5:ダンジョン童貞、童貞を捨てる。
ダンジョンで潮干狩りを
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ダンジョンへ入る前に装備を確認する。
武器代わりのバール、ヨシ!
ヘルメット、ヨシ!
ツナギ、ヨシ!
安全靴、ヨシ!
手袋、ヨシ!
食料、水、ヨシ!
指さし確認は大事である。
ダンジョンの前にある受付で探索者証を見せる。出るときにも探索者証を見せることで、現在内部に居る人を把握するらしい。IC乗車券みたいに自動で受付してくれないかなーと思うのだが、そこまでオートメーション化されてないあたり、謎のファンタジーくささが残っている。今後に期待しよう。
ダンジョン入口にて手続きを行う。手続きといっても簡素化されており、二枚一組の探索者証の片方を受付に提出して、入ダンジョン時刻を記入するだけである。
「初めて潜られるんですか?」
「えぇ、今日が初めてです」
「そうですか、初日に無理されて二度とこない方って結構いるんですよね。あまり根を詰めないようにしてください。帰ろうと思えばいつでも帰れるので近所のコンビニ感覚でご利用ください」
「ありがとうございます、では行ってきます」
ダンジョンの入り口に立つ。
入口から一歩を踏み出し、しばらく中へ歩いていくと空気がつぷんとした感覚と共に変わったような気がした。きっとこれがダンジョンに入るという事なのだろう。
ダンジョンの中は狭い空間に違う空間を無理やり押し込めたような形状をしており、異次元に近いものだという。つまり、俺は今次元の壁を越えたことになった訳だ。
さぁ、初ダンジョン頑張るぞ!まずは……トイレ行きたい。
俺はダンジョンに入りこむ前に済ませることにした。
◇◆◇◆◇◆◇
以前にダンジョンの出入り口の境界線を確かめるためにダンジョンの外から石を投げこんだ者が居たそうだが、石はダンジョンの中に入り込まずに手前に落ちたという。
ならなんで人間は入り込めるのか?と思うのだがそれは今のところ謎らしい。謎なら謎のままで問題にしない事にしたようだ。実際俺も問題ないのだからちょっとした不思議として思っておこう。
ダンジョン一層はごつごつとした岩でできた洞窟のようなところだった。壁や天井のところどころには謎の光が発せられていて暗くはない。たしか教範本で読んだヒカリゴケの一種だろう。
これだけ明るいなら採取して地上で育てるだけで電気代が節約できそうなものだが、どうやらダンジョンの壁は破壊することが不可能なんだそうだ。
以前海外では爆薬でダンジョンごと吹き飛ばそうという試みが行われたが、一欠片すら壊れ落ちることはなかったらしい。
田舎にあるおかげか、俺以外にダンジョンに入っているような人はほぼ見受けられない。
二人組の若い子が二層のほうへと向かったのを見かける程度だった。
入口から少し進んだところで第一スライムを発見した。
ここ一層ではスライムしか出ないらしい。スライムでモンスターを殴るという儀式を終了したらすぐに二層へ行ってしまうのか、周辺に探索者は居ない。
一層は単なる通路だというのか、誰も相手にしない分スライムの数は増えているらしく、日々スライムの数は増殖しているらしいと聞いた。
スライムの倒し方は非常に簡単で、スライムの中にある核を割ることで倒せるらしい。
洋ゲーで出てくるスライムは金属を溶かし、生物を体内に取り込むと消化液で徐々に溶かしていくというイメージだが、大体それに近い生態をしているが此方におわすスライムは温厚で、こちらから仕掛けない限りは何もしてこないらしい。ノンアクティブモンスターって奴だな。
直径三十センチぐらいありそうなスライムが目の前をぽよんぽよんと跳ねていく。どうやらこちらから話しかけない限りこちらに興味は無いようで、あっちへいったりこっちへいったりしては、小石につまづいて転んだりしている。
かわいい……
…………
……はっ、つい見とれて我を忘れてしまった。ここはダンジョンの中なのだ、何かに集中して警戒を疎かにしてはいけないと、講習会で習ったばかりではないか。
複数いるスライムの中で一匹だけ動きの鈍いのを見定めると、ジワジワとにじり寄っていく。
スライムと俺の距離は少しずつ縮まり始め、俺は緊張に背筋を凍らせた。
やがて射程圏内に入るスライムに両手に構えたバールを思い切り叩いた。
ガツン!!
「あ゛っ」
力みすぎたのか、スライムがその瞬間移動したのかは解らない。
思わず目をつぶってしまったが両手に伝わる反動から俺は攻撃を外したことに気づく。
そして、その反動は全身を伝わり腰に溜まり続け痛みを覚えた。
俺を敵と認識したのか、スライムは体当たりを放ってくる。体勢を崩していた俺は見事にそれを食らってしまう。
思いっきりバスケットボールをぶつけられたような衝撃をうけた。俺は長男だったから耐えられたが、次男だったらダメだったかもしれない。
すぐさま体勢を立て直したが、スライムはあざ笑うかのように一瞬立ち止まると、敵ではないと認識されたのか、それとも満足したのか。ノンアクティブ化したであろうスライムはまたぽよんぽよんと奥へ跳ね去っていった。
「ぐぅ……」
残念ながら俺の初エンカウントはここで終わってしまった。
後ろで笑い声が聞こえる。どうやらたまたま渾身の一撃を外しているところを見られてしまったようだ。恥ずかしい。
おかげで腰の痛みが引くまで、周りを警戒しつつ、体力回復のための時間を取ることになってしまった。ままならないなぁ……
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