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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第六章:盛況小西ダンジョン

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486:至高のにkjはd

 バスと電車に揺られつつ本を読む。月刊探索ライフと探索・オブ・ザ・イヤーの料理欄も参考にしつつ、家で作れて野菜が取れて、それでいて美味しそうなものを見繕っていく。結構色々あるな……今度は何処で悩んでも良いように普通の料理本も保管庫に放り込んでおくか。


 月刊探索ライフのほうが料理コーナーは充実している。ダンジョン内でいかに手数が少なく美味しい料理を作れるか、というところにフォーカスが寄りがちであり、これを家で作るという事は更に面倒がなく作れるという事になるのではないか。


 探索・オブ・ザ・イヤーのほうは主に七層あたりで料理をする事を前提にしているのか、水を多めに使うレシピが並んでいるように思える。レシピの中にはダンジョン内で鍋物やスープを多人数分作るという中々の度胸を見せつけてくれている。


 それらの中にあったが、野菜から水分が出ることを利用してパスタをあらかじめ茹でて用意しておいて、中で温めて完成させる野菜たっぷりのスープパスタというものがあった。あらかじめ茹でておくというのはポイントだ。保管庫を使えばくっついたりベトベトになったりする可能性もより低くできる。これはいいな。


 やはり自分で考えるより知識のより多くある場所で考えるほうが良い物が思い浮かぶな。帰ったらネットでレシピを検索しておこう。そこから逆算して使えそうな食品を買い足しだ。


 家についたらまず、今日の洗い物を先に済ませてしまう。サンドイッチだったので洗い物はほんの一分程度で終わる。ゴミもほぼ無い。ツナギから普段着に着替えると、ツナギを洗濯してその間にネットで料理レシピを検索していく。


 ピンときたレシピは印刷して、雑誌に載っていたほうにはチェックをつける。そこから割り出した明日の昼食は……肉じゃが。明後日は野菜たっぷりパスタスープ少な目。レシピに必要そうな野菜を見繕いに買い出しへ行こう。夕食は買い出しの後だ。


 いつものスーパーに着くとまずは現金自動預け払い機で記帳。うん、しっかり中身は増えている。日々のダンジョン稼業の成果物に満足すると次は買い物だ。食パンと卵をカートに放り込むと、必要な野菜を買っていく。今回は肉じゃがの春雨は無しだ。後パスタも乾麺が切れているので買い足す。


 野菜をドサドサと買い込む。ちょっと多いかもしれないな、と思うぐらいだが徐々に消化していくレシピは大体決めてあるので野菜室で液状化現象が始まったり新しい生命が生まれたりはしないはずだ。


 夕食のつまみに盛り付け済みのサラダを一品、それから揚げ物も追加すると大体必要なものはそろった。買い物はおそらく済んだ。メモ帳に書いてあるレシピで必要そうな野菜は全部買ったと思うし、キノコ類は保管庫の中で生きている。今更だが菌糸類は生き物扱いではないらしい。


 虫はどの辺までが生き物の範疇なんだろうな。調べてみるのも一興だが、余計なものを入れたくないという気持ちもある。保管庫ではないが、カバンの中に虫がそのまま入っているイメージで保管庫を使っているので裸でものを入れておくのは何となく気分が悪い。裸のまま入れているのは抜き身の剣ぐらいだな。


 会計を済ませると、たい焼きを一つゲン担ぎに買って帰る。アンコのほうにした。保管庫にそのまま放り込み、温かいまま家で食べよう。


 家に着くと早速夕食を取る。サンドイッチの残りはさすがに温かさこそなくなっているものの、食感はまだかろうじて残っている。今日は朝昼夕と全部トーストだな。さっき買ってきたたい焼きを含めると炭水化物が多い。


 今から作る肉じゃがはじゃがを少し控えめにしてその分野菜を放り込もう。野菜のほうが多くなったら肉じゃがではなくじゃがを放り込んだただの煮物になってしまっているかもしれないが、それはそれで味のほうにチャレンジするという事で自分を納得させる。


 やはりサンドイッチだけでは胃袋を満足させることは出来なかった。たい焼きと揚げ物とサラダを胃袋に乱雑に放り込んでようやく満腹感を得るに至った。ちょっと食べ過ぎた気がしないでもないが、最近満腹になるまで食べてなかったのでたまにはいいよな。いいよね、いいよ? うん。


 片づけを済ませると早速調理準備だ。飯を食ってすぐ後に飯の準備をするというのはなんだか矛盾しているような気がしないでもないが、明日の朝を楽にするため、明日の昼を美味しくするためには必要な要素だ。張り切っていこう。


 材料を乱切りにして玉ねぎはくし切り、肉はボア肉を使って煮える範囲で食べたい大きさに切る。肉を炒めてからその後で野菜を投入。適当に火が通ったら調味料を投入して弱火でしばらく置いておく。汁気が切れない間に洗濯物を干して、家事を細々と済ませ風呂を沸かしておく。箸で適当につついて箸がすんなり通ったら完成だ。


