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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第五章:自由を求めて深層へ

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370/1248

370:天使の目覚め2、そしてソロ小西

双眼鏡の倍率、ご指摘を受けて二十五倍→十倍に修正いたしました。

 気持ちのいい目覚めだ。昨日までの微妙な暑さはほとんど感じなかった。新しい布団は語彙力を無くした俺にマジでヤバイ効果をもたらしてくれた。冷房をタイマーで切らなかった事も関係あるかどうかは解らないが、とにかく布団が薄くなった事で寝起きが快適になったことは間違いない。


 おはよう世間、おはよう俺。久しぶりに新しい布団の快適さとダーククロウの実力を思い知った。やはり彼らは俺には無くてはならないらしい。ありがとう、今日も適当な念仏を唱えておく。


 いつもなら一日休みを挟んでから潜る所だが、今日はいきなり潜る。その為に昨日早めに寝て体に負担が無いようにしておいた。おかげで体調もいい。うん、実にいい。


 冬用の布団は今日一日日向になりそうな屋内で干してから片付けよう。屋内用布団干しにかけておく。また寒くなったらよろしく。手を合わせておく。


 これから暫く暑い間よろしく、と夏布団にお礼を言い、朝食の準備だ。いつも通りの朝食を食べ、茂君討伐と日々の糧を得るためにダンジョンへ潜る。今日の昼は何にしようか……パックライスを温めながら考える。七層で調理しても家で調理しても同じなら家で調理して保管庫に放り込んで中で食っても問題ないな。なら七層で調理しづらいものを何か作ろう。


 ざっくり考えた末、何も思い浮かばなかったのでウルフ肉の生姜焼きを二パック分作って保管庫に放り込むことになった。千切りキャベツも一緒だ。お弁当お弁当。保管庫には小パックの野菜ジュースも入れて有るので栄養は充分取れる。


 さぁ今日も小銭……いや、中銭を稼ぎにダンジョンへ行くか。目的は茂君最低一往復、それから八層にも足を伸ばしてはげ山の一夜にしてくるか。その後は九層へ行くか四層へ行くか。【雷魔法】を鍛えるなら四層でひたすら回るのが一番鍛錬になるが、九層をソロで巡ってみるのも面白いかもしれない。


 何時もの電車とバスを乗り継ぎダンジョンへ。なんだかんだ三日連続のお仕事になるな。別に休みでも良かった。しかし休みといっても休んでやる事があるかと言えばやる事も無く……ワーカーホリックって奴か。まだダンジョンに潜ってるほうが楽しいというのは、ダンジョンに引き付けられているのか、それとも何もない日に耐えられないのか。


 ここまで来てやっぱり帰るなんて事は無く今更悩む必要は無いのだが、休日の過ごし方というのを考えておかなければいけないな。意外と無趣味なのかもしれないな俺は。日記でも書くか?


 色々考えてる間に開場時間になったので受付に行って入ダン手続きをする。


「おはようございます」

「おはようございます安村さん。連勤ですが大丈夫ですか? 」

「今日は一応日帰り予定ですので。七層までふらついて帰ってきますよ」

「慣れた道でしょうけど、どうぞご安全に」

「ご安全に」


 慣れた一層に入る。今日は駆け足だ。五層までずっと駆け足で進むぞ。一段階ステータスブーストも上がった事だし、どこまで時間を切り詰めて、具体的には茂君にたどり着くまで行けるかをテストする。


 一層は息切れをしない程度のペースで走る。十分で二層の階段へたどり着いた。二層も同じペースで走るが、道中出てくるウルフは襲ってくるので仕方なく戦う。わんわんわん、ボンボンボン。


 稼ぎを重視するにしても、一匹一匹骨を転がして相手にするより普通に【雷魔法】で焼いて次へ急いだほうが時給は高い。悪いが今日は急ぎなんだ。また今度手持ちのお肉が無くなったら頼むよ。ドロップが出ないように祈りながらまた十五分ほどで三層へたどり着いた。


 三層も同じペースだ。ただし朝一出勤なのでゴブリンが相当数リポップしている。走るにしてもここでどうしてもペースが落ちる。それにドロップを拾いながらなのでちょっと手間がかかる。かといってその辺に捨てていくのも行儀が悪い。落ちたドロップはきちんと回収していく。ここもまた十五分で走り切った。


 四十分で四層にたどり着いた。これは最短記録だな。ここからは肩ポン爆破のお時間だ。三層より密度が高いがここも手早く抜けたい。またゴブリンたちに大迷惑を振りまきながら真っ直ぐ五層まで進む。


