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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第六章:盛況小西ダンジョン

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500/1225

500:この廃墟にまともな地図を 4/4

ごひゃくわ!

 芽生さんの宣言通り、モンスターの密度が濃かった。一グループ倒して一息つくと、次のグループがもう十数メートル先に既にいる、といった感じだ。ちょっとした広間みたいになっているところだったので戦闘機動を行えるスペースがあったのは救いだった。


 合計四十匹ほどが順番に向かってくるいわばボーナスタイムだったと言える。移動する手間が少ないのがとても楽だった。その分の収入は確実に得られるし、ヒールポーションもちゃんと出た。


「これで一区切りついたか? 」


 四十一匹目を処理したところでモンスターの波が一段落したように感じる。耳を澄ませても近くに足音らしきいつものカサカサという音も聞こえない。


「そうですね、近くには居ないですね。ドローン飛ばすなら今の内ですよ」


 ちょっとばかし休みたいところだが地図作りのチャンスを逃す手はない。ドローン飛ばしてる間も休憩という事で、早速上空に飛ばして撮影。


 移動してエンカウントするモンスターをまとめて倒して、その分の時間をドローン撮影に当ててると考えれば、歩く距離が短いだけちょっと得をしたことになるのかも?


 ドローンから上空を眺めると、確かに周辺にモンスターらしきものは見当たらない。だが、元々陰に居るようなモンスターなので視界がすべてではない事は承知している。ついでにこの先にモンスターが居そうな場所と進むべき道も選定しておく。


 この先は……なるほど、撮影してドローンを仕舞って、スマホで撮った画像を基準に道を描き加えていく。手前で描き加えたところに継ぎ足すようにして描いているので、ところどころ長さがおかしいが、これは帰ってから清書が必要だな。


 今のところはどの道とどの道がどこでつながっているかが間違いなく描かれていれば問題ないだろう。描き終わったら次行く方向は決めてあるのでそちらに向かって進み始める。


「やはりドローンが有ると便利ですね。天井がもう少し高いと全体を見られてより解りやすいんでしょうけど、天井の高さに基準とかあるんでしょうか」

「なんとなくじゃないですかな。多分ダンジョンの建造コストみたいなものがあって天井を作らないとそのコストが跳ね上がるとか。各マップはそれぞれ独立した異次元らしいし、空間を作るにも区切ったほうが良いとかそんな理由がありそうだ」

「じゃあサバンナマップはもっと狭くすれば低コストに出来たのでは? 」

「もしかしたら、だけど広く作りすぎたせいでオブジェクトが少ないとか。そういうのはありそうだな」


 広さで言えば草原、サバンナあたりが面積……いや、この場合体積といったほうが近いんだろうな。逆に迷宮や洞窟マップは低コストで出来ているのかもしれない。


「その辺を気にしても仕方ないか。別にマップを作り直す必要があるわけじゃないんだ。ダンジョンのでき方はおいといて地図埋めに集中しよう」

「そのほうが精神安定上良いと思います。後二十メートルぐらいしたら建物の中にモンスターですよ。多分蜘蛛です」


 言う通りの場所にパチンコ玉を飛ばすと、言った通り蜘蛛が出て来た。蜘蛛の糸が我先にと飛んでくる。全て回避すると雷撃を織り交ぜつつ迎撃に向かう。距離が近いのでダッシュ大会をする必要もない。


 芽生さんは少し離れた場所からウォーターカッターだけで退治を試みている。二発同じところに打ち込んで蜘蛛は倒されて行く。ガッツポーズして効き目を確かめているようだ。


 残りの二匹のうち一匹にもウォーターカッターを全力でぶっぱなしてくれておいたおかげで楽に倒すことが出来た。


「なんかスキルを鍛えてる途中? 」

「ほら、ゴキにウォーターカッター打ち込んでも刺さるだけでダメージにならない感じなので。威力不足を痛感しているんですよ」

「なるほど。ゴキにちゃんとダメージが通るなら蜘蛛ならかなりのダメージになるかもね」


 ゴキは頭が特に固い。その頭を貫通できるほどスキルを鍛え上げることが出来れば俺も恩恵に与れることだろう。そのまま頑張ってもらおう。


 戦いながら地図が出来ているところまで歩いてくると、周囲警戒。索敵に引っかかる範囲を確認してもらって安全が担保できると再びドローンを上げる。あー楽だわぁ。索敵とドローンを組み合わせるとこんな良い感じに地図作りが捗るのか。


