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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第六章:盛況小西ダンジョン

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492:二十二層を巡る

 一匹ずつ釣りだせるゴキと蜘蛛を一掃したところで再び二十二層の探索を始める。まずは階段を下りた周辺から、念入りに一つずつ建物を巡り、地下につながる階段があるかどうか、有った場合そこが地下なのか下層なのかを確認していく。


 階段と階段の距離が特に決まってない以上、この辺にある! と当たりをつけて探す事は出来ない。もしかしたらあるのかもしれないが、今のところそれを見通せるほど情報量が集まっていない。これが森マップなら外周のどこかとハッキリ決めつけることが出来たが、それ以外のマップではそうもいかない。


 最初にサバンナマップを横断した探索者はよく階段を見つけられたもんだなぁ。ノーヒントでアレを見つけ出すのは中々に難易度が高かっただろうに。その意味では草原マップも似たようなものかもしれないか。


「さて階段何処ですかねえ。出来るだけわかりやすいと良いんですが」

「とりあえずマップの端っこまでいくのが最初かな。全体の広さはある程度決まってるようだし、下手に細かい道を回り続けると迷う可能性もある」

「じゃあ広い道に出てみるのが先ですか」


 二十二層の階段は広い道に面しているわけではない。もっと広い道がある可能性が高いし、そこには隠れることなく普通にモンスターが湧いているのではないか。その予測を確かめるため、まず広い道を探す。


 建物にへばりついている蜘蛛やゴキと戦いながら数分ほど歩く。表に見えている数と、実際に戦うモンスター数はイコールにはならない。一匹だと思って手出しをすると物陰に隠れているすぐそばにいた奴が戦闘に割り込んできたりもする。全く油断できないな、索敵が無かったら手ひどい目に合っていたかもしれない。


 もしかして、ダンジョンハイエナが出すらしい【索敵】を覚える前提で構成されてないだろうか。だったらスキルオーブのドロップ率が渋すぎると感じる。それともそのぐらいしつこく通ってくれという事だろうか。


 たしか、数千年単位でダンジョンから魔素を運び出す予定だと言っていたな。もしかしたら我々人類の寿命がそんなに長くない事を知らないのか、それとももっと他の理由があるのか。


 他人がダンジョンに潜る時のことを心配している場合ではないか。とにかく手に入れている自分達にとっては儲けものだ。使えるものは上手に使って行こう。


 やがて広い道に出ることが出来た。ここまでの地図はマッピングできている。帰り道は確保できた。さて、これからどっちに行くかな……どういっても同じか。


「適当に回ろう。どっちを向いても来たことのない道なんだ。出てくるモンスターは把握できてるし、三匹来た時にどう動くか、それだけ決めておくか。一匹は確実に雷撃で足止めはする。先に手の空いたほうが残りを倒すって事でいいかな」

「水魔法と雷魔法のコンボで一気に決めるという手もありますよ」

「それが出来れば上々かもね。タイミングを合わせられればお互い手数を少なく出来て済む」


 広い道に出て少し歩いたところで蜘蛛三匹との戦闘になる。三匹同時にどう立ち向かうか。オークやバトルゴートの時みたいに一匹雷撃で怯ませている間に残りを一対一で倒すセオリーは今回も有効かどうか調べてみるか。


 どれを足止めしておくか……最初に糸の発射体勢に入った蜘蛛、君に決めた。雷撃で発射をキャンセルさせてその場に足止めさせる。その間に残り二匹を殲滅する形にしよう。


 芽生さんに視線を送ると、芽生さんは手をさっと上げるが早いか、自分の相対しそうな蜘蛛に向けてウォーターカッターを打ち込んで戦闘開始。俺にとっても蜘蛛自体はもうそんなに脅威じゃない。糸を追加で吐かれても雷撃キャンセルをするかあえて吐かせて直刀で斬って、そのまま近づいて倒す。


 倒したら最初に雷撃を加えた残りの一匹を処理しにかかる。雷撃してしばらくは麻痺させることができるようで、戦闘が終了するまでの時間は充分に稼げる。持っててよかった【雷魔法】。残りの一匹も処理するとこの戦闘は終わる。


 蜘蛛は糸と魔結晶を落とした。魔結晶はどうやら確定ドロップという事で良いらしい。糸は二割ぐらいだろうか。ヒールポーションは今のところ七から八パーセントぐらいの確率で落としてくれる。査定価格の割りにかなり高い確率だと言える。