 メインストリートには結構な数のゴブリンが屯って居たが、肩ポン爆破とチェインライトニングをばらまきつつ走る事で少々のドロップとゴブリンソードを一本手に入れた。ゴブリンソードはこの間一本失くしたばっかりだったのでそれを補充したことになる。


 およそ二十分かけて四層を走り切った。まだ時間は午前十時。過去最速ペ-スで五層まで来たことになるかな。俺も成長したもんだ。続いて五層もモンスターが少ないからマラソンがしやすい。


 目の前にポツンといるワイルドボアに駆け寄り【雷魔法】でさっくり焼き豚にすると空を飛んでいるダーククロウにも手が届きそうなら雷撃を与えて撃ち落とし、ドロップに変えていく。走ると言ったがあれは嘘だ。ダーククロウが居る所は飛ばさず一羽残さず黒い粒子に還していく。


 何もいない間はマラソンだ。今日はよく走っている。きっとカロリーもそれなりに消費しているだろう。今日は一日ダンジョンダイエットだと思って過ごそう。道中のワイルドボアが革をくれた。なんだか久しぶりの革な気がする。こいつにもお世話になっている。今つけている手袋はボア革で出来ているらしいからな。


 ちゃんとダンジョン素材が循環している事を実感すると仕事をしている感が出てとても良い。そういう意味ではちょくちょく食べているダンジョン肉や毎晩毎仮眠でお世話になっているダーククロウなんかはもう脳汁がドバドバ出そうなぐらいやりがいを感じる。


 そういう自己満足で言えばダーククロウがまず第一にあげられる。何せ毎晩お世話になっているのだ、自分で実感を味わっているのだからこれを上回るのはなかなか難しいだろう。二番目は肉。


 さて五層を二十分ほどかけて楽しんだところでお待ちかねの茂君の時間だ。この為に潜ってきたようなところはある。また布団屋さんに卸してそれなりに高めのお買い上げをしていただき、納品した枕で快適な睡眠をとる事が出来るのが増えるなら頑張る甲斐もあろうというもの。


 しかしまずはワイルドボアの群れを相手にしなければならない。今日も元気にワイルドボアは走り回っている。目的もないだろうによく疲れないな。その元気さをちょっと分けてほしい。


 こちらを見つけると一目散に向かってくる。それもみんなまとめて。ちょっと試したいことが出来たので、ステータスブーストを十全にかけた状態でただ近づいて行く。ワイルドボアは突進を繰り返すがこっちにはほとんど何の衝撃も来ない。全部集まったところでチェインライトニング。十一匹のワイルドボアが一斉に黒い粒子に還る。これも楽でいいな。


 ワシワシと肉と魔結晶と革を集めると一本目の木に近づき止まっているダーククロウを根こそぎチェインライトニングで仕留める。木に焦げ跡が付いたが目印がなくなったわけじゃないのでセーフだと毎回言い聞かせている。


 さて、お待ちかねの茂君だ。主に俺がお待ちかね。ここまで来た最大の目的でありここまでにかかった時間は最短の一時間二十分。逆算すれば午後五時ごろまでここに居られるという事だ。が、今日はそこまで急ぎであくせく働き出すことも無いのでのんびりと茂君を一往復して……八層の木に向かっても良いがそれほどの数は期待できない。


 とりあえず七層まで行って休憩してそれから考えるか。人通りが無いのを確認すると茂君までの暴走族をまた足元で一斉に黒い粒子に還した後、茂君まで軽くマラソン、茂君の警戒範囲ギリギリのラインに陣取る。


 茂君が良く茂っている事を確認し、前後の人通りがない事を確認。いつも通り投網のイメージを作って投射。茂君は綺麗に消滅する。木の根元で範囲回収。千五十グラムのダーククロウの羽根……これはいつも通りの量だ。収納したのを確認するとまた同じようにワイルドボアを焼いてマラソンをして茂らない君へ。君はいつ見てもはげ山だなぁ。


 どうやら毎回蹴りを入れているのでは効果がないらしい。もうあきらめて先へ進もう。最後のワイルドボアの一斉雷撃を終えると七層への階段へたどり着いた。時刻は十一時。昼飯にはまだ早い。自転車が置いてあったのでそのままシェルターを通り越して八層側の階段へ向かう。八層側のダーククロウも倒してしまってちょっとでも羽根を稼ぎたいところだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 茂らない君のナゾが解明されたら、茂くん回避の為に遠回りしている人たちが遠回りしなくてすむようになりますね。
[一言] 茂くんや茂らないくん以外にも木があったりしないかな? 階段から階段までの最短距離がマップに書かれてるだけで 他の人はダーククロウ目当てに6層あるき回ったりしないだろうし
[一言] 走る、魔法を使うの繰り返しのダイエット効果はどれくらいあるものなのか
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