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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第六章:盛況小西ダンジョン

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457:チームTWYS 3/3

 十四層から再び十五層に下りる。さすがに階段下りてすぐのところは湧きなおしては居なかった。そんなに時間が経ってないから仕方が無い。だが、エレベーターホールへ向かう道沿いのモンスターは時間的に湧きなおしているはずだ。


 その為に帰りにもエレベーターまで送ってくれるという。有り難いとしか言いようがない。これも自分の実力不足のせいである。手数を増やすにはステータスブーストを強化していくしかない。その為にはひたすらに戦うしかないと現状は考えられる。


 このチームTWYSに混ざって戦っていて思うのだが、彼らはかなり戦闘が洗練されている。結衣さん達とはまた違った意味で。パーティーは普通それぞれの役割があってその役割を満たすための動き、みたいなものを取る。ポーターは後ろからサポートする、みたいなそんな動きだ。


 だが、このチームTWYSはなんか違う。全員がすべての役割をこなすようなそんなイメージだ。おそらく、誰かが欠けたとしても十全にパーティーとしての機能を満たすために訓練……そう、訓練されているようなそんな感じで出来ているような気がする。


 もしかして、彼ら自身がD部隊って奴なのでは? 直接聞いてみてもいいかもしれないが、多分はぐらかされるだろう。ただそうなると結衣さんから俺にダイレクトパスを送ってきたことにも説明がつく。結衣さんは清州ダンジョンでは顔が広いそうなのでD部隊にも知り合いが居てもおかしくはない。その伝手を利用されて今回出会ったという事にもなる。


 ということは俺は今日は朝から探されていたのではなく、最初から目をつけられていたとすれば、ダンジョンに入る前のタイミングで綺麗に捕捉された事にも説明がつく。


「どうしました? 安村さん」

「いえ、ちょっと気になる事が出来ただけです」


 そう答えつつ、四人を見渡す。四人ともしっかりと鍛えられている。まるで鍛錬が仕事だとでも言わんばかりの肉体だ。自分と見比べてもその差は明らかだ。まだ中年太りが解消されきってない俺とは違って体に無駄な脂肪がついてないように見える。


 やはり彼らがD部隊なのだろうか。だとしたら俺に接触してきた理由はなんだろう。小西ダンジョンの極秘調査だろうか。俺からできるだけ文言を引き出しておこうという流れなのだろうか。


 しかし、彼らがD部隊なら彼らなりに情報を持っているはずだ。俺が知らない範囲も含めて、地位と権限に相当する分の情報、更に下層の様子やドロップ品、ダンジョンの様子やダンジョンが出来ている理由、その辺りも含めて俺よりも持っていると予想して良いんじゃないか。


 だとすると俺に期待されているモノは何だろう。今の段階で俺に接触して確認を取っておくことは戦力以外に何かあるんだろうか。もしかしたら彼らに情報を漏らさない事が既にBランク探索者としての試験の一つとなっているとか。ならばこれ以上情報を出すのはあまり賢い選択とは言えないな。このまま黙ってるとしよう。今日は顔見せ程度だという事にしておけばお互い角は立たないはずだ。


 考え事をしながら戦っていたらエレベーターホールについてしまった。ここでチームTWYSとはお別れだ。


「引率ありがとうございました。後、魔結晶も」


 予定よりも多めに魔結晶を持たせてもらった。これで帰り道の分も含めてちょっと余りある量だ。この分は予備として後で保管庫に放り込んでおこう。


「良いんですよ。我……私たちのお願いを聞いていただいたんですから。他に人も居ないようですし、ゆっくりボスを倒せそうです。お世話になりました」


 高橋さんは一瞬手を上げると何かに気が付いたのかすぐに下げ、お辞儀をする。もしかしたらうっかり敬礼をしそうになったのかもしれないな。


「また会う事が有ったらよろしくお願いします」


 エレベーターに乗り込み、チームTWYSとお別れをする。しかしD部隊か、そういう人たちも小西ダンジョンに目をつけだした、という事にしておこう。なんだか大事になってきたな。これは二十一層までたどり着かれてエレベーターが二十一層まで到達している事も公になりそうだな。