 おかげで地面に対する地図はほぼ作り切る事が出来たと言っていい。後は建物の中まで探すか、だが……階段が発見できている以上調べる必要はないだろう。二十二層の地図はこれで完成とする。


「地図作り終わり。後は狩りの時間にあてよう」

「もうちょっと稼いで帰りたい感じですね。帰り道を行きつつ、道すがらのモンスターは逃さず倒していくことにしましょう」


 まだ時間はある。ゆっくり狩りを楽しむとするか。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 階段へ向かいつつゴキと蜘蛛を倒していく。芽生さんはウォーターカッターを鍛えたいらしく、とにかく乱射してはなんか違うなぁ……とかもっとこうかな……とか威力についてまだまだ改良の余地が多いらしい。


 俺も贅沢を言うなら雷撃一発でこの辺のモンスターを倒したいところだが、まだ威力が足りない事も解っている。多分、芽生さんと俺のスキルの威力は同じぐらいなんだろう。これは負けていられませんなぁ。


 ちょっとスキルの割合を多めにして戦い始める。さっきみたいな入れ食いにはならないので途中休憩は十分取れる。スキルの使い過ぎで眩暈を起こすことはないだろう。


「次三十メートル先ゴキが三」

「二匹怯ませて一匹近接ってところかな」

「怯んでくれると良いんですけどね」


 そういいつつ会敵、早速二人してゴキに向かって雷撃とウォーターカッターを撃ち放つ。ウォーターカッターはゴキの頭に傷をつけ、俺が狙ったもう片方は明らかに動きが悪くなる。雷撃は色々応用が利くな。戦闘ではこちらに分があるらしい。その分日常生活では水魔法のほうが便利なので状況次第かな。


 残った元気なゴキが素早く近寄ってくる。そういえば地上のゴキは空を飛べるんだが、このゴキも空を飛ぶんだろうか。うっかり飛びついてこられるとまた芽生さんがパニクるかもしれないから出来れば飛ぶことを忘れていて欲しいものだが。


 ゴキの頭は固く、直刀でも半分ぐらいまでしか刃が通らない。なので切りつけずにすれ違う形で回避しつつ、その背中部分に一撃加える。当たり所が良ければこれで終わりなのだが今回はそうじゃなかったらしい。まだ息のあるゴキに雷撃を追加してそこで倒したことになったらしい。


 痺れている一匹は置いといて、芽生さんは自分の相手にウォーターカッターを連打している。同じ個所を何度も斬り刻むことで脳に達するまで切りつけ続けるらしい。その間にゴキは芽生さんに近接、噛みつきにかかる。ひらりと回避して、再び頭にウォーターカッターを撃ち続ける。そして途中で面倒くさくなったのか、槍で突き刺し始めた。


「休憩中に眩暈がするまで打ち続けるという鍛え方でもいいのでは? 」

「今のところそのほうが良い気がしてきました。次からは普通に戦います」


 普段通りに戻すことに決めたらしく、その後は時間まで道なりに探索を楽しんだ。結局午後からは百六十匹ほどを倒し終えて、魔結晶だけでも八十万円分にはなる。ヒールポーションも合計十二本。これだけで二百万超えになる。これは最高記録きたかもしれん。


 帰り道に差し掛かる。もう道は解っているのでそれをたどるだけで済む。ちゃんと全体地図があるって便利だな。索敵通りにつり出しながら階段まで急いだ。階段までにさらに十匹ほどを倒し終えて二十一層へ戻る。後はエレベーターで帰るだけ。何とも気楽な帰り道になった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 祝500話!! [一言] 思うに、水の性質上ウォーターカッターの威力上昇を図るより弾丸のように飛ばして貫通系で伸ばした方が威力的には上がりやすいような気が…まぁ今さらかもですね
[良い点] 500話おめでとうございます。 毎日の更新ありがとうございます。 [一言] 安村さんの「 」を追い読む愉しみ。 少し濃いめな今回の文月さんとの会話劇も堪能しました。
[一言] 一番手っ取り早い強化案は高圧ウォーターカッターに研磨材を入れること
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