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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第五章:自由を求めて深層へ

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392/1224

392:売れ行き好調は嬉しく、懐も温かく

解りにくいと自覚してますが他に上手く表現する方法が思いつかなかったので言い訳を。

一日飛んでます。

 今日も気持ちのいい朝だ。ありがとうダーククロウ。昨日はせわしなくだがゆっくりとした探索のおかげであまり疲れていない。そもそも寝るのも早かったが、今日一日休みであることも影響してか、焦りを感じる事もない。まず顔を洗って、いつものご機嫌な朝食を食べよう。全てはそれから始まる。


 昨日はほぼ一日を使ってエレベーター経由で茂君を狩り倒してきた。特に語るようなイベントも何もなかったが、その分と今までの分をまとめて今日布団の山本へ納品しに行く予定だ。頑張った分疲れてそのまま寝てしまったので、やり残した仕事の残りを片付けなければ。


 ゴミ収集車が来るまでにゴミを片付けて出さないといけない。昨日出たごみはウルフ肉と焼きそばとおにぎりのパッケージ、コーヒーのペットボトル、それに家で出たゴミだ。最近はゴミを出す量も少しばかり増えた。自炊せずにスーパーやコンビニで買う事が増えたからかもしれないが、まぁ一人暮らしならこの程度だろう。


 さて……しばしやる事が無いな。運動がてらの家の中と庭の掃除をして、体をほぐしていこう。


 保管庫をフル稼働させ家具を全部中に仕舞うと掃除機をかけて元に戻す。全ての部屋でこれを行うと次は庭の掃除だ。庭というほど立派なものは何もないが、雑草抜きぐらいはしないとな。


 だが、雑草も保管庫に放り込めばすぐ終わる。まだ燃えるゴミ間に合うかな。間に合った。庭の雑草も保管庫を使えば綺麗に片づけることができるし、雑草と一緒に投入されてしまった砂や土も「庭の土」として別カウントされているのでまた庭に戻せばいい。おかげで掃除の効率が何十倍にもなった。窓の拭き掃除もついでにしてしまおう。


 全ての窓を軽く拭き掃除して程よく体が温まった頃、荷物が届いた。お待ちかねのバッテリーの追加パックだ。早速充電を確認しておく。フル充電されているようなら順次保管庫へ放り込み、出番を待つことになる。


 安かったのでついでに複数同時に充電できる装置も買っておいた。それでまとめて充電状況を確認する。充電しかけておいて出かけてる間に充電が終わってる可能性はあるが、もし充電中に発火された場合対応できないので家に居る間に充電しよう。


 雷魔法で充電……というのも考えたが、出力調整している間にバッテリーを破損する可能性が高い。大人しく市販の充電器を使う。


 半分の充電が終わったところで良い時間になったので充電作業はいったん中断。車に手持ちのダーククロウの羽根を全部積み込み、布団の山本へ連絡する。


「おはようございます安村様。先日の布団の使い具合はいかがでしたか? 」

「おはようございます。お陰様で気持ちよく眠れています。今日は納品のご連絡をと思いまして」

「こちらは何時に来られても結構でございます。そちらの御都合のよろしい時間に来ていただければ幸いです」

「わかりました。では……三十分後ぐらいに到着すると思いますので、対応を宜しくお願いします」

「かしこまりました。お待ち申し上げております。では失礼します」


 いつでも来てもらっていいとの事なので三十分ほどで着くという話でまとめる。さすがに合計十一キロもあると体積が凄いな。昨日頑張った証というものだ。後ろ見えるかな。


 車を走らせ布団屋へ。駐車場に車を停めると一旦車を降りて挨拶しに行く。店長自ら出迎えてくれた。何時もここは俺に対する信頼が厚い。早速従業員が奥から出てくると俺の車からエコバッグに柔らかく詰め込まれたダーククロウの羽根を次々に運び出す。


 品質と量を確認している間にいつものいい葉を使ってそうなお茶と羊羹が出て来た。どうやら一定以上同時に納品すると羊羹がサービスされる仕組みになっているらしい。閾値は六キロぐらいだろうか。


 十五分ほどして店長が戻ってきた。全部で十一キロあったことを確認。三十万八千円の取引となった。芽生さんの分は九万二千四百円。後で耳をそろえておこう。


「売れ行きはどうですか」

「お陰様で儲けさせていただいております。羽毛布団に使わない……いわゆる芯の部分も、枕にすることで弱いながらも効力がある事が解りまして。まずは安くても良いから効果を証明するためにと店内にサンプルとして置かせてもらっております」


 ふむ、芯が有っても枕ならそば殻みたいな感じでそう違和感が無い物も作れるって事か。ダーククロウの羽根に捨てるところ無しだな。


「後は枕を購入した後に布団も……というリピーターのお客様がいらっしゃっております。お値段の張るものですしそう多くは無いのですが、枕でこれだけ眠れるなら布団だとどれほどすごいんだ、と言った感じでして」

