倒的に多い。本格的に食事を色々考えるのは七層や十四層に拠点をどっしり構えてそこに調理器具を持ち込み、日持ちのいい食糧を確保しておくことだ。これは結衣さん達が該当するな。
誰も見てないとはいえ、自宅でまともに調理した食事をそのまま持ってくるようなケースは珍しいとも言える。ダンジョン内で移動や戦闘をしながら運んでくるのだから当然見た目は大変なことになる。お弁当のようにしっかり詰め込まなければいけない。後は時間経過。生ものや冷製の物は行動している間に当然温くなるし、物によってはダメになってしまう事もある。
その辺を解決してくれている保管庫には毎回お世話になっている。ありがとう保管庫。今日は君にもお礼を言おう。
さて、着替えてダンジョンへ行く準備だ。今日は一人二百万という目標額がある。その為に蜘蛛とゴキをどんどん倒して、具体的にはヒールポーションを出来るだけ多く持ち帰ることを目指そう。
万能熊手二つ、ヨシ!
直刀、ヨシ!
ヘルメット、ヨシ!
インナースーツ、ヨシ!
防刃ツナギ、ヨシ!
安全靴、ヨシ!
手袋、ヨシ!
飯の準備、ヨシ!
冷えた水、コーラ、その他飲料、ヨシ!
嗜好品、ヨシ!
枕、お泊まりセット、ヨシ!
ドローン、ヨシ!
バッテリー類、ヨシ!
保管庫の中身……ヨシ!
地図の用意、ヨシ!
その他いろいろ、ヨシ!
指さし確認は大事である。最近このラインナップも代り映えしないな。それでも確認しないと落ち着きが無くなってくるので出来るだけ毎回やっている。さあ出かけよう。今日もダンジョンが俺を待ってくれていると思う。
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今日はバスでは芽生さんと会わなかった。先に着いてるのかな。バスに揺られながら地図を見てルートの確認だ。どういう順番で回れば時間的ロスが少ないように回る事が出来るのか。昨日寝る前に地図を見やすくわかりやすくマージしておいたので、縮尺が狂っているという事はないはずだ。人が通れる場所通れない場所、それぞれ描き加えてある。
人は通れないけどモンスターなら通れるという場所もある。何せ奴らはかなり平たい。ギリギリ通れるところを通行してるところに襲われたら厄介が過ぎる。そう言ったケースを回避するためにも通れる道通れない道の区別は大事だ。建物に挟まってお亡くなりになるとかシャレにならんからな。
ダンジョンに着くと、先に現着していた芽生さんと合流、入ダン手続きを取る。
「今日は昨日より頑張る予定でーす」
「戦果のほう期待してます、ご安全に」
「ご安全にー」
早速一層を通り抜けてエレベーターで二十一層へ。
「今日はこういうルートをまず巡って見て、午前中の実入りの具合を確かめようと思う」
「なるほど、確かに多そうな所ですね。時間当たりいくら稼げるかも計算してみましょうか」
「そうしようかな。タイムアタックするにはまだちょっと不安があるからあくまで出来る範囲でだけど」
とりあえずドロップされる品物の現在個数をカウントしておく。魔結晶は今は蜘蛛の物しか入っていない。それ以外は全部昨日までに査定に出したし、入っているのはエレベーター燃料用だ。メモに何個あるか書いておく。
二十一層に着くとマウンテンバイクにまたがり二十二層へ。十分ぐらいで着く。マウンテンバイクが無かったら三倍ぐらいかかっていただろうから往復分の時間を金で買ったことになる。ざっと四十分。その間に一匹も狩れない事はないだろう。
ここまでの感覚を信じる限り、どうやら二十二層はヒールポーションのドロップ率が高めに設定されている。多分ダンジョンハイエナの二倍ぐらいだ。ドロップ種類が少ないけれど、かなり美味しい設定になっている。マウンテンバイクの元はもう取れてるだろうな。
二十二層に入ると、まずはいつも通り一匹狼な蜘蛛とゴキの単品コースから順番に対処し始める。さすがに一匹相手は慣れているのでスキル一発入れてトドメで釣り出した順番に処理していく。
「だいぶこなれてきましたね」
「さすがに一匹相手だとな。二匹三匹相手だとまだまだだな。スキル威力も含めて課題はまだある」
「そっちは日々の蓄積という事で」
ドロップを一つ一つ拾いながらお一人様の集団を潜り抜けたら設定したルート通り、まずは広い道に出る。広い道を歩きつつ、前後左右のモンスター数を索敵で確認しつつ、同時に二グループリンクしないように注意しながらパチンコ玉で釣り出す。
「釣り出さなきゃまともに出て来てくれないのがちょっとネックか」
「かといって物陰から一方的にロックオンされるのも困りますからね。良い感じで見つけて倒せることに今は満足しておきましょう」
広い道から先はいつも通りの作業工程だ。索敵で見つけて、釣り出して、倒す。サーチ、カイト、デストロイ。これをひたすら繰り返す。対応する数が少し違うだけで、基本的には同じ。しいて言うならほどほどに密度の高そうな湧きポイントを見つけ出しておくのも大切だ。
「噛まれたら毒、噛まれたら毒、噛まれたら毒……」
ゴキには一応気を使っている。ゴキに気を使うではなく、噛まれないように、という意味だ。毒と一口に言ってもいろんな毒がある。どんな毒なのか調べておくべきだったか。実地で体験してどうなるか……というのも気にはなるが喰わらずにいたいところだ。なによりポーション代を払いたくない。
海外兄貴で試している人が居るかもしれない。今日のところは毒を喰らう事を気にせずに調べてみてから対策を立てることにしよう。
広い道をズンズン進み、バリバリとモンスターを屠っていく。慣れてきた分効率も上がって来た。ここまで一時間ほど戦ってきたが、四十匹ほどのモンスターを退治できている。このペースなら時給五十万は堅い。というか、一時間に二本ヒールポーションが出てくれればそれで充分な稼ぎになる。次の一時間に期待しよう。
二十三層への階段がある行き止まりへ来た。ここからは側道を挟みつつ、また広い道へ真っ直ぐ抜けていくルートを取る。広い道へ戻ったらモンスターは湧き直しているはずなので、今度は同じ道を逆側へ向かって、また側道を使って広い道へ戻って……というのを繰り返す。
モンスターのリポップ頻度と戦う相手の数からみて、今のところそれが一番効率が良いと判断した。もっと最適化は出来るだろうがそれは後日に回して、小手先で短縮できるところは短縮していく。具体的には索敵での指示から俺の射出、そしてその後の戦闘の流れを短くしていく。三秒短くできるなら百回で五分短縮できる。その五分で一回余分に戦えるなら、その五分は数万の価値を持つ。
少々ケチ臭いように感じるかもしれないが金額が金額だ、落ち着いてかつ手早く最速で戦っていこう。今日はその為に来たんだ。
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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。





