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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第五章:自由を求めて深層へ

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356:どんとこい十六層 1/5

 階段を下りたらそこもまた迷宮だった。どうやら小部屋スタートらしく、早速目の前にスケルトン二体と骨ネクロが一体、それと骨でできた弓を持った……どうやって弓の形にしているんだろう? と疑問を持つがとにかくこいつがスケルトンアーチャーだろう。今後こいつは骨弓だ。そういうことでよろしく。


「戦闘開始! スケルトン、骨ネクロ、骨弓の順番」

「了解」


 下りて早速の戦闘とはスピード感と緊張感があってよろしい。骨弓は早速矢を……紫色に光る矢を手から出すと番えてこちらに向けて撃ってくる。とりあえず盾で受けて……っと、かなり強めの衝撃だ。気を抜いてたら盾ごと持っていかれたかもしれない。こいつ、かなり厄介だな。これが後ろから飛んでくるのか。


 とりあえず盾が割れてない事を確認すると安心し、スケルトンに向けて走る。スケルトンを撃破する間に骨ネクロはスケルトンを一体召喚、養殖物を差し向けて来た。養殖スケルトンをこちらで受け持ち、芽生さんは骨弓の矢を器用に槍で弾いた後骨ネクロを粉砕していく。残るは骨弓。


 二人で左右に分かれ、骨弓がどちらに狙いを定めようか迷っている隙に一撃を打ち込む。どうやら骨の硬さはスケルトンのほうが上らしいな。肩からバッサリと斬りつけることで思ったよりも手ごたえがなく核ごと破壊されていった。


 骨弓は魔結晶を残していった。大きさと重さを比べると、どうやらスケルトンと同じらしい。苦労の割にはちょっと損するかなー。


「いきなりでしたが何とかなりましたね」

「あの形で小部屋にいる可能性が高いという事は解ったが……とりあえずさっきの手順で次もやってみよう。最適解をいきなり出すのは難しい。骨弓の行動パターンがまだ読み切れない」

「矢の強さは中々のものですが、速さはそうでもなかったですね」

「喰らったダメージは……ワイルドボアに初めて突進されたぐらいの圧力だった」

「毒とかそんなバッドステータスがあるわけでは……? 」


 全身をくまなくチェックする。まだちょっと腕がしびれている以外は特に気になる所は無い。


「なさそう。今のところは衝撃波みたいなものだと考えたほうが良さそうだな」

「体で受けたら吹き飛ばされると。覚えておきます」

「避けられるなら避けるのがベターだろうけど……よく槍で弾けたなアレ」

「一度やって見たかったんですよね、飛んでくる矢を弾くっての。夢が一つ叶いました」

「そっかー。おめでとー」

「わーいありがとー」


 さて、地図作りだ。この小部屋がダンジョン全体のどのあたりにあるかもまだ見当がつかないので、とりあえずど真ん中に描く。小部屋から伸びる道は一本。とりあえず部屋から外へ出ろという事だろう。


 小部屋から出ると、いきなり左に曲がり角。右には少しだけ真っ直ぐ行けそうな道がある。とりあえず出来るだけ曲がらないように進んでいくほうが迷いにくいコツだと思う。


「できるだけ真っ直ぐな道を行こう。そのほうが迷いにくい。後は横道に何回遭遇したか。それを記録していこうと思う」

「マッピングと方向指示はお任せします。こっちはモンスター探しに専念するという事で」

「それでいこう。しかし、いきなり曲がり角とは……一応先だけ覗いておくか」


 曲がり角の先は更に曲がり角だった。俺は方向と曲がり角が有るとだけ記した後、そっちへ行くのを諦めた。


「気を取り直して……できるだけ真っ直ぐな道を行こう」


 さっきの真っ直ぐそうな道を進む。道なりに沿って直進していく。途中に曲がり角があれば記し、道が曲がれば曲がり、モンスターと出会えばそれを倒す。


 やはり十六層のほうが密度が高いらしく、骨ネクロが二体にお供の天然スケルトンが一匹という編成が見受けられる。最初は既に召喚されていたのかと相手の視野の広さに驚いたが、倒して魔結晶が出たのを確認すると、モンスターの視野が階層毎で違うという事は無さそうだと今は結論づけておく。


 後はスケルトンが普通に四体編成で散らばっている。骨弓は骨ネクロとセットで出てくることが多いようだ。小部屋に居たスケルトン二体、骨ネクロ一体、骨弓一体という形は大体の小部屋でそうなっていた。どうやら骨弓はスケルトンか骨ネクロとセットじゃないと登場しないらしい。単体でうろついているというパターンはまだ見かけていない。


 骨弓に対する有効的な手段はまだ見つけられていない。戦闘中に割り込むように矢が飛んでくるので仕掛けるのを中断して避けたり、その間にスケルトンにシールドバッシュを喰らったりと嫌なタイミングで仕掛けてくることがある。中々巧みな手段で翻弄してくるな。


 骨弓は今のところこいつも百パーセント魔結晶を落とす。保管庫の中でも「スケルトンの魔結晶」扱いだったので、まったく同じものを落とすと判断できる。レアドロップについては解らないが、おそらく骨も落とすんだろう。弓を落とす可能性は……無いでは無いが少なくとも集めた情報の中には無かった。正直弓をくれるぐらいならスキルオーブが欲しいところである。