「なるほど。繁盛されてるようなら幸いですね。今日納品した分で……いくらかは御助力にはなれたかと」


 そもそもダーククロウの絶対数が不足している上に確実に倒す方法が限られている。それに加えて輸送の際の汚れや水分や品物の状態……つまり無理やり詰め込まれていたりしないか、なんかの条件を重ねていって、それでも需要に追い付かない、ということだろう。


 しかし、俺としてはこれ以上供給を増やすのは結構厳しいものがある。一人で探索する間毎回潜るのでも一向にかまわないが、そろそろ保管庫を他人に見られる可能性が出てくる。すくなくともエレベーターが本格稼働し始めたら茂君の討伐は出来るだろうが品質の保証は難しくなるだろう。


 世の中に不眠で悩む人がどのくらい居るか解らないしその中で枕を買ってでも解消しようとする人は更に少数だろうが、それを望むすべての人に行きわたらせることは今のところ不可能だな。


「これは私見ですが、供給をこれ以上伸ばすのはちょっとばかし難しいと思います。私が通っている余所のダンジョンに行くよりも普段通ってるダンジョンに通い詰めるほうが効率の点から考えても良いですし、私以外で専属で集めてくれる探索者を探す……というのが良さそうですが、はたしてそこまでしてくれる探索者が居るかどうかはちょっとわかりかねます」

「いえいえ、そこまでしていただく必要はございません。あくまで布団の売り方の一環としてダーククロウの素材での販売をさせていただいてる限りですし、そこまで考えていただかなくても充分でございます」

「そう言っていただけるとこちらも気が楽で助かります。もしかしたら素材の入荷をお待たせしているんじゃないかと少し焦っている部分がありまして」

「素材の入荷に合わせてこちらで順番に製作していく、というのはお待ちいただいているお客様にも通達させていただいてますし、安村様には今まで通り気が向いたときに採取してきていただいて、安村様のタイミングで持ってきて頂ければそれだけでも充分でございます」


 無理に素材の納品を急かせて品質が落ちたりへそを曲げられたりしたら困るから今まで通りフラフラと納品してくれたらそれで良い……という事だと受け取っておこう。


「そう言われると気が楽になります。また狩って持ってきますよ。息抜きには程よい探索なので」

「是非そうしてください。当店と専属契約を結んでいただく……というのが理想ではありますがそれだとおそらく退屈でしょうし、安村様は見た所ダーククロウ以上のモンスターとも戦えてもっと稼げる力をお持ちだと思います。ですので今まで通りのお取引を……と願います」


 こっちの気持ちを読まれている。これも仕事柄の駆け引きといった所だろうか。素直にその気持ちに甘えよう。


「わかりました。では今まで通り、また溜まったら連絡するという事で一つ宜しくお願いします」

「承りました。何時でもお待ち申し上げております」


 思ったより長居してしまったからここらで失礼する。丁寧な見送りを受けながらさて、真っ直ぐ帰るかそれともどこかで昼食を取るか。自由な休日というのは良いな。しかし同時に悩み事が増えるという事でもある。今日の俺は……何腹だ?


 ◇◆◇◆◇◆◇


 悩んでいる間に家についてしまった。これは適当に家で飯を食えという事だろうな。冷蔵庫にチーズは……あるな。ウルフ肉の醤油焼きチーズ掛け。何回か作ったが結局これが手軽で美味い。野菜は……今は無しで良いや。うむ……美味い美味い。夕食もこれで良いぐらいだ。いや夕食はこれにパスタをつけよう。野菜は玉葱を刻んでそれで終わりだ。今日はぐーたら飯でいい。


 さて腹も膨れてまんぞくしたところでバッテリー充電の続きをしながらのんびりとするか。特に何をするわけでもなく半日を過ごすのも悪くない。そのまま久しぶりにダラダラとした休日を送った。明日の準備はしてあるしもういいだろう、今日は。


 後は明日の飯どうするかだな。意外と早く終わるかもしれないしコンビニ飯でいいか。一人だし気合を入れて作る必要もないだろう。やることは大体決まった。明日にならなきゃ決められない事は明日決めて、後はだらだらしよう。

良ければ評価お願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 睡眠不足の方にとっては正直薬よりも上だろうしなぁ
[一言] 潮干狩りおじさんや、布団屋はダンジョンじゃないのだからようかんの確定ドロップ方法を解析する必要はないのじゃよ?
[一言] 芯ですら効果があるとかダーククロウ君有能すぎんか 店内サンプルは完全に罠ですなあ 試せば最後抜けられなくなる
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