 ここから暫くはかなり稼げそうだな、と皮算用をしつつ、次の戦闘までの探索を始める。ここから先はスキルをフル活用していくぞ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 建物を調査し始める事三十分。モンスターがいろんなところに入り込んでいるおかげで戦いづらいだろうなぁという予想は当たった。階段らしきものを見つけて階段を下りたその先に蜘蛛が居たり、上に上がろうとしたら天井からゴキが降ってきて芽生さんが軽くパニックを起こしそうになったり、常に戦いの可能性を考えながら移動する事になった。


 さすがの芽生さんもまだ三次元方向の索敵はうまくいかないようで、接触しているはずなのに姿が見えないので建物の中に居ることは間違いないだろう。というぐらいの認識は出来るらしいが上に居るか下に居るかまではまだ判別できないらしい。


 なので、建物に居そうな所にはパチンコ玉で音を立てて外までおびき出して戦う、という形で戦う事になった。そのほうがフィールドを広く使える上に奇襲される可能性がぐんと減る。


 デメリットは探索にかける時間が長くなり中々地図埋めが進まないという事だがそこは仕方ないと割り切ろう。変に無理をして怪我をするのは御免被る。


 建物を調査し終えて外に出ると、行く先にゴキ三匹が見えている。ゴキ三匹も戦い方は変わらない。ただし頭部が硬い分だけ刃が通りにくいのと、蜘蛛みたいに遠距離攻撃をしてこない分戦いやすいが、噛みつかれるといわゆる毒状態になる可能性が有るという事か。


 直刀に雷を帯電させて斬り込めば硬い頭も焼き切る事は出来る。ただ燃費という点では雷撃二発撃ちこんで自分の相手になりそうな奴を順番に刺していくほうが今のところ効率は良い。状況によって使い分けていくか。この際、直刀に帯電させるまでの時間を短縮できるかどうか試してみる機会が来たと考えよう。


 広い道沿いにそのまま歩いていく。モンスター密度は清州九層の外側を歩くぐらいか。そこまで密度が高くは無い。地図を作るためには密度が薄いほうが楽なのでほっとする部分もあり、稼ぐならもっと深層へ行けという事か、と考えるところでもあり。


 一つずつ建物を調べるのは面倒だが、少なくとも一階にあたる部分は確かめなければならない。そしてその上の階にモンスターが潜んでいる事はある。索敵に引っかからなければそのままスルーしていく。今日のモンスター退治はあくまでついでだ。メインは階段探しであることを忘れずに進んでいく。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 更に一時間経った。通ってきた道の建物は見終わった。一階部分には何もない。正しくは次への階層へつながるような跡が何もなかった、だ。モンスターも三匹セットに慣れてきた。芽生さんがゴキを嫌がるそぶりも無くなった。


 順調に探索は進んでいると言える。建物に近寄らなければエンカウントもしないので次回はもう少し楽な戦闘が出来るだろう。広い道をとりあえず真っ直ぐ一往復行って帰って来たところだ。変に曲がったり奥まったところに入ったりせず、ひたすらに広い道の探索を続けた。


 見落としが無い前提だが、ここの道回りには階段は無い。やはり側道に入って雑居ビル群のようになっているところに階段はあるんじゃないだろうか。まだ広い道を全て回ったわけではないので断言できるわけではないが、二十一層から下りて来た階段がその側道みたいなところにあったのだから、同じように側道側に階段が有ってもおかしくはないだろう。


 だが、この階層全体の広さと構造をはっきりさせてから側道に回ったほうが迷う可能性が下がる。第一に帰り道が解る事、第二に行く先が解る事、第三に稼いで帰る事。帰り道にかかる時間も考えてあと三十分ぐらいが探索可能時間だろうか。だがギリギリまで探索する必要もないな。そろそろ帰るか。

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― 新着の感想 ―
[一言] 良い。
[一言] side芽生があったらうるさそうですね Gがお金に見えるように誘導してあげた方が早いかも
[一言] ミニ(正常)Gはパニくってない限りこちらから逃げようとしますがジャンボGはそうじゃないんですね…ゴ●ジェットは試さないのかしら。
2023/11/04 08:15 退会済み
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