39:新しい攻撃方法
八十万PVありがとうございます。今日は二本投稿する予定です。後、偶にいいねとかもらえると喜ぶ生き物だと思います。
そういえば保管庫スキルで試したいことが一つあった。バッグの中を経由して自在に取り出すことは可能なんだが、一体どれぐらいの射出速度、手元からの距離まで届かせることが出来るのか。
それを確認するため、我々検証班(一名)は一層の奥地へ飛んだ。
いつもの人通りの少ない一番奥のエリアを選ぶ。昨日何を考えて買ったのかわからなかったパチンコ玉と棒手裏剣の出番だ。これを保管庫から直接射出できるかどうかテストをしてみるのだ。
早速奥の細道に尋ね入るとスライムの戸も住み変わる世ぞ雛の家とはいかないが、美味い具合に一匹だけと遭遇することが出来た。頭の中のリストからパチンコ玉を選択、速さをうまくイメージすることが出来ないので可能な限り速く、と念じてパチンコ玉を取り出した。
その瞬間プシュン!という音とともにパチンコ玉は真っ直ぐ飛んで行ったらしい。
らしい、というのは目で追えなかったからだ。そして狙いを定めたスライムに命中、スライムは木っ端みじんにはじけ飛んだ。
このぐらいの音ならばれないな。ダンジョン内に響くようなら銃火器を使用したのと勘違いされては困るし、人が寄ってきたことでスキルがばれる可能性だってある。静音性を考慮しつつ、攻撃力を出来るだけあげられるように速度のイメージを掴みなおさなければいけないな。
音が鳴るのは音速の壁を突き破るせいだから、その手前までの速度をイメージする。ざっくり言うと秒速三百メートル以下だ。三百メートルは……何メートルだ?
どのぐらいの距離だろう。イメージが貧相すぎて思いつかなかった。中学の時の校庭が目いっぱい使われて百メートルだった記憶がある。一歩一メートルとして、三百歩分の距離を一秒で飛ぶぐらいの速さ……三百歩まっすぐ歩く道は……この辺にはないな。
とりあえず長く真っ直ぐそうな道を見つけては、その奥まで一秒でたどり着く速さをイメージする。
試しに一発発射してみる。破裂音はしないが向こうでカーンとはじき返す音が鳴った。この速さで試してみよう。手ごろなスライムを見つけてもう一発撃ちこんでみる。スライムの真ん中に穴が開く。核を打ち抜いたようで、スライムは一発で消滅した。
……これ、かっこいいかも。人前で打てないのが残念だけど。いやまて、指先から出してるように見せかければ人前でも使えないこともないのか?
実は指弾の達人だったんだよ見たいな感じで打てるシーンを妄想する。
……これ、かっこいいな。
腰だめからの指先発射の練習をしてみる。的はその辺にいるスライム。
ちょっとずつスピードを上げていくイメージで連射してみる。
ピッピッピッ
パンパンパン
発射と共に順番にスライムが弾けていく。相手が十分に鈍ければ当たるな。早すぎて当たらない相手には今のところ出会ってないはずなのでこれで遠距離攻撃手段を確保したぞ。
ただ、パチンコ玉が三百発しかないので練習はこの辺にしておこう。いざという時のために蓄えておくのだ。今度買い足しておこう。
本当は使ったパチンコ玉も回収しなきゃ怒られるんだけど……とりあえず目の前の数発だけ回収しておくか。後はスライムが上手く処理してくれることを祈ろう。
さて棒手裏剣のほうはグレイウルフで試そう。パチンコ玉でスライムにあの威力なんだから、棒手裏剣では完全にオーバーキルになることが目に見えている。そう言うと我々検証班(一名)は再び二層へ舞い戻った。
人の居ないところで孤独なグレイウルフを探し、気づかれる前に投擲するとしよう。
だが運悪く孤独なグレイウルフは居らず、二匹連れの仲の良さそうなグレイウルフが居たので、気づかれないように片方に向けて棒手裏剣を投擲する。こう、上から視線に向けて、よっと。
よし、うまく当たった。どうやら眉間を貫通したらしく、そのまま黒い粒子となって消滅した。
もう片方にも狙って当ててみる。しかし、寸前にグレイウルフに気づかれたのか、脇をかすっただけで外れてしまった。仕方ないのでいつものマチェットでグレイウルフを見据える。
流れるような動作でグレイウルフを仕留めると肉が出た。よし、晩のおかずが増えたぞ。
棒手裏剣は回収しておこう。こっちは本数が少ないからもったいない。
……誰にも見られてないな?よし、回収回収。
色々予定外の出来事はあったが、スキルの練習もできた。
使える場面は限られるが緊急避難手段が出来たことを喜ぼう。さて一層に戻るとするか。
◇◆◇◆◇◆◇
一層に戻ると、そこはスライムでみつしりと満たされていた。
……いったい何が起きた?
作者からのお願い
皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。
続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。