 三十分ほど迷ったところで、おそらく一番外側であろう回廊らしき部分に達する事が出来た。しばらく一直線が続くらしく、目を凝らすと複数のグループに分かれてスケルトン達が点在しているのが見える。


「連戦……かな。途中の通路を見落とさないようにしつつ戦って切り抜けるか」

「横道が少ない分戦いに集中できるのは良い事です」

「よし、一つ気合を入れていくか」


 スケルトン二体骨弓一体のグループと骨ネクロと骨弓のグループが居るな。骨弓が何か美味しいものを落としてくれるなら労力に見合ってはくれるんだが。ただ、嫌らしいだけのモンスターを設置するようなダンジョンマスターという印象は無かった。何かあるだろうと思って殴りかかるほうが良いだろう。


 ゆっくりと回廊部分を回る。結構な広さだ。迷う部分に入り込む横道の本数の少なさからして、そう頻繁にこの部分に出られるようには設計されていないのだろう。


 回廊を巡りながら十六層に入ってから数えて十八体目の骨弓を倒した時、ポーションが落ちた。早速拾って確認する。


 キュアポーションランク2 x 一


 キュアポーションの二段階目を落としたらしい。ここまでの慣例に基づけば一本八万円になるはずだ。骨弓が一気に美味しいモンスターに早変わりした瞬間でもある。キュアポーションの2ランクとはどのぐらいの症状まで緩和させることができるんだろう。帰ったら調べてみるか。リウマチとか古傷が痛むぐらいは治るのかもしれないな。


「これは美味しい」

「美味しいですか。結構手間かかりますが」

「それでも美味しい。骨もキュアポーション2もくれるなら……オークの二倍ぐらい美味しい事になる」


 すぐに計算したのか、芽生さんの目が¥に変わる。解りやすくてとても良い。


「それはだいぶ美味しいですね。かといってまとめてこられたらボス戦のゴブリンシャーマンの比じゃなくきつい事になりそうですが」

「ちなみに骨ネクロも同じぐらいのお値段だぞ。今のところ骨弓が二体以上出てくる場面は無いから回数こなすのが大変だろうが、キュアポーション2の美味しさはあまりある。何ならゴブリンキングを何回も殴るより美味しい可能性もある。」


 ゴブリンキングの魔結晶と角がいくらで売れるかは解らないがそうそう安い価格ではないはずだ。それでも骨弓を狩り続けたほうが価値があるだろうとは思える。


「そういえばボスって何回でも討伐できるんですかね? 」

「今度また挑戦してみるか。今度は保管庫無しで」

「十六層で迷わなくなるのが先ですよね? まさか今からとか言いませんよね」


 いきなりボス戦はさすがに困ると芽生さんも考えているらしい。


「さすがにそれは無い。十六層のマッピングが終わってからの話」

「ならいいですけど。確かにあの戦闘ではあまりにもあっけなさ過ぎた感じがありますから、ちゃんと手ごたえのある形で倒したいというのは解ります。それにゴブリンキングの角が二本あればお互い一本ずつ持てますし、うっかり失くしても大丈夫になりますね」

「うっかり失くしそうなのは芽生さんのほうだけどね。俺は保管庫に入れてるから」

「可能性があるとしたらエレベーターから外し忘れたとかそのぐらいですかね」


 外し忘れか……ありうるかもしれないな。特に行きだ。待ち構えているであろうスケルトンに気を取られて外さないまま戦闘に参加する可能性はゼロではない。注意しておかないとな。


 十六層の戦闘にも徐々に慣れて来た。最適解を見つけては居ないが、骨弓が出て来た時の対応も解ってきた。どうやら骨弓はスケルトンと密着していても同士討ちにならない可能性があるならバンバン打ち込んでくるという事だ。


 何回かボディに喰らったが、堪えきれないほどのダメージとは言えない。数発連続で喰らうと危険だろうが、一発受けてヒールポーションで痛みを取らないといけないというほどではない。放っておけば痛みは自然に収まる。これがゴブリンシャーマンのような【火魔法】だったら大やけどだろうが、そこまでの威力ではない。そういう意味ではボス戦ほどの緊張感は無い。


 さっき拾った【魔法耐性】もこれでダメージが軽減されるのだろうか。ただ、十七層以降に魔法を使ってくるようなモンスターが居るという話も聞かない。おそらくダンジョンマスター的には、スケルトンで【魔法耐性】を拾う事でボス戦を攻略しやすくしようとする意図があるのではないか、と考えてみる。


 そうすると【物理耐性】もこのあたりの階層で拾えてもおかしくないな。もしかしたら通り過ぎて行ったオーク辺りで誰かがもう拾った可能性がある。【物理耐性】と【魔法耐性】を二人分そろえてボス戦に挑めば楽々と勝てる気はしてくる。


 しかし耐性と一口に言ってもどのくらいの耐性を得ることができるかは実際に使ってみないと解らないだろうし、殴られて初めて体感できるものだろう。覚えたとしても発揮する術が……あぁ、骨弓で試せばいいのか。スケルトンに切られるのはちょっと恐怖心がある。オーク辺りで試すのが良さそうだな。


 十六層に入り始めて一時間が経った。遅いか早いかはともかく、まだまだ全体像は見えてこない。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] ドロップ率にもよりますけど持ち運びのサイズ的にもいい稼ぎが出来そうですねえ
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