 エレベーターが七層に着いた。さて、ここからはまた一人の時間だ。とりあえず一回茂君する。茂君は人がいなかったので安心して保管庫を使えた。七層に戻ってきてテントに到着すると、まずインナーシュラフやスキレットをバッグからとりだしてテントに放り込んでおく。九層へ行くには邪魔な重みだ。かといって保管庫に仕舞って帰り道にばったり高橋さん達と出会うのは非常にマズイ。今日はこいつは出しっぱなしにしておこう。


 さて、懸案事項はあるがまず昼食だ。十五層へ往復して茂君して、それなりに腹が減った。今日は家で作ってきたタンドリーチキン弁当だ。ここで作るよりも美味しく出来ているに違いない。


 うん、ちゃんとオーブンで焼かれたタンドリーチキンはほんのりと焦げた香りと味がしてとても美味しくできている。この炭火のような香りが欲しかったんだよ。やはり家で作るのが一番だな。いや一番はちゃんとした店で食べるのが一番美味いに決まっている。自作にしては中々の出来だと自己評価しておこう。


 俺なりの意味でバランスのいい食事を味わった後はコーヒーを淹れて一服する。さあ、昼からはちゃんとした仕事をしないとな。午前中は……まあ準備運動みたいなもんだ。今日の稼ぎは少ないだろうが、何もしないよりは稼ぎになる。それに、今後必要になるだろう出会いがあった。今後は人がらみの話も増えて来るんだろうな。少々鬱陶しいと感じるかもしれないが、必要経費としておこう。


 コーヒーを飲んで胃袋を休め、体の調子を見たところで九層へ向かおう。胃袋の消化をステータスブーストで効率よく燃焼させながら、八層へ歩いていく。途中自転車に乗った大木さんにすれ違う。今日は自転車に乗れたらしく、笑顔で七層のキャンプへ向かうらしい。良かったね今回はじゃんけんに勝てて。


 八層の階段を下りると、やはり先ほどすれ違った小寺パーティーが綺麗にしていったらしく、モンスターの姿は見えない。ここはランニングで駆け抜けてしまおう。階段まで一直線に走りつつ道中近寄って来たダーククロウと戯れていると、一匹だけワイルドボアが湧いていたので倒して肉を確保する。


 九層はいつもの感じだ。順路に従って時計回りに回る。今日は中級者コースだ。午前中あまり体を動かさなかった分、今日の体力には自信がある。先日の四層大爆破修行のおかげでスキルの使用頻度にも自信が出て来た。中級コースを歩いて行っても何の障害も無く排除できるだろう。


 早速中級者コースを歩いていく。出てくるのはワイルドボアとジャイアントアントの四匹から六匹。もう一歩踏みだしたい気持ちもあるが、まだちょっとはやい気がしないでもない。とりあえず一周ぐるっと回って、暖気運転と行こう。


 荷物がほとんどないおかげで背中が軽く、その分動きも軽やかになっている。何の障害も無く五匹のジャイアントアントを素早く処理すると、次々前へ進んで自分からモンスターを探しに行く形になって来た。


 前まではモンスターが近寄ってくるのを待ってから戦闘に入っていたが、四層のように自分から探しに行くスタイルに変化できたのはひとえに修行の賜物だろう。ジャイアントアントと肉弾戦中に酸が飛んできても問題なく避けれるようになった。この素早さは武器になる。


 あっという間に一周して八層側の階段に戻ってくる。これはもう一歩、森に近寄ってより濃いモンスターたちを試してみるか。

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― 新着の感想 ―
[一言] ボス倒して帰る時に21層へ行ける事がバレるのでは?
[良い点] 毎日の更新有り難う御座います m(_ _)m [気になる点] 安村氏への接触は「監視」かな 同行して一緒に戦闘する様子を見られていた と感じる。(*^^*)
[気になる点] 下手すれば全世界から注目されてるおじさんどうなる!? 人も増えたし初期のころにおきたスライム増殖事件利用して潮干狩りイベントとかギルマスに提案したりしないんかな?w [一言] 我、我……
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