 水分と調味料は多めに仕込んでおいたから汁だく気味になっているが、これがご飯にかけるとまた美味しいんだ。それに冷蔵庫で一晩寝かしている間に更に味が具に染み込んでいく。少し濃いぐらいでちょうど良いだろう。ご飯でワンクッションすることにより更に食が進む一品になるに違いない。後は別容器で生野菜サラダでも添えておけばいいだろう。


 肉じゃがは四人分ぐらい作ったので明日の夕食も同じメニューを使えばいいのでとても気楽だ。もしかしたら二人で食べつくしてしまうかもしれないがその時はその時、コンビニ飯で済ませよう。


 食事の用意も終わった、買い物も終わった、風呂は沸かした、洗濯物は……洗濯終わってる。やること大体終わったな。風呂に入ろう。


 風呂に入ってゆったりと湯に浮く時間を楽しむ。明日も芽生さんの特訓だ。前回の教訓を忘れていなければ一対一ならなんとか形になる戦いを出来るようになっていると……なっていると……なってるかなぁ? なっているといいなぁ……


 決して焦っている訳ではないが、とっととこの階層を抜けてしまいたいのは俺も芽生さんも同じだろう。好き好んでゴキの相手をしたいわけではない。しかし、この階層は見た目の割りに美味しい。


 二十二層はどのくらいモンスター密度が高いかわからないが、ドロップする品目を見るに荷物が軽くて済む。そして、二十層より稼げる。魔結晶を落としてくれる数と倒した数が決まってるから一匹当たりの計算がしやすい。ヒールポーションのドロップ率が毎回同じだと仮定する場合、一匹当たりの美味しさは二万円ぐらいになる。


 ゴキを一匹駆除するたびに二万円。現実のゴキとは大違いだ。現実のゴキは一匹見つけたら三十匹以上いると思えとも言うし、きっと二十二層にもそれ以上のゴキがいるだろう。つまりそれだけの鉱脈が自分たちのためだけに埋まっている……しばらく稼ぐ場所としては悪くはないかもしれない。


 芽生さん的にもとっとと抜けてしまいたいマップになるだろう。しかし、三階層分の階段を見つける作業は中々に難しくなることは現状からしても解っている。モンスターが居ない状態の二十一層ですらそれなりの時間がかかったのだ、モンスターが居るそれ以降は更に面倒くさいことになるような気がする。


 ますます索敵スキルの必要性が増していくな。もし無かったら自力で何処かから調達する必要があっただろう。そもそも何階層でドロップするんだあれ。よし、調べてみるか。


 ザババっと風呂から上がり風呂の掃除をした後で寝間着に着替え、いつでも眠れる態勢を確保しつつ調べもの。【索敵】がどこの階層の誰からドロップするかの情報を集めてみる。


 調べた結果、ダンジョンハイエナと、カメレオンダンジョンリザードというまだ知らないモンスターの二種類がドロップする事が確認されているようだ。カメレオンダンジョンリザード……名前からしてダンジョンの背景と同化してそうだな。見つけるには確かに【索敵】が必要そうな名前をしている。


 しかし、誰が命名してるんだろうなこれ。国際ダンジョン学会みたいなものがあってそこで新しいモンスターを見つけては名付けているんだろうか。もしくは、俺みたいに保管庫の中に入れて確認しているんだろうか……ん、まてよ?


 そもそも俺の保管庫の中身のモンスター名のデータは何処から参照されているんだ? やはりダンジョンか? ダンジョンから保管庫の中の魔結晶の種類まで参照しているって事は、俺以外の【保管庫】所持者も同様になっているはずだ。だとすると最初の名付け親は保管庫スキル持ちという事になるのか?


 いらんところで謎が深まって来た。多分考えても答えは出ないだろうから今日のところはふて寝する事にする。ちなみに【索敵】お値段六千万円。つまり芽生さんは全スキルだけでも一億二千万円の女だ。中々たけえ女になってしまったな。


 俺は……俺の時価はいくらだ?保管庫の金額的な後ろ盾がないな。調べてみるといくらなら買う? みたいな話をしているチャットがあった。ログを見る限り、数億数十億ではきかない話になっている。そもそも保管庫の広さの上限が解らないし、容量は広さによって決まるのか、重さによって決まるのか。それらの議論が交わされていた。持っている本人よりよっぽど真剣に会話している。


 そっとしておこう。俺はパソコンをそっと閉じ、眠りについた。

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― 新着の感想 ―
タイトル誤字ってるね。 本当は、肉じゃがなのかな?
[良い点] 至高のjkはdに見えた 俺はもうダメだ 煩悩の塊になっちまった
[一言] 肉じゃがに春雨って初めて聞いたな、家ではシラタキや糸こんにゃくを入れるけどその代わりかな? 春雨ってコンニャク系と違って味が染みるから肉じゃがに入れるとけっこう濃い味になりそうだな